第26話 大地に立つ

前回のあらすじ
低軌道でモビルスーツ戦などをやれば、みんなで大気圏突入をする事になる。
僕はGセルフの高性能を使って、ギアナ高地の大地を見る事ができた。
ベルリ
「こんな高性能機を貰っているのに、僕は何をやってるんだ!」
「メガファウナはどうなっている? みんなはどうやって大気圏を突破したんだ?」
「え? 何でこうなるの?」
マスク
「ビーナス・グロゥブの技術には感動しているぞ」
「ベルリ! マニィを傷付けた礼はさせてもらう!」
「マニィは出るな!」
マニィ
「Gセルフの上空にも2機、あります!」
ミック
「大丈夫なんですか? ダーマから出たばかりのダハックで……」
クリム
「手間は手間だったが、移動ポッドのダーマでこのダハックを運び込んで、
プランダーと4本のビーム・サーベルを使ってみせれば、天才は天才だろう!」
「ミック! 後ろに新手が2機だ!」
ミック
「新手の2機……!」
クン
「センターのアンノウン以外は、全てジット団で建造したマシンが集結している」
チッカラ
「ダハックとトリニティはクレッセント・シップに持っていかれたんだから、敵側に回ったって事ですか?」
クン
「あれを使って古典的な大気圏突破をした地球人なら、キア隊長の肝入りのビーム・ウィップの威力を見せてやれる!」
ドニエル
「ミノフスキー・フライトは、まだだ!」
ステア
「イェッサー!」
ドニエル
「戦闘空域は……」
ギゼラ
「宜しく!」
ドニエル
「ギゼラ、何で出したんだ?」
ギゼラ
「姫様が、『ベルリを助ける』って……」
ドニエル
「あちゃ〜、ベルリは心配ないのに」
ステア
「Gセルフ・ハズ・ア・パーフェクト・バック・パック!」
アイーダ
「ん……」
ラライヤ
「乗ってください」
ノレド
「アイーダ、減速が遅い!」
ラライヤ
「今は、第1ナットからのキャピタル・アーミィの艦と……」
ノレド
「アメリアの艦隊の方が問題でしょ」
アイーダ
「アメリアの艦隊は全滅しました」
ノレド
「違うって。北側の下、ギアナ高地の」
ラライヤ
「機体、回します」
アイーダ
「北側の下に艦隊って……。そういえば、父が地球に頻繁に行き来をしていたのは、この事でだったの?」
ノレド
「こういう機会に、アメリアがキャピタル・テリトリィを占領しにくるって……」
ラライヤ
「それは有るでしょうね」
アイーダ
「あのズッキーニ大統領ならやる事よね」
ラライヤ
「光信号、使います!」
ギゼラ
「Gルシファーの光信号!」
副長
「光信号の下、艦隊らしいものをキャッチ!」
ギゼラ
「冗談でしょ。ラトルパイソンとクロコダイル級、4隻!」
ドニエル
「ズッキーニ大統領は、どれだけ税金を無駄にしているんだ?」
副長
「ギゼラ、第一ナットから出たブルジンはどうなった?」
ギゼラ
「ミノフスキー粒子を撒いた方向からすれば、ここに降りてきます!」
副長
「何でそんな事が出来るんだ!」
ドニエル
「トワサンガから流れてきて、キャピタルの黒幕になったクンパ大佐なら、仕掛けられるだろ」
「ステア、面舵!」
ステア
「ハード・トゥ・スターボード! ディセンド!」
ドニエル
「地上画像を回せ!」
ギゼラ
「ラジャー!」
部下
「間違いなく艦隊です!」
ジュガン
「そんなインスタント艦隊など、このブルジンのウーシァ部隊で叩ける!」
部下
「マスク大尉だって戦ってるんだろ?」
 〃
「地上戦みたいな動きですけど」
ジュガン
「モビルスーツと宇宙艦隊が、地上戦かよ」
マニィ
「ジーラッハのセンチピードなら!」
ベルリ
「でかいからって!」
「あれも宇宙から帰還して、何かみんなが降りてきて……ジーラッハは? 望遠モニターは?」
「地上スレスレに艦隊が飛んでるの?」
ガランデン艦長
「モビルスーツ戦が二箇所?」
兵士
「いえ、四箇所! ……のようです!」
