NOと言う方法




日曜日、アーヴィンが俺の部屋に遊びに来た。
じーちゃんの形見のアンティーク銃があるって言ったら、見せてくれってやってきたんだ。
アーヴィンはしばらく銃を見てたが、やがて不審そうに辺りを見回した。
「・・・ところでさあ、この、やたらに張ってある紙は何なわけ?」
壁一面に俺が極太マジックで書いた紙がべたべた貼ってある。
『御免なさい。ご期待に添えません』
『謹んでお断りします』
『嫌です』等々。
「おお!よくぞ聞いてくれた!!」
俺は誇らしげに胸を張った。
「へへっ。じゃじゃーん。これだよ。これ。」
俺はポケットから小さな冊子を取り出した。アーヴィンが覗き込む。
「・・・「NOと言う方法」?」
「そう、昨日本屋で見つけたんだ。いや〜、開眼したぜ。これは俺のバイブルだ!」
俺は自信満々で演説を始めた。
「俺は今まで、スコールに対して、弱気過ぎたんだ。これによると、俺みたいに押しに弱い奴
は、こうやってお断りの文章を貼ってイメージトレーニングするのが有効らしいんだ。いいア
イディアだろ?」
「ふうん。」
アーヴィンが分かったような、分かんなかったような顔をして頷いた。
「・・・この『パンが欲しければ15分前には並べ』って言うのは?」
「あ、それは俺の作った標語。ちょうどいいから一緒に貼っといた。」
「・・・・・・・・。」
「何だよ。」
「いや・・・スコールも飽きないだろうなあと思って。」
「?どういう意味だ?」
「別に。」
アーヴィンはひらひらと手を振った。
「変な奴だな。ま、いいか、ここからが本題だぜ。」
俺は本に挟んである紙を大切に取り出した。アーヴィンの目の前にばんと突き出す。
「昨日徹夜でこの本を読破した俺が、これを元に考えたんだ。いいか、良く聞けよ。」
俺は眼一杯息を吸い込んだ。

「俺式『スコールにNOと言う方法』!!どうだ!」

1. 二人っきりにならない。(迫られるから)
2. 俺が主導権を握る。(迫られるから)
3. 動揺を顔に出さず、余裕ある態度を取る。(迫られるから)
4. 些細な事でも反論して、ペースを乱す。(迫られるから)
5. 体力勝負に持ち込まない。(相手が相手だから)

「いいだろ?今日から実践あるのみだぜ!」
ぴっと親指を立てて張り切る俺を見て、アーヴィンの野郎は何故か深々と帽子を被った。身体
が小刻みに震えている。
「・・・うん、まあ、いいんじゃない?」
「何だ?アーヴィン、泣いてるのか?まさか、これに感激しちまったとか?」
俺が奴の肩をバンバン叩くとアーヴィンはもはや堪え切れないと言うように立ち上がった。
「いいもの見せてくれて有難う。じゃ、僕、もう帰るよ。」
「おう!気をつけてな。」
俺は元気に手を振った。扉が閉まってしばらくすると、誰かの大爆笑がかすかに聞こえてきた。
何か面白い事でもあったのかな。

時計を見るとAM11:00時だった。
そろそろスコールが昼飯を誘いに来る。いつもの俺なら奴に会わないよう、こっそり部屋を抜
け出そうとしている頃だ。(あまり成功しないが)
でも、今日の俺は違う。俺はポケットの中の本と紙を大事に撫ぜた。
見てろよ、スコール。

「ゼル。昼飯にいかないか。」
何時の間にかスコールが扉の向こうに立っていた。
「び、びっくりさせんなよ。」
俺は慌てて振り返った。いかん。第三条、「動揺を顔にだすな」だ。
俺は奴の面を見て不敵に笑って見せた。
「待ってたぜ。」
スコールの瞳が大きく開いた。驚いたように瞬きを二三度繰返す。
いい兆候だ。よし、第二条、「俺が主導権を握る」。
俺はスコールの腕を取った。
「行こうぜ!スコール。」

