第9話 ジョナサンの刃
- 前回のあらすじ
- 寄港地の偉い人は、ノヴィス・ノアやブレンパワードを見ても、何が起こるか想像する事は出来なかった。
- でも、私達はリクレイマーのスパイを追い出したりしながら、ブレンパワード達が仲良くなっていくと感じた。
- 勇
- 「こういう事にブレンを使うの、何でOKしちまったんだろ、俺?」
- 比瑪
- 「もっと丁寧にやってよ」
- 勇
- 「分かってます」
- 比瑪
- 「あれ……?」
- 勇
- 「何ていう光り方をしてんだ?」
- 比瑪
- 「正気かしらね」
- アノーア
- 「何て色……!」
- ノヴィス・クルー
- 「船舶ナンバーによれば、ミスター・モハマドです」
- アノーア
- 「若いのに理事長になった……?」
- ノヴィス・クルー
- 「ビジネスの話をしたいらしいですね」
- アノーア
- 「ビジネス?」
- アノーア
- 「冗談ではない!」
- モハマド
- 「はい、本気です。黄金は、この五十倍をトラックに用意してあります」
- 「これで、ノヴィス・ノアを買います」
- 「いやいや……買うといっても、究極の指揮権を譲渡して頂きたいのですよ」
- アノーア
- 「ミスター・モハマド……貴方が、アラブ経済界の重鎮である事は存じております」
- モハマド
- 「オルファンが動き出す危機を、我々は、深刻に受け止めているのです」
- 「中東各国も、この未曾有の危機を乗り越える為に、もう一隻建造させ……」
- アノーア
- 「ノヴィス・ノアは、国連軍所属の軍艦です。民間人がこの船の指揮権を得る事はありません」
- 「ましてや、特定の民間人の為に、特別の行動を取る事もありません」
- 直子
- 「失礼致します。お茶をお持ち致しました」
- クマゾー
- 「ケーキも」
- モハマド
- 「ほう……軍艦というお話でしたが、民間人のクルーも居られるようですな」
- 直子
- 「今日届いたばかりの新茶を……」
- クマゾー
- 「ケーキ」
- 「あっ……!」
- ジョナサン
- 「こ、この……!」
- 直子
- 「ご、ごめんなさい」
- ジョナサン
- 「い、いい。触るな」
- 直子
- 「はっ……!」
- ジョナサン
- 「動くな!」
- ゲイブリッジ
- 「直子を放せ!」
- アノーア
- 「ミスター・モハマド……!」
- モハマド
- 「き、貴様は……!」
- ジョナサン
- 「挨拶が遅れました。私はジョナサン・グレーン、リクレイマーのパイロットです」
- アノーア
- 「ジョ、ジョナサン……ジョナサンだというの? 何で貴方が……!」
- 「リクレイマーって……貴方、いつから……」
- ジョナサン
- 「近付くな! この爆薬は、この船の1ブロックぐらい、簡単に吹き飛ばしてしまうぞ」
- アノーア
- 「ジョナサン、貴方っていう人は……!」
- ジョナサン
- 「息子がバラバラになる姿なんて、見たくないだろ? ママン」
- シラー
- 「あそこにカナンも入ったってのかい」
- 「カナンは、勇の教育係みたいなものだったから、こうなるのも分かっちゃいたけどさ」
- 「ジョナサンの奴、ビー・プレートを確認するだけじゃなくて」
- 「ノヴィスの、オーガニック・エンジンの実態も調べるといって、張り切ってたけどさ」
- ノヴィス副官
- 「ああ、艦長。補給は概ね完了です。これで当分……」
- 「ん、何です……?」
- ジョナサン
- 「何でしょうかね!」
- ノヴィス副官
- 「何だ、あっ……!」
- ジョナサン
- 「たった今、このノヴィス・ノアの究極の指揮権を持った者だ」
- ゲイブリッジ
- 「手出しはするな。全員吹っ飛ぶぞ」
- ジョナサン
- 「流石、提督」
- 「さて副長、管制表示を……」
- 「まだこんな物持ってたのか! あんたみたいな女が、こんな物持つ資格はない!」
