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「第22回教師のための化学教育講座」


 


平成1186日(金)

東北大学理学部化学教室

主催 日本化学会東北支部・同化学教育協議会東北支部

後援 宮城県教育委員会・仙台市教育委員会



 

講演「私の化学教育実践」

 

岩手県立久慈高等学校 佐藤琢夫




目次

1.授業開き

2.イオンについて

3 化学式指導について

4 化学反応式について

5 原子量(H=1amu)について

6 元素について

7 分子量は分子の顔である

8 平衡について
9 ミクロの物質の様子を知る手がかり

10 生徒にどう自然をみせていくのか

11 実験の取り組み

12 20世紀の理科年表の取り組み



 1.授業開き

 実験@ 真空調理器(エアーフレッシュ)注)1を使って               

 

【その1】エアーフレッシュの中に、ジュース入りの容器が入っている。この容器の底には小さな穴があいている。それでは、エアーポンプで空気を抜くとどうなるのか。



 

予想 中のジュースが出てくるのですが、その量は

   @ 全部出てくる

   A 半分くらい出てくる

   B ほんの少し出てくる

                   実験結果          



 

【その2】今度は、実験@のエアーフレッシュの中に、空気を入れていく。。実験@で出てきたジュースはふたたび、容器の中に戻る。さて、どのくらい戻るのか。

 

予想 @ 全部戻る

   A 半分くらい戻る

   B 少しだけ戻る

                   実験結果          

実験A 大小のシャボン玉のゆくえ 注)2       

 

 大小二つのシャボン玉を作るために三方活栓と、スタンド代わりにペットボトルを台座として使った。大小二つのシャボン玉をそれぞれ用意する。シャボン玉液には、膜を厚くするためポリビニルアルコール入りの洗濯のりを含ませる。 三方活栓のコックを回して、二つのシャボン玉が通じるようにする。『コックを開くと大小シャボン玉はどうなるか』

 

 予想 @同じ大きさになる。

    A大きい方に吸収される。

    B小さいほうに吸収される。  

    C変化がない         実験結果         

 

 多くの生徒は『同じ大きさになる』と予想する。結果は、大きなシャボン玉に小さなシャボン玉が吸収される。

 社会事象と自然科学をオーバーラップさせ、授業は脱線することがある。『この大小のシャボン玉のゆくえ』は『マタイ効果』そのものである。(聖書のマタイ伝によると、「富めるものはますます富み、貧しいものはますます貧しくなる」と記されていて、この記述に由来したのが『マタイ効果』である。)これと類似したものとして、有機化学の『マルコウニコフの法則』がある。ハロゲン化水素が付加反応を起こす時,水素原子をより多くもつ炭素原子に、ハロゲン化水素の水素原子が付加する。次に,『マタイ効果』ではないが、『力の論理』を感じさせる反応がある。大理石に塩酸を注ぎ、二酸化炭素が発生する反応である。強酸によって弱酸の塩から、弱酸が追い出された反応である。以上のように、現実の社会が反映させるような論理が登場してくる。

 その一方では、『平等』の論理が貫かれたものもある。科学の歴史の中で、『原子論』は、社会が個人を大切にする民主主義の中で発展してきた。分子の質量の大小に関係なく、すべて等しく分子が振舞っている例がある。『アボガドロの法則』である。分子の種類に関係なく、同温・同圧で同数の分子があれば体積が同じになる。また、このことは希薄溶液にもあり、溶液の『束一性』として取り扱われている。希薄溶液の浸透圧,蒸気圧降下、沸点上昇、及び凝固点降下に見られる。原子量1の水素イオンと分子量180のグルコースの分子が対等に振舞う世界である。以上、社会と自然科学の事象をアナロジーとしてとらえてみた。

 


2.イオンについて                                 

 1年生の化学で特に「この世には原子はない。あるのは分子かイオンである。」ということを強調する。多くの物質がイオンの形で存在し、決して特殊なものでないことを植え付けたいということで、毎年繰り返している。簡単な電導装置で電球を灯らせ、水溶液中のイオンの存在を確認する。

 最初に、水道水が電気を通しにくいことを示し、分子性の砂糖をこの水道水にまぶすけれど電気は通らないことを見せておく。次に、イオン性の食塩をまぶすと、電球が少しずつ灯り始め、その明るさが増すにつれ、生徒たちは「お−」とどよめく。何も特別な仕掛けもない単純な確認の演示に、これほど生徒が反応するのかと思うことがある。           

 水溶液にイオンがあると電気が導かれる。次のものは電気を通すだろうか。生徒たちに予想をさせて、演示で確認をする。この演示で、われわれの身の回りにはイオンが沢山あるということを、気づかせたい。 

 

1A電気を通す

1E電気を通す

1A電気を通さない

1E電気を通さない

ポカリスエット

41

多数

醤油

33

25

11

コーヒー

24

16

28

マヨネーズ

17

32

21

牛乳

33

14

23

 

