Irrevocable rule(2)
そのまま二日間が過ぎていった。住民の目撃談を聞き、付近の地形を調べ、営巣地と思われる場所を
チェックする。その繰り返しだ。
スコールの態度も相変わらずだった。一度こういう事になると、スコールのやり方は徹底してる。
完璧に俺から距離を置いている。自然俺も他人行儀になっていった。
「・・・と言う訳で、やはりこの谷が営巣地と見て間違いない。」
「成程。・・で、いつ奴らをぶちのめしに行く?」
「それは俺が指示する。ゼル、サイファー、今日はもう休んでいい。」
「そりゃねーぜ、一刻も早くぶちのめした方がいい。」
サイファーがハイペリオンを床に打ち付けながら言った。
「班長は俺だ。お前に行動を決める権限は無い。出すぎた真似をすると後悔するぞ候補生。」
長い睫は微動もしない。サイファーが眼を細める。一気に雰囲気が険悪になった。
「サイファー!止せよ。そうだ!折角暇になったんだから、昼間見つけた例の面白そうな店行こうぜ。
な?」
慌ててサイファーの腕を引っ張ると、スコールの厳しい声が飛んできた。
「馴れ合うなと言ったはずだ。第一遊ぶ為の暇じゃない。休息のための暇だ。遊び疲れて本来の力が
出せなくなるのは本末転倒だ。」
この野郎。誰のフォローでこんな言ってると思ってるんだ。俺はキッとスコールを睨んだ。
「分かった。分かった。今日は色男の言う通りにしといてやる。ほら、チキン帰るぞ。」
何故か急にサイファーが折れた。驚いてる内にずるずると引きずられて部屋を出た。
「今のは貸しにしといてやる。」
ドアが閉まるとサイファーが突然言った。俺は眼を大きく開いた。
「貸し・・って、今、俺がお前を助けようとしたんだぞ?」
サイファーがポンと俺の頭を撫ぜた。
「馬鹿野郎だなてめぇは。俺がてめぇを助けてやったんだ。ま、応急処置みてぇなもんだけどな。
早く何とかしねえと大変なことになるぞ。」
「何とかするって?」
「てめぇは今爆発寸前の火山の上を、呑気にハイキングしてる大馬鹿野郎だってことだよ。」
「・・・?」
「ちっとは頭使えよ。トリ程度の頭でもな。じゃあな。」
サイファーが手を振って自分の部屋に戻っていった。何なんだ一体。もう寝る。俺はふて腐れて
シャワーの後、すぐベットに横になった。

ノックの音で眼が覚めた。
寝惚け眼でドアを開けると、スコールが立っていた。
「どうしたんだ?」
するりと部屋に入って後ろ手でドアを閉める。
「サイファーがいない。」
眼が覚めた。
「分かった。手分けして探そう。」
「行かなくていい。営巣地に向かったんだ。」
「何で分かるんだ!?」
「俺が行かせたからだ。今夜は俺とお前の二人きりだ。俺はお前を抱く。」
スコールが静かに言った。