- アノーア
- 「母親が、子供のカードを持っていて……」
- ジョナサン
- 「あんたは、これを持つ資格はない!」
- アノーア
- 「お前が十の時、プレゼントしてくれたのに……」
- ジョナサン
- 「よく覚えてるから怒ってんだ。あの時だって、ママンは家に居てくれなかった!」
- 「あんたには、カードを持って見せるような、見せ掛けの愛しかない!」
- 「こんな事やられたって、子供には分からない! 伝わらないんだ!」
- 「男との愛情を育てるのを面倒がった女は、子供との愛情を育てるのも面倒だったんだよな?」
- 「だから俺を捨てて、仕事に逃げたんだ!」
- アノーア
- 「貴方を愛しているわ」
- ジョナサン
- 「今、何やった!」
- 艦内アナウンス
- 「これより全ての操作は、アノーア艦長の音声確認が必要となります」
- ジョナサン
- 「やるね、ママン」
- ヒギンズ
- 「非常警戒といっても、潜入したリクレイマーは、まだ艦内に居るんでしょ?」
- ラッセ
- 「居るんだよな?」
- ノヴィス・クルー
- 「らしいぜ」
- ヒギンズ
- 「だったら、何処へ出撃しろっていうの?」
- ラッセ
- 「近くにグランチャーが待機してるかもしれないだろ」
- ヒギンズ
- 「内と外?」
- ノヴィス・クルー
- 「イランドは上空待機!」
- 勇
- 「何の非常警報が出たんだ?」
- カナン
- 「また、リクレイマーに潜入されたらしいわ」
- 勇
- 「何やってんだ」
- ユキオ
- 「比瑪姉ちゃん〜!」
- アカリ
- 「クマゾーが連れてかれた!」
- 比瑪
- 「リクレイマーにか?」
- アカリ
- 「ジョナサンとかって奴に」
- ユキオ
- 「艦長さんも司令も、変な外人も捕まったんだ!」
- カナン
- 「本当なのね、比瑪ちゃん? ジョナサンって」
- 勇
- 「ったく……!」
- ジョナサン
- 「そんな子供騙しのセキュリティなど、すぐに解除してみせる」
- アノーア
- 「殺したいのならそうしなさい。それで貴方の気が済むのなら……」
- ジョナサン
- 「よく分かってるじゃないか」
- アノーア
- 「クマゾー君……!」
- ゲイブリッジ
- 「君、君……!」
- ジョナサン
- 「この餓鬼……!」
- ゲイブリッジ
- 「ま、待ちたまえ」
- 「君の探している物は、ひょっとすると、ビー・プレートではいのかね?」
- アノーア
- 「ビー・プレート?」
- ジョナサン
- 「ビー・プレートは、我々オルファンに必要不可欠なものだ」
- ゲイブリッジ
- 「そう……そうならば、だがね……」
- 「どうだろう、私が君をプレートの格納庫まで案内して……」
- 「艦長」
- アノーア
- 「はい、司令」
- ジョナサン
- 「いいだろう。だがそれまでは、貴方がた全員が人質です」
- モハマド
- 「き、君……その“何とかプレート”とかいうのはないが、金ならある」
- 「これで何とか、助けては……」
- 「あ、貴方は……!」
- ノヴィス副官
- 「ほ、本当に撃った……」
- ジョナサン
- 「あんたって奴は典型的な方だな。そこの坊やの方がずっと人間が出来てる」
- 直子
- 「偉いって、お兄様が褒めてくださってるわ、クマゾー」
- クマゾー
- 「うん」
- カナン
- 「聞いた? アノーア艦長が、ジョナサンのお母さんだったんだって」
- 比瑪
- 「冗談言ってんでしょ?」
- 勇
- 「知らねぇぞ?」
- カナン
- 「アノーア艦長の事、憎んでる事は確かよ」
- 比瑪
- 「お母さんだったら、憎む訳ないでしょ?」
- カナン
- 「そうよね、アノーア艦長みたいなお母さんだったら、何も不満はないよね」
- 比瑪
- 「一緒に居れば、親子の愛情なんて育てられるじゃない。私なんて一杯お母さんが居るから……」
- 勇