ガランデン艦長
「アメリアの艦隊というのは何だ? こんな話は聞いていない!」
「うぅっ!」
ガランデン副長
「バリア! ビーム、回避!」
ガランデン艦長
「マスク大尉は何やってるんだ!」
ガランデン副長
「巴戦をやってるんですって言ったでしょ!」
ガランデン艦長
「他人の戦争で死ぬ気などはない! 艦隊を突き抜けてカリブ海に出るぞ!」
ローゼンタール
「何で、こうなるまで戦争をやるんです? 地球人は戦争オタクですか?」
ウィルミット
「着陸しろって言ったって……」
クンパ
「ガランデンの働きは見たいんですが……」
ウィルミット
「そ、そんな……!」
マスク
「マニィは、ガランデンに合流しろ!」
マニィ
「それではルインを助けられない!」
マスク
「この状況なら奴だって混乱してくれているだろうし、生まれた大陸に帰ってこられたのだ」
マニィ
「え?」
マスク
「引導を渡してやるにはいい機会だと思わないか?」
マニィ
「あぁ!」
マスク
「飛び級生は何を考えているんだ!」
ベルリ
「艦隊の戦いはやめさせる!」
マスク
「将来、独裁者になるような筋の者は!」
ベルリ
「あっ!」
マスク
「この世を去れ!」
ベルリ
「ヨーヨーだって?」
「金縛りなど! 全方位レーザー!」
マスク
「Gセルフは悪魔か?」
「マニィは?」
ベルリ
「出力が続かない……っていうより、ビーナス・グロゥブのマシンが強力なんだ!」
マニィ
「ルイン! こいつら……!」
クリム
「ミックは上だ!」
ミック
「分かってますよ!」
クン
「チッカラ! そっちも!」
チッカラ
「分かってるって!」
クリム
「ミック、迂闊だ! 我々のマシンは、彼らが建造した物なんだぞ!」
ミック
「そうでした! しかし、彼らの戦い方の手の内も分かったんですよ」
クリム
「そうだな。ビーナス・グロゥブのジット・ラボの想像も付いたというものだ」
クン
「何だ? あの編隊は……」
ジュガン
「ガランデンを狙うアメリアの艦隊に集中砲撃を掛けろ!」
ガランデン艦長
「何だ、こいつら?」
チッカラ
「あれがマスク大尉の敵になる艦隊というのなら、叩く!」
クン
「こういう場合は下からの攻撃が有効なんだろ!」
アイーダ
「離しなさい!」
ノレド、ラライヤ
「もう遅い!」
ノレド
「今からアメリアの艦隊を止めに行ったって、やられるだけでしょ!」
アイーダ
「ラライヤ! 父の仕掛けた作戦はやめさせるんです!」
クンパ
「南に移動しているようです」
ウィルミット
「ベルの軍艦は、あの軍艦の向こう……!」
クンパ
「長官!」
ウィルミット
「まさか、あの戦場の中にベルが……」
クンパ
「台地の下のジャングルでも戦いはやっているんですよ!」
ウィルミット
「えっ?」
「あっ……!」
クンパ
「うっ!」
「長官!」
クン
「キア隊長!」
チッカラ
「あれは……ダハックだろ!」
クリム
「7機……いや、9機目!」
ミック
「私は4機!」
「大尉!」
クン
「トリニティとダハックはアメリアに付くのか?」
チッカラ
「ジット団は一つ!」
ラライヤ
「あの大きい軍艦の正体は分かりました!」
ノレド
「正体?」
ハロビー
「何だ、何だ?」
ラライヤ
「あの軍艦に乗っている大人って、大きな玩具を貰って燥いでいるんです!」
ノレド
「下から攻撃だろ?」
ラライヤ
「あそこに居る大人達が……!」
「貴方達は、そういう物を使う意味が分かっていません!」
アイーダ
「ラライヤ、ノレド! よくやってくれました!」
ベルリ
「パーフェクト・バック・パックは、伊達ではなかったけど。今になって、こうも立て続けでは……!」
マスク
「地上を這いずっていたとは。似合わんぞ、飛び級生!」
ベルリ
「シールド!」
マスク
「貴様には死んでもらわんと、クンタラとしては情けないのだ!」
ベルリ
