森のお医者さん

          

           ノーベル




            


   ニトログリセリン爆薬を皮切りに、ついにダイナマイトを

    発明し、工業化し、莫大な富を築いた。伝記によると、

    生涯に三度恋愛したが、いずれも一方的な恋に終わり、

    生涯独身だった。

    死の数年前、彼の兄が死んだとき、新聞に「死の商人、

    死す」と誤報された。さらに、本文で「可能な限りの最短

    時間でかつてないほど大勢の人間を殺害する方法を発

    見し、富を築いた人物が昨日、死亡した」と書かれていた。

    ノーベルはこれにショックを受け、自分の死後の評価を気

    にするようになり、ノーベル賞の設立を遺書に残したと言

    われる。

    財産のほとんどをノーベル賞の設立に寄付したため、当然

    のごとく、ノーベルの莫大な遺産の相続をめぐって、兄弟や

    その子達が当然のようにトラブルを起こしたために、指定さ

    れた相続執行人は相当苦労した。