- 「迂闊に手は出せなくなった。どうすればいい?」
- ゲイブリッジ
- 「さあ、入りたまえ」
- ジョナサン
- 「先に入るのが、諸君の立場だろ?」
- 「そっちの旦那も」
- ゲイブリッジ
- 「人質は私と艦長だけで十分だろう。他の人達はここで解放したまえ」
- ジョナサン
- 「坊やもお婆ちゃんも、副長も入って」
- 「そうだ、お二人は並んで中へ入れ」
- ゲイブリッジ
- 「優秀な男だな、君の息子は……」
- アノーア
- 「申し訳ありません」
- ジョナサン
- 「どれだ? どれがビー・プレートだ?」
- アノーア
- 「ビー・プレートがどれか、私達には分からないのは、知っているのではなくて?」
- ジョナサン
- 「何?」
- ゲイブリッジ
- 「それはそうだろう」
- 「ビー・プレートの存在を過程したのは、オルファンの研究者達からで」
- 「その詳細は、我々には知らされて……」
- ジョナサン
- 「何故、閉めた!」
- アノーア
- 「オート・セーフティ・ロック……もう、外には出られないわ」
- モハマド
- 「わ、私はどうなる……!」
- ジョナサン
- 「人間の作ったシステムだ。どうとでもなる筈だな、ママン?」
- アノーア
- 「そういう甘さを排除しています」
- ゲイブリッジ
- 「そうだ。直子さんには申し訳ないが、付き合ってもらう事になる」
- 直子
- 「貴方となら何処までも……」
- ゲイブリッジ
- 「有難う」
- 「しかしクマゾー君には、本当に短い人生になってしまって、申し訳ないな」
- 勇
- 「まるでキャッチ出来ない……」
- カナン
- 「なら、方法は一つね」
- 「エナジー・チューブに並行している通気口が、プレートの保管庫に繋がっているわ」
- 「これを使えばいいんだけど……」
- 比瑪
- 「どうしたの? いいアイデアじゃない」
- カナン
- 「狭いのよ」
- 比瑪
- 「あ、そうか……」
- アカリ
- 「通気口使って、何すんの?」
- 比瑪
- 「いいの」
- ユキオ
- 「プレートの倉庫に行ってさ、ジョナサンを倒す……俺、やる」
- アカリ
- 「私も」
- 比瑪
- 「馬鹿言いなさい、そんな危ない事させられる訳ないでしょう?」
- ユキオ
- 「クマゾーと直子婆ちゃんが捕まってんだぞ!」
- アカリ
- 「私達しか行けないんだったら、私が行って戦うよ」
- 比瑪
- 「いいの?」
- 勇
- 「可愛い子には冒険させろって奴さ」
- 「頼むぞ、二人共」
- ユキオ、アカリ
- 「オッケー!」
- モハマド
- 「なぁ君、私にもしもの事があると、世界規模の大恐慌が起きてしまうのだ」
- 「私と取り引きしないか?」
- 「私が君の為にノヴィス・ノアを買い上げて、場合によっては、オルファンも買い取ってもいい」
- ジョナサン
- 「黙れ!」
- モハマド
- 「ぐっ……!」
- 直子
- 「乱暴はおやめなさい」
- アノーア
- 「貴方は、大変聡明な方の遺伝子を受け継いでいるのよ?」
- 「こういう行動がどんなに馬鹿げているか、分かる筈です」
- ジョナサン
- 「あんたは男と女の愛情なんかより、まだ遺伝子の方を信じてるんだな」
- 「それで天才の遺伝子を買って、シングル・マザーになったが」
- 「この俺の気性は、その天才の遺伝子を受け継いだからじゃないのかね?」
- アノーア
- 「それは……私の遺伝子に問題があったからよ。精子の方の問題ではない」
- ジョナサン
- 「だったら! 自分に欠陥があるのなら、子供なんか作るな!」
- 「俺の前で母親ヅラなんかするんじゃない!」
- 直子
- 「ジョナサンさん、そうやって憎まれ口を叩けるのも」
- 「命を与えてくださったお母さんがいらっしゃるからでしょ」
- ジョナサン
- 「……男を一人も愛さなかった女を、どうして母と呼べる?」
