Be INVOKED 発動篇

キッチン
「私達地球人の移民星は、このキャラルだけではないのよ?」
「それなのに、あんた達は地球に追い出されたからって、キャラルに逃げ込んで……」
コスモ
「キッチン……」
キッチン
「あんた達が来たお陰でバッフ・クランって異星人が攻めてきて、戦争に不慣れなキャラルは滅茶滅茶になったのよ」
コスモ
「俺達には……」
キッチン
「迷惑なのさ。軍人の父も死んだわ。私の周りの子供達も……みんな両親を亡くしたわ」
コスモ
「あぁ、武器・弾薬が手に入りゃ出てくさ」
パーキンスン
「それは出来ん。出来ん相談だ」
ベス
「何故です?」
パーキンスン
「半分以上の戦力を叩かれている我々には全くの余裕がない。諸君らが出ていけば、キャラルの安全は保証される」
キッチン
「……仕方ないでしょ」
コスモ
「そ、そりゃそうだけど……俺達だって、好きで戦ってるんじゃない」
キッチン
「私達にとっては貴方達も異星人なのよ」
コスモ
「元は一つの星から移民が始まったのに、バッフ・クランと同じだっていうのかよ!」
キッチン
「コスモ……」
コスモ
「俺達は、異星人の侵略の手が地球に来ないように戦ってきたんだぞ? それを……」
キッチン
「コスモ!」
キッチン
「早く! 走って!」
コスモ
「キッチン! 伏せるんだ!」
「わぁぁっ!」
「キッチン!」
「バッフ・クランめぇ!」
ハルル
「ロゴ・ダウの船には、何百光年も先を読み取れるレーダーがあるというのか」
バッフ・クラン兵
「信じられませんが……」
ハルル
「イデの力の成さしめる業なら、あり得るのではないかな?」
ギジェ
「イデの発現が何たるものか、見たいが故にと言いながらも……」
シェリル
「私と愛し合った事を後悔しているという訳?」
カララ
「来るのは姉のハルルです」
アーシュラ
「頑張ってぇ!」
ベント
「こんな僻地にまで追い掛けてくるのか」
ギジェ
「バリアがやられた……うぅっ!」
「こ、これが……イデの発現か……」
ベス
「来ちゃいかん! 後にしろ!」
カーシャ
「駄目よ! 今はシェリルを来させては駄目よ!」
ジョリバ
「あ、あぁ……」
シェリル
「何故いけないの? 何故……。ギジェが帰ってきたんでしょ? ねぇ、止めないで! ねぇ!」
「私のギジェよ! 何で止めるの? 会わせてよ! ちょっとだけでいいの!」
ジョリバ
「シェリル!」
シェリル
「リンも……ギジェも……何で私の人はみんな、死んじゃうのぉぉ!」
ナレーション
ソロ・シップの逃亡は続く……。
バッフ・クラン兵
「我が軍の包囲網は、直径150万光年に及んでおります」
「ロゴ・ダウの異星人は、どの艦隊とも接触せずに脱出する事は不可能です」
ドバ
「しかし、ハルルが追い込んで以後の動きが掴めないでは、叩きようもない」
バッフ・クラン兵
「はっ……。この包囲網の何れかには掛かります」
ドバ
「よし。以後は各艦隊の独断専行はなしだ」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
ギンドロ
「ドバ総司令、異星人の侵略を阻止する為には、我が財団のガンド・ロワを……」
ドバ
「私はガンド・ロワまで使おうとは思わんのだ」
カララ
「お食事ですよ」
ジョリバ
「あぁ、そこに置いといてください。もうすぐ終わりますから」
カララ
「えぇ」
「うっ、うぅっ……」
「まさか……いくら何でも早すぎるわ」
ベント
「ジョリバさん、イデオンのゲージが……」
ジョリバ
「え?」
「うわっ!」
「カララさん、怪我は?」
カララ
「ありがとう、大丈夫」
ベント
「あっ!」
ジョリバ
「あっ……?」
カララ
「あぁっ!」
ジョリバ
「カララ!」
カララ、ジョリバ
「わぁぁっ……!」
ベント
「き、消えた……カララとジョリバが消えた……」
カララ
「こ、ここは……」
バッフ・クラン兵士
「おっ?」
 〃
「何だ?」
カララ
「はっ……!」
ジョリバ
「え?」
バッフ・クラン兵
「何者だ? お前達、手を上げて!」
カララ
「ジョリバさん!」
ジョリバ
「あぁ」
バッフ・クラン兵
「ま、待てぇ!」
カララ
「こちらへ」
バッフ・クラン兵
「居たぞ!」
ジョリバ
「一体、どうしてこんな事になっちまったんだ?」
カララ
「分かりません。でも、ここがバッフ・クランの船だという事だけは事実です」
ジョリバ
「イデが仕組んだのか」
カララ
「でしょうね」
「うっ、うぅっ……!」
ジョリバ
「カララ、さぁ」
バッフ・クラン兵
「よし! そこまでだ!」
「あっ、カララ様……」
ドバ
「ん? そのような事があるものか」
バッフ・クラン兵
「い、いえ、お言葉ですが、現に……」
ギンドロ
「ドバ司令、見たまえ。こりゃ確かにカララ嬢ちゃんだよ。多少、女らしくなってはいるがな」
ドバ
「カ、カララめ……」
「付近に敵の気配は?」
バッフ・クラン兵
「ありません。全く」
ドバ
「んっ……」
ジョリバ
「しかし、この船大きいな」
カララ
「えぇ。これは噂されていた巨大戦艦だと思います。父が乗っているかもしれません」
「となれば、父と会って……」
ジョリバ
「え? しかし、こんな状態で……」
バッフ・クラン兵
「カララ様、ここまでです。電源は切らせていただきました。手を上げて」
「あっ……」
カララ
「父上……」
ハタリ
「ベ、ベス。蜃気楼なのかな?」
ベス
「いや、イデだ。イデの力が我々にこんな映像を見せているんだ」
ドバ
「どうやって入った?」
カララ
「イデの導きによって」
ドバ
「イデだと? イデか……。何の為に?」
カララ
「使者として」
ドバ
「イデの使者というのか?」
カララ
「はい」
ドバ
「イデがそのような考えを示したというのか?」
カララ
「はい」
ドバ
「話の内容によっては宇宙に放り出す。いいな?」
ハタリ
「イデの流れに不定形な部分がある」
ベス
「何としてもポイントを掴んでくれ」
ハタリ
「何とかするさ」
ベス
「頼むぞ」
カララ
「父上……いえ、ドバ総司令。もう貴方にも分かっている筈です。戦いがイデの力を増大させている事を」
「そちらの地球にも、流星の落下が増えているのではありませんか?」