俺達は並んで歩いた。
いつもは俺が引きづられているような状態だが、今日は違う。
時々スコールが横目で俺を見ているのを感じる。何だか戸惑っているようだ。
あの、いつも憎らしい位沈着冷静な奴を、俺がびびらせてるのか?
やったぜ!「NOと言う方法」、さすがだ、お前は俺の宝物だ!
スコールが訝しげに、慎重に俺に話し掛けた。
「・・・随分ご機嫌だな、ゼル。何かあったのか?」
「そうか?うーん。そうかもな。俺は生まれ変わった気分なんだ。」
俺は嬉しくなって笑顔全開で奴に笑いかけた。
すると何と、スコールがぱっと俺から顔を背けた。片手で口元を覆ったまま、全然あさっての
方向を見て、ずんずん歩いて行く。
おいおい、こんなに勝利しちゃっていいのか?あまりの成功振りに俺は呆然としてしまった。

俺達は食堂に入った。
いつもの如く周囲の視線がさっと集まる。スコールには熱烈な。俺には嫉妬と興味津々の。
まあ、もう慣れっこだけどよ。
ようやくスコールが俺を見た。何だかえらく血色がいいな、お前。
「ゼル、窓際が空いている。あそこに座ろう。」
別に何処でもいい、と言いかけて俺は辛くも踏みとどまった。
第四条を思い出したからだ。「些細な事でも反論してペースを乱す」だ。
「いや。俺は今日、外で食う。外で食いたい気分なんだ。」
「外?」
スコールが意外そうに首をかしげた。艶やかな黒髪が薄紅色の頬にかかる。
「そう。外だ。嫌なら、お前は来なくてもいいぜ。」
堂々と言い放った俺をスコールが不思議そうに見る。
「俺はお前と一緒なら何処でも構わないが・・・。外は雨だぞ?」

「・・・っくしょ!」
「ゼル、寒いのか?」
「だ、大丈夫だ。」
目の前で雨が滝のようにザアザアと音を立てて降っている。
校舎脇のわずかなひさしの下に、俺達は並んで座っていた。周囲に人影は無い。
当たり前だ。こんなうすら寒くて、しかも土砂降りの日に、誰が外で飯なんか食いたいもんか。
俺は憮然としてサンドイッチに齧り付いた。
スコールがコーヒーを飲んでいる。立ち上る白い湯気が、只でさえ現実離れした美貌を一層幻
想的に包んでいる。ホントに何をしても絵になる奴だ。俺は二回目のくしゃみをした。
「やっぱり寒いんじゃないか。もっと側に来い。」
スコールが俺を引き寄せようとした。
「い、いいよ。」
俺は慌てて飛びのこうとした。が、第三条「余裕ある態度を取る」を思い出して、騒ぐのを止
めた。確かに寒いことは寒い。もう、ちゃっちゃっと食って早く帰ろう。
スコールの襟元のファーが時々頬にかかる。それがくすぐったくて、俺は首を振った。
「どうした?」
上から囁くような優しい声がした。見上げるとスコールと俺の眼があった。
スコールは蕩けそうな微笑を浮かべて俺をじっと見ていた。
いつも固く引き締められてる形の良い薄い唇が、緩やかな曲線を描いている。
白皙の貌に映える黒曜石みたいな黒い瞳が、長い睫に縁取られて優しげに輝く。
俺は思わずくらりと見惚れてしまった。全く、奴のファンがこんな顔拝んだら、失神しかねないぜ。
「ゼル・・・」
スコールがうっとりと俺を呼ぶ。俺はやっと我に返った。まずい、何か話題を見つけなきゃ。
「ス、スコール、お前、全然飯食ってないじゃないか。腹でも痛いのか?」
「いや・・・何だか胸が一杯で食欲が湧かないんだ。」
「・・・?何で?」
スコールの笑顔が一層深くなる。
「何でって・・・お前がやっと俺の気持ちを・・・・」
スコールの手が俺の腕をしっかり掴んだ。もう一方の手がそっと俺の頬を包む。
そのままどんどん顔が近づいてくる。やばい。マジやばい。
俺は必死で周りを見渡した。だが誰もいない。銀色の雨が降るばかりだ。
俺はやっと思い出した。第一条、「二人っきりにならない」。
大原則を忘れちまってた。

