第3話 激震の大地

前回のあらすじ
一つの島宇宙から、別の島宇宙に航行が出来るようになって50年……
地球から270万光年離れたアンドロメダ星雲内に、地球型惑星を持つ星、A7がある。
その惑星『ソロ星』では、今、地球人とバッフ・クランと名乗る異星人との接触が行われていた。
デク
「ニューロピアの方も、みんなやられちゃったのかな?」
コスモ
「だろうな。ここと同じじゃないかな。第二発掘現場に逃げ込めなかった人は、みんなやられてるよ」
デク
「俺の父ちゃんと母ちゃんも、コスモの父ちゃんみたいに……かな?」
コスモ
「馬鹿言うな! 助かってるよ!」
「行くぞ!」
デク
「うん」
ソロ星の軍人
「宇宙人だってのか?」
マヤヤ
「カララ様の事だから……」
ソロ星の軍人
「異星人?」
「女か。中に入れ、危ないぞ」
 〃
「ミサイルの一つや二つ取り付けたって……」
 〃
「取り付けないよりいいだろう」
マヤヤ
「これは……」
リン
「怪我している方、いませんか?」
ジョリバ
「本当にこれだけなんですか?」
シェリル
「動力系の設計図はね」
カララ
「……分からない。ロゴ・ダウの異星人が造ったものなら、何故こんな所に埋めてあるのか……」
シェリル
「そこの人」
カララ
「あっ……」
シェリル
「関係者以外、あまり立ち入らないで欲しいわね」
「第三次移民の方? 入り口の近くに居てください」
ソロ星の軍人
「ここにも、イデオンのゲージがある」
シェリル
「えぇ」
カララ
「……イデオン? イデ……」
マヤヤ
「カララ様!」
カララ
「マヤヤ!」
マヤヤ
「申し訳ありません。もうお戻りになりませんと……」
カララ
「出来ない事ね。ここの異星人はイデを知っているようだ」
マヤヤ
「イデを……?」
カララ
「イデオンと言っているのだが、調べたい」
マヤヤ
「は、はい」
カララ
「ポジション・シグナルだけでも出しておき」
マヤヤ
「はい」
ファード
「お腹、空いてるのかな……」
アーシュラ
「よしほら、おっぱいよ」
ロッタ
「はいはい、ルゥ。ミルク分けてもらいましたからね」
リン
「はい」
「ねぇ、ロッタ。ニューロピアの方ね……」
ロッタ
「その話はやめなさい。小さい子が居るわ」
リン
「あっ……」
「ごめんね。みんな、大丈夫よ」
ロッタ
「……これ、三度目よ?」
リン
「何かしら……」
ベス
「また点いたぞ!」
デク
「僕だって手伝える事、ある筈だよ?」
ベス
「デク、今はね……!」
デク
「ニューロピアだってやられっ放しでさ!」
ベス
「煩い!」
デク
「うっ……」
「俺の気持ちも分かってくれないで……!」
シェリル
「ベス」
ベス
「何でしょう?」
シェリル
「もう少しこちらの調査に、軍が協力してくれてもいいんじゃありません?」
ベス
「我々の有様を見てもらいたいな。学術調査的にやっている時かどうか……!」
シェリル
「今の振動の原因が分かれば、イデオンのゲージとの関係も分かるかもしれないのよ?」
「それに、この船全体の性能も分かるかもしれない」
ベス
「知れない、知れない……。その可能性を発見する間に、敵にやられたらどうするんだ?」
ソロ星の軍人
「ベス」
ベス
「どうだ?」
ソロ星の軍人
「やはり、敵のパターンに似ている電波だな」
ベス
「……分かるか?」
シェリル
「えっ?」
ベス
「敵のスパイが入り込んでいるかもしれんのさ」
シェリル
「まさか」
ベス
「フッ、敵がネーム・プレートでも付けてると思ってんのか?」
「追い掛けられんのか?」
ソロ星の軍人
「ランダムに変化しているな」
ベス
「追ってみる!」
シェリル
「ふんっ……」
バッフ・クラン兵