ドバ
「その流星も、お前の乗る宇宙船が発生させている節もある。ならば、ソロ・シップと巨神は抹殺せねばならん」
ジョリバ
「イデは、自分を守る力を備え始めたのですよ!」
カララ
「私達のコントロールを拒否し始めているのです」
ドバ
「だからといって放ってはおけぬ! 異星人共がイデの力を以って、我らの緑成す地球を襲わないと誰が保証するか」
カララ
「私が命に替えても」
ドバ
「馬鹿な事を! 裏切り者の命など屑同然。何の保証になる?」
カララ
「ロゴ・ダウの異星人といっても、バッフ・クランと全く同じです。必ず理解し合えます」
「その証拠に、私のお腹の中に新しい命が育っているのです」
ギンドロ
「何? 子を身篭ったというのか」
ジョリバ
「カララ……」
ドバ
「おのれ!」
ジョリバ
「あっ!」
カララ
「ジョリバ!」
ジョリバ
「ドバ……!」
ハタリ
「結果が出た。意外と近いぞ」
ベス
「よし、救出に向かう!」
ドバ
「せめてもの親子の情けだ。ひと思いで殺してやる。動くな!」
ジョリバ
「実の父親が、子供を殺そうってのか!」
ドバ
「アジバ家の名誉の為だ!」
カララ
「んっ……!」
ドバ
「はっ……!」
カララ
「私は……新しい命の為になら、父親殺しの汚名も被りましょう!」
ドバ
「あぁっ……カララ……!」
カララ
「この距離なら、この小型レーザー発信器で間違いなく父上の心臓は射抜けます!」
ドバ
「私を撃つのはいい。しかしな、兵共に射殺させるぞ」
カララ
「お好きに」
カララ
「大丈夫ですか?」
ジョリバ
「あぁ。しかし、作業用の検電ミニコンがこんなとこで役に立つとはな」
バッフ・クラン兵
「重力震発生! 左舷注意! 重力震発生!」
ドバ
「カララが出現した時と同じだ。いいか、重力震の起こっている原因を探れ!」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
 〃
「出た! 異星人の船だ!」
ドバ
「正面か!」
「ロゴ・ダウの異星人……」
ハタリ
「あっ!」
ベス
「出た! 真正面に」
ハタリ
「ブレーキングだ!」
ベス
「いや、このままだ! このまま突っ込め!」
ドバ
「あぁっ……!」
ベス
「うぅっ……!」
カララ
「ソロ・シップ……ソロ・シップが来てくれました。ジョリバさん」
ジョリバ
「すまない」
「来てくれた……ソロ・シップが来てくれたのか」
「うっ、うぅっ……」
カララ
「行きますよ」
ジョリバ
「あぁ」
ハタリ
「ベス! どうしたんだ?」
ベス
「あのモニターの中……何だろうな?」
ハタリ
「え?」
ベス
「内乱かな?」
ハタリ
「拡大する」
「妙だな。バッフ・クラン同士で追い掛けっこ……」
ベス
「はっ……! カララ……カララだ」
コスモ
「この野郎!」
ベス
「どこだ? あそこか!」
カララ
「奥へ」
ジョリバ
「カララさん、こ、これで脱出しましょう」
カララ
「え? えぇ!」
ジョリバ
「強くなったな、貴方は」
カララ
「え? えぇ」
「行きましょう」
ベス
「カララ達が脱出した。ソロ・シップを引き離せ。イデオンを呼び戻して、カララの援護をさせろ」
ハタリ
「了解!」
コスモ
「よーし、見付けた」
「あぁっ!」
カーシャ
「はっ!」
コスモ
「あっ!」
デク
「あっ!」
ベス
「カララ……!」
コスモ
「あぁっ……。うわぁぁっ! 何故だ? 何故殺す? 何故戦う? 何故そっとしておけないんだ!」
「何故、カララさんを殺した? カララさんの理想主義が、イデを抑える鍵だったかもしれない!」
ドバ
「な、何だ? ロゴ・ダウの異星人か? これは異星人の言葉が聞こえるのか?」
ギンドロ
「確かに、異星人の声……」
コスモ
「イデの力が解放したらどうなるか、誰も分かっていないんだぞ? 貴様達が……貴様達が責任を取ってくれるのか?」
「貴様達が……!」
ベス
「カララ……。ルウ……ルウだ。ルウはどこに居るんだ? ハタリ」
ハタリ
「ロッタ達と船の中央に居る。その証拠に、イデオンのゲージは正常だ」
ベス
「はっ……!」
「よし、脱出するぞ! 逆噴射用意!」
ハタリ
「りょ、了解!」
ベス
「カ、カララ……本当に死んだのか?」
デク
「あっ! あの光の中……」
コスモ
「何だ?」
カララ
「脱出しましょう、コスモ」
コスモ
「カララとジョリバを救出した!」
ベス
「えっ?」
コスモ
「カララとジョリバを救出したんだ!」
ドバ
「全艦で追跡しろ! 宇宙の果ての果てまで追い掛けてでも、ロゴ・ダウの異星人の船を叩け!」
デク
「コスモ」
コスモ
「ここにもか」
カーシャ
「バッフ・クランは、一体どのぐらいの数の軍隊を出しているの?」
カララ
「バ、バッフ・クランが?」
コスモ
「ジョリバの傷は?」
ジョリバ
「なぁに、手伝う事はないか?」
コスモ
「座っていてくれ」
べス
「戦える者は女子供でもいい。手伝わせろ」
ハタリ
「しかし、ベス……」
ベス
「仕方ないだろう」
カーシャ
「ベス! 何故ハッチが開かないの? イデオン・ガンを出してくれないと」
コスモ
「ハッチをぶち破るか?」
ベス
「それは不味い。コスモ、バリアも破られつつあるんだぞ。装甲が弱くなる」
コスモ
「じゃあ、ハッチを開いてくれ」
カーシャ
「早く」
ベス
「どのくらいで直せるんだ?」
ハタリ
「分からん。修理には掛かっているようだが」
ベス
「13デッキ、ハッチの修理はどうなっているんだ?」
バッフ・クラン兵
「5・6分……いや、15分だ、15分!」
ベス
「冗談じゃない! 急げ……うっ!」
コスモ
「くっ、えぇいっ!」
ハタリ
「第16ブロック、攻撃が遅れているぞ!」
「看護兵は避難室に回れ!」
ラポー
「もう腕を動かさないで」
ロッタ
「アーシュラ、包帯を止めるのは私がやるから」
アーシュラ
「うん、分かってる」
ソロ星の軍人
「おい、動いちゃ駄目だ」
シェリル
「ルウ……ルウ……」
アーシュラ
「いい子、いい子。そこに置いて。ルウはお部屋に……」
シェリル
「ルウ」
アーシュラ
「シェリル、どこ行くの?」
ロッタ
「シェリルさん、怪我人の手当てを……」
