症例紹介

子宮蓄膿症


子宮蓄膿症は、子宮の中に膿汁が貯留する疾患です。
原因は、発情周期に伴い分泌される黄体ホルモン(プロジェステロン)の関与が大きいとされています。
すなわち黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を促すので、発情が繰り返されるとこの内膜の肥厚がすすんで、子宮壁ののう胞性増殖がおこります。
この状態の子宮内は細菌感染に対する防御能が弱いので、外陰部からの感染がおこると子宮内で細菌が増殖し、膿汁が貯留することになるのです。
犬は発情周期がほかの動物に比べて長く、発情後に黄体期が約2カ月も続きます。この時期に子宮蓄膿症を起こしやすいのです。
また、出産の経験がある犬では発症率は少なく、出産の経験のない犬での発症が多く見られます。

この症例は、11歳のラブラドールレトリーバーです。
2日前からおりものがたくさん出ているとのことで来院されました。
最後の生理は2か月前でした。
重度の貧血と白血球増加がみられ、超音波検査で「子宮蓄膿症」と判断し、緊急に手術を行いました。
拡張した子宮はお腹の中の約半分くらいを占めていて、腹水も少量たまっていました。
←とりだした子宮です。

 手術から2日後の様子。熱も下がり、元気になりました。


子宮蓄膿症は、慢性経過をたどると、子宮が著しく拡張し子宮壁が薄くもろくなり、卵管から尿中が漏れだして致死性腹膜炎をおこす危険性がありますので、治療が遅れると危険です。早期に発見できれば、完全に良くなりますので、できるだけ早い時期での治療が大切です。
避妊手術をしていない雌犬を飼っていらっしゃる方は、特に生理後、おりものが見られないかどうか注意深く観察してください。





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