俺はバタバタ腕を振り回した。「体力勝負に持ち込まない」と決めていたが、もうこうなった
ら仕方が無い。とにかく抵抗しなくちゃ。
もがいていると、何か固いものがポケットから滑り出した。俺は思わずげっ、と声を上げた。
俺のバイブル「NOという方法」だ。それが派手にバサリと音を立てて地面に落ちた。
中から紙が零れ落ちて、俺達の横でひらりと止まる。
スコールがそれを横目でちらりと見た。瞬間、顔色が変わった。
ゆっくりと紙を拾い上げる。

「そ、それは・・!」
必死で紙を取り返そうとすると、長い腕が俺の全身を押し返した。こいつめ、相変わらずの怪
力だ。ぴくりとも動かせやしねぇ。

スコールが静かに「俺式『スコールにNOと言う方法』」に眼を走らせる。
読み終わると今度は「NOと言う方法」を手にとった。雨の中、パラパラと頁を捲る音だけが
やけに響く。読み進むうちにもスコールの顔からどんどん血の気が引いてくる。
読み終わる頃には顔色は殆ど真っ白になっていた。

「スコール・・・」
俺はつばをごくりと飲み込んだ。俺の顔だって、相当青ざめてるんじゃないだろうか。
スコールは眼を伏せて本と紙を交互に見つめていた。

スコールが唐突に立ち上がった。俺も思わずつられて立ち上がる。
「帰る。」
「か、帰るって・・・。」
「今日、様子が変だったのは、このせいだったんだな。」
「え、えっと・・・。」
「俺に笑いかけたり、腕をとったり、外で食べたがったり・・・皆、このせいだったんだな。」
当にその通りだ。俺は無言で奴の目を見た。
スコールはちょっと天を仰いだが、くるりと踵を返して俺に背中を向けた。
「それなら、こんな所に長居は無用だ。帰ろう。」
すたすたと校舎入り口に向かう。俺は慌てて後を追った。

スコールがわき目もふらず、真っ直ぐ前を向いて大股で歩いて行く。あまりの勢いに俺は
後ろから付いて行くのが精一杯だ。
固く握り締められた拳が奴の怒りを物語ってるようで、俺は縮み上がった。
思えば、スコールが俺に対して、こんなに怒りを顕わにするのは初めてだ。
「スコール・・・怒ってるのか・・・?」
俺が恐る恐る声を掛けると、スコールの足がぴたりと止まった。
「・・・怒ってなんかない。自分のお目出度さに嫌気が差してるんだ。すまないが、先に部屋
に戻る。」
一気に言い終えると、スコールは途方にくれる俺を残して足早に部屋へと消えて行った。

夕方になっても、スコールは俺を迎えに来なかった。
俺は久しぶりに一人きりで夕食を食べた。
何人かの男が寄って来て、振られたのかだの、寂しくないか、だの何やかんや言って来たが、
俺は全部無視した。
俺の側にスコールがいない。
昼飯迄は一緒だったのに。
・・・そう言えば、あいつ、昼飯殆ど食ってなかった。夕飯はどうするつもりなんだ?
夕飯時間の終わり間際まで粘ってみたが、やはりスコールは来なかった。
俺なんか二食も抜いたら、立ち上がれない。さっきのスコールの蒼白な顔が脳裏に浮かんだ。
良くわからないけど、スコールが昼飯を食えなかったのは多分俺のせいだ。そんな気がした。
俺は勢い良く立ち上がった。