シェリル
「ルウを研究させてくださいな。ね、いいでしょ?」
ロッタ
「研究? どういうつもりなんです? シェリルさん?」
ラポー
「ロッタ!」
ベス
「何をしている? 各ビーム砲の弾幕が薄いぞ!」
シェリル
「ルウ、分かるわね? 敵が来ているのよ。恐ろしい敵が……」
「ルウ、どうしたの? ほら、ンマンマもあるのよ。美味しいわよ、ルウ」
ロッタ
「シェリルさん! シェリルさん!」
シェリル
「ルウの為に作ってやったんだから」
ロッタ
「中に居るのは分かっています。お願い、鍵を外してください!」
「シェリルさん! ルウも一緒に居るんでしょ? 開けて……」
「シェリルさん……ルウに何をしてるんです?」
アーシュラ
「怖い……」
ロッタ
「ルウを返してください」
シェリル
「ルウはみんなを助けてくれるわ。今、その研究をしているの」
ロッタ
「ルウ!」
シェリル
「助かりたくないの?」
ロッタ
「ルウをどうするつもりなの? シェリルさん! シェリルさん!」
シェリル
「貴方だけなのよ、イデをコントロール出来るのは。さぁ、やってちょうだい」
「ルウ、イデの力を出させてみんなで生き延びましょう。ルウ……」
「あぁっ……!」
ルウ
「うわぁぁん!」
コスモ
「ソロ・シップは、まだイデオン・ガンを放出出来ないのか?」
デク
「応答なし」
コスモ
「ちっ……!」
ハタリ
「13デッキ、イデオン・ガンどうした……うわっ!」
「くそっ……このまま疲れ切って死ぬだけなのか? ベス!」
ベス
「冗談じゃない! イデオンにイデオン・ガンを渡せれば……うっ!」
ギンドロ
「これ以上、ガンガ・ルブを無駄にする事もありますまい」
ドバ
「あぁ、損失が大きすぎるな。あれにぶつけるか」
ギンドロ
「あれですか」
ドバ
「あぁ」
ギンドロ
「しかし、誘いに乗りますかな? あの彗星の軌道上に巨神を持ってくるなどと」
ドバ
「まさか重機動メカ数百機を囮に使うとは考えまい」
ギンドロ
「確かに」
ドバ
「その程度の犠牲はやむを得んな」
ギンドロ
「了解だ。ガンド・ロワが無駄になるかな?」
ドバ
「平和利用に使えばよかろう」
ハタリ
「くっ! 10時、32度の方位が手薄になったぞ!」
デク
「うぅっ……!」
コスモ
「な、何の流れだ?」
カララ
「ラビット・スター現象です。彗星が飛んでくる前触れです」
コスモ
「彗星?」
ベス
「やむを得ん。バリア最大出力だ。コスモ、ハッチを剥がせ」
コスモ
「了解! デッキに居るメカ・マンを下がらせてくれ」
ベス
「了解! 下がらせろ」
ハタリ
「了解!」
ベス
「はっ……彗星か」
ハルル
「これで巨神が終わりとは思えん」
「バジラウ・ギルバを」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
ギルバ
「お呼びで?」
ハルル
「亜空間飛行を掛け、巨神を包囲しろ」
ギルバ
「しかし、既に巨神は……」
ハルル
「万一の事がある。更に包囲を固めい!」
ギルバ
「了解!」
デク
「コスモ、急いで! 流れ星が来る!」
コスモ
「彗星だろ」
ハタリ
「間に合わないぞ!」
ベス
「急げ、コスモ!」
シェリル
「いい子にしてちょうだい、ルウ。今こそ貴方の力を示す時なのよ。そうでしょう?」
コスモ
「こんな事で、俺達がお終いになっちまうのか?」
カララ
「そんな事ありません!」
コスモ
「何?」
カーシャ
「コスモ、早く! 彗星が」
コスモ
「あぁ、分かってる!」
カララ
「コスモ、私達が育て上げてきた善き心は、次に続く人達が受け継いでくれます」
カーシャ
「つ、次に続く人が受け継ぐですって?」
コスモ
「こんな時に女って奴は、よくも先の事まで考えていられるもんだ」
「出せるぞ!」
ベス
「コスモめ、彗星をやるつもりか」
ハタリ
「ん? シェリルだ!」
ベス
「何?」
デク
「コスモ」
コスモ
「シェリルさん!」
カララ
「えぇ?」
コスモ
「カーシャ、何をしてる? 援護だ!」
カーシャ
「え? え? シェリルさんが?」
シェリル
「イデよ、答えて欲しい。今ここには純粋に守りしか思わぬ子が死を恐れている!」
「イデよ。この無垢な子の恐れの心に、答えるべきです!」
ルウ
「うわぁぁん!」
カララ
「うっ……! ルウが、お腹の赤ちゃんを呼んでいる」
コスモ
「お腹の赤ちゃん?」
デク
「赤ちゃん?」
コスモ
「カララ!」
シェリル
「ルウの純粋な心がイデの力の現れであるのなら、何故、多くの人々を死に至らしめるのですか?」
「むしろ、人を生かすのがイデの成すべき事ではないのでしょうか?」
カララ
「ルウ!」
シェリル
「イデよ!」
コスモ
「う、撃てるぞ! イデオン・ガンが!」
カーシャ
「パワーは良好よ、コスモ」
コスモ
「んっ……!」
ギンドロ
「や、やったのか?」
ドバ
「その筈だが……あの輝きは何だ? あの奇妙な輝きは」
シェリル
「ギジェ……ギジェ……!」
カララ
「くっ、ここから外に出られる筈なのに……」
「ルウ? え、大丈夫? そう、近くに戻ってきたのね、ルウは……」
コスモ
「わぁぁっ!」
アーシュラ
「あぁーっ!」
ベス
「ぐわぁぁっ!」
ドバ
「す、彗星が消滅をした!」
ギンドロ
「な、何だと? ドバ司令……!」
ドバ
「全艦隊を後退させろ! 爆発に巻き込まれるな!」
「訳は知らんよ。しかし、イデの成さしめた業とはいえる」
「うむ……が、ともかくも、終わった」
ギンドロ
「ドバ総司令」
ドバ
「ん?」
ギンドロ
「くれぐれも……」
ドバ
「うむ」
ギンドロ
「オーメ財団の協力があった事を忘れないでいただきたいものですな」
ドバ
「忘れようがない。これで我々は、ようやくズオウに対決出来るというものだ」
ハルル
「確かに……彗星が消えた。ロゴ・ダウの異星人が消えたのか? 信じ難い」
「ポイントへ急げ!」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
バッフ・クラン兵
「彗星が消えた辺りから、流星が発生している」
 〃
「原因調査を急げ」
ナレーション
