症例紹介

会陰ヘルニア


● 会陰ヘルニアとは

肛門の周囲を会陰部と呼びます。
通常、会陰部は臀部の筋肉、大腿部の筋肉と筋膜で覆われていますが、この筋肉が薄くなり、隙間ができ、その隙間から直腸(大腸)などの腹腔内臓器がお腹の外にはみだしてしまう病気を「会陰ヘルニア」といいます。
皮膚のすぐ下に、曲がって袋のようになった直腸がある状態で、直腸には便が貯まってしまいます。したがって、排便するのが困難になります。
特に発症しやすい犬種はありませんが、去勢手術をしていない高齢の雄犬でよくみられます。
高齢でない雌犬や去勢手術をした雄犬ではほとんどみられません。
「最近便が細い、排便時便が出にくそう、肛門の横が腫れている」などの症状で発見されます。

人間でも高齢の方の前立腺肥大が多いことは有名ですが、実は犬も年をとると前立腺肥大を発症することが多いです。前立腺肥大になると、直腸がお腹側から圧迫されて便をする度によけいに踏ん張らなければなりません。一方で高齢になると健康な子でも会陰部の筋肉は薄く弱くなります。このような状況で踏ん張ることを続ける事が会陰ヘルニアの一因とされています。

● 会陰ヘルニアの治療法は?
手術で会陰部にはみ出している直腸を整復して、筋肉の間に開いてしまった隙間をふさぎます。重度の場合、開腹して曲がった直腸をまっすぐにして
腹壁に固定する事もあります。通常は再発防止および前立腺肥大の治療として去勢手術を同時に行います。
高齢のため、手術しないことを選ぶ場合もありますが、人間でも数時間便をこらえるだけでも大変に苦しいものです。いつも出そうで出ない便を抱えて
いる犬はなおさら辛い状態です。
しかし高齢で、心臓病や腎臓病、ホルモン疾患などを抱えていて手術のリスクが大きい場合は、手術を行わず、便を軟らかくして排泄しやすくするお
薬や消炎鎮痛剤の投与と定期的な排便処置で管理することもあります。


   
会陰部の腫脹がみられます            皮膚を切開するとすぐにお腹の中から飛び出した腸が見えます。

飛び出してきてる臓器を腹腔内にもどし、筋肉および靭帯、筋膜を利用して縫合してふさぎました。

会陰ヘルニアは、若いうちに去勢手術をすることで防ぐことのできる病気です。
将来子供をとる予定がないようでしたら、早い時期での去勢手術をお勧めします。





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