 以上の授業を受けて、今後はマクロな地球の自然を視点に入れて展開したいと考えている。我々はイオンの大地で生活し、栄養素の無機物はすべてイオンになっていて、そのイオンを吸収し成長している。大地の表面の水に溶けやすいイオンは雨なとで海に流される。海はイオンのたまり場である。大地は、水に溶けにくいイオン性物質で、形成されている。また、水に溶けにくい粘土の成分である酸化アルミニウムは土中の有機物をつなぎ止めている。酸性雨がこの水に溶けないイオン性物質を溶かし、土壌を荒廃させている。


 

 3 化学式指導について―――――――――化学式のルールと15のイオン表

  化学式に対して、多くの生徒がアレルギー感をいだいている。化学式の理解に対しての具体的な手当が「イオンカード」を利用した指導である。イオン化合物を作っている正・負イオンの価数をどう利用するのか戸惑う生徒がいる。イオンカードとは、イオンの正・負の価数を凸凹でに置き換えたものである。この凸凹が無くなるようにイオンカードを組み合わせると化学式ができあがる。

 

 

Na

NH

Mg2+

Ca2+

Cu2+

Fe3+

Al2+

OH 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Cl

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NO

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CO2− 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SO2−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PO3−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


@ 化学式は陽イオンから書き、名前は陰イオンから呼ぶ。

A +の和と−の和が同数になるように化学式を作る。

B ※印のイオンは2つ以上つくとき( )を付ける。

  例) Mg(OH) NaOHは( )はつけない。

C OH−,Cl−が含まれる場合は OO化OOと呼ぶ。

    例) NaOH.....水酸化ナトリウム

  D その他の時は、OO酸OOと呼ぶ。

    例) KNO......硝酸カリウム

  E 頭にHがあるとき(Hが含まれるとき)は

    OO酸でよい。OO酸水素とは呼ばない。

    例)HCO.......炭酸

 例外)HCl........塩酸または塩化水素


 

化学式に対する生徒の質問

「2CuとCuとは同じことですか。」「NaNOはNaO3 と書かないのか」

生徒の感想から

●高校受験の時、どうしてもわからなかった化学式がイオンカードですごくおもしろいようにわかるようになった。あの時苦労してわからなかったのが本当にわかるようになった。

●中学の時、例えばNaとSO2−が何故NaSO になるのか、さっぱりわからなかりませんでした。しかし、凸凹のイオンカードでやっとわかるようになりました。

 


4 化学反応式について

 これまでの化学の授業実践において、複雑に見える化学変化も『原子論』に基づくと単純明快に説明ができ、生徒たちに理解をさせてきたつもりである。教師になって2年目、『化学式と化学反応式』についてまとめたことがある。亜鉛と塩酸の実験を行った時、生徒は意外な受け止め方をしていた。亜鉛と塩酸の実験の化学反応式は書けている。ところが、反応して溶けた亜鉛が水素ガスに変わると思っている。現象と『原子論』に基づく化学反応式との間に全然接点がない。これ以降、『原子論』の理解を念頭に置き、原子の収支を表している化学反応式で現象を考えることを化学入門期に行うようにしている。このように、私自身も『原子論』という近代科学が成功を収めた手法『還元主義』を授業で推進してきた。

 授業者の私は原子の存在を見たわけではないが、真っ向からその存在を信じている。ところが、生徒たちはこの原子の存在が曖昧な上、全ての物質が反応に関係する因子だと思っているのでなかなか化学反応式を書けないでいる。

 また、教科書に記載されている化学反応式が化学変化を正確に伝えていないことも授業でふれてきた。銅と濃硝酸の反応は実際行うと一酸化窒素と二酸化窒素の両方の気体が発生する。教科書の反応式では二酸化窒素しか記述されていない。化学反応式が現象を表すことに限界がある。『原子論』を拠り所にしている化学反応式といえども万能ではない。

 今振り返れば、生徒たちのつまずきは近代科学の方法である『還元主義』に立脚できなかった所にあるように思われる。この『還元主義』とは大胆極まる手法である。ドルトンは演繹的に見ることのできない原子の存在を、その質量まで仮定している。しかも、『論理』で水をHOと決めている。当時、過酸化水素がわかっていなかったので、『論理』として水はHOとなる。この見えない世界を科学者の直感とも、天才的なひらめきとも言える演繹的な手法で原子の世界を見ていることに私自身感激を覚えた。以前『原子論』の教材として、このドルトンの演繹的な論理を生徒に伝えようとした『アトムの目方を測る』という教材を作り実践した。

 