その頃、コスモ達の地球では異変が起こっていた。
そしてそれは、カララやドバ達の地球でも同じであった。
ロウ
「す、既に防御網は突破されて、今や流星の狙い撃ちに身を晒すだけでございます」
ズオウ
「むぅ……」
侍女
「お薬は?」
ズオウ
「いや……」
「イデなる力が来んとなれば、ドバめ……ん?」
ロウ
「おぉっ……!」
ハルル
「何? 死んだ……」
ドバ、ギンドロ
「死んだ?」
ドバ
「流星が直撃……ズオウ大帝が死んでというのか」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
ドバ
「地球そのものが全滅に近いというのが分からん。よく調べろ。その上で……」
バッフ・クラン兵
「ドバ総司令!」
ドバ
「少し待て!」
「いいか、流星の被害がどのようなものか……」
バッフ・クラン兵
「巨神です! 巨神が……」
ドバ
「煩い!」
バッフ・クラン兵
「ロゴ・ダウの船も巨神も生きています!」
ドバ
「何?」
通信
「こちら地球。キャラルの主要都市は全滅。声が聞こえなくなった」
 〃
「流星が人口密集地帯を狙い撃ちした。地球も滅亡寸前だ」
「各移民星の(?)達、聞こえるか? 諸君らの母星……キャンベルにも流星が! だ、駄目だ!」
ベス
「地球が……滅亡?」
「ハタリ! ハタリ! ハタリ、起きろ!」
ハタリ
「ベス……無事なのか、俺達」
ベス
「地球全滅という通信が入った。確かめてくれ」
ハタリ
「了解」
ベス
「対空監視、急げ!」
コスモ
「うぅっ……」
ベス
「イデオン、応答しろ! イデオン!」
コスモ
「デク、起きろ! 助かったんだ」
デク
「あ、あぁ……俺達、彗星にぶつかったんだろ?」
コスモ
「らしいな。バッフ・クランはまだ居るぞ。警戒しろ」
デク
「うん」
コスモ
「シェリルさんとルウも居たようだけど、見当たらないな」
カーシャ
「コ、コスモ、どうなってるの?」
コスモ
「生きてるよ」
カーシャ
「イデのパワーのお陰なの?」
コスモ
「さぁ……。さぁ、他のみんなのチェック、急いでくれ!」
カーシャ
「了解」
カララ
「ルウ! ルウ!」
コスモ
「あ? カララか。ソロ・シップ、ベス、カララがバッフ・クランの宇宙服を着たまま外に出た。チェック出来るか?」
ハタリ
「何だと?」
カララ
「ルウ! ルウはどこ?」
ハタリ
「了解だ。識別用コードを使ってくれている」
「ベス、カララが上甲板でルウを捜しているぞ。どういう事だ?」
ベス
「ルウを?」
「ロッタ! ロッタ! ルウはそっちじゃないのか?」
ロッタ
「すみません、シェリルさんがルウを連れ出して……」
ベス
「そうか、あの宇宙服にルウが……。シェリル……。なのにカララがルウを捜している」
バッフ・クラン兵
「亜空間飛行、解除3分前」
ハルル
「イデの力は無限力と云われている」
「となれば、ロゴ・ダウの船と巨神を倒すには、中の一人一人を倒してメカそのものを手に入れるしかない」
ギルバ
「はっ!」
ドバ
「残存艦隊の集結を急がせろ」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
ギンドロ
「ズオウ大帝亡き後、ハルル様は貴公の片腕となって……」
ドバ
「戯言を。巨神のあの力が我らに襲い掛かってきたら、バッフ・クランの地球如きは一瞬にしてなくなるんだぞ」
「もし、カララの理想主義とやらがイデの力をコントロールしたというのなら」
「我々も協力体制を取る事だ」
ギンドロ
「そうすれば、巨神を倒すも可能というのか」
ドバ
「そう。裏表のない人の調和という協力をな」
ギンドロ
「そんなものかな」
ドバ
「でなければ、イデを我らのものにする事は出来んよ。滅びの道を歩むだけだ」
ベス
「あっ! 目の前に!」
ハタリ
「くそっ!」
ベス
「白兵戦を仕掛けてくるつもりだな」
「全員、銃を取れ! バッフ・クランが来る!」
ハルル
「ギルバ隊に従い、ジョング隊発進! 敵艦と巨神を奪うのだ!」
デク
「こいつ!」
ギルバ
「敵艦に取り付けばミサイルは来ない! 行け!」
デク
「イデオン・ガンはどうなの?」
コスモ
「パワーが上がらない。デク、ミサイルはやめろ。敵が爆発したら巻き添えを食らうぞ」
デク
「彗星に当たっても平気だったのに、変じゃないか」
コスモ
「全くバリアが効いてないんだ。使いすぎたらしい」
デク
「使いすぎ?」
「こいつ!」
バッフ・クラン兵
「うわぁっ!」
ソロ星の軍人
「開けろ!」
コスモ
「デク、カララを捜してくる」
デク
「イデオンを動かす方が先じゃないの? コスモ」
コスモ
「馬鹿、まだ気が付かないのか? カララとルウが、イデの力をコントロールしているんだ」
「それに、お腹の赤ちゃん……。絶対に死なせてはいけないんだ」
「カーシャ、頼むぞ!」
カーシャ
「了解」
カララ
「ルウ、どこなのルウ……あっ!」
バッフ・クラン兵
「仲間か? ジョングがやられたのなら、さっさと引き上げろ」
カララ
「うわぁぁっ!」
コスモ
「カララ! 戻るんだ!」
カララ
「ルウ!」
コスモ
「カララ!」
ソロ星の軍人
「畜生……うわっ!」
コスモ
「このっ!」
バッフ・クラン兵
「うわぁっ!」
コスモ
「ベス!」
ベス
「コスモ! イデオンに戻れ!」
コスモ
「カララを見失った!」
ベス
「カララは俺が捜す! コスモはバッフ・クランの艦隊を近付けさせるな!」
コスモ
「了解!」
バッフ・クラン兵
「うわぁっ!」
コスモ
「くっ!」
バッフ・クラン兵
「うぅっ……!」
コスモ
「デク!」
デク
「コスモ!」
コスモ
「よくやった。ジョリバさん、大丈夫ですか?」
ジョリバ
「あぁ、ちょっと気絶しちまってたらしいな。すまない」
コスモ
「いえ、傷は?」
ジョリバ
「そんな事より、ゲージが点かない。何故だ?」
デク
「これじゃイデオンは動かせないよ」
ファード
「撃ち方分かるの?」
アーシュラ
「ここ、こうでしょ、こうやって……わっ!」
ロッタ
「あっ!」
バッフ・クラン兵
「うわぁっ!」
アーシュラ
「あっ!」
ファード
「んっ……!」
ロッタ
「伏せて!」
「バッフ・クランめ!」
