森のお医者さん


        石田光成




       

    関ヶ原の戦いの後、処刑を待つ石田三成は、警護の

    者に白湯を所望したが、すげなく断られ、かわりに柿を

    勧められた。

    しかし、三成は「柿は痰の毒だから要らない」と断った。

    警護の武士が笑って言った。

    「もうじき処刑されるのに身体を気遣ってどうるすのだ?」

    と。三成は答えた。

    「大志を持つものは、最期の瞬間まで命を惜しむものだ」

    と。警護の者は士は鼻で笑ったという。

    だが、どうせ死ぬんだからいいだろう、と今までの生き方

    をいい加減にしてして、人生を終えるような死に方はした

    くないと思う。