「アサルト!」
「何っ?」
マスク
「バッテリー切れだな、ベルリ・ゼナム君!」
ベルリ
「トリッキー・モード!」
マスク
「ベルリ!」
ベルリ
「な、何だ?」
「ここは、陥没した穴だ」
「ミノフスキー粒子がなくったって、無線は駄目か。みんなはどうなっちゃってるんだ?」
クリム
「何が、ビーナス・グロゥブのジット団だ!」
ミック
「所詮、懐古趣味の歴史オタクと分かったんだよ!」
「クリム、ごめん! 私は甘かった!」
クリム
「はぁっ!」
「諸君等はビーナス・グロゥブから、私にやられにきたんだがな!」
クン
「キア隊長、ダハックのビームってこんなに強力だったんですか?」
チッカラ
「ダハックめ!」
クリム
「プランダーとして使っている暇はないが、バリアにはなるぞ!」
チッカラ
「そんな虚仮威し!」
「エネルギーが吸われる……!」
クリム
「はぁぁっ!」
チッカラ
「キア隊長!」
クン
「あっ! チッカラ!」
ミック
「私の前で余所見をするからだろ!」
「クリム?」
クリム
「ミックはもう十分に戦った。下がれ」
ミック
「嫌ですよ! クリムのダハックだって、左腕は使えなくなっているんでしょ?」
クリム
「ミックを苛めてくれた、黒い奴な……」
ミック
「はい?」
クリム
「あれを潰すには、ミックは足手纏いなんだよ」
クンパ
「別艦隊の用意をしていたグシオン総監は褒めてやれるが、まるで戦いになっていないな」
ウィルミット
「どこに居るの? メガファウナにブルジン……」
「ベルなんだから、ベルを鳴らしてちょうだい!」
「まさかね……」
ベルリ
「分かったよ、フォトン・サーチャー! パワーの高い所を黙らせれば、人を死なせないで戦いを終わらせられるんだ!」
「Gセルフ、フォトン・サーチャー!」
「データ取得!」
「落ちるな! ジャンプ!」
「最も、フォトン・パワーの強い者を!」
「こういう道具を使えないようにすればいいだけ!」
「どこまで保つか……ジャンプ!」
「あれ!」
マスク
「マニィ! ガランデンはもっと東だ!」
マニィ
「Gセルフです!」
マスク
「何っ?」
マニィ
「ベルリ! ルインの為に居なくなって!」
「Gセルフに逃げられて!」
「その下の洞窟です!」
マスク
「マニィはガランデンに合流しろ! ビットも使うなよ!」
マニィ
「ルイン先輩! ごめんなさい、何の手伝いも出来なくて……」
マスク
「宇宙世紀時代の遺跡かい。分かったぞ、Gセルフの居場所!」
「それと、あのジャンプで貴様はバッテリー切れとみた!」
「勝負、賭けた!」
「そこかい!」
ベルリ
「武装だけを破壊するなんて、出来そうにない!」
「姉さん、どうしたらいいんだよ……!」
ジュガン
「な、何とかならん……」
部下
「脱出を……!」
リンゴ
「生意気に爆撃機の真似をするからでしょ!」
「見付かりましたか?」
ベルリ
「リンゴさんにケルベス教官!」
「ん、大気圏グライダー?」
クンパ
「Gセルフが……」
ウィルミット
「ベルなのね? ベルが……!」
ベルリ
「撃つ?」
クンパ
「わぁぁっ!」
ベルリ
「まだ!」
クン
「ならば!」
「な、何だ? この縛りは! 何で私を縛る!」
ベルリ
「縛ったんじゃなくて、繋がっているんです! 貴方のビーム・ウィップとは違うんです!」
「もう僕は攻撃はしません! その意味は分かりますよね?」
クン
「子供じゃないんだ、分かっている……!」
マスク
「Gかっ!」
ベルリ
「トラック・フィン!」
マスク
「くっ、まだ……!」
ベルリ
「何っ?」
マスク
「はっ!」
ベルリ
「何で!」
「銃口?」
マスク
「あっ!」
ベルリ
「レイハントン!」
マスク
「ベルリッ!」
ベルリ
「動いているなら……」
アイーダ
「生存者は遭難者の救助です! キャピタル・アーミィのブルジンも不時着しています!
