サケ釣りといえば、近年コイ釣りの仕掛けにサケがくるようである。 近所の爺さん連中では、暇つぶしでコイ釣りをするのが結構トレンドである。 仕掛けは吸い込み針に市販の練り餌を付ける人と、二本針に蒸したサツマ芋の角切りを付ける人の二手に分かれるようだ。
ある時、顔見知りの爺さんが釣りをしているのを見ていたら、明らかにコイとは違った引きを見せる魚が掛かった。 コイ釣りのゴツイ仕掛けなので、まもなく魚が寄ってきた。 見ると、4kgぐらいの雄のサケだった。 爺さんはすかさず玉網ですくってどこかに行ってしまった。 しばらくして戻ってきたので聞いてみた。
「いつも、あんなの(サケ)掛かるの?」
「いや、初めてだ」
ふたたび竿を出したら、また掛かった。
「餌はなあに?」
「練り餌だ」
それから爺さんは毎日やってきて釣りをしていた。 平均すると一日二本ぐらいは釣れたのだそうだ。
そのうちに、練り餌が無くなってサツマ芋に切り替えても、同じように釣れたらしい。 また、別な日に爺さんの釣りを見ていたら、コイもサケも同じ場所で釣っていた。 よく見ていると、上げ潮の時はサケが、下げ潮の時にはコイが掛かっていた。
爺さん曰く「『サケは餌を喰わねぇ』っていうけど、嘘だな。ほかの爺さん達も釣ってるからな。雌ばっかり掛かればいいが、雄が掛かると、家で、もう捕ってくるなと言われるし困ったな」
雄、雌を選んで釣れないようである。
いずれにしろ、いくら爺さんであろうと、コイ釣りの仕掛けに掛かろうと、非合法なことに変わりはない。