5 原子量(H=1amu)について

テキスト ボックス: ブルーバックスより


 化学入門期として教科書の原子量の定義は生徒にとって難解である。原子量と質量数という類似した用語がでてきて、これらの関係はどうなっているのか曖昧にされ、いっそう化学を難しくしている。原子量にamu(atomic mass unit)を用いている。amuについては以前、東北地区化学教育研究協議会で宮城の大槻勇先生が発表している。私の実践は、一番質量の小さな水素を基準にしている。水素1amuを原子量の基準として示す。(厳密に質量数12炭素の同位体の12分1を1amuとし、これに対する相対値としての原子量ではない。)3年になってから炭素に訂正する。1amu X 1mol=1g より、炭素1molは 12amu X 1mol=12g で1molの質量は原子量の数値にgの単位をつける。次は、3年の課外で取り扱う内容である。1molという量は原子量の基準を変えても変わらず、あり得ない仮定は問題だという意見がある。私はアボガドロ数が変わるという立場に立つ。1molは6000垓個で、原子量の基準が変わると、1molのアボガドロ数も変わる。現在の基準である質量数12の炭素の同位体の12分1を10倍の10amuとする。炭素原子は  120amuとなる。炭素1molは120amu X 1mol=12gとなり、炭素原子1個の質量そのものは変化しないので、1molの6000垓個が600垓個に変わる。

 


*

6 元素について

 これまで『銅の化学変化の旅』として入門期に行っていたものを、最近は3年生に、2時間連続で『銅を徹底的に化学変化させたらどうなるか』と銘打って実験を行っている。これは16年前から行っている。2年生までの知識を、実験の中でどう活かせられるのか。変化の中で変化せず保存されている銅を通し、元素の概念を、この実験の中で自分の言葉として表現させたい。以上が実験のねらいである。

 今回の実験で、金属銅以外はすべて銅はイオンとして存在している。物質の存在様式は、原子であったり、イオンや分子であったりいろいろである。具体的には電気分解の前後で、水素イオンであったり,水素分子であったりする。元素としての水素という言葉には普遍性があり、その具体的な存在様式ということで原子,イオンや分子が登場すると思う。

実験の順序  銅 ―薬責め:硫酸→(銅)―薬責め:過酸化水素→(硫酸銅)―薬責め:炭酸ナトリウム→(水酸化銅 )―火責め:加熱→(酸化銅)―薬責め:塩酸→(塩化銅)―薬責め:アルミホイル→(銅)なお、黒板には( )の物質名は伏せておく。

 実験後、以上の順序を整理した後で、男子生徒に質問した。『銅は一体どうなったのか』。生徒からは駄洒落で、『どうにもならなかった』と返ってきた。

 今回工夫したところは、酸化力のある硝酸は使わず、硫酸と過酸化水素にしたところである。酸化剤の意味、銅のようにイオン化傾向の小さい金属が酸化され、塩基の酸化銅になれば、硫酸と中和反応が起こり、溶解すると説明する。銅と硝酸は既に実験していたので使いたくなかったのと、一度二酸化窒素のガスを発生しているということもあり、避けたかった。

 元素という概念はこの銅に代表されるように変化の中でどんな変化にたいしてもきちんと最後まで保存されているものである。変化の中で変化しないものが元素である。

 

生徒の感想から

●銅の化学変化の旅という実験をやる前に最後にはもとどおりの銅が出てくることは予想していたが、実際に実験をやって本当に銅が出てきたことには喜びを感じました。あと、いろいろな鮮やかな色に変化したりして、この実験で初めて化学の面白さがわかったような気がします。

●絵の具など、どんなきれいな色でも混ぜ合わせていくと、しまいには黒くなり、それはまたもとに戻らなくなる。しかし、化学では黒くなった物質がまた反応をおこし、結局またきれいな物質に戻ってしまう。化学の不思議さがしみじみわかったような気がする。

●あらゆる化学変化の中で銅イオンが無くなったり異なった物質にならないで溶液中に残っていることは不思議だと思いました。この実験の中でわかったことは銅イオンが消滅しないということ。つまり、原子は不滅だということがわかりました。化学変化の際にはエネルギーの出入りがあるということも見たりさわったりして、はっきりわかりました。

 


7 分子量は分子の顔である

 分子量は分子固有の値であるので、分子の種類を知るための一つの方法に分子量の決定がある。さらに、大雑把であるが,分子量を目安にし,物質を三態に分ける授業実践を行っている。分子量が三態の顔でもある。次にあげる15の分子性物質を三態に分類させることから始める。            

                      

CO

44

14

86

12

180

NH

17

CHCOOH

60

254

CH

16

OH

46

32

18

28

78

Br

160

30

臭素やへキサンについてはデータをもとに考えさせる。ブドウ糖については試薬びんを見せる。生徒を指名し板書させる。)

 

 気体

液体

固体

2 NH3 2 6 2 CH4 CO2 6 14

BrOCOHCHCOOH

126 

 

