第10話 テリトリィ脱出
- 前回のあらすじ
- 僕が言い出したお陰で、メガファウナはキャピタル・テリトリィに入ることになった。そこでもアーミィの攻撃を受けてしまったのだけれど、
- キャピタル・ガードに助けられて法王様に会う事ができたのに、僕はケルベス中尉に攫われてしまった。
- ノレド
- 「いいよ!」
- ウィルミット
- 「法王様、如何なされました?」
- ゲル法王
- 「か、考えている事があります」
- スルガン
- 「大佐に最後にお会いしたのは、メッタバルの国際会議の筈でしたな」
- クンパ
- 「アメリアが、モビルスーツや宇宙艦隊を建造していると論争になった時です」
- スルガン
- 「その時、月の裏側にはトワサンガと呼ばれるスペースコロニーがあるのは、公然たる事実になりましたな」
- クンパ
- 「だからタブーも成立しなくなって、貴方は法王を人質に、海賊船でザンクトポルトに上がるつもりになったのでしょう?」
- スルガン
- 「想像のし過ぎです」
- クンパ
- 「私の理解では……」
- 「失礼」
- ウィルミット
- 「艦隊などと、本当なのですか?」
- クンパ
- 「週末だというのに、ジュガン司令からの呼び出しです」
- ラライヤ
- 「ノレドの家に行く!」
- ノレド
- 「そうはならないみたいだよ?」
- ラライヤ
- 「嫌ぁ!」
- ケルべス
- 「キャピタル・アーミィは、メガファウナもGセルフも、あのラライヤとかも欲しがっているんだ」
- ベルリ
- 「何でなんです?」
- アイーダ
- 「宇宙の脅威の事、知っていると思われてるんですね?」
- ケルべス
- 「何しろ、空から落ちてきた女の子だからな」
- 「アーミィに気付かれたくないから、出来るだけ低く飛ぶんだ!」
- 兵士
- 「分かってますって!」
- ラライヤ
- 「うぅっ……!」
- ノレド
- 「ほら、抱っこしてやる!」
- ビルギーズ
- 「このウーシァだけでなく新鋭機を次々に開発致しておりますが、議員の皆様方に置かれましては何卒変わらぬご理解を頂きたく……」
- 「ん、まだ……!」
- ベッカー
- 「首相閣下が述べた通りである! どのような事態にでも、瞬時に対応できるキャピタル・アーミィでなければならない!」
- ジュガン
- 「結構な訓示で」
- ビルギーズ
- 「あぁ、いや……」
- 「議会で予算を通す為には、勝利し続ける事が条件なのです」
- ジュガン
- 「分かっています」
- クンパ
- 「宇宙戦艦も調達しましたから、ご安心下さい」
- 「はぁ、大佐にはご苦労掛けます」
- チア・ガール
- 「私が目を付けているのは、あそこ!」
- 〃
- 「えぇ? あの新型のモビルスーツの?」
- 〃
- 「ウーシァってさ、昔の鎧の騎士みたい!」
- 〃
- 「あぁ!」
- 〃
- 「分かる!」
- ベルリ
- 「へぇ、積み込んだな……」
- アイーダ
- 「中尉の働きにお礼を申し上げます」
- ケルべス
- 「お礼のステップを踏まれる程の事じゃない」
- ベルリ
- 「あ、お礼が言える人だったんだ」
- ケルべス
- 「長官を……長官を連れ戻してくれた礼ぐらいはさせてもらいますよ」
- ドニエル
- 「宇宙で仕事をするキャピタル・ガードが、メガファウナは宇宙に出られるって保証してくれましたよ」
- アイーダ
- 「それは良かった。けど、キャピタル・アーミィにこちらの存在を知られてしまいました」
- ベルリ
- 「宇宙からの脅威も本当のようです」
- ドニエル
- 「ん? スコード教の法皇が言ったのか?」
- ラライヤ
- 「ノレドのおウチ……」
- ノレド
- 「違う、違う!」
- ハロビー
- 「違う、違う!」
- ドニエル
- 「アイーダ様にはメガファウナを護衛して頂きます」
- アイーダ
- 「私はパイロットとして補欠ですか?」
- ドニエル
- 「総監が見ていらっしゃるんですよ?」
- アイーダ
- 「今はここに居ません。長官に預けました」
- ドニエル
- 「長官に預けた?」
- アイーダ
- 「ベルリのお母様です」
- ドニエル
- 「あぁ……」
- 「総員! 浮上用意だ!」
