broken rod
はっくる物語6


どきどきの初体験

 私がフライをやり始めたばかりの頃、友人から道具一式借りて釣りに行ったことがあります。そのときの竿はHARDYのGraphiteSummagler 8feet#6 4pices でした。キャスティングを始めて間もなく、バットから上の部分がラインと一緒にすっ飛んでいきました。慌てて拾ったらジョイントが折れていました。ジョイントの挿し方が甘かったのかと思い、よく見ましたがきつく入っていたので使い方に問題はなさそうです。

 行きつけの釣り具屋に持っていったら修理代に幾らかかるか分からないと言われ、治って来るまでの半年間は心配の日々でした。やがてHARDYでの修理を終えた竿が戻ってきました。メーカーが無償修理してくれたのか、輸入代理店の方でうまくやってくれたのか、今となってはその理由はよく分かりませんが、とにかく一銭の修理代も払わずに済みました。

 自分勝手に解釈すると、当時のHARDY社にはキャスティングをして折れるようなロッドは間違っても作らないという絶対的な自信があったので修理代を取らなかった。「竿は折れていないし、まして、修理などはしていない。これは単なる点検だ。点検した結果どこも悪くなかった。だから『元の』使用可能な『正常な』状態で返す。」とHARDYが言っている、そう解釈することにしました。それからはHARDYの道具しか使わなくなりました。

めくるめく経験

 HARDYのContinental Special 7feet.7.5ins.#5という竹竿を使っていた頃、トップガイドから2番目のガイドの下にひびが入っているように見えたので修理に出しました。しばらくして修理が出来たという連絡を受けて取りにいったら、トップが新品に替わっていました。

 釣り具屋の親父は穂先を新調したのだから修理代がかかるというのですが、Graphite Summaglerの件があったので納得がいかずそのときの話を持ち出しての押し問答の末、輸入代理店に問い合わせてもらうことになりました。そしてその返事はHARDYのから請求書は受け取ってないので無償だということでした。

 輸入代理店に聞かなかったら修理代金、丸ごと、釣り具屋の親父の懐に入っていたかも知れないと思うと、私は少し頭にきました。

そして突然の別れ

 そんな嫌なことがあったので、その竿は友達に貸してしまいました。しばらくしてその友達と一緒に釣りに行き、あたりが真っ暗になったので帰ろうと道具を仕舞っていたとき、友達の叫び声が聞こえたので駆けつけてみると竿の第2ガイドから先がきれいさっぱり消えて無くなっているではありませんか。ラインもフライも付いたままだったので折れた部分が残っている筈なのに何も残っていませんでした。折れた所は少しささくれだっていましたが、スパッと鋭い刃物で切ったようになっていました。

 また新品のトップを作ってもらわなければならないので、どうしようかと迷っていました。今度こそ修理代を払わないといけないので、行きつけの釣り具屋に持っていく気にはなれませんでした。

 たまたま小平さんのところに行く用事があったので竿を見てもらおうと思い持っていったら、すぐに小平さんは竿を手に取って小刀で折れた所を削り始めました。間髪を入れずHARDYのFeateightという竹竿のトップを適当な所でちょん切って削り、私の持っていった竿のトップと合わせてしまいました。仕上げは黒のビニールテープを巻いて出来上がり。竿にラインを通して振っていました。勝手にこれは使えると言いながら、小平さんは自分のコレクションにする様子でした。

 あまりの早業に私は唖然としてただ見つめるだけでした。持っていった私が悪かったと思って諦める事にしました。それ以来その竿の事は忘れていました。

運命の再会

 ある日の夜、小平さんの隣町に住むKさんから電話が来ました。
「あんたが小平さんのところに置いてったContinental Specialを友達に使わせたいから、譲ってくれ」
「ええっ!! 何だってぇ、あの竿まだあったの?」
「小平さんの友人が新しいトップを作ったんだ。今度そっちに行くとき持っていくから」
といって電話が切れました。

 一週間後の11月初旬、小平さんとKさんとその友達の3人が竿を持ってやって来ました。十数年ぶりのContinental Specialとの再会でした。

余談

 当時、小平さんのところにはFeatherweightのトップが沢山ありました。他にも色々な竿やリールとその残骸が沢山ありました。どうしてそのようなものを持っていたのか、その理由はよくわかりません。

 同じ長さのContinental Specialを何人かの人から見せてもらいましたが、私の竿のように折れはしないまでも同じところにひびが入っていました。基本設計に問題があったのか、釣りに使うには具合が良かったロッドだっただけに残念に思います。


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