全ての遭難者を救出する事を、アメリアのアイーダ・スルガンの名をもって命令します!」
ウィルミット
「ベル! ベル!」
ベルリ
「走らないでよ!」
クン
「キア隊長、地球にはああいう奴も居るんですよ。ここで会わせたかったな……」
フラミニア
「んん、いいですね!」
アイーダ
「よく走りましたね。1キロ以上はありますよ」
フラミニア
「トワサンガでも、よく人の目を盗んで走っていました」
アイーダ
「ミラジさんやロルッカさんにも内緒で?」
フラミニア
「スパイみたいなものでしたから」
ノレド
「一人で出来るんですか?」
フラミニア
「腰を降ろせば着られます」
アイーダ
「時間のようですよ」
ノレド
「本当なんですか?」
フラミニア
「トワサンガに帰ってから考えます」
ベルリ
「凄いな、女の人って……」
船員
「そうです。それで擬似フルムーン、セットです」
ステア
「イエス!」
船員
「そっちと……」
ステア
「イエス!」
「オッケー、キャプテン!」
エル
「ん、アメリアまでですからね」
ウィルミット
「時間通り発車です」
「何です?」
「あぁっ、出発しちゃった!」
チア・ガール
「フレー、フレー、クレッセント・シップ! フレー、フレー、クレッセント・シップ! 世界巡航、イェーッ!」
ルイン
「遂に世界一周旅行かい」
マニィ
「ルイン、コーン・スープ」
ルイン
「おう、すまない」
マニィ
「綺麗ね」
ルイン
「あぁ」
ズッキーニ
「今次宇宙戦争に命を捧げてくれた勇敢な兵士・士官達は、祖国アメリアへの義務を立派に果たしたのであります。
私の息子クリムトン・ニッキーニも、この祖国の為に命を捧げ……」
「ん? つ、月が……!」
民間人
「つ、月じゃない! 何だあれは?」
 〃
「冗談でしょ?」
クリム
「クレッセント・シップで大統領を叩き潰せ、ステア!」
ステア
「了解!」
エル
「それは駄目です!」
クリム
「止めないでください! 自分の子供を戦死させてまで利用する大統領などは、潰してもいい!」
エル
「そうでしょうが……」
民間人
「降りてくるぞ!」
 〃
「トワサンガの人を怒らせたんだ!」
ズッキーニ
「馬鹿な、来るな……!」
ミック
「キア・ムベッキ・ジュニア?」
クン
「可笑しい?」
ミック
「いいけど……」
クリム
「ミック!」
ミック
「有難う」
クン
「お気を付けて」
ミック
「お待たせ」
ノレド
「うわ〜っ! い、居ない〜!」
ケルベス
「何だ?」
ラライヤ
「今、忙しいのよ」
ノレド
「居ない、居ないよ〜!」
ハロビー
「ベルはどこだ?」
ノレド
「ベルが居ない!」
ステア
「さっき降りたよ」
ドニエル
「日本で止まったろ?」
ノレド
「えぇっ?」
アイーダ
「ノレドさん、預かり物」
「『チュチュミィの世話は頼む』って伝言でした」
ノレド
「えぇっ? うわぁ〜ん!」
ベルリ
「あれ、富士山っていうんですか?」
奥さん
「ウチとこは三つ富士って言ってるけどさ」
ベルリ
「シャンクで登れるんですか?」
奥さん
「山道はあるよ」
農夫のお父さん
「15分だな」
ベルリ
「えぇっ?」
奥さん
「ははっ! 下山する時、砂走りを使うと15分だって事!」
ベルリ
「そうか! 後ろが太平洋で、前が日本海! 海を渡って大陸へ入るぞ!」
「そうか、飛べぇ!」
「僕はこれで世界一周するぞ!」