T 「へキサンは沸点が69度で,分子量が86である。常温で気体でいいのか。」

S 「液体」

T 「では,このへキサンをもとにすると,分子量78のベンゼンはどうなる。」

S 「液体-----」   

 ルール  常温において,分子性物質(サトウの仲間)では分子量が約50以下ならば

      気体,約170以上ならば液体になる。                  

T 「分子性物質について,分子量をもとに三態を整理すると50から170までの分子量の物質は常温

  で液体ということになる。液体のところを見て,何かおかしい所がないか。」

S 「水-----」 

T 「水の分子量は18で,ルールに従うと」

S 「気体」

T 「実際はまちがいなく液体である。どう考えたらよいだろうか。」

S 「-----」

T 「ルールにあてはまらない例外がでてきたが,こういう例外というのが新しいことを発見す

  る手がかりになるんだ。」

S 「分子量が増えるのでは」                       ′

S 「0の02のようにH20も2H20になっているのでは」

T 「2H20とはH20が2つ結びついているということか」

S 「そうです」

T 「H20が2つ結びついている場合は,(H20)2 と書くことにしよう。結びついている数

  は2個でいいのか」

S 「もっと結びついている。」

S 「3個」

  (実際の水分は,水分子が離合集散をくり返している。分子間力を強調するため分子が結つい

  ているとした。)

T 「単純計算だと水が3個以上結びついて,分子量が50以上であればよいということになる。

  このことについて,専門書では水分子が10数個結びついた集まりからなると書いてある。こ

  の水分子のような例が他にないものなのか調べてみたい。ここに黄色のかたまりの硫黄があ

  る。硫黄の原子量は32である。32ということは,-----」

S 「気体」

T 「硫黄は固体だから,何個以上の原子が結びついて分子を作っているのかな-----」

 


8 平衡について

 現行の指導要領から平衡は化学Uで履修することとなった。平衡はミクロの世界をダイナミックに考えさせてくれる教材である。平衡の入り口に、溶解平衡を選んでいる。

授業実践:塩化ナトリウムの溶解度、20℃において36g/水100gとする。100gの水にNaCl40g溶かしたとき、4gは溶け残る。「4gのNaClは、もう我々は溶けることができないと意識するのだろうか」と生徒に投げかけ、このことについてレポートさせた。

【結果と生徒の考え】

・平衡の考え方 5名 ●4gは溶けている36gのうちの4gとローティーションをして、実は溶けている。ミクロの世界では、最初の4gは溶けていないように見えるが、実は既に溶けていて、今自分たちの見ている4gは別の4gなのではないかと思う。

・不思議だ、意外だ 5名 ●溶解度には制限があるというが、確かに制限が無くてもいいのでは無いかと思う。けれど、理由はうまく説明できない。自分はある一定量を超えたNaClが水に入ってくると水和ができなくなり、余ったNaとClが結合してしまうのではないかと思う。●不思議に思う。温度を上げれば水の量を変えなくても、より多くの量のNaClが溶けるのに、この温度ではこのぐらいの量しか溶けないようになっているのは不思議だ。●今までの理科で制限があるということを当たり前のように教えられてきた。このようなことは考えたことは無かったので先生の考えは、新鮮な感じがするが、化学の先生がこういう考えを持つというのは意外だった。

・制限があるのは当然だ 33名 ●制限があることは余り不思議に思わないです。●箱に物をつめるのと同じように考えれば箱を大きくする(温度を上げたり、溶媒を増やしたりする)と物はたくさん入り(溶質はたくさん溶け)、その逆も成り立つ。この箱の例とさほど変わらないと思うので、限度があるのが普通だと思う。逆に限度がないと、手ごたえがないので何かピンとこないものがある。●水はその温度で物質を分解できる「力」が限られていると思う。要するに活動限界があると思う。例えば、水100g30℃に36gまでしか溶けきれないのが、水の物質を分解できる「力」とか「スタミナ」の極限状態であると思う。

 以上の生徒の考えを引き出し、溶液中の水分子やイオンの熱運動が続く限り、溶解は続き、溶けていたイオンが析出する平衡というミクロのルールについてふれる。授業で意識してミクロの世界についてふれる中、「マクロでストップ、ミクロで行ったり来たり」という動的なイメージをこの平衡で描くことができる。 


 

9 ミクロの物質の様子を知る手がかり

 以下の内容は私の授業実践の骨格でもある。例えば,「似たものどうしはよく溶ける」というルールで、親水性と親油性を区別し有機物質の構造を知る手がかりとなる。また、「発熱,吸熱の便り」をもとに、水和など溶解の様子を考えさせる。

手責め―――――――――物質とスキンシップ

1         気体なら ホンクルツ― H O N Cl

2 臭いがある  分子でできている

3 もろい固体なら 金属以外の物質(ケイ素は金属光沢、通電性はある。しかしもろい)