- ゲイブリッジ
- 「いや、艦長は毎日、君の事を想っていたぞ」
- ジョナサン
- 「勝手に想ってるだけの想いなど、子供に伝わる訳がないだろう!」
- アカリ
- 「ユキオ、大丈夫?」
- ユキオ
- 「僕は男の子だぞ」
- アカリ
- 「私だって女の子よ」
- アカリ
- 「やってくれるわ」
- 比瑪
- 「勇はブレン使うんでしょ?」
- 勇
- 「あ、ああ」
- シラー
- 「潜入して二時間もすれば戻ってくると言ってたのに……」
- 勇
- 「データ、出ました?」
- アイリーン
- 「呼び出すの面倒だったけど」
- 勇
- 「厚さは25ミリか……」
- アイリーン
- 「持久戦にするしかないでしょう。敵が疲労したところで強行突入するのよ」
- 勇
- 「そうですか」
- アイリーン
- 「勇? どうするつもりなの?」
- 勇
- 「それじゃ、クマゾーが可哀想ですよ」
- 直子
- 「もう少しの辛抱よ。比瑪お姉ちゃん達が、必ず助けに来てくれますからね」
- ジョナサン
- 「何てノイズの大きな計器だ」
- ノヴィス副官
- 「ん、あぁ……」
- ジョナサン
- 「モゾモゾ動くんじゃない」
- ノヴィス副官
- 「ストレッチぐらいさせろよ」
- ゲイブリッジ
- 「副長、人質だという事を弁えないと、最初に殺されるぞ?」
- ジョナサン
- 「これが、国連が信託している軍艦か?」
- 「走るんじゃない! オシッコなら、その辺でしちまえよ」
- 「チンチン出してやるから、壁際でな」
- クマゾー
- 「お兄ちゃん、お母ちゃんのおっぱい欲しいんだも?」
- 「ママのおっぱいが欲しいんで、ここに会いにきたんだも?」
- ジョナサン
- 「き、貴様……ふざけんな!」
- ノヴィス副官
- 「貴様は……!」
- モハマド
- 「それは良くない」
- 直子
- 「クマゾーちゃん、大丈夫?」
- アノーア
- 「ジョナサン……!」
- ジョナサン
- 「違うぞ、違うんだ! 俺はこんな事の為にここに来たんじゃない!」
- アノーア
- 「ジョナサン……」
- クマゾー
- 「そうだよ、母さんに会いにきたんだよ? なのにさ……」
- ジョナサン
- 「この餓鬼、何言ってやがんだ! その顔、吹っ飛ばしてやる!」
- アノーア
- 「その子に手を掛けては駄目、ジョナサン!」
- ジョナサン
- 「黙れ! こんな時に何言ってる!」
- クマゾー
- 「そんな事したら、おっぱい貰えないも!」
- アノーア
- 「貴方は、相手が分かってるの?」
- 「やめなければ、母が貴方を殺します」
- ノヴィス副官
- 「艦長……!」
- アカリ
- 「カナンさん、勇……!」
- ジョナサン
- 「くっ……!」
- シラー
- 「チャクラ・フラッシュだぞ? 船の中で撃ったのか?」
- ジョナサン
- 「何だ……?」
- 勇
- 「ジョナサン、観念しろ!」
- ジョナサン
- 「このチビも殺したいのか? 人質だぞ!」
- 直子
- 「終わりにしましょう」
- ジョナサン
- 「分かりましたよ、お母さん」
- 「それじゃ、ベストが脱げないじゃないですか」
- 「有難う……!」
- ゲイブリッジ
- 「逃げろ、それは爆弾だ!」
- 比瑪
- 「勇!」
- 勇
- 「ブレン!」
- モハマド
- 「あっ、ジョナサンが……!」
- ジョナサン
- 「心配するな。お前はオルファンに連れてってやる」
- クマゾー
- 「比瑪姉ちゃん!」
- 勇
- 「ブレン!」
- 比瑪
- 「クマゾー!」
- シラー
- 「何やってる!」
- 「手に武器を持っている時は気を付けな! 危ないじゃないか!」
- 「ジョナサンの救出に行くよ」
- ノヴィス・クルー
- 「リクレイマーは、BブロックをGブロック方面へ逃走中です」
- アイリーン