- 兵士
- 「あぁ、はい!」
- アイーダ
- 「アルケインは私の機体ですから、輸送は確実にやっておいてください」
- ベルリ
- 「やっぱり突撃娘って人か」
- 「あれ? Gセルフ、どこに置いたんです?」
- ハッパ
- 「ここにあるじゃないか。もう少し掛かるから支度してて」
- ベルリ
- 「支度しろって言ったって、Gセルフがなけりゃ僕は何をすれば……」
- ケルベス
- 「おう、こいつはキャピタル・アーミィから持ち出してきたんだ」
- ベルリ
- 「何を持ち出したんです?」
- ケルベス
- 「この陸専用の高トルクパックだろ」
- ベルリ
- 「えぇ?」
- ハッパ
- 「Gセルフとこの高トルクパックを見ると、薔薇の設計図のG系という意味が分かってきてワクワクしますねぇ!」
- ケルベス
- 「ウーシァを建造している時に同時にこれを造ったんだけど、ウーシァで使えないって分かったんだ」
- ベルリ
- 「はぁ?」
- ケルベス
- 「俺はこっちだって思ったし、貴様は色々バック・パック使ったってんだろ?」
- ベルリ
- 「遊びじゃないんですよ、教官!」
- ケルベス
- 「もう教官じゃない。戦友だよ、戦友!」
- グシオン
- 「自分には、大統領に宇宙艦隊の出撃を中止するように言う事ができます」
- ウィルミット
- 「キャピタル・タワーのアンダー・ナットまでは一時間ちょっとです。そこから大気圏グライダーを使えば、あっと言う間にお国に帰れます」
- グシオン
- 「お借りできますか?」
- ウィルミット
- 「タブー破りに近いので高いですよ」
- 「ハーブですけど」
- ゲル法皇
- 「好きな香りです」
- 「やむを得ないでしょう。キャピタル・タワーの安全の為です」
- 「結構ですな」
- 「私は今日の最終便で、ザンクト・ポルトへ上がります」
- ウィルミット
- 「宜しいのですか? 一週間は掛かります」
- ゲル法皇
- 「毎年やっている事です」
- ウィルミット
- 「では、ご一緒に?」
- グシオン
- 「はい。メガファウナには……」
- ウィルミット
- 「今なら有線回線が使えますから、私から……」
- グシオン
- 「美味しいです」
- ルアン
- 「キャピタル・アーミィと言っても、素人みたいなものだ」
- アイーダ
- 「だからって油断は禁物です」
- ルアン
- 「りょ、了解です、姫様!」
- ベルリ
- 「僕にだって、出来ない事はありますよ!」
- ケルべス
- 「キャピタル・ガードと同じ気合でやりゃいいんだよ!」
- ベルリ
- 「わああっ!」
- ノレド
- 「こら! 待ちなさい!」
- アダム
- 「またか! 寝かし付けろ!」
- ノレド
- 「ラライヤ!」
- 整備兵
- 「おっと……!」
- ラライヤ
- 「出動、Gセルフ! 出動!」
- ケルべス
- 「おぅら!」
- ノレド
- 「本当にもう……!」
- アイーダ
- 「あの子……」
- 「ん、ベルリも何なの?」
- ノレド
- 「ほら、チュチュミィが寝ようって……」
- ケルべス
- 「寝られないのか?」
- ノレド
- 「だって、急に叫んじゃってさ……」
- ケルべス
- 「Gセルフって言ってたよな?」
- ノレド
- 「そっ! Gセルフはベルリに任せればいいんだから」
- ベルリ
- 「どうしたんだ?」
- ノレド
- 「ラライヤが……」
- 「うっ!」
- ベルリ
- 「えっ? ごめん」
- ノレド
- 「Gセルフ、どうしたの?」
- ベルリ
- 「中尉に聞いてよ!」
- アイーダ
- 「あの子、違ってきている……」
- ジャマ
- 「来た、来た!」
- アイーダ
- 「キャピタル・ガードの?」
- ドニエル
- 「モビルスーツは迎撃体勢を取れ! 合流してくれたレックス・ノーは、
- 味方になってくれたキャピタル・ガードだ。鉢巻をしてくれている。間違うなよ?」
- アイーダ
- 「ケルべス中尉も、この船を守ってくれるのですか?」
- ケルべス
- 「長官命令だけではありませんよ。メガファウナは、ちょっと興味がありましてね」
- アイーダ
- 「ああ、軍艦好きなんですか」