「マヤヤのシグナルは、異星人ポイント・ピー・キーから発信しています」
ダミド
「……どうする? ギジェ」
ギジェ
「勿論、カララ様を救出する」
ダミド
「手勢も少ない。アバデデ様に応援を頼むか?」
ギジェ
「そのような事、出来ると思うのか? カララ様失踪は我々の責任だ」
ダミド
「手はあるのか?」
ギジェ
「ある」
「今から、カララ様救出の決死隊を募る! ……が、生きて帰れる保障はない!」
ダミド
「おい、ギジェ……」
ギジェ
「その代わり、この作戦が成功した時には、サビアの位を望むも夢ではない!」
「命知らずの年齢だな、ズダカ」
「ダマエ……慎重派のお前が、どうした?」
ダマエ
「私もそろそろ体が効かなくなります。それに……」
ギジェ
「そうか。嫁に行く娘さんの為に、最後の一旗を挙げようという訳だな? 頑張ってくれ」
ダマエ
「はっ! 有難うございます」
マヤヤ
「あっ! これは、反物質エンジンですね」
カララ
「そう……」
ベス
「待ちたまえ! ゆっくりとこちらを向いてもらおう!」
カララ
「あっ……!」
ベス
「君か! カララ……カララ・アジバ……」
「こんな所に入り込んで、何をしているんだ?」
カララ
「何をって……」
ソロ星の軍人
「うっ!」
カララ
「ジョーダン・ベス!」
ベス
「カララ! ……何故撃った? 何故?」
カララ
「な、何故……何故って……」
「マヤヤ、おやめ!」
「その人、死んではいません。気を失っているだけです」
ベス
「お前達、何者なんだ? どこの人間だ? 地球人なのか? 地球人でなければ、お前達は何者なんだ?」
カララ
「地球人です。私達だって、地球人……」
ベス
「地球人……?」
カララ
「民族の名前はバッフ族。バッフ・クランの女です」
ジョリバ
「ミサイルのコントロール・パネルは、コックピット近くに引き込めよ」
ソロ星の軍人
「分かってるよ!」
ジョリバ
「コックピットの方はどうだ?」
ソロ星の軍人
「コスモ位、エレクトロニクスに強い奴なら子供でもいい。誰か人を回してくれ!」
ジョリバ
「人手不足は同じだ。こんなのが、後2台もあるんだからな」
コスモ
「全く! シートの取り付けまで自分でやらないと、敵と戦えないなんてさ!」
「ん?」
デク
「ヘヘッ! 見える、見える! コスモ、頑張ってる?」
コスモ
「デク! お前、何やってんだ?」
デク
「通信機の一つが空いてるから借りちゃった! どう?」
コスモ
「どうって、何だ?」
デク
「そっちのメカの事、全部分かった?」
コスモ
「そんなに直ぐに分かる訳ないだろ?」
「いいか? シェリルさんに言って、今までの資料全部見せてくれって……」
デク
「敵だ、敵! コスモ、敵!」
コスモ
「お、俺……何もしてないぞ?」
「わっ!」
「糞っ!」
「このっ!」
「わっ! 見てろ、俺にだって……行けっ!」
「戦闘機に変形は?」
ベント
「右から1、2だ!」
コスモ
「了解!」
「各部ミサイル、逃がすな!」
テクノ
「こ、こっちも動き出した! どうすればいいんだ?」
カーシャ
「こちらも発進するわ! いいわね?」
コスモ
「ようし、ドッキング出来るようだ! 行くぞ!」
テクノ
「頼む、コスモ!」
「来るぞ、敵が!」
「やった! ドッキングしたぞ!」
カーシャ
「ドッキングしない方が戦いいい筈よ、コスモ!」
ベス
「小さい方が、電波発信機だな?」
カララ
「そう」
ベス
「信じられんな、君達が異星人だなんて……。俺は、異星人といえば……」
カララ
「手が四本、足が六本……肌がドロドロの醜い怪獣と思っていた……?」
ベス
「そうだ」
カララ
「私は、ベスを素晴らしい男だと思う」
ベス