俺は呆然とスコールを見た。最初のショックが収まると怒りが沸沸と湧いてきた。
「何言ってるんだ!こんな時に!任務中は他人だってルールだろう!」
突然全身が突き飛ばされた。俺はベットに叩き付けられるように転がった。
「舌を噛み切られたくなかったら、もう、そのルールは口にするな・・・!」
搾り出すように言い捨てると、俺の顎をぐいと持ち上げて激しいキスをしてきた。
むさぼるようなキス。息をすることも許されないようなキスだ。
「・・・んんっ」
ドンドンと胸を叩いた。でも、のしかかるスコールを押し退ける事は出来なかった。
ふいに唇が離れた。
「ゼル、最初にルールを破ったのはお前だ。」
スコールが俺の手首をがっちり押さえて言う。
「な・・・!俺がいつルールを破ったんだ!」
荒い息をしながら見上げると、スコールの瞳が苦しげに瞬いた。
「お前が破ったルールは、最も罪が重いんだ。他のルールなんかどうでもいい・・!」
また激しいキスが始まった。その合間に大きな手が俺のトランクスに潜り込み、ぐっとブツを掴んだ。
俺はヒッと息を呑んだ。
「馬鹿!止めろ!」
俺の怒号を完全に無視して、優しくそれを揉む。慣れた仕草にブツがどんどん形を変えていく。
「・・・う・・」
「もっと声を出せ。」
冷酷な程落ち着いた声がした。いつのまにか上半身のタンクトップが脱がされて、薄い生地が手首に
頼りなく絡まっている。胸の突起に濡れたものに包まれて、柔らかい舌がふっつり立ったそこに
トロリと絡められる。背中に電気が走った。
「あ・っ・・やめろよっ・・」
「嘘つけ。女みたいに尖らせて。お前のこことここはお前自身より、よっぽど素直だ。」
乳首を舐めたままスコールが言う。
「俺の指を濡らしてるのは、お前の・・だろう?」
指先が竿の先端をねっとりと撫ぜる。恥かしさで顔がかあっと赤くなる。
淫猥な刺激に負けまいと枕の端を噛むと、すかさずその枕を弾かれた。
「声を出せと言ったはずだ。」
じれたようにスコールが俺の下着を一気に下ろした。熱い舌が俺のものを包む。
「やっ・・!やめ・・・あ・・!」
指で既に敏感になっていた竿にこの刺激は強すぎた。俺は言葉も無く背中を反らした。
突然根元をぎゅっと強く握られた。堰きとめられた快感が体の中を狂ったように走る。
「まだ駄目だ。もっと声を出すんだ。」
スコールがもどかしげにベルトを外す金属音がする。
どうしたんだ、一体。俺は快感に霞みそうな頭で必死に考えた。何でそんなに声に拘るんだ・・?
服を脱ぎ終わったスコールの肌が直接俺の肌に当たる。すっかり熱くなった俺の肌が、スコールのひ
んやりした肌にねだるように吸い付く。熱が伝わっていくのを全身で感じる。
「・・手・はなせ・・あ・・っ・・」
行き場の無い快感が頭の中を掻き乱していく。指がすぽりと穴に入った。
「・・・く・・」
快感と異物感に息が詰まる。駄目だ。この指がもっと先まで進んでしまったら。今この快感だけでも
耐えられそうに無いのに、この先にあるもう一つの快感まで嬲られてしまったら・・・。
激しく首を振った。涙が眼から溢れてくる。嫌だ。そんな俺は見たくない。
「やだ・・っスコール、スコールっ」
泣きながら名前を呼んだ。求めるように腕を伸ばした。
スコールの指がふいに抜けた。
長い腕が激しく俺を抱きしめた。

「もっと・・もっと名前を呼んでくれ」
スコールの語尾が震えてる
「ずっと・・その声で名前を呼んで欲しかった・・」
頬に、首筋に、胸に狂ったようにキスを降らせる。
「もう沢山だ。あんな冷たい声で俺の名前を呼ばれるのは。ずっとこうして呼んでくれ。こんな風に
甘い声で、優しく俺を呼んでくれ・・!」
堰を切ったように訴える。
「任務のルールなんて、どうだっていい。あんな声で、あんな眼で俺を見るのはルール違反だ。
恋人のルールじゃない。お前は恋人のルールを犯したんだ。」
俺の事を他人なんて言うな、そんな言葉は聞きたくない、と言ってスコールが俺の唇を塞いだ。

俺が甘かった。こいつの甘ったれぶりを軽く見過ぎていた。
「沈着冷静、頭脳明晰な伝説のSeeD」の肩書きの裏側で、こいつの独占欲はすごい。
所詮「赤の他人でいましょう」なんてルール、こいつが守れるはず無かったんだ。