4 ぴかぴか光る  金属原子の塊OR半導体(共有結合結晶)原子の塊

5         発熱,吸熱の便り ミクロ(イオン,分子)の出会い(結合)は熱アツ(発熱)だ 

           ミクロ(イオン,分子)の別れ(解離)はヒエ冷え(吸熱)だ

水責め―――――――――水に溶けるか否か

1         水に溶ける 正,負イオンの集まりだ、親水性のパーツ(官能基)を持っている

2         水に溶けず,油に溶ける 親油性のパーツ(官能基)を持っている 

3         溶かすということは、物質をバラバラのイオンや分子のレベルにする

4         似たものどうしはよく溶ける 防腐剤の安息香酸は親油性である。水に溶かすにはどうすればよいか。

火責め―――――――――燃えるか燃えないか

1         燃える 基本は単体。炭素や水素原子を持つ分子OR金属原子の塊

2         燃えない 基本は酸素を含む化合物。正負イオンの集まりは燃えかすだ。

3         物質をバラバラの原子,イオンおよび分子のレベルにする

4         原子をエキサイトすると炎色が見られる

5         化合も分解も加熱だ 化学変化を起こすためには、物質の安全装置をはずさなければならない

  (活性化状態にすること)

薬責め―――――――――金属や水に溶けない正負イオンの塊を溶かす

1         酸 基本は溶かす働き。水洗いで取れなかった試験管に酸を加えてみる。

2         アルカリ 基本は固める働き。酸の働きを抑える。胃薬の作用。

3         陰性元素の単体 陽性の水素や金属を燃やす

4         反応しにくい金属は酸化し塩基にする

電気責め―――――――――イオンや分子に電子をつめこんだり、奪ったりする。

 

授業実践手責め(物質とスキンシップ)の『5.発熱,吸熱の便り ミクロ(イオン,分子)の出会い(結合)はアツアツ(発熱)だ。ミクロ(イオン,分子)の別れ(解離)はヒエヒエえ(吸熱)だ』について。

 熱化学の導入に溶解熱を使う。化学変化(溶解も含めて)に熱の出入りが伴うことを、これまで事あるごとに指摘してきた。金属と酸による水素の発生の際など、必ず試験管をさわらせる。物質の状態変化に伴う熱の出入りを通し、ミクロの様子を考えさせる試みを行っている。この時、ミクロの出会いはアツアツ、ミクロの別れはヒエヒエとしてルールを与える。アツアツの例、ホッカイロ。鉄粉と酸素との出会い(化合)。ヒエヒエの例、腕にぬった消毒用のアルコールのなど。気化に伴うアルコールの別れ(分散、分解)。

 実験Bチオ硫酸ナトリウムの過冷却。試験管のチオ硫酸ナトリウム5水和物を加熱冷却し、過冷却の状態にする。一粒の結晶を加えると凝固し出す。この時、発熱する。

 実験C濃硫酸の溶解熱。試験管の水に濃硫酸を加えると、水温が20℃から90℃まで上昇する。発熱だからミクロで何と何が出会ったのかと問う。なお、既に水和について学んでいる。

 実験D(演示)濃硫酸と氷 注)100mlのビーカーにザラメ状の氷を入れ、濃硫酸を約10ml加える。次の予想に対して挙手させ、その後実験で確認する。

【予想】最初0℃であったものが、加えると0℃より

    1.あがる(14名)  2.変わらない(8名)  3.下がる(0名)

 この結果と実験Aをもとに、単純な吸熱でないことに気づかせる。確認の質問する中で、2つの相反する変化で反応熱がきまることを理解させる。


 

10 生徒にどう自然をみせていくのか

 『学んだ知識をつなげると自然がこのように見える』という実践を今後取り組んでいきたいと考えている。雑談としては話しているけれど、教材として是非取り扱いたいと思っているものにAlがある。ぽい捨てのAl缶についてである。

  『1gのAlをうるためには、15〜20W時の電気量を消費する。アルミニウム缶一個では300W時(20Wの蛍光燈を15時間もつけておける量だ)の電力がいる。アルミニウムの生産は、もっとも電力の消費の多い産業の一つである注)4』 

  Alの学習は、Alを取り出すのに電力を多く使っているので、リサイクルに心がけましょうという取り扱いだけで済まされない問題をはらんでいる。

 地殻の中に多く含まれている元素であり、イオン化傾向から見ても活性な金属である。この多量に存在するAlは活性であるがために酸素としっかり結びつき、地球誕生以来静かに、地の底に眠っていた。安定化しているAlの酸化物の酸素を電気というエネルギーで剥がし、眠りからAlを呼び覚ました。軽くて強度があり、活性な割には酸化皮膜を作ることで安定な金属で、われわれの生活はこのAlの出現で大変便利になっている。

  人類が近代科学の手法の結果として確立した電気分解で多量のエネルギーを使いやっとAlを眠りから覚ました。この眠り続けている間に、生物は進化し続け、人類の誕生まで進んでいて、生物は体内にAlを取り込む機会がなかった。

  金属の酸化物は塩基、非金属の酸化物は酸という物質の分類は大変有効で、自然がよく見えてくる。地球の水の循環は次の通りです。空から酸性の雨が降り注いでも大地は塩基なので中和され、生成した塩(ミネラル)は地下水に含まれる。地下水は川を作り、最終的にイオンの溜まり場である海に注ぐ。