「いやぁ、貴方も美しい方だが、今は人質として監禁させてもらう。いいな?」
カララ
「やむを得ませんね」
ソロ星の軍人
「わっ! 敵だ!」
 〃
「このっ!」
シェリル
「敵が来たの?」
ソロ星の軍人
「指示はどうします?」
シェリル
「指示と言ったって……」
ソロ星の軍人
「シュッター・カタムで対抗させろ!」
 〃
「はっ!」
シェリル
「ベスはどこなの?」
ソロ星の軍人
「うぅっ!」
ダマエ
「こいつ!」
ギジェ
「シグナルは消えたが、方向からするとあの中だな」
バッフ・クラン兵
「はい!」
ギジェ
「いいか、ズダカ! 中には何があるか分からんが突っ込むぞ!」
「左のテラスへ付けろ!」
ソロ星の軍人
「て、敵だ!」
「わぁっ!」
ギジェ
「ズダカ、必ずカララ様を!」
ズダカ
「はい!」
ギジェ
「マヤヤめ! シグナルを出せ!」
ロッタ、リン
「キャッ!」
ズダカ
「バッフ・クランの女を知らないか? 答えろ!」
ロッタ
「バッフ・クラン……?」
ズダカ
「言え! これはただの脅しではないぞ!」
「喋らん気か!」
「わぁっ!」
ギジェ
「おっ……?」
「バ、バリアなのか? そんな科学力が彼等にはあるのか?」
「ズダカ……無駄死にをさせてしまった……!」
ロッタ
「……た、助かった! 良かったわ!」
ソロ星の軍人
「うっ! 何だ、お前?」
「うぅっ!」
ギジェ
「根本的に対策を立て直さねばならん!」
テクノ
「やった! コスモ、旋回していいぞ!」
コスモ
「使えますか?」
テクノ
「あぁっ! コックピットに居るより、性に合ってる!」
コスモ
「戦闘機だ! 各ミサイルに、戦闘機を狙わせろ!」
ソロ星の軍人
「わぁっ!」
ダマエ
「うぉぉっ!」
ギジェ
「各機へ後退しろと伝えろ!」
ソロ星の軍人
「敵が後退します!」
ベス
「後退した?」
バッフ・クラン兵
「要は、狙いようだろうが!」
コスモ
「うわっ!」
バッフ・クラン兵
「何? 直撃の筈だ!」
コスモ
「ようし、握り潰してやる!」
「あっ……2機しかやっつけられなかった!」
シェリル
「おかしいわね……」
ベス
「何がだ?」
シェリル
「仕掛け方が妙だと思わなくて? 私達を殲滅するつもりの戦い方じゃないわ」
ベス
「ん、そうだな……」
シェリル
「これは陽動作戦で、敵は、何か他に目的があるんじゃないかしら」
ベス
「目的? 例えば……」
シェリル
「え?」
ベス
「彼等も、この遺跡に拘っているとかだな」
シェリル
「あり得るわね」
ソロ星の軍人
「……今度は分かれないようだな。どういう事だ?」
ベス
「全くだ。どういう事なんだ、シェリル?」
ソロ星の軍人
「負傷兵の収容急げ!」
アバデデ
「ギジェに通信を送っておけ。間もなく私が接触するとな」
「イデの捜索が、異星人との接触となるか……。ギジェの奴、貧乏くじを引いたものだな」
コスモ
「武器の取り付け、どうなったの?」
ベント
「軍の施設に取りにいってる」
コスモ
「それと、イデオンになった時の地図……通路の地図って、ないの?」
ベント
「ある訳ないだろ?」
「ほら、飯だ!」
コスモ
「そんな……分かったよ!」
「よう! こっちのメカの整備、やってくれる人を回してよ!」
デク
「今、宇宙船のブリッジには誰も居ないよ? こいつで逃げるんだって、大騒ぎしてるんだ!」
「コスモはどうするの?」
コスモ
「宇宙船?」
デク
「うん。地面に埋まってるの、宇宙船だってさ」
「それに、コスモが乗ってるメカの事、イデオ・デルタとか呼んでるよ」
コスモ
「名前なんてどうでもいいんだ! ミサイル寄越せって!」
シェリル
「これまでの調査で、この船が、反物質エンジンを付けた宇宙船である事は分かっているけど……」