バッフ・クラン兵
「うぅっ……!」
ハルル
「ギルバめ、まだ落とせぬとは攻め口が甘いな」
「第二次ジョング隊を発進させろ!」
バッフ・クラン兵
「うわぁぁっ!」
ジョリバ
「ノバのコックピットに移る。ノーマル・エンジンが咳き込んでるようだ。うぅっ……!」
コスモ
「頼む。このままでは乗っ取られる。ルウかカララの赤ちゃんが来てくれないと、パワーは上がらないのか」
バッフ・クラン兵
「うわぁぁっ!」
コスモ
「カララだ! カララを連れ戻すぞ。コントロールはカーシャに任せろ」
デク
「了解。イデオンはどうすんだよ?」
コスモ
「ハッチには電気を流しておけ。バリア代わりになる」
デク
「了解。イデオン・ガンが使えりゃ……!」
「わっ!」
「くそっ!」
バッフ・クラン兵
「うわぁっ!」
 〃
「うわっ、うぅっ……!」
コスモ
「カララは?」
カララ
「ルウ」
バッフ・クラン兵
「ありゃ何の光だ?」
「ん? うわっ!」
カララ
「はっ……ルウ! ルウ……」
ハルル
「はっ……カララ!」
「あれは……カララだ。何故そう思えるのだ、ハルル……。全ての始まりがあのカララだから、私には分かる!」
カララ
「ルウ! ルウ、目を開いてちょうだい、ルウ!」
カーシャ
「あぁーっ!」
ジョリバ
「何とかなりそうだ。ちょっとオーバー・ヒート気味だったんだ」
カーシャ
「急いで」
ベス
「ゲージが上がってくる」
ハタリ
「本当か?」
ベス
「しかし、イデの流れが偏っている」
「モニター」
「何があるんだ?」
ハタリ
「ルウじゃないのか? カララだって見付かっていないんだぞ」
ベス
「あぁ」
コスモ
「カララさん! カララさん!」
カララ
「コスモ!」
コスモ
「中に入りましょう! ここでは……」
カララ
「ルウが……はっ!」
キラルル
「あれか! ハルル様の仰る輝きは」
トロロフ
「間違いない。ポイントだ」
「ビーム発射。アス」
キラルル
「デル」
トロロフ
「トプ」
カララ
「あぁっ!」
カーシャ
「点いた! ゲージが」
デク
「パワーが上がったぞ」
ベス
「ゲージが輝いている」
ハルル
「流石、キラルルとトロロフだ。直撃を加えてくれた」
トロロフ
「妙だ。キラルル、あの輝きはビームの直撃によって起こるのとは違う」
キララル
「確かに。爆発による光ではない。何だと思う、トロロフ……はっ!」
コスモ
「バ、バリアなのか? カララ」
カララ
「ルウとお腹の赤ちゃんが……」
キラルル、トロロフ
「はっ……!」
ハルル
「うっ! ロゴ・ダウの船が!」
ベス
「うっ……!」
ハタリ
「エンジンが始動した!」
ベス
「進路を確保しろ!」
バッフ・クラン兵
「うぉぉっ!」
 〃
「亜空間飛行に入ったのか」
ハルル
「亜空間センサー、チェック急げ。追撃戦に入る。ザンザ・ルブ、回収急げ」
カララ
「コスモ、一体どういう事なのかしら?」
コスモ
「わ、分かりません。お腹の赤ちゃんがルウに会いたがっていたって言ってましたね?」
「だから……なんでしょ? バリアが出たり……」
カララ
「そ、それが、イデの力を発動したの?」
コスモ
「より純粋な防衛本能をお腹の赤ちゃんが発揮してくれたんでしょう」
カララ
「その赤ちゃんとルウは、分かり合えるのかしら?」
コスモ
「乗ってください。ブリッジへ帰りましょう」
カララ
「えぇ」
ベス
「手薄な空域を探せ」
ハタリ
「ん? 待て。イデの流れの偏りがブリッジに向かっているぞ」
ベス
「何? どこか分かるか?」
ソロ星の軍人
「待ってくれ。艦内のようだ」
ギルバ
「船が動き出したのか?」
ソロ星の軍人
「ありゃ、コスモじゃないのか? バッフ・クランのメカと」
ベス
「何? いや、後ろはルウとカララだ」
ハタリ
「え? ルウとカララ?」
ベス
「ソロ・シップに入り込んだバッフ・クランを叩き出して、コスモをブリッジへ上げろ!」
バッフ・クラン兵
「うわぁぁっ!」
 〃
「うわぁぁっ!」
コスモ
「はっ……わっ!」
アーシュラ
「バッフ・クラン!」
コスモ
「や、やめろぉ!」
アーシュラ
「コスモ!」
ファード
「コ、コスモ、そんなのに乗ってるから」
コスモ
「ルウを見付けてきたんだ」
カララ
「元気よ」
ルウ
「まんま、まんま」
ロッタ
「ルウ! ルウ! 無事だったの?」
ルウ
「まんま、まんま」
ロッタ
「ルウ! あぁっ……すぐ上げますよ、ルウ」
コスモ
「ベスからの命令だ。ブリッジの後ろへ移動する」
トロロフ
「攻撃直前の拡大写真です」
ハルル
「カララだ。この輝きがバリアとなっているという訳か」
「カララは子を宿しているという。その上、赤ん坊を抱いている。そこにバリアか」
キラルル
「イデ発動の中心と考えて宜しいかと」
トロロフ
「でなければ、ザンザ・ルブのビームの直撃を跳ね除けるなぞ、考えられません」
ハルル
「ふっ、勝ったな、我々は」
キラルル
「は?」
トロロフ
「ハルル様……」
ハルル
「そうだろうが? 先のジョング隊の攻撃は闇雲の特攻であった」
「カララと赤ん坊だけを狙えばよいと分かれば、事は簡単」
「私も出る。当てにしているぞ」
ソロ星の軍人
「敵艦キャッチ! 近いぞ!」
ベス
「何故、こうもすぐ追い掛けられるんだ?」
ハタリ
「イデの力だよ。既に時空を歪めるエネルギーが放出されているんだ。逆探知は可能さ」
ベス
「とはいえ、今はエネルギーのパワーは落とせない」
ハタリ
「そうだな」
バッフ・クラン兵
「エネルギー(?)ブロックの調整に、後2時間は掛かります」
ドバ
「よし、良好。数時間の内にロゴ・ダウの船は、ガンド・ロワの射線上に誘い込める筈である」
「それまでに最大の能力が出せるように、調整を急げ」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
ギンドロ
「ガンド・ロワの性能を見せてもらえんかな?」
ドバ
「ギンドロ公の要望だが、出来るか?」
バッフ・クラン兵
「40%の能力でありますが」
ドバ
「それで良い」
バッフ・クラン兵
「映像切り替えます。前方に見えますのが、地球の10倍の大きさの惑星であります。これを直撃します」
ドバ