  工場が出現する以前、大気の非金属酸化物といえば二酸化炭素である。二酸化炭素を含んだ雨は、石灰岩(塩基)の山に大きな穴(鍾乳洞)をあけた。これは、自然の「縫い目のない織物」のなかで行われていた。

 地殻はケイ素と酸素が結合し、この中に金属イオンを取り込み、無機高分子として安定化している。ケイ素と酸素だけならば地殻も酸となるけれど、金属と酸素の化合物が含まれるので塩基になる。粘土はAlの酸化物である。長い間、二酸化炭素の雨はこの粘土を中和できず、Alは自然界に流出できないでいた。Alは前述の通り、地の底に眠り続けているわけである。

  Alを取り出すということについては、二重三重にこの地球に負荷をかけている構図を示す必要がある。大きな電力を得るために硫黄を含んだ重油が燃やされ、多量の硫黄の酸化物が増えつづけている。また、内燃機関の宿命として多量の窒素酸化物も排出される。大気に酸性雨の原因となる非金属性酸化物が蓄積し続ける。

 この酸性雨によって、土壌に固定されていたAlはイオンとして溶け出した。二酸化炭素には見られなかったことである。これまで生物体内に取り込まれなかったAlは毒物でしかない。この流出したAlはやがて飲料水に含まれる、我々の健康を脅かすことにつながる。流失したAlによって、自然という「縫い目のない織物」が綻びている。

 『魚は、水中のアルミニウムが0.2ppm位になると死ぬようです。鰓をやられるようです。』『ドイツのシュバルツバルトという美しい森がありますが、そこではだいたい5〜10ppmで森が枯れはじめるという結果が出ています。注)5

  現在はどうなっているのか調べなければならないけれど、Alのイオンは電荷が大きい。上水道で不純物を凝析させるとき、Alはイオンとして使われている。酸性雨によって溶け出すことを問題にしてきたけれど、飲料水の問題もあり、二重構造である。

 岩手には鉄卵や鉄野菜というお土産が、盛岡駅で売られている。現代人の鉄不足解消というキャッチフレーズである。調理に使われる鍋のほとんどがAlである。この中に鉄卵や鉄野菜と電解質の塩や醤油が入る。立派な電池が形成され、Alが溶け出す。

 我々は好むと好まざると関わらず否応無しにAlをせっせっと蓄積し続けている。以上の構図は化学の学習で十分に見えてくる。さらに、Alの話は続く。アルツハイマーの問題である。これで、Acid rain・Al・アルツハイマーの『3A』が出揃った。脳にAlが入ることによって引き起こされる。

 知識というものがつながり始めると自然がよく見えてくる。

 


11 実験の取り組み

 実験E 水素の発生量

 化学実験室に現在では旧型となったNEC PC−98(MS−DOS)がある。水素の発生量の実験にLot us123の表計算ソフトを活用している。

 実験は,Zn+2HCl--ZnC12+H2 の反応で,Znを0.7〜1.2gの範囲で各班に、できるだけの違う質量の亜鉛を配布する。亜鉛を溶かすのに十分な量の6mol/1のHClと亜鉛が反応し,何mlの水素が発生するのか計算させる。下図はMS−DOSのLotus123の画面のコピーである。各班で計算を終えたら,各班の所定の欄(実験値)に入力させる。

 下図の計算値の欄にV=nRT/Pの計算式が埋め込まれている。生徒たちの計算した値は予想実験値として扱い、実験値の欄に入力させる。計算が正しければ,パソコンの計算値の欄に値が表示され、計算が正しかったことが確認できる。表示されなければ,計算のやり直しをさせる。各班とも必死になって計算をする。計算ができなければ生徒たちは実験を始められないので、実験後状態方程式の計算がわかったと話してくれる。実験(水素の発生量)は盛口襄著『高校化学教育一その視点と実践』(新生出版)を参考にしたものである。実験の目的は、次のとおりである。化学入門期において、実験による発生量を計算で予想し、予想した通り実験の結果が得られる。大学の研究室と違って、中学校や高校の実験における精度は、取り扱う実験器具と実験にかける時間の制約から考えると、かなりラフなものである。そのような中で、定量の実験を行うことにかなりの無理がある。そこで、精度を思い切り下げて、定量を行うと生徒たちに実験の充実感を与えることができる。

 計算で求めた発生量に相当する水の体積ををメスシリンダーで量り取る。その水を集気ビンに入れ、輪ゴムを使い印をつける。この輪ゴムのところまでが、水上置換によって捕集される水素の予想体積である。輪ゴムまでの予想体積は、かなりのラフであり、さらに水蒸気圧が無視されている。それにもか


 この計算と実験を通して、気体の状態方程式が実験の結果を予測できる有効な式であることを生徒は理解してくれたと思う。また,この表計算の活用は,この表をプリントアウトすれば実験結果の保存にもなる。まさに,一石二鳥である。

 