「スコール・・・いるか?俺だ。」
俺はテイクアウトのシチューとパンを持って奴の部屋をノックした。
しばらく間があり、やっとドアが開いた。スコールがドアの向こうで無表情で立っている。
うう、怖ええ。怒ってない、なんて言ってたけど、ホントかよ。
「あの・・・お前夕飯食ってないと思って・・・これ、良かったら食わねえ?」
俺はスコールにシチューを差し出した。スコールはやっぱり無表情に俺を見ている。
これじゃ、らちが明かない。俺はため息をついた。
「いらねえか。・・・邪魔したな。じゃあな。」
「待て。」
やっとスコールが口を開いた。
「帰らないでくれ。・・・これ、食べるから部屋に入ってくれ。」
「え。い、いいよ。帰るよ。」
スコールが俺の顔を覗き込む。その唇が皮肉な笑みに歪んだ。
「・・・怖いのか?そうだな、お前のご立派な規則に背くものな。」
あざけるような光が瞳に浮かぶ。
「俺に言わせれば、あんなものは腰抜けの方法論だ。」
「!腰抜けだとぉ!」
「腰抜けだ。・・・そう言われたくないなら、中に入れ。」
「おお、入ってやらぁ!!」
俺はまるきりの喧嘩腰でスコールを突き飛ばして中に入った。

「どうだ、入ったぜ!じゃ、これ、食えよな!!」
俺は乱暴にシチューを机上に置き、腰に手をあてて憤然と奴を見上げた。
スコールは腕組みをして俺を見下ろしてる。
くそう、タッパがあるっていいよな。向かい合っただけで、こう、威圧感があるもんな。
いや、そんな事考えてる場合じゃない。俺のこと腰抜け呼ばわりしやがって!

スコールが唐突に口を開いた。
「食わない。」
「はあ!?」
「食いたくない。」
俺は憤死しそうになった。何なんだ、この言い草は!
「何訳の分かんねえこと言ってんだよ!さっき食うって言ってたじゃねえか!!」
「分かってないのは、お前だ!!」
スコールが鋭く叫んだ。

あっという間に俺はスコールの腕の中に包まれていた。
スコールは全身で巻き込むように、ぎゅっと俺を抱きしめた。
「分かってない。お前は何にも分かってないんだ。」
スコールが繰り返し囁く。
「俺が、どんなにお前を好きか、お前はちっとも分かってないんだ。」
切ない声が俺の耳もとで震えて響く。
「スコール・・・?」
「俺のこと、迷惑か・・・?」
迷惑っちゃ大迷惑なんだが、スコールの声があまりに悲しげだったので、俺は困惑して返事が
出来なかった。
「・・・でも、駄目だ。止められない。俺だって、こんなのは嫌だ。」
背中に回された腕にぐっと力がこもる。
「お前を見るだけで胸が熱くなる。笑いかけられれば、馬鹿みたいに他愛も無く嬉しくなる。
期待してしまう。」
「・・・・・。」
「・・・ゼル、俺に振り回されてると思ってるだろう。でも、違う。お前が、俺を振り回して
るんだ。」
お前、少しも分かってない、とスコールが小さく囁いて俺の肩に顔を埋めた。

俺はどうしていいか分からなかった。今、俺を抱くスコールの力はそんなに強くない。
突き飛ばせば、多分逃げられるだろう。
でも、出来ない。どうしてか、手が動かない。
「ゼル・・・。」
細い声が俺を呼ぶ。まるで俺を探しているようだ。
こんなに近くにいるのに、遠くで必死に俺を探しているようだ。

「スコール・・・。」
俺はそっと奴の頭に片手を伸ばしてため息をついた。
「・・・とにかく、飯、食えよ。お前、腹減ってるんだろ?」
俺は精一杯穏やかな声でスコールに言った。
「・・・・食わない。」
まだ言うか!この強情野郎が。
「お前が帰ってしまう。」
「は?」
「食べると言えば、お前が帰ってしまう。」
俺は脱力しそうになった。ガーデンの英雄。伝説のSeeD。それが幼稚園児みたいなワガママ
言いやがって。俺が振り回してるなんて嘘だ。絶対、こいつの方が俺を振り回してるぜ。