「それだけではない何かが、この船の中心の部分の構造体にあって、それが全く分からないの」
ベス
「え? 分からない?」
シェリル
「この遺跡を遺した第六文明人の事を解く手掛りを、コンピュータから拾い出そうとしたのだけれど」
「専門的な記号ばかりで、単語らしいのは『イデオン』という四文字しか分からなかったの」
ベス
「ジョリバ、エンジンはどうだ?」
ジョリバ
「動かせはするがね、微調整に時間が掛かる」
ベス
「うん、何とかこいつを外に出す。いいな?」
ジョリバ
「へいへい!」
ベス
「……最悪の場合、反物質エンジンを掛けて洞窟から抜け出せるとは思うがね」
シェリル
「あぁ、そうね」
ベス
「しかし、大地を溶かし、この船……宇宙船な、これも駄目になるかもしれん」
シェリル
「でも、やる価値はあるわ」
ベス
「あぁ、準備しよう」
アバデデ
「カララ様救出に失敗したそうだな」
ギジェ
「はっ! 各なる上は、敵の基地に自爆してお詫びを!」
アバデデ
「まぁ待て。侍たる者、死を急ぐばかりが脳ではあるまい?」
ギジェ
「しかし、それでは責任が……!」
アバデデ
「生きていれば、カララ様を取り戻す機会もある」
「それが今度の君にかけられた使命ではないかな? お前一人でケリの付く問題ではなくなっている」
ギジェ
「は、はい!」
ソロ星の軍人
「サザンクロスの、ブラックホール・ギャラクシー通信機が生き残っててよかったぜ」
 〃
「しかし、調整に時間が掛かるな」
 〃
「ようし、後は食料だ」
 〃
「第23ブロックのミサイルは全部運び出した」
 〃
「行ってくれ!」
デク
「玩具じゃない! 食べる物とか、戦争に使う物を持っていくんだ」
アーシュラ
「勉強道具だってあるんだぞ?」
ジョリバ
「しかし、どっちにしても直ぐに発進という訳には……」
シェリル
「駄目よ。今夜にでも発進して、このソロ星から脱出するのよ」
「せっかく手に入れた第六文明人の遺跡を、得体の知れない敵に壊されたくはないわ」
「軍人の貴方達に、出来ない訳ないでしょう?」
ベス
「シェリル……!」
ギジェ
「異星人め。何としても、カララ様を取り戻してみせる!」
ソロ星の軍人
「退避、退避!」
 〃
「軍属は入口で防戦しろ!」
ロッタ
「急いで奥へ!」
コスモ
「来るのか?」
「うっ! こいつも丈夫だけど、いつまでもつか……!」
カーシャ
「コスモ、敵は宇宙船を狙ってるのよ! 降下して! ねぇ、降下して!」
コスモ
「分かってるよ! カーシャは、ミサイル・コントロールだけやってればいいんだ!」
カーシャ
「宇宙船の方に行くつもりなのね? 行けっ!」
ギジェ
「所詮はメカだ! どこかに弱点はある筈!」
「あそこか!」
コスモ
「わっ! やられた!」
カーシャ
「直撃?」
コスモ
「あぁっ?」
ベス
「あっ、伏せろ!」
デク
「わぁっ!」
ベス、シェリル
「あっ……!」
カララ
「あぁっ……!」
マヤヤ
「カララ様!」
ベス
「こ、これは地震だ! 爆撃じゃない!」
シェリル
「イデオンのゲージが……」
ギジェ
「何だ?」
コスモ、カーシャ
「あっ……!」
カーシャ
「宇宙船の埋まっていた所……!」
コスモ
「う、動いた!」
カーシャ
「宇宙船……!」
ベス
「ジョリバ! メイン・エンジンが掛かったのか?」
ジョリバ
「し、知らん! エンジンは調整中だ!」
ベス
「何? じゃあ、何故動いたんだ? この船は……」
「シェリル! あんた、俺達に何を隠してる?」
シェリル
「隠してないわ! 何も……。みんな教えたわよ!」
ギジェ
「おぉっ……地面から現れた? 宇宙船か? な、何だ? 何故わざわざ地面の中から?」