(安全性への配慮)生物の同僚が、イースト菌の発酵実験の延長として、電気パンの実験の予備実験を科学部の生徒と行っていた。私のところに来て、極板にアルミホイルを使ってみたらアルミが溶けたのでどうしたらよいかということであった。実験書にアルミホイルが書かれていた。普通はステンレスを使いますよとアドバイスをした。アドバイスはしたものの本当にステンレスでよいのだろうかという疑問が出てきた。

 授業の中で飲食を伴う実験は、個人でアルミ缶のジュースやカップ麺を食べるのと違う。化学物質の取り扱いに注意がはらわれている背景を考えると、飲食を伴う実験は避けるべきではないかと思う。錆びないというセールスポイントで使っているステンレス、その成分にクロムやニッケルが使われている。このようなものを電極として使うことに疑問を持つ。

 同様な例として、ビスフェノールAがコーティングに使われている缶での綿菓子作り。そして、製鉄用高炉からの二酸化炭素によって作られたかもしれないドライアイスを使ったアイスクリーム作りがある。


実験F 水素の安全な燃やし方

 試験管マッチ法:水素の発生している誘導管に直接点火するのは危険である。試験管に捕集し、いったんアルコールランプに点火してみる。空気が混ざっていると、ここで爆発する。水素ばかりなら静かに燃え、この種火を運び点火する。

実験H 塩素の安全な発生

 図示したようにチオ硫酸ナトリウムを使い、できるだけ実験室に塩素が漏れないようにする。生徒が塩素を吸い込む危険性が高いのは、器具の後始末の時である。誘導管を不用意に抜いたときに吸い込むことがある。誘導管をチオ硫酸ナトリウムの溶液に入れたままにしておくと、逆流がちょうど起こり、試験管内の脱塩素に効果を発揮する。


 



12 20世紀の理科年表の取り組み

 受験指導で教科書より踏み出せないでいる現状を少しでも改善したいと常々思っている。長期の休みに自然科学の読み物を読ませ、視野をより広げてやりたいということで、昨年より『20世紀理科年表』注)6を、夏休みの理科の課題として、1年生全員(5クラス 男子113名 女子89名 計202名)に取り組ませている。高校での理科を履修後、鳥瞰図的に『20世紀理科年表』を与えるのが理想である。読みこなすには不十分な部分はあるものの、課題は次の通りである。


@ 年表を例に従って作成する。また、年表を作成した感想も書きなさい。
A      読んだ中で、興味を持った事柄を5項目選んで、その選んだ理由を詳しく書きなさい。 

  その際、最初に何年の何についてと明記しなさい。

B この理科年表を読んでの全体的な感想を書きなさい。


 Aについて。今回報告するのは4クラス分(男子90名 女子72名 計162名)の集計である。上位20項目と回答の無かった項目を表にまとめた。今回の集計で生徒たちの興味を考える時、高校1年の夏休みという時期的なことを考慮すると、中学3年生の興味の分野にオーバーラップするものと考えたい。

 生徒たちが興味を示した上位20項目について取り上げてみたい。


 



敏感に社会現象が反映したのがタイタニック号と森永ヒ素ミルク事件である。次年度は減少するものと思われる。タイタニック号がどうして理科年表に関係するのという疑問を持つ者がいた。著者がこの海難事故をどうして取り上げたのか読みとっていない。当時、 船の速度を上げるため、安全性を無視していた。このことは常に技術につきまとっている大きな問題でもある。

タイタニックという社会現象の為、1位にならなかったが、ヒロシマ・ナカガサキについて、多くの生徒が興味を示した。原子力エネルギーの平和利用の限界である『チェルノブイリ原発事故』にも関心を示した。

身近に起こる災害、公害には興味を示している。『沈黙の春』から続く『地球の温暖化』、ダイオキシンの『セベソ、死の夏』および『環境ホルモン』、現在の地球環境問題を多くの生徒が取り上げている。

『ライト兄弟の飛行機』に多くの生徒が回答していた。考えられることは小さい頃からこの話題に接していたことがあげられる。現在科学技術についての進歩が問われている。そういう中で、科学技術が未知に対して挑戦してきたロマンとして『人類、月に降り立つ』『地球は青かった』を取り上げている。『ライト兄弟の飛行機』もこれと同じ範疇かもしれない。

ブドウ状球菌の培養後、捨てようとする中で発見した『偶然の発見−ペニシリン』。最近の話題では、クローンの細胞を活性化するために初め栄養を与えたが思うように結果が出てこなかった。成功しないものとあきらめ、細胞が餓死状態の中で偶然活性化した話と話が重なる。『ペニシリン』、『石油ショック』などの日常生活に関係する項目ばかりでなく、現代科学の理論的な支柱である『アインシュタインの三大論文』や『宇宙は膨張している』に関心を示している。