- ケルべス
- 「馬鹿にしました?」
- アイーダ
- 「心強いです」
- ドニエル
- 「本当に感謝致します、長官。はい、有線電話はこれで切ります。では」
- 「Gセルフはどうなっているんだ?」
- ハッパ
- 「キャピタル・アーミィのG系のバック・パックの性能は面倒で……」
- ドニエル
- 「使えるようにすりゃいい」
- ハッパ
- 「でも……!」
- ドニエル
- 「ベルリは何をしているんだ?」
- ベルリ
- 「泣いてます! 存在意義がないんで!」
- ベッカー
- 「ベッカー部隊のウーシァ! 宇宙海賊を撃滅する為に、今ここに!」
- ジュガン
- 「馬鹿め、Gセルフは捕まえるんだ! ラライヤ・マンディも、ベルリ・ゼナムも、保護するのが本作戦の目的である!」
- カットシー部隊は、しっかりウーシァを援護しろ!」
- 兵士
- 「おおっ!」
- ベッカー
- 「なら、ウーシァの手先の器用さを見せてやるか!」
- 兵士
- 「おおっ!」
- チア・ガール
- 「素敵……」
- 〃
- 「男の世界よね!」
- 〃
- 「フレー、フレー、ウーシァ! 海賊船をやっつけろ!」
- ジュガン
- 「女共は……!」
- クンパ
- 「あぁ、私だ。マスクと連絡は取れるな? あぁ、そちらに行く」
- ドニエル
- 「キャピタル・タワーの真下だ! こちらからは仕掛けるなよ!」
- ベッカー
- 「カットシーとダベーが、メガファウナとモビルスーツを切り離してくれれば!」
- 兵士
- 「何で海賊船にレックスがいるんだ?」
- ギゼラ
- 「キャピタル・ガードだけに任せられないって姫様が……」
- ドニエル
- 「じゃじゃ馬娘がぁ!」
- ベッカー
- 「ウーシァはメガファウナに乗り込むぞ!」
- 「カットシーが航空機ならば、こちらには宇宙用の身軽さがある!」
- 「ジャンプだけで!」
- 「あっ! ブリッジは?」
- 「Gセルフ……ではない!」
- アイーダ
- 「キャピタル・アーミィが、あんな数のモビルスーツを地上で使うなんて!」
- 「正気ではないでしょ!」
- ベッカー
- 「しかし、G系のモビルスーツと見た!」
- アイーダ
- 「うぅっ!」
- 兵士
- 「ベルリとラライヤは、海賊船のどこに居るんです?」
- ベッカー
- 「ブリッジに脅しを掛けて引き摺りだすんだ!」
- 「海賊船の船長、聞こえるな? Gセルフとベルリ・ゼナムと、ラライヤ・マンディを我が方へ引き渡せ! 抵抗もやめさせるんだ!」
- ドニエル
- 「ミノフスキー粒子を撒いておいて、どうやって連絡したらいいんだ! 貴様達が力尽くで止めろ!」
- ベッカー
- 「なっ……?」
- 「何だ貴様は! 人が話し合いをしているんだから、引っ込んでなさい!」
- 副長
- 「ラライヤを要求してきたって、どういう事なんです?」
- ドニエル
- 「知るかよ。キャピタルの連中が気にしてるってんだから、気にはしとけ」
- 副長
- 「はっ……」
- ノレド
- 「ほら、体に穴が空いちゃうんだよ?」
- ラライヤ
- 「ビーム・ライフルの戦争……?」
- ジャマ
- 「その子にノーマル・スーツを……その子に……」
- ノレド
- 「ノーマル・スーツ!」
- ケルベス
- 「あれ、ウーシァじゃないか。何時の間にかアーミィで実用化しやがって!」
- アイーダ
- 「メガファウナが落とされる……!」
- ベッカー
- 「またかよ!」
- アイーダ
- 「何を企んでいるのです!」
- ベッカー
- 「ベルリとラライヤを引き渡せと、命令している!」
- ドニエル
- 「撃つ?」
- アイーダ
- 「やめなさい!」
- 「あぁっ!」
- ベルリ
- 「あれ、アイーダさんの足!」
- 「ハッパさん! どんな強力なバック・パックだからって、使えなければ意味ないですよ!」
- ハッパ
- 「当たり前の事を言うな! メガファウナを守れなきゃ、俺達だって死ぬんだ!」
- ベルリ
- 「アイーダさん! 無茶は駄目でしょ!」
- ハッパ
- 「惚れてんのか?」
- ベルリ
- 「そういう事じゃないでしょ!」
- 「あっ!」
- ベッカー