「・・・分かった。すぐには帰えんねえ。だから飯、食えったら。」
頭を撫ぜながら言うと、やっと奴は俺から離れてシチューを手にとった。
ベットに腰掛けて大人しく黙々と食事をしている。することも無いし、仕方なく俺は隣で横に
なって雑誌を読んでいた。
雨がまだ止まない。
硝子に雨のあたる音がする。その音が全ての雑音を消す。
スコールの動かすスプーンの音、俺が頁を捲る音、それしか聞こえない。
この世に俺とスコールの、二人きりしかいないみたいだ。
他には何も、存在しないみたいだ。

「・・・ゼル。」
「おあっ!びっくりした。何だよ、突然。」
「食べ終わった。」
「・・ああ、そうか。じゃ、俺帰るわ。」
「駄目だ。」
スコールの言葉が、突然強い響きを帯びた。俺はハッとしてベットから半身を起こした。
黒い瞳が決意を込めて俺を見ている。
「ゼル・・・俺は改めて認識し直した。」
「な、何だよ。」
スコールが小さくため息をついた。
「お前は、ほんっとうに、鈍い。」

俺はムッとしてスコールの顔を見返した。
「何だとお。俺のどこが鈍いんだよ。」
「あんな、安っぽいハウツー本・・・・!」
スコールが吐き捨てるように言って、俺の腰を挟んで両手を着いた。
「あんな物で、俺を拒める気でいたのか。・・俺の気持ちも、随分見くびられたもんだな。」
「・・・・お前、やっぱ怒ってたんだな。しかも、ずーっと。」
「とんでもない。」
スコールがにっこりと笑った。事情を知らなければ、まさに花のように華麗な笑顔だ。
「あれで心が決まった。もう、手加減は、しない。」

たっぷり十秒は沈黙があったと思う。
「て・・・手加減?」
「そうだ。今まで随分逃げ道を作ってやってたつもりだ。・・・だけど、もう終わりだ。」
何時の間にかスコールの体が俺のごく近くに迫っている。
「待ってればいつかは俺の気持ちを分かってくれるなんて、甘い期待を抱くのは止めた。お前
は鈍すぎる。お前から気付くを待ってたら、百年たったってそんな日は来ない。」
「どどどどど、どこが待ってたんだよ。今までだって迫りまくりじゃねーか。は、離れろよ!」
「何を言ってるんだ。聞いてなかったのか?逃げ道はもう無いって。」
スコールの長い両手が、俺を中に入れたままベットの柵をがっちりと掴んだ。

「今夜はここから一歩も出さない。絶対に逃がさない。」

俺はショックのあまり気が遠くなりそうだった。金魚のように口をパクパクするばかりで言葉
が出てこない。
スコールがパニックで固まってる俺の額にキスをした。
「お前は鈍い上に隙だらけだ。俺を警戒してるはずなのに、放っておけずに食事を持ってくる。
ちょっと挑発すれば、すぐ部屋に入る。そんな事じゃ、いつ他の奴らに取られるか
分かったもんじゃない。・・・これ以上待っていられない。」
俺の腰に手を回して強烈な力でずるずると自分の体の下に引きずって行く。
その動きに迷いは無い。長い指が俺のベルトに絡み付いてきた。
「スコール、止めてくれ。お前、何する気なんだよ・・!」
俺は必死に頼んだ。スコールの瞳が今まで見たことも無いほど妖しく光ってニヤリと笑う。
「何する気だと・・・思う?」
畜生、誰かこの馬鹿を止めてくれ。俺はもう半泣きになってスコールの胸を押し返そうと空し
い努力をした。
そんな俺の腕を軽くあしらって、スコールがふと、優しく俺に問い掛けた。
「ゼル、NOと言えない時は、どうしたらいいと思う?」
俺は涙でかすむ眼で奴を見上げた。スコールの唇が俺の唇に近づく。

「YES、って言えばいいんだ。」


END

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