パンゲア (2)



泥と血に塗れた体を引き摺るようにして、ようやくガーデンに着いた。
周りを驚かせまいと、駐車場からこっそりと入り込んだ。するとそこには、ひどく慌しい手つきで車を
点検しているキスティスがいた。近づく人の気配に、キスティスがふっと顔を上げる。
「・・・・ゼル!!」
「・・・よっ。」
何とか笑顔を作って右手を上げた。その途端、形のいい唇がわなわなと震えだした。
「・・・馬鹿!!どれぐらい心配したと思ってんの!!」
いつもの大人びた態度をかなぐり捨てて、爆発するように怒鳴りだす。
「スコールなんか真っ青になってたんだから!!こんな日にアイテム収集!?馬っ鹿じゃないの!?
今から捜索隊出そうって、相談してたんだから!この大馬鹿!!」
馬鹿馬鹿連呼しながら喚き散らす。ちょっと可笑しくなった。キスティスって、怒ると絶対「馬鹿」って
言うんだよな。
「何笑ってんのよ!・・・ちょっと!傷だらけじゃないの!!こっち来なさい!!」
泥まみれの腕をぐいと掴んで、ずんずんと医務室へと引っ張っていく。俺はただ、よろよろとそれに
引き摺られていった

「あの・・・結構騒ぎになってんのか?」
怒り狂ってるキスティスに、恐る恐る尋ねた。
もしあの子が気にしてたら、可哀想だと思った。キスティスがいいえ、と首を横に振る。
「大丈夫。知ってるのは私とシュウとスコールと・・・あとシド学園長と教官達くらいかしら。これから
他の生徒に呼びかけようと思ってたところだから。」
ホッと安堵の溜息を吐いた。じゃあ、あの子は知らないわけだ。
胸を撫で下ろす俺の耳に、突然聞き慣れた声が飛び込んできた。

「だって、全然駄目なんだもん!!」

ハッと立ち止まった。あの子だ。あの子の声だ。
慌てて周囲を見回した。頭上の階段の踊り場で、天使が友達と熱心に語り合ってる。
急に動きを止めた俺に、キスティスが訝しげに振り返る。
「?どうしたの?」
返事もせず、ポケットの中を探った。早く渡してやらなくちゃ。あんなに欲しがってたんだし。
だけど、服が濡れてるせいで中々上手く探れない。一生懸命探してるうち、またあの子の声が
聞こえてきた。
「こっちは早くスコール様と知り合いたいのに、全然頼もうとしないんだから!こないだだって、
あんな難しいアイテム一人で取ってきちゃうなんて!馬鹿みたい!」
「煽て過ぎなんじゃない?あんたにイイトコ見せたいんじゃないの?」
面白がるような相槌に、そうなの、と天使が嫌そうに頷く。
「なに無駄に張り切ってんのよって感じ。こっちはあんたなんか、全然興味ないんだから!
あんたなんか、ただの踏み台!って言ってやりたくなっちゃう!もう最低!!」
吐き出すように言い捨てると、ふいに明るい声で喋り出す。
「・・でもね!今度は大丈夫!私、「星々のかけら」頼んだの!しかも急ぎって!ね、こんな雨だもん。
ゼルさんだって、今回は流石にスコール様に頼ると思わない!?」
「あー、そうかもね。」
甲高く興奮した声が、踊り場一杯に広がる。

「見てて!私、今度こそ成功させるから!あの男踏み台にして、スコール様と仲良くなってみせるから!!」


キスティスが小さく息を呑む音がした。
「ゼル・・・」
思わず、といった風情で呼びかけた名前に、踊り場の会話がピタリと止まった。
「・・・・あ!!」
狼狽した声が頭上から降ってくる。その時、やっと指先が星々のかけらを探り当てた。


なっさけねえ。


どこか他人事のように思った。
情けねえの。俺、まじで情けねえな。一人で浮かれて。馬鹿みてぇに張り切って。
こんなアイテム、本当はいらなかったんだ。
今までのだって、あの子はちっとも喜んでなかったんだ。
俺が頑張る事なんて、あの子は全然望んじゃいなかったんだ。
あの子の望みはただ、スコールと知り合う事だけだったんだ。