でも。

でも、きっと随分我慢したんだ。さっきサイファーはこいつを「爆発寸前の火山」って言ってた。
鈍い俺には分からなかったけど、サイファーには分かってたんだ。スコールの我慢が。
「スコール・・・」
快感でまだ舌が上手く回らない。スコールがその唇に優しくキスをした。
震えが走った。キスだけなのに。
「・・あ・・」
深くなるキスに舌が緩やかに絡み合う。指がまた俺の中に差し込まれる。奥深くを探っていく。
「・・・や・・あ・・スコール・・!」
「もっと・・」
「も・・だめ・・や・スコール・・っ」
「もっと」
「・・っスコールっ」
涙交じりに名前を呼ぶと、スコールがうっとりと満足そうな溜息をついた。
「ゼル、息を吐け」
俺は大きく深呼吸をした。スコールの大きなものが俺の中に押し入る。息が出来ないほどの圧迫感。
「・・・く」
スコールの押し殺した声がした。それだけでイッてしまいそうな妖艶な声だ。
「は・・・」
思わず声が漏れた。スコールがすかさず腰を動かす。
さっきから体に篭る熱が出口を求めてスコールのものに絡みつく。シュクシュクと粟立つような音が
腰から漏れる。体が燃えるように熱い。
「すご・・ゼル・・すごく、いい・・」
スコールの酔ったような声がする。俺の口からでるのはもう言葉じゃない。信じられない程甘い喘ぎ
声だけだ。
「ああっ・んっ・・あ・あ・・!」
目の前が白くなった。直ぐ後にスコールの汗ばむからだが俺の上に倒れ込んできた。
今放った快感に震える俺の体をしっかりと抱きしめて、スコールがゼル、と俺の名を囁く。
俺の返事はスコールの熱い舌に溶けていった。

「てめぇら、本当に殺すぞコラ。スコール!何が「後から行く」だ。何やってやがったんだ一体!」
サイファーが白いコートにエルイーノルの体液をべっとりつけて戻ってきたのは明け方だった。
俺は小さくなってサイファーの怒鳴り声を聞いていた。
サイファーが営巣地を攻撃してる間、セックス疲れでぐっすり寝てました、何てとても言えない。
「・・・で、全滅できたんだろう?」
ひとしきりサイファーの怒声を聞き終えてスコールが聞いた。
「あ!?あたりめぇだろ!・・だけどな、楽じゃなかったぜ、あの量は。俺が死んだらどうするつも
りだったんだ!降格どころじゃねえぞ!てめぇも一緒にSeeD資格剥奪だ、馬鹿野郎!」
「大丈夫だ。」
スコールが静かな声で言った。
「信じられないかもしれないが・・・俺はその程度にはあんたの事を信頼してるんだ。あんたは必ず
やり遂げると信じてた。」
サイファーがちょっと絶句してスコールの顔を見た。スコールは眼を逸らさずサイファーを見てる。
「本気だ。」
「けっ。」
サイファーがそっぽを向いた。
「馬鹿馬鹿しい。俺は風呂に入る。全て俺様の活躍だってレポートにでっかく書いとけよ!」
「勿論だ。」
サイファーはガシガシと大股で部屋を横切っていった。でも、何だかその足取りは前より
ずっと軽くなってるように見えた。

「降格リーチ。飲み物買ってこい。」
「うるせー。任務は終わったんだ!もうお前なんか怖くねー!」
「ほお・・。なら皆に喋っていいんだな。」
「な、何をだよ。」
「俺が営巣地を叩いてる間・・てめえ、やってたろ。」
「なななななな、何をだよ!」
「こんなトコに痣ができるような真似だよ。」
サイファーが俺の首をちょんとつついた。さーっと顔から血の気が引いていった。
「こここここ、これは!」
「サイファー、いい加減にしろ。」
スコールが話に割り込んできた。俺はホッと息をついた。
「これは俺のものだ。手を出すな。」
ついた息をまた急激に吸い込んで、激しく咳き込んだ。
「お、お前っゲホッ・・なっゴホッ・・何を・・!」
「お前がそういう態度だから、この男が構い倒すんだ。相手にするな。見ててイライラする。」
「お?嫉妬に燃える色男も絵になるな、おいチキン。」
倒れそうになった。つまり、スコールの態度が不機嫌だったのは「嫉妬」だったのか?
「他人のルール」を破棄した今、スコールの嫉妬の炎は隠れもない。サイファーの眼が
生き生きと輝く。最高の暇つぶしが見つかった、って顔だ。

この車両内の空気をどうにかしてくれ。俺は前にも思った台詞をもう一度繰返した。
サイファーは何かと俺に用を言いつけようとするし、スコールはその度に俺を睨む。

バラムまではまだ遠い。
俺達の旅もまだ終わらない。

                       (END)
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