症例紹介

猫のリンパ腫/猫白血病ウイルス感染症


「リンパ腫」とは「リンパ系の悪性腫瘍」で、その発生部位によってさまざまな症状を示し、進行すると最終的に多くの内臓や骨髄を侵し、死に至らしめる病気です。
猫のリンパ腫は決して珍しい病気ではありません。年間発生率は10万頭に100頭であるといわれており、猫の全悪性腫瘍の約30%がリンパ腫であるとの報告があります。
原因は猫白血病ウイルスが約6割を占めており、残りの4割の原因は詳しくはわかっていませんが、遺伝的な要因や発がん物質の摂取などが考えられています。

この症例は、年齢不明の雄猫(野良猫)で、ここ数日まったく食事を食べないとのことで来院しました。
とても衰弱しており、重度の脱水と削痩(やせていること)がみられ、可視粘膜(歯茎や結膜など目に見える粘膜)が白く見えました。
これは、重度の貧血を疑う所見です。


腹部の触診で3cmくらいのしこりがあることがわかり、検査を行いました。

血液検査では、重度の貧血(PCV 19%)、軽度の低血糖、および、猫白血病ウイルス陽性という所見が得られました。
←検査キットによるウイルス検査(猫エイズウイルスと猫白血病ウイルスが同時に検査できます。)
  
腹部超音波検査では、肝臓と脾臓に2〜3cm大の腫瘍、そして小腸に3cm大の腫瘍が認められました。
腫瘍に細い針を刺し、細胞の検査をしました。
 
取れた細胞は、いずれも、リンパ腫と診断されました。


猫白血病ウイルスは感染猫の血液、唾液、涙、糞尿などに含まれ、感染経路が多くうつりやすい伝染病です。
持続感染すると80%以上が3年以内に発症し死亡する恐ろしい病気です。
外へでる猫、あるいは感染している猫と同居している場合は、ワクチンを接種し、感染を予防しましょう。





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