それでも。

手の中の輝石を、ぐっと強く握り締めた。
それでも、これはあの子が欲しいって言った物だから。
あの子の為に、精一杯頑張った物だから。

ゆっくりと階段を上っていった。
硬直する小さな身体に、すっと静かに手を伸ばす。
「・・・これ、やるよ。欲しかったんだろ?」
前髪から滴り落ちる泥水を、汚れた掌で掻きあげた。一拍置いて、笑いかけた。
「・・・もうさ、こんな事止めろよ。俺、馬鹿だけど、馬鹿でもやっぱ、傷つくよ。馬鹿だから傷つけて
いいって事はねぇよ。そうだろ?」
華奢な手をそっと掴んで、指を広げさせる。白く輝く貴石を、その中にポトリと落とす。
「じゃな。それ、好きにしていいから。」
言い終わると同時に、背中を向けた。振り返らずに階段を下りた。
さっきまであんなに痛かった身体が、今はちっとも痛まない。
あんまり胸が痛んでると、身体の痛みって麻痺すんだなあ、と思った。

「・・・・ゼル・・・・」
キスティスが気まずい声で呼びかける。大丈夫だ、という風に肩を竦めた。
「・・・・俺、疲れたからもう寝る。深い傷はねぇから、医務室はいかねえ。」
「あ・・・そ、そう?」
「うん。悪りぃけどさ、スコールにはお前から無事を伝えといてくんねえ?・・・今は俺、ちょっとさ。
ちょっとスコールの顔・・・・・」
最後まで言わずに口を噤んだ。これ以上言うと、最低な事を口走ってしまいそうだった。
凄く心配していただろうスコールに、最低な言葉を吐いてしまいそうだった。
もう一度、悪りぃ、と呟いてキスティスに背を向けた。
気の毒なくらい気ぃ遣いな元担任は、もう俺を強引に引き摺ろうとはしなかった。

染みる切り傷に顔を歪めながら、身体を洗った。風呂から出た途端、ベッドにうつ伏せに倒れこんだ。
だけど、ちっとも眠れない。
物凄く疲れてるはずなのに。こんな時こそ、直ぐにでも寝て、何もかも忘れてえのに。
畜生。なにもかも上手くいかねぇ。
投げやりな気分のまま、俺は枕に深く顔を埋めた。

突然、ドアが開く音がした。
誰かが静かに近寄ってくる。と、無言で俺の側に座り、長い指でゆっくりと頭を撫でる。
顔を上げなくても、スコールだと判った。
優しく、根気よく俺の髪を梳いていく。慰めるようなその仕草に、キスティスに口止めしなかった事を
思い出した。
また失敗したな、と思った。今日は俺、しくじってばっかだ。
「・・・・キスティスに、聞いたのか・・・?」
「うん。」
「・・・・馬鹿みてえだろ俺。すげー勘違いして張り切って。」
「・・・・・・。」
「・・・・・ごめん。約束破って。お前には明日、ちゃんと謝ろうって思ってた。」
「・・・・・・・。」
何も言わないスコールに、顔を伏せたまま明るい声を張り上げた。
「あー、やっぱお前の言う通りだったなー!しっかり痛い目見ちまったぜ!・・まじすげーなお前って。
予知能力あるんじゃねえ?」
へへ、と自嘲するように笑った。スコールの手がピタリと止まる。
「ゼル。」
「うん?何だ?」



「好きだ。」



思わず顔を上げた。
スコールが、そのまま何度も繰り返す。
「好きだ。ゼル、好きだ。お前が、好きだ。」
「・・・いきなり、どうし・・・・」
言い掛けた途端、急に喉が詰まった。止める間もなく、涙が眼の奥から湧き上がってくる。
慌てて首を振って、涙を追い払った。スコールを睨み付けて怒鳴った。
「・・・・っやめろよ・・・!」
「好きだ」
「やめろってば・・・!」
「大好きだ。」
堪らなくなった。がばりと身体を起こして、スコールの襟首を力一杯掴み上げた。
「止めろ!!分かってんだろ!?俺がお前に勝った気でいたって!!お前よか頼りにされてるって、
いい気になってたって!!お前、分かってるんだろ!!だったら、俺に好きなんて言うな!!」
艶やかな黒髪ごと、ガクガクと揺らして叫ぶ。
「俺はそういう奴なんだよ!下らねぇ見栄で、頭がいっぱいなんだよ!!お前の気持ちなんて、
何一つ考えちゃいねえんだよ!!分かったらもう、好きって言うな!!」
「ゼル。」
スコールが静かに繰り返す。


