その夜、少年達は夢を見た、昼間、一切経の頂上に望まれた女子学生がテントを訪ねてきた。 それはシンデレラ姫のように本当に美しい娘たちだった。 少年達は舞い上がってしまった。有頂天になった。 本当のところ少年達は女の子にモテたことなどなかった。
山の中で見る女性は美しいと言うが、その娘たちは特別だった。 暫しのあいだ楽しい会話がはずんだとおもったら、夢の画面がスゥーと変わった。
なんと、その美しい娘たちの口から大きな牙がグゥっと出てきた、目は釣りあがり口は耳まで裂け、その口からは真っ赤な血がポタポタとおちてきた、少年達が食べられていたのだ。
少年達は必至になって助けを呼んだ。だれも助けにはきてくれなかった。
泣いて許しを請うてもためだった。
また夢の画面がスゥーと変わった、テントの下に敷かれたモーセンゴヶが怒って少年達を食べていたのだ。
スカイラインなどできていなかった頃の話である。今だったら浄土平のど真ん中にテントを張るなど、とんでもない話であるが、この頃は中津川でも縦走路でもめったに登山者には出会わなかった。
ただ、浄土平では2組のパーティがテントを張っていた。吾妻の山にも山ヤと言われる人達のメッカの時代があった。
過ぎ去った素晴らしき青春の日々である。
吾妻小富士と浄土平
TOP