症例紹介

免疫介在性溶血性貧血






聞きなれない難しい名前の病気ですが、わかりやすく言うと
本来は、体に侵入した病原菌などを退治する「免疫」が自分の赤血球を破壊してしまう病気です。
溶血は字の通り、血が溶けること。
動物の体では、つねに赤血球や白血球、血小板などが骨髄でつくり続けられていますが、
つくられる赤血球より壊される赤血球の方が多くなれば、貧血となります。
この病気は、原因がわからない「突発性」のものが多いのですが、なかにはウイルスや細菌の感染に伴って起こるのものもあります。
この子は、「血尿」を主訴に来院しました。
血尿といっても、オシッコに血が混じる程度ではなく、濃い赤ワインのようなオシッコがみられました。
超音波検査を行っても、膀胱は異常ありませんでした。
口の中の粘膜の色を見ると、正常な場合はピンク色をしているのですが、この子は白っぽくみえました。
これは、「貧血」か「循環不全」のサインです。
血液検査をしてみると、「貧血」であることがわかりました。それも、「溶血性貧血」です。
何らかの原因で、赤血球が壊されているのです。 では、その原因は??
が「球状赤血球」です。
血液を薄く塗抹して、染色をして顕微鏡で確認しますと、「球状赤血球」がたくさん出現していました。
(赤血球は、通常楕円形をしていますが、この病気では、赤血球が破壊されて、まんまるな球状になります。)
それと、自分の赤血球同士がくっついてしまう「自己凝集」もみられました。
これが、「免疫介在性溶血性貧血」の特徴です。

飼い主様の早期発見のおかげで、早急に治療を行うことができ、少しずつ回復がみられています。
左側が治療2日目、右側が治療4日目です。
血液を少量取って、遠心分離しました。細い管の上の部分が赤っぽい色をしているものから、透明になっているのがおわかりでしょうか?
正常は、右側の透明な色です。左側のように赤っぽくみえるのが、「溶血」のサインです。

治療開始から5ヶ月が経ちましたが、今はすっかり元気になりました。





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