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 先日、小平さんと話す機会がありまして、キャスティングの話になりました。

 ハーディーのインストラクターをやっていた事もあって、たびごとに「ハーディースタイルのキャスティングだ」(小平さんは、ほとんどハーディーのロッドを振っていたから仕方がないか。かくいう私も知り合って数年は、そう思っていました)と決めつけられていたそうです。

 それに、最近は、主にハーディーの8ft.6ins.#6の竹のロッドを使って、キャスティングを指導しているせいか「ハーディーの何十年前の古臭いキャスティングを教えている」と誰かが、噂をばらまいていたそうです。

 その事で少し、小平さんは‘ムッ’としていたようです。私が「いいんじゃないの。そう思わせておけば、だって、誰もDWAのキャスティングの理屈なんてわかってないし、ハーディーの事だって表面しか見ないから中身なんて知らないんじゃないの」というと、「そうだね」と、相づちを打ってくれました。

 ハーディー関係では、ジョニー・ローガン、J.L.ハーディー、イアン・ブラグバーンの三人のキャスティングを見た事が有りますが、さまざまな状況に応じたスタイルのキャスティングをやっていました。

 特にジョニー・ローガンは、他社のグラファイトやボロンなど、色々なロッドを振っていたのが印象的でした。そのキャスティングを指して、ハーディーの何十年前の古臭いキャスティングというのであれば、非常に優れたキャスティングであるという事でしょう。

 ただ言える事は、一流のキャスターといわれる人達は状況適応能力が優れていて、道具が時代と共に変化しても、それに応じるだけの技術を持っているようです。

 決して、威張ったり自分をひけらかしたりするようなことはしないようです。 ですから、ハーディーのロッドでキャスティングをやっています。とはいっても、ハーディースタイルのキャスティングをやっている。と言うのは少し的外れのような気がします。

  各釣り具メーカーは、スタンダードモデルをアレンジして、スペシャルモデルを出したりしているようです。

 ハーディーでも、各国代理店や個人のリクエストに応えて、特注で色々なロッドを作っていました。たいていの場合は他の釣り具メーカーと同じような対応でしたが、まるっきり注文主のためだけに設計したスペシャルプレミアムモデルといったロッドも多数存在しました。

 アメリカやヨーロッパ各国の有名なクラブの名前のついたロッドもあったようです。その中から、ハーディーのカタログモデルになった物も少なく有りませんでした。

 しかしながら、ハーディーのロッドを色々と振り比べてみると、見た目は地味ながら、自社の社長名を冠したモデルとか、カタログスタンダードモデル(何を指して、と言われると弱いのですが)にこそ、俗に言われるハーディースタイルとか英国スタイルの伝統的なキャスティングが出来るロッドを作ることに、ハーディーのロッド設計者は、心血を注いできたように思われます。


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