「好きだ。」


体中から力が抜けた。
崩れ落ちる身体を、長い腕がしっかりと抱きとめる。堰を切ったように、涙が溢れてきた。
「う・・・・っう・・・・っ・・」
「好きだ。ゼル。好きだ。」
「・・・・なんっ・・・なんでっ、いまそんなっ・・・いまそんなこと、言う・・・・!!」
「これしかない。これしか、持ってないんだ。」
ひどく辛そうな声が、ごめん、と小さく呟く。
「お前が笑ってくれるなら、何だってしてやりたい。何だって与えてやりたい。でも、駄目なんだ。
俺はこれしか、持ってないんだ。お前がいらなくても、必要じゃなくても、やれるものはこれしかない。」
俺を強く抱きしめて、全身から振り絞るような声で囁く。

「ゼル。好きだ。」


喉から漏れる嗚咽が、止まらなくなった。涙が次々と頬を伝っていった。
スコール。
スコール俺、悲しかった。
あの子の笑顔が嘘だった事が、悲しかった。
騙された事よりも、頼りにされなかった事よりも、何よりも。
あの笑顔が本当じゃなかった事が、悲しかった。


でも、もういい。


今、お前が俺に本当をくれた。
真実の言葉を、俺にくれた。



「スコール・・・・・・・!」
広い背中にしがみ付いて、わんわん泣いた。スコールが益々強く俺を抱きしめる。
優しい獣のように、濡れる睫に何度も口付ける。その度に、胸の痛みが消えていく気がした。
そうしてるうちに、背中にまわされた手がそろそろとシャツの中に滑り込んできた。
ハッとスコールから身体を引き離した。
「・・・・・やっぱり、今日は嫌か?」
スコールが悲しげに尋ねる。慌ててぶんぶんと首を振った。
「そ、そうじゃねえよ・・・で、でも、やっぱ今日はまずいだろ。」
「・・・まずい?何で?」
「だ、だから・・・!その、俺、普段すげー嫌がってるくせに・・・・・・」
「・・・・・くせに?」
「・・・こ、こんな時ばっか・・・お前に頼るような真似・・・・」
そう言った途端、蒼い瞳が大きく開いた。美貌の男がにっこりと、薄い唇を艶やかに綻ばせる。


「頼れ。」


一言宣言すると同時に、息も出来ないような濃密なキスで俺の唇を塞ぐ。
これが支配者の声って言うんだろうか、と思った。
たった一言だけで、全てを支配する声。俺の心を支配する声。
眼を瞑って広い背中に手を回した。その瞬間、俺の支配者は深い恍惚の溜息を吐いた。


スコールが俺の竿を淫猥に弄びながら、胸の突起をゆるゆると舐める。
「・・・・・・や・・・ぁ・・・」
掠れた声が部屋に響く。猫の子のような甘ったるい喘ぎ声に、全身が赤くなった。
どうしよう。何でいつもみたいに強引にやってくれねぇんだ。そうすれば、何も考えずに済むのに。
こんな真綿に包むような快感じゃ、こいつに喘がされてる事実を突きつけられっぱなしだ。
「やだ・・・・スコール・・こんなの・・・も・・・っや・・・っ」
まるで誘っているような響きに、思わず手の甲で口元を覆った。
「・・・じゃ、どうして欲しい?」
その手首を空かさず払いのけて、スコールが面白そうに聞く。その態度も、無茶苦茶余裕たっぷりだ。
くそう。だから嫌なんだよ。察しが良過ぎるんだよ、こいつ。
今日は絶対、俺が逃げないって確信してやがる。後で怒ったりしないって、分かってやがる。
「だから・・・・!あ・・・っやぁ!」
先端に染み出た汁を、撫で回すように擦り付けられ、思わず声が裏返った。
「だから・・・?」
忍び笑いの混じる声に、カーっと頭に血が登った。
「な、なんでもしてやりたいって言ったくせに・・・・!」
真っ赤になって言い返した。スコールが端麗な顔を崩さず平然としらばっくれる。
「勿論だ。でも、言ってくれなきゃ分からない。何をして欲しいんだ?」

「わ、分かってんだろ・・・!」
「いや?何だ?」
ち、畜生。この嘘つきSeeDが。絶対分かってるくせに。
スコールが滑る指で、思わせぶりに入り口を撫ぜる。同時に強く胸を吸ってくる。
「!・・・や・・・・っ・・・!」
背中がびくびくと反り返った。スコールが引き締まった頬でニヤリと笑う。
「何でもしてやる。・・・・お前が言ってくれれば。」
赤く染まる耳朶をねっとりと舐めて、狡猾な誘惑者が蕩けるように囁く。
「・・・言え。何を、して欲しい?」