- 「この機体もGセルフに似ていて、気になるな……!」
- アイーダ
- 「あぁっ……!」
- ベルリ
- 「ハッパさん!」
- ハッパ
- 「出力が上がった! 行けるぞ!」
- ベルリ
- 「はい!」
- ハッパ
- 「焦って飛び出して死ぬなよ!」
- ベルリ
- 「恋を知ったんだ! 誰が死ぬもんか!」
- ハッパ
- 「ホバーを掛けて着地をするんだ!」
- ベルリ
- 「ん、アイーダさんはどこ?」
- ベッカー
- 「面白ぇ、やるじゃねえか! キャピタル・アーミィが開発したこのウーシァ、俺は惚れたぜ!」
- アイーダ
- 「馬力が……!」
- ベッカー
- 「何だ?」
- ベルリ
- 「来た!」
- 「貴様も!」
- 「あれなら爆発はしない筈だ。アイーダさんはどこ?」
- 「居た! アイーダさんが捕まっている!」
- ベッカー
- 「何がジャングルに潜り込んだんだ?」
- アイーダ
- 「パワー負けしている……!」
- ベルリ
- 「皆も戦ってくれていて、一人でやるしかないんだから……!」
- ベッカー
- 「俺を舐めているのか!」
- 「何だ?」
- ベルリ
- 「行っちゃえ!」
- ベッカー
- 「ぎゃっ! あっ!」
- アイーダ
- 「ベルリ一人のアイデアとはね」
- ベルリ
- 「だ、だって、アイーダさんを……」
- 「あっ……」
- アイーダ
- 「キャピタル・アーミィ?」
- ベルリ
- 「キャピタル・タワーは目の前なんだから、帰ってくれ!」
- ベッカー
- 「し、沈む……沈むぞ! 誰か!」
- 「近付くな! 近付かないで助けてくれ!」
- アイーダ
- 「よくもまぁ、沼地に嵌っていませんでしたね」
- ベルリ
- 「足のセンサーの性能が良かったんで、足場の固さを分かるみたいです」
- 「Gが掛かります」
- アイーダ
- 「翼を壊されたから覚悟しています」
- ベルリ
- 「では、メガファウナへ帰ります」
- アイーダ
- 「メガファウナへは、キャピタル・ガードの人達も来てくれました」
- ベルリ
- 「はい。キャピタル・アーミィのやり方に問題があるんでしょうね」
- 「あそこに帰る事、母だって許してくれます」
- ハッパ
- 「Gセルフとアルケイン、帰投!」
- アイーダ
- 「前の方のデッキでしょ?」
- ベルリ
- 「分かってます」
- ステア
- 「ノー!」
- ベルリ
- 「不味い、ルアンさんが怒ってる」
- アイーダ
- 「ベル、あの子達を収容しなさい」
- ベルリ
- 「あ、ラライヤがデッキに出てきて、あんな事をやってる」
- 「ラライヤ・マンディか」
- アイーダ
- 「このバック・パックのお陰で命拾いをさせてもらったけれど、こんな物、あっていいのかしら……」
- グシオン
- 「法王様が『恐れるものは宇宙からではなく地球人がもたらす』というお話は、心に響きます」
- ウィルミット
- 「ん、時刻は守らなければなりませんので、失礼します」
- 「責任を持って総監をお送りしてな!」
- 運転士
- 「はっ!」
- グシオン
- 「ありがとうございます」
- 運転士
- 「アメリアの国営放送のニュースの件ですが」
- グシオン
- 「国営放送?」
- 「我が宇宙艦隊を、大統領が発進させるだと?」
- ウィルミット
- 「あ、いつお乗りになったのです?」
- クンパ
- 「慌てて出て参りましたので、最後尾の貨物車両に飛び込みましてな」
- ウィルミット
- 「調査部の大佐が何のご用で?」
- クンパ
- 「ゴンドワンからガランデンを調達させたのは自分です。あれの働きには責任がありますから」
- ウィルミット
- 「ご苦労様ですね」
- 「定刻で発車となります」
- ゲル法王
- 「私は休ませていただきます」
- ウィルミット
- 「はい、ごゆっくりおくつろぎください」
- 運転士
- 「MMF定常作動、発進!」
- ハッパ
- 「空気漏れしそうな所にはパッキングを押し込むんだ! モビルスーツには人間が出来ない分、働いてもらうからな!」
- ガランデン艦長
- 「よし、本艦スペース・ガランデンは、マスク大尉と合流した後、アメリア軍の攻撃を阻止する作戦に入る!」