臓器移植に伴う脳死の問題が話題になっている。その線上に由来する生命とは何かが問われる『試験管ベービー』を取り上げている。


 次に、興味を示さなかった回答数0の項目をみたい。

 日本の公害を考える時、必ずふれなくてはならない『田中正造、天皇直訴』について多くの生徒が知らないでいる。高校の物理や化学を習い始めた時期ということで、興味を示さなかったのはこれらの科目に関係する分野がほとんどであった。物質は波である、量子力学の誕生、ウランの核分裂、力の統一理論、トップクォーク、などの物理分野。元素の崩壊、分子は実在する、アンモニアの合成、ビニル化反応、フロンティア電子論などの化学分野である。

 この傾向は、回答数1から3についても言える。その中に回答数1の『学生たちの反乱』、『ライトライブリフッド賞』があった。前者に対し、何でこれが科学なのかということがわからなかったので、取り上げたという生徒もいた。学問のあり方を問い、行動に移した『学生たちの反乱』は、現在、大きな曲がり角にたたされている科学文明の研究のあり方に対する予兆でもあった。そういう点で生徒にはわからない項目だと思う。岩手で教鞭を取っている者として、宮沢賢治の生き方に共感し、『ライトライブリフッド賞』を受賞した高木仁三郎氏について機会をとらえて紹介していきたいと思った。




生徒の感想から ●初め聞いたとき、「えっ!めんどくさい、いやだなぁー」とかいろいろ思いました。それに中学校の時、理科が得意じゃなくて、高校になってからも得意ってわけじゃないから、できるか不安でした。みんなに『20世紀理科年表』をやったか聞くとみんな「やった。」と言うので、私も早くやらないと、と思い、やりました。最初は、「理科はどうも苦手だ」、「わけがわからない記号を覚えなくちゃならないし」などいろいろ思いながらやりました。読んでいくと、いろいろなことについて書いてありました。初めの方はどれにあてはまるかわからなかったりして、1つに何分も時間をかけてなかなか進みませんでした。だけど、やっているうちにだんだんなれてきて、いろいろなことに興味を持ち、面白くなってきました。それに、どれにあてはまるかもすぐにわかるようになりました。読んでいくことで、いろいろ勉強になったし、何年にこういう事件がありどのようだったかというところまでくわしくわかりました。『20世紀理科年表』をまとめ、読む前は全然知らなかったのに、読むことでいろいろ知ったから、なんか前の自分より成長した気がしました。これからは、この本でたくさんのことを勉強したから、これを活かして、今問題になっている“ダイオキシン”などの環境問題についても、地球環境を破壊し、それが人間の生命に危険をおよぼしたり、ということもあるから考えていかなければいけないと思いました。そして、現在は、技術がとても発達していて、それがどんな風に発達してきて、社会にどのような影響を与えているかを知り、そういうことも大切だと思いました。私達が21世紀になすべきことは何か考えていかなければならないと思いました。

「理科」がこの100年の間に、とてもめまぐるしく変化が起こったということです。そして、100年たった今でも未だに分かってないことがまだまだ沢山あるのではないかとも思います。・…・・………私には一つ心配なことがあります。「理科」は今までどんどん発展してきました。これからもすると思います。私が心配なのは、発展しすぎて後戻りが出来なくなることもあるのではないか、ということです。発展した「理科」が良い方向へ向かっていってほしいと思います。

 前述の生徒たちの興味が示しているとおり、物理・化学分野を読みこなすことは確かに難しかったようだ。しかし、この20世紀の科学技術が圧縮されたこの本を読み、それらを1つずつ解きほぐすことを通し、急速な科学技術の発展が及ぼした自然や環境への影響を学び始めたようだ。年表を項目ごとに作成させ、個々の発明・発見を繋げる作業を行ったのはよかったようだ。この作業を通して、現代の生活が科学技術の恩恵を受けていることと,環境を破壊していることが表裏一体である土台の上に成り立っている事が明確化した。さらに、多くの生徒は、これまでの科学技術の歴史を通して21世紀のあるべき姿を、彼らなりに考え始めたようだ。

 新学習指導要領で『理科基礎』が設置され、初めて科学史が取り入られる。この科学史に何を題材に取り入れようとしているのか。この題材が大切なところである。この『20世紀理科年表』の科学史には、今学んでいる理科が、どのようにわれわれの生活と関わっているか、ある程度イメージできたことが、生徒に大変好評であった。『理科基礎』の科学史が単なる通史にならなければよいがと今から懸念している。

 

    

 


注)1 エアーフレッシュは簡易真空装置

注)2 C・V・Boys著『シャボン玉の科学』(1980年槇書店発行)にじつに興味深い実験が紹介さ

    れている。大小のシャボン玉を通じたら、それぞれのシャボン玉はどう変化するのか。

注)3 木村  優  化学と教育 46 184 (1998)

注)4 高木仁三郎  元素の小辞典   岩波ジュニア新書 (1982)

注)5 山口 幸夫  現代文明を考える たんぽぽ舎 (1994)

注)6 山口 幸夫  新版20世紀理科年表 岩波ジュニア新書 (1998)


 

 

 

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