スコールの熱い息が耳元を嬲る度、頭の芯が霞んでいく気がした。
つぷ、と指が秘部に入っていく。けれど、俺の望む場所には一向触れようとしない。その合間にも、
スコールの濡れた竿が俺の根元をぬるぬると刺激していく。
疲労困憊していた身体が、あっさりと陥落していくのが判った。
耐え切れずにスコールの身体にしがみ付いた。全身を侵食する熱に、押し出されるように囁いた。

「もっと・・・奥まで、掻きまわして・・・おねが・・・」

いきなり身体をうつ伏せに反転させられた。長い指がぐいと前立腺を刺激する。ひっ、と喉を
引き攣らせて身体をしならせた。その瞬間、スコールが俺の中に捻じ込むように入ってきた。

「・・・!・・・ああ・・・!!」
スコールが後ろから抱きしめるように、俺を膝の上に乗せる。下から突き上げるように、緩やかに
腰を動かしていく。同時に片手で俺の竿を擦り、もう片方で胸の突起を引っかくように摘み上げる。
「!!い・・・っ・・・あ・・・!!やあ・・っ!!」
感じる個所を全部一気に刺激され、思い切り首を仰け反らせた。その首筋を、スコールが噛み付く
ように吸い上げていく。眼から快楽の涙がポロポロと流れ落ちた。
「あ・・・・あ・・・・ああっ・・・や!!!」
スコールの動きが激しくなっていく。痙攣する俺の身体を引き寄せ、ぴったりと自分の胸に密着させる。
長い指で俺の顎を掴み、自分の方に向かさせる。熱い舌で俺の口腔を力強く蹂躙していく。
下からぐちゃぐちゃと響く卑猥な水音と、ピチャピチャと絡み合う舌の音に、頭の中が真っ白になった。
「や・・・ああ・・・スコールっ・・・もう・・・あ・・・!!」
「っ好きだ・・・ゼル・・・・好きだ・・」
荒い吐息混じりに、スコールが掠れた声で囁く。突然、強く腰を打ち付けられた。
「・・・・・・・・あ!!」
ふっと身体が浮き上がるような気がした。それが急降下していくと同時に、白い液体がドクドクと
外に放たれていく。その瞬間、スコールのモノが俺のポイントを強く擦った。
頭の中に火花が散った。快感を放出してる最中に受けたこの刺激は、あまりにも強すぎた。
「・・・・・・・・・・・!!!」
声も立てずに身体をしならせた。そして、俺は全ての思考を手放した。


その後の事を思い出すと、今すぐにでも記憶喪失になりたくなる。
あの後、完全に理性が崩壊した俺は、スコールの成すがままだった。
いい、とか、もっと、とか切れ切れに強請る自分の声を思い出すだけで、頭を掻き毟りたくなる。
そして、終わった後のスコールのご機嫌ぶりときたら、ちょっとなかった。
ご馳走を食べきった肉食獣のように、満足げに俺をぎゅっと横抱きにしたまま離さない。
今にも喉をゴロゴロと鳴らしそうだった。
戯れるようにキスを繰り返すスコールに、眠い、と小さく呟いた。ご機嫌な肉食獣がクスリと笑う。
「おやすみ。」
柔らかく囁く低い声を聞きながら、俺はトロトロと深い眠りに入っていった。


最大の失敗に気づいたのは、翌朝になってからだった。
シャワーを浴びようとベッドを降りた途端、無理やり中に引き摺り戻された。
「・・・わ!?な、何だ?」
びっくりしてスコールを見上げた。スコールが真面目な声で語り始める。
「お前がそんなに人に頼られたがってるなんて、知らなかった。」
白皙の美貌に、迫力に満ちた微笑が浮かぶ。
「何で早く言わなかったんだ?そんなの、わざわざ他人の手を煩わす必要は無いだろう?」
底力の篭った声が、はっきりと宣言する。

「これからは、俺が頼って頼って頼りまくってやる。俺以外の奴に頼られたい、なんてふざけた考えは
二度と抱かせない。そんな余裕は、絶対に与えない。安心して俺に頼られてろ。」


んな馬鹿な・・・。
呆然とする俺に、スコールが一層凄みのある笑顔で顔を近づける。
「お前が俺のこと、甘え過ぎるとか、しつこいとか、やたらと言うから、こっちも色々我慢してたんだ。
でも、お前にそんな余裕があるなら、もう我慢しない。その熱意は全部俺が独占させてもらう。」

