Social
withdrawal 社会的隠棲 (不登校・出社拒否)
《治療・療養・克服のための新療法による=在宅心理カウンセリング》
※ 摂食障害の拒食症と同じ道徳倒錯(複合症候群のひとつ)のカテゴリーである。
ここでは摂食障害の項とほぼ重複した内容を述べている。
1) 定義
三つの疾患が複合したもので道徳倒錯と呼ばれ、その三疾患は自由拡張症候群、行動精神病、神経症である。
下の〔道徳倒錯〕の表にある、拒食症と同じ疾患群である。この表にはまた摂食障害に関している異食がある。異食は、土など消化不能なものを食する精神疾患である。道徳倒錯の病理は非社会性と反社会性で言い尽くせる。規則を定めて文明を構築していく社会には組織的積極的に参加しないが、しかしわれわれが共に生活する社会の中に留まる。それは資本主義社会の先導者である自由拡張症候群を持っていることで判かる。彼らは文明を享受するに吝(やぶさ)かではない。
しかし、社会的隠棲(引きこもり)としての基調は、価値不全症候群である行動精神病にあると見なければならない。資本主義の“所有・支配・権力・翻弄“の価値に抵抗することが行動精神病の主調色となっている。
二つ以上の疾病を複合して発症する場合であり、その一部は、従来、境界症候
群といわれてきたものである。
倒錯症候群
自由拡張症候群に、行動精神病と神経症の複合症状である。
〈行動精神病〉
│
│
│
│ 〈神経症〉
│
│ ┌──┐ │ ┌──┐
─────┼───── │怒り│ │ │幸福│
0│摂理価値不全 └──┘ │ └──┘
│ 自立、あるいは│ 自立、あるいは
│┌─────┐ 自律できない │ 自律しなくとも
││愛されない│ │ よい
││呪い │ ────────┼────────
│└─────┘ │0
│ 自立、あるいは
│ 自律したくない
〈自由拡張症候群〉 │ ┌──┐
│ │呪い│
│┌──┐ │ └──┘
││驕り│
│└──┘
│判断停止、虚
│偽、狂気、根
│本情態性遮蔽
─────┼─────
│0
│
│
│
│
│
〔道徳倒錯(意志了解型)〕
│ │ │
│ 自律できない │ 自律したくない │自律しなくともよい
──┬──┼──────────┼─────────┼─────────
│ │放火、爆破、 │無定住(借家住まい│隠棲(世捨て、不登
集│虚偽│爆発物送付 │一定地で住まない)│校・出社拒否)
├──┼──────────┼─────────┼─────────
団│狂気│破壊(家屋、器物の暴│住所不定 │浮浪
│ │力的破壊) │(居候、住み込み)│
──┼──┼──────────┼─────────┼─────────
│ │毒薬、針等異物混入、│献身 │殉ずる
家│虚偽│カミソリ送付 │(身体の献身) │
├──┼──────────┼─────────┼─────────
族│狂気│家庭内暴力、リンチ、│隷属 │忍従
│ │拷問、通り魔殺人 │ │
──┼──┼──────────┼─────────┼─────────
│ │窃盗、万引、置き引き│無一物 │拒食
食│虚偽│スリ、自転車借用 │(物の献呈) │(思春期痩症)
├──┼──────────┼─────────┼─────────
│狂気│強盗 │滅私奉公 │異食
│ │(傷害、殺人) │ │(暴力的拒食)
──┼──┼──────────┼─────────┼─────────
│ │借金踏倒し │赤貧 │苦行
休│虚偽│ │(金銭の献呈) │
├──┼──────────┼─────────┼─────────
息│狂気│ゆすり、たかり │貢ぐ │苦役
│ │(金品強要) │ │
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2) 発病機序
社会的隠棲(引きこもり)の複合する三疾患のうちの自由拡張症候群は自律した主体性である。それは神経症のように主体の独立した自由が損傷している訳ではない。資本主義的文明生活を積極的に泳いで行く活力に満ちている。しかし、自由拡張症候群単症主体のようには、社会への組織的な参加は行わないのが社会的隠棲主体である。
道徳倒錯の表で、〈自律したくない〉と〈自律しなくともよい〉の症状を見れば判るように、他者との対等の対話世界ではない非社会性をポリシーとしている。資本主義社会ゆえの人間嫌いの隠棲と、資本主義に就かず離れずの社会的隠棲では大きく異なる。前者は出家者に見るように、立場を明確にした精神力が横溢している。苦行にしても、己の精神を高め精神力を盛んにせんがための行と、道徳倒錯の“苦行の症状”とは雲泥の差があると見なければならない。
道徳倒錯では社会やそのユニットである家族との繋がりに、延(ひ)いては生きることそれ自体に愛着を持たない。これは単に精神主体性の“感謝・愛・善・美“の意志に恵まれないということの他に、自由拡張症候群単症主体の“所有・支配・権力・翻弄“の意志にもまた薄いということである。
この断裂感を成しているのは、成熟しない精神の故に社会の片隅に生きる神経症主体の基盤の上に、愛無き社会を“愛されない”と“沈黙の批判=代償行動”を行いながら、辛うじて社会に留まっている行動精神病が蹲っているからである。
※ 行動精神病については依存症を参照