「発射後30分で直撃か」
バッフ・クラン兵
「はっ!」
ドバ
「やって見せろ」
「時間だ」
ギンドロ
「ん?」
「星が一つ消えたか」
ドバ
「そういう事だ。ガンド・ロワは、タウ・クスイ・クオリの超新星の莫大なエネルギーを集めて一点に集中させるシステム」
「あの彗星の如きエネルギーとは桁が違う。ガンド・ロワの射線上に巨神を誘い込めば一撃で叩ける」
ギンドロ
「確かに、信じるよ」
ドバ
「尤も、それもこれもオーメ財団の力があったれば出来た事」
ギンドロ
「そう思ってくれると有難い。以後も入魂にな」
コスモ
「このぉ!」
カーシャ
「ベス、バッフ・クランが! こいつら!」
バッフ・クラン兵
「うわぁっ!」
ベス
「はっ! とぁっ!」
バッフ・クラン兵
「うっ、うぅっ……!」
バッフ・クラン兵
「ギルバ様が……うわっ!」
コスモ
「我ながら……よく当たる」
ルウ
「まんま」
コスモ
「急いで!」
ロッタ
「さぁっ……!」
ベス
「ご苦労、コスモ。よく辿り着いたな。林の中にな」
カーシャ
「コスモ、怪我はない?」
コスモ
「あぁ」
カララ
「ベス!」
ベス
「カララ……よく戻ってきてくれた。よく……」
カララ
「ベス……」
コスモ
「イデオンは?」
カーシャ
「え? テクノとベントが中心になって補給中よ。デクも頑張っているわ」
コスモ
「そうか」
「ベス、カララはオメデタなんだってな。おめでとう」
ベス
「オメデタ? 何の……カララ、本当なのか。妊娠してるって」
カララ
「はい」
ベス
「カララ……。こんな時に赤ん坊か」
カララ
「ベスの赤ちゃんです。嫌なのですか?」
ベス
「いや、何故今まで教えてくれなかったんだ? 何故今まで……」
カララ
「皆さんに嫌われたら……」
ベス
「馬鹿、誰が……誰が嫌うもんか。カララ……」
カーシャ
「あっ……だからなのね? ジョリバとカララが助かったの」
コスモ
「そうだ。さっきは重機動メカの直撃さえ受けたんだ。だけど、全て助かったのは、カララのお腹の中に赤ちゃんが居たお陰だ」
カーシャ
「イデが、カララの赤ちゃんを中心に、力を発動させているっていう事ね」
コスモ
「ただ守りだけの為なのか、バッフ・クランをやっつける為の力なのか、それは分からないけれど」
ロッタ
「付け加えるなら、ルウが居る事も関係あるんでしょ?」
コスモ
「勿論さ。二人は会いたがっていたって、カララは言っていた」
ルウ
「まんま」
ロッタ
「よしよし……」
「でも、男の人って鈍感ね。言われるまで、カララの事気が付かなかったの?」
ルウ
「まんま!」
ベス
「戦争中だろ? 無理だよ」
ハタリ
「さてさて、事情が分かったんだ。我々ソロ・シップの防戦態勢も自動的に決まりだな」
ベス
「どういう事だ?」
コスモ
「そうじゃないか。カララのお腹の中の赤ちゃんは、ベス一人のものじゃない。ソロ・シップ全体を守る力になるかもしれないんだ」
「何て言ったっけな? 伝説の中に出てくる、救世主の名前で……」
カーシャ
「メシアでしょ?」
コスモ
「そう、メシアなんだ。ルウとメシアを中心とした防御ラインを引く」
カーシャ
「ふふっ、妬けるわね。カララ」
カララ
「すみません」
カーシャ
「コスモ、イデオンの方はコスモに任せていいんじゃない?」
コスモ
「何故?」
カーシャ
「私、ここでルウとメシアの守りに付きたいわ。いいでしょ?」
ベス
「いや……。コスモ、いいのか? むしろ、デクを船に戻した方が……」
コスモ
「デクをイデオンが受け入れたっていうのは、イデの選択だと思うよ。カーシャの言う通りでいい」
ベス
「イデの選択?」
カララ
「イデは、大人よりも子供の純粋な防衛本能にシンクロした訳ね」
ベス
「そうだな。イデがコスモ達に力を貸していたんだ。そうでなけりゃ……」
コスモ
「俺に操縦なんて出来なかったさ」
カーシャ
「私には、パイロットの素質はあったわよ?」
コスモ
「へぇ、そうかい?」
カーシャ
「そうですよ」
ルウ
「まんま……まんま」
ロッタ
「はい。すぐ、パン上げるからね」
「他の人の所にも戦闘食は渡ってるんでしょうね?」
「食事、持ってって」
コスモ
「あぁ、助かる」
「じゃあカーシャ、頑張ってな」
カーシャ
「コスモも……」
コスモ
「イデは俺達を守ってくれる……そう信じよう。でなけりゃ、カララに赤ちゃんなんて出来やしなかったよ」
カララ
「ではベス、また……」
ベス
「カララも……」
「戦闘配置に就けよ」
コスモ、カーシャ
「ふふっ……」
カララ
「何か?」
ロッタ
「いいえ。ベスさん、いい方なのね」
カララ
「はい」
カーシャ
「まぁっ!」
コスモ
「いいじゃないか」
カーシャ
「ねぇ、コスモ……しよ」
コスモ
「んっ……駄目だな、こりゃ」
カーシャ
「うん、駄目ね」
コスモ
「死ぬなよ、カーシャ。この戦いが終わったら……」
カーシャ
「少しは仲良くしようよね。怪我しないでね」
コスモ
「うん。じゃあ……」
トロロフ
「ジョング隊を発進させるズロウ・ザンが遅れています」
キラルル
「いや、今、亜空間解除する」
ハルル
「ん、急げ」
トロロフ
「はっ!」
ハルル
「キラルル、トロロフ、お前達は何故ヘルメットを付けぬか? 軍規違反だぞ」
トロロフ
「どうも、性に合いません」
キラルル
「ふふっ。トロロフは、ヘルメットで自分の美貌が隠れるのが嫌なのです」
ハルル
「ははっ……。それなら、キラルルとて同類だろうが」
キラルル
「は? はぁ……」
ハルル
「で、二人がそうならば、私はどうなる? 死ぬまでヘルメットをしてはならぬ訳だ」
トロロフ
「はぁ……仰せの通りです」
ハルル
「お世辞はいい。ふふっ……」
キラルル、トロロフ
「ははっ……」
コスモ
「デク」
デク
「遅かったじゃないか」
コスモ
「すまん。イデオ・ノバのコックピットに移れ。カーシャがソロ・シップに残った」
「カーシャには、メシアとルウを守ってもらうんだ」
デク
「メシア?」
コスモ
「カララのお腹の中の赤ちゃんの名前だ……うっ!」
デク
「ほら、今食べとけ?」
「死ぬかもしれないのに、何で食べてんだろ、俺」
「エンジンどうです?」
ベント