怖すぎる。

顔を引き攣らせて思った。
何が怖いって、眼が全然笑ってないのが怖い。無茶苦茶マジだろ、この台詞。
ていうか、むしろ怒ってるだろ。こいつ。

今になって、やっと気が付いた。
この独占欲の塊はずっと、俺の行動に怒り心頭だった事に。
そう言えば、こいつは最初から不機嫌だった。俺が頼まれ事してる、って打ち明けた時から既に。
多分、あれからずーっとずーっと延々と怒りを溜め込んでたに違いない。
「じゃ、早速頼らしてもらう。」
独占欲の塊が、俺の腕を掴んで平然と言う。
「な、なにを・・・・?」
広い肩が呆れたように竦められる。
「決まってるだろう?男が朝一番にやりたい事って言ったら、これしか無い。」
言うが早いが、ぐいと俺の身体を反転させて上に圧し掛かる。
「!や・・・やだ・・・止めろよ!!もう無理だってば!!」
「駄目だ。俺を助けろ。」
間髪入れずにスコールが答える。暴れる俺を難なく押さえ込んでいく。
突然、スコールが何かを思い出したようにニヤリと笑った。
「分かった。じゃあ、こう言えばいいんだろう?そうすれば、断れないんだったよな?」
芝居がかった悲壮な声で、俺に顔を近づける。

「ゼルさんにしか、頼れないんです・・・・!!」


「!!・・・・・てめ・・・っ!!」
真っ赤になって殴りかかろうとした。それをあっさりかわして、スコールが俺にぐっと押し入ってくる。
まだ充分に柔らかく熱を持っていたそこは、呆気ないくらい敏感に反応した。
「やっ・・・っ・・・あ・・・っ!」
思わず上がった喘ぎ声に、スコールが一層深く入り込んでくる。後はもう、なし崩しだった。
爽やかに晴れ渡った青空の下、俺は顔を覆いたくなるような淫乱なセックスに突入していったのだった。


あれからずっと、その調子だ。
何かっつーと、「お前にしか頼れない」を連発する。ったく、何て執念深い野郎だ。
それに、独占ぶりも物凄い。
こんな事を言うと、また甘いと思われるかもしれねえが、実は最近、あの子は俺に謝りたいんじゃ
ねぇかな、と思ってる。
だって、何度も俺に近寄ってこようとする。それもすごく必死な顔で。
なのに、スコールは絶対にそれを許そうとしない。あの子の気配がした途端、強引に俺をその場から
連れ去ってしまう。
一度ぐらい、話聞いてやっても・・・と言ってみたが無駄だった。
「お前の真価はここからだから駄目だ。余計なライバルを増やすつもりは無い。」
と、訳の分からない理屈をこねて、独占欲丸出しで睨んでくる。酷い時は、そのまま強引にセックスに
持ち込まれる。
ほんと、手が付けられんねぇよ。


憔悴する俺とは裏腹に、スコールは絶好調だ。
「初めて俺の希望と、お前の希望が一致したな。こういうのを、何て言うんだ?ああ、そうだ。」
先日とは打って変わって、すっきりと晴れた空を見上げて微笑む。
「雨降って地固まる、だ。」

滑りそうになった。
何事にも大雑把な父親と違って、スコールは諺を間違って覚えたりはしてなかった。
が、使い所がまるっきり間違ってる。少なくとも、俺には絶対その諺は当てはまらない。
俺にしてみりゃ、地固まる、どころか雨降り過ぎて全部流されちまいました、って感じだ。
一体、俺の地面は何処へ流れて行ってしまったんだろう。
一体何処に、流れついているんだろう。

青空の下、スコールが気持ちよさそうに瞼を閉じる。
その綺麗なラインを描く横顔を見て気づいた。
ああ。そうか。
こいつの地面は固まってるんだった。それなら流れ着く先は決まってる。
こいつの元へ、流されたに決まってる。
俺の地面は、こいつの元に流れ着いてるに決まってる。


俺の居場所は、こいつの居場所に。
こいつの居場所は、俺の居場所に。
二人の場所は、一緒になってしまったに違いない。







END

(管理人)パンゲア(超大陸)はかつて地球が一つの大陸だった時の呼び名です。
今は各大陸に離れてるけどずっと未来にはまた一つになるらしい・・・。
(うろ覚え)

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