- 「Gブロックへ向かってる……?」
- アノーア
- 「エマージェンシー・コード解除、ブリッジのEブロックへの通路を閉鎖」
- ジョナサン
- 「しっかり掴まってろ」
- クマゾー
- 「う、うん」
- 勇
- 「ジョナサン!」
- 比瑪
- 「クマゾーを降ろしなさい!」
- アイリーン
- 「リクレイマー、クマゾーを……!」
- ジョナサン
- 「俺の足でも狙うか?」
- 「モハマドの護身用の武器だとさ」
- 「目、瞑ってろ!」
- ノヴィス・クルー
- 「こんなスイッチ、使いやがって……!」
- カナン
- 「マグネシウムの光? 何だったの?」
- アノーア
- 「護身用に、絨毯にご立派な仕掛けをなさったんですね」
- モハマド
- 「私は、そんな厄介な物を持ち込んだりはしませんよ」
- アイリーン
- 「火傷をしたクルーも居るんです」
- モハマド
- 「どなたか?」
- アイリーン
- 「この船の医者で、鍼灸師です」
- モハマド
- 「鍼灸師……」
- アノーア
- 「人間に針を刺すんですよ」
- ジョナサン
- 「ちゃんと掴まって、体を前へ持って来い!」
- ヒギンズ
- 「何、あの煙……?」
- 「ラッセ!」
- 勇
- 「もうこれ以上、上へは上がれないぞ、ジョナサン!」
- ジョナサン
- 「悪いな、今日はお前と遊んでいる暇はない」
- アノーア
- 「いい加減でクマゾー君を降ろして投降なさい。そうすれば悪いようにはしません」
- ジョナサン
- 「嘘を吐け! 悪いようにしないなんて、ずっと言ってきたじゃないか!」
- 「だけど、いつもいつも裏切ってきたのが、ママンだ!」
- アノーア
- 「そんな事ありません!」
- ジョナサン
- 「八歳と九歳と十歳の時と、十二歳と十三歳の時も僕はずっと、待ってた!」
- アノーア
- 「な、何を……」
- ジョナサン
- 「クリスマス・プレゼントだろ!」
- アノーア
- 「はっ……!」
- ジョナサン
- 「カードもだ。ママンのクリスマス休暇だって待ってた」
- 「あんたは、クリスマス・プレゼントの代わりに、そのピストルの弾を息子にくれるのか?」
- アノーア
- 「そんなに忘れてない……!」
- ジョナサン
- 「シラー、俺のグランチャー!」
- シラー
- 「止まったらやられるだろ!」
- 「ジョナサンが居るんだね?」
- ジョナサン
- 「よ〜し、俺はここだ」
- 勇
- 「ジョナサン!」
- ジョナサン
- 「ふん、もう一度オルファンに戻る気はないのか? 伊佐美博士達は待ってるぜ?」
- 勇
- 「俺は、お前みたいなマザー・コンプレックスはない!」
- ジョナサン
- 「俺はお袋を否定した。お前みたいにベタベタと言いなりになった事はない」
- ヒギンズ
- 「私はドジだ!」
- ジョナサン
- 「うっ……!」
- 勇
- 「クマゾー!」
- ジョナサン
- 「落ちるな! 踏ん張れ!」
- 勇
- 「ジョナサン!」
- ジョナサン
- 「男だったら踏ん張ってみせろ!」
- 勇
- 「お前なら出来る!」
- ジョナサン
- 「掴まれ!」
- 勇
- 「一人にゃ……!」
- 「クマゾー!」
- クマゾー
- 「勇!」
- 勇
- 「グランチャーが?」
- 「ジョナサン!」
- ジョナサン
- 「シラー、今日はこれで引き上げるぞ」
- 「俺だって、引き上げ時ぐらいは知っているつもりだ、クマゾー」
- クマゾー
- 「うん」
- 「君は立派だったよ。尊敬に値する坊やだ、ふふっ……」
- 「オルファンにくればグランチャーをくれてやる。来るか?」
- 「……残念だな」
- 「おい」
- モハマド
- 「この威容と収集したプレート、オーガニックなるエンジンの船……」
- 「それに、アイリーン……。アイリーン……アイリーンさん……」
- アノーア
- 「はぁっ……」