「調子は上がっている。ゲージも順調だ」
デク
「はい、お弁当」
ベント
「ひゃぁ、助かる」
デク
「コスモ、ゲージ良好。イデオ・バスタ、テクノさん宜しく」
テクノ
「おうデク、当てにしてるぞ」
コスモ
「出るぞ!」
デク
「イデオン・ガンを忘れるなんて!」
コスモ
「よーく気が付いた、デク!」
キラルル
「アディゴ隊が接触しました!」
トロロフ
「巨神が大砲を持っています。危険です。下へ回り込んで……」
ハルル
「ならん! あの砲は撃つまでに時間が掛かるようだ。直進しろ!」
トロロフ
「はっ! アディゴは構いません?」
ハルル
「任せる!」
コスモ
「パワーが上がっていない」
「ええい、もう戦いは無意味な筈だ! 何故戦う?」
キラルル
「敵の声?」
ハルル
「ロゴ・ダウの異星人か。私のダラム・ズバを殺して何を言うか! 恨み晴らさぬ訳にはダラムにすまん!」
コスモ
「それは俺達だって同じだ! 父を、母を、隣人を殺された!」
ハルル
「我らの母星を滅ぼした力を持つ異星人が、何を言う!」
コスモ
「誰がそうさせた!」
デク
「コスモ、撃っちゃえ!」
キラルル
「うっ……!」
トロロフ
「脱出します!」
ハルル
「よし、異星人の船に取り付け!」
キラルル
「こちらの方で銃声が」
ハルル
「うむ」
「何としてでもカララは、私の手で仕留めたい!」
トロロフ
「はっ!」
「カララはどこに居るのか?」
バッフ・クラン兵
「知るかよ。この奥じゃないのか?」
キラルル
「ハルル様!」
バッフ・クラン兵
「ジョングなしじゃ無理だ」
ハルル
「先導しろ!」
バッフ・クラン兵
「え?」
ハルル
「敵の防御線の一番厚い所に、カララが居る筈である」
トロロフ
「しまった!」
「うわぁぁっ!」
ハルル、キラルル
「トロロフ!」
ロッタ
「うっ……!」
ハルル
「カララはどこか?」
ロッタ
「カララ?」
ハルル
「教えねばお前を殺す! カララの居所を教えろ!」
ロッタ
「ハルルさんですね?」
ハルル
「カララはどこか?」
ロッタ
「私は、前にカララさんを殺そうとした女です。でももう今は、あの人は殺させません!」
ハルル
「小娘が!」
キラルル
「死ね!」
ロッタ
「うっ! うぅっ……!」
アーシュラ
「ロッタ!」
カララ
「お下がり!」
キラルル
「トロロフがやられ……!」
ハルル
「カララ!」
アーシュラ
「ロッタ!」
カララ
「ハルル姉さんか」
ファード
「あっ……!」
ハルル
「姉さん? カララ……よくも抜け抜けと」
カーシャ
「カララ、どこへ行ったの?」
ベス
「左舷の艦を叩いて!」
ハルル
「カララ、全ての元凶が己だという事を……」
カララ
「貴方は気付いている筈です。二つの地球の人々が憎しみ合わなければ、イデは目覚めなかった事を」
ハルル
「その素はお前が生んだのだ」
カララ
「うっ!」
ファード
「こいつ!」
カララ
「子供はお下がり」
ファード
「嫌だ」
カララ
「お分かりになりませんか? 憎しみは滅びの道です!」
ハルル
「ロゴ・ダウの異星人を倒せば済む事よ!」
カララ
「そこまで仰るなら、私は姉さんを殺し赤ちゃんを産みます。ロゴ・ダウの異星人のベスの子を産みます!」
ハルル
「おう撃ってみよ。裏切り者の女の撃つ弾が当たるものかよ」
カララ
「くっ……!」
ハルル
「んっ……下衆が!」
カララ
「うわっ!」
ファード
「やったなぁ!」
ハルル
「子供はいい!」
アーシュラ
「あぁっ! ロッタとカララが死んじゃったよ!」
カーシャ
「カララとロッタが?」
アーシュラ
「ロッタがぁ!」
カーシャ
「しまった……ベス、敵がそっちから回り込んだのよ! 何故分からなかったの!」
ハタリ
「右舷に新しい敵がデス・アウトしたぞ!」
ベス
「コスモ、急いでくれ!」
「よーしハタリ、対艦隊戦だ! イデオン・ガンで掃討させろ!」
ソロ星の軍人
「うわぁぁっ!」
キラルル
「如何ですか?」
ハルル
「大した事はない。バイラル・ジンが来たのか?」
キラルル
「はい。この船を包囲しているようです。脱出します!」
ハルル
「やってくれ」
コスモ
「凄い数の艦隊だ。よし、イデオン・ガンで掃討する!」
デク
「エネルギー良好」
テクノ
「妙だな。順調すぎるぞ、パワー・アップが」
カーシャ
「コスモ、聞こえて?」
コスモ
「何だ? 聞こえる」
カーシャ
「カララを守れなかった。ごめん」
コスモ
「何だと? カララが?」
カーシャ
「死んだわ」
コスモ
「バッキャロー!」
ラポー
「で、でも、どう考えたらいいの? こんな事ってあるの? いくら、いくら何だって変よ。これは……」
「ベスさん、悲しんでないで教えてください! これが、イデのやる事なの?」
「カーシャ、教えて! イデの力ってこういう事なの? ねぇ!」
カーシャ
「どうしたの? ラポー」
ラポー
「カララのお腹の中の赤ちゃんが生きているのよ」
ベス
「何? 本当なのか?」
ラポー
「気味が悪いくらい元気に動いているわ。まだ四ヶ月にもならないお腹の赤ちゃんなのよ? どういう事?」
ベス
「イデの……イデの発現なのか」
コスモ
「何だ? この暖かい光は……」
ハルル
「キラルル、何の光だ?」
キラルル
「は? はい。分かりません。磁器反応、放射能反応、時空反応、全てありません。電気的なものでもないようです」
ハルル
「力のない光なのか」
キラルル
「力? エネルギーがない? それは……」
ハルル
「この暖かさ、緩やかな輝き、何だ?」
「亜空間解除した艦隊はキャッチ出来るか?」
キラルル
「は、はい! バイラル・ジン旗下の主力艦隊が正面にあります」
ハルル
「バイラル・ジンに付けよ」
キラルル
「はい」
ハルル
「父に会ってみたく思う」
バッフ・クラン兵
「ハルル様の脱出カプセル・キャッチ。126ハッチ、収容急げ」
ドバ
「カプセル収容後、バイラル・ジン、ただちに亜空間飛行に入る。ガンド・ロワへ追い込むぞ」
ギンドロ
「ドバ殿、やれるのか? この輝きの真の原因も分からず、あのロゴ・ダウの船を倒せるとお思いなのか?」
ドバ
「やってみなければ分からんよ。我々はまだ存在しているのだからな」
バッフ・クラン兵
「ハルル様の収容、終わりました」
ドバ
「よーし、牽制攻撃を掛けつつ、ガンド・ロワへ誘き出せ!」
デク
「前方、ミサイル・キャッチ! 無数だ!」
コスモ
「イデオン・ガン、ニューロ加速器作動!」
デク
「バイオニック・コンデンサー、上がってる!」
テクノ
「行けるぞ、コスモ! パワー89!」
ソロ星の軍人
「ベス、第二波攻撃が始まった!」
ベス
「カーシャ、ここは任せるぞ。バッフ・クランの生き残りは入れるなよ」
カーシャ
「は、はい」
「さぁラポー、頑張って」
ラポー
「えぇ」
カーシャ
「カララの赤ちゃん、メシアとルウを守るのよ。戦いは終わってはいないわ」
ファード
「生き残ってる人、ここに呼んでこようか? カーシャ」
カーシャ
「無理よ。まだ敵は居るらしいし……。ベスの所から艦内無線機を借りていらっしゃい」
「他の人はバリケード造りよ」
アーシュラ
「ねぇ、カララはちゃんとメシアの事、分かるのかな?」
カーシャ
「どうして?」
アーシュラ
「だって、まだメシアは生まれていないのに、生まれたら分かるのかな?」
カーシャ
「え? 分かるわよ。カララはお空のお星様になって見てるもの。絶対に分かるわよ」
アーシュラ
「そうか、お星様になって見てんのね」
「なら、メシアが生まれてきてもカララには分かるから、メシアはお母さんの所には行かれるんだ。ね?」
カーシャ
「難しい事分かっちゃうのね、アーシュラ」
「お星様か……。そうよ、みんな星になってしまえ!」
デク
「コスモ、上から重機動メカの編隊だ」
コスモ
「了解!」
デク
「下からも来るぞ」
テクノ
「左右からもだ。凄い数だ」
コスモ
「これを最後の決戦にするのか」
デク
「左右に弾幕を張る」
テクノ
「上下ミサイル斉者! コスモはイデオン・ガンを使ってればいい!」
ベス
「イデオン、聞こえるか! デス・ドライブを掛ける! 敵の戦力を分散させる!」
ハタリ
「デス・ドライブ、スタンバイ!」
コスモ
「了解!」
バッフ・クラン兵
「傷は浅くありません。お大事に」
ハルル
「痛み止めを貰っておこう」
キラルル
「総司令閣下。只今、治療中でございます」
ドバ
「待たせてもらう」
ハルル
「総司令、何か?」
ドバ
「女らしい良い部屋だな」
ハルル
「お戯れを」
ドバ
「本当だ」
ハルル
「どうも」
ドバ
「傷はいいのか?」
ハルル
「何、大した事はありません」
ドバ
「ならいいが」
ハルル
「父上、弱気は禁物です」
ドバ
「馬鹿を言え。ロゴ・ダウの船を、ガンド・ロワの射線上に一気に誘き寄せる為の追撃を、こうしてやっているではないか」
ハルル
「それは分かります。が、あのロゴ・ダウの船への恐れと憎しみを薄れさせては、勝てませんぞ?」
ドバ
「それは違うな。私はバッフ・クランを守るという正義、我らに大義名分があるから戦っておる」
ハルル
「カララが異星人の子を宿していた……と、聞いた時もでしょうか?」
ドバ
「それで?」
ハルル
「あの子はこの事件の元凶であったにも関わらず、抜け抜けと子供を宿し、銃を向けた私に向かって子を産むと言ったのですよ」
「アジバ家の血の繋がりを持った女が、異星人の男と繋がって子を産む……許せる事でしょうか?」
「ですから私はあの子を撃ちました。即死でした! 私は妹を殺してきたのです、父上!」
ドバ
「よ、よく……撃ってくれた……。これで、アジバ家の血を汚さずに済む」
「即死させたのは肉親の情けというもの。よくやった、ハルル……」
ハルル
「いいえ……私は、アジバ家の血統の事とか、名誉を考えてカララを殺したのではありません」
ドバ
「ん?」
ハルル
「悔しかったのです。カララが憎かったのです」
「あの子は好きな男の子供を宿せたのに、私はダラムの遺言さえ手に入れられなかった。同じ兄弟でありながら……」
「だからといって、誤解なさらないでください」
ドバ
「何を誤解するなと言うのだ」
ハルル
「ロゴ・ダウの異星人全てへの復讐は、果たさせてください。その為に軍の指揮は執ります」
ドバ
「おう、執ってもらおう! 私はお前を女として育てた覚えはない!」
ハルル
「はい! 総司令閣下……」
「うっ、うぅっ……ダラム、助けて……」
ハタリ
「罠臭いな……如何にもここに来いと言ってるみたいだ」
ベス
「このままデス・ドライブを続けても、今みたいに攻撃される」
「おい」
ソロ星の軍人
「はっ! すいません」
ベス
「デス・アウトしよう。休める所を探そう」
ハタリ
「超新星がある。あの近くの惑星の陰に隠れられるか?」
ベス
「上々じゃないか」
ハタリ
「おい、艦内のバッフ・クランは掃除出来たんだろうな?」
ソロ星の軍人
「大体な」
カーシャ
「駄目、見ちゃ……」
コスモ
「何故だ?」
カーシャ
「顔だけ狙われて滅茶滅茶なのよ」
コスモ
「デク、向こういってろ」
デク
「いいよ」
コスモ
「はっ……綺麗だった人が……こんなに……」
カーシャ
「でも何故、ソロ・シップのバリアがカララに働かなかったのかしら?」
デク
「ルウとかメシアのせいじゃないのかな?」
カーシャ
「え?」
デク
「イデはカララより、メシアを大切にしたんだよ」
コスモ
「そうだな、デク。イデは、大人より子供や赤ちゃんを取ったんだ。そして、未だにメシアを生かしルウとも話しをさせている」
カーシャ
「何故?」
コスモ
「より新しい生命だからだろ?」
「そうか、新しい生命……分かったぞ、イデがやろうとしている事が」
カーシャ
「え?」
コスモ
「イデは元々、知的生命体の意思の集まりだ。だから、俺達とかバッフ・クランを滅ぼしたら、生き続ける訳にはいかないんだ」
「だから、新しい生命を守り、新しい知的生物の素をイデは手に入れようとしているんだ」
カーシャ
「地球に流星をぶつけて滅ぼしたのは、何故?」
コスモ
「悪しき心をなくす。イデは、善き心によって発動するって伝説は、この事だったんだ」
カーシャ
「そして、ルウやメシアのような純粋な心を守り、育てて……」
コスモ
「イデの残る力で、善き知的生命を復活させる」
カーシャ
「じゃあ私達は、何故生きていきたの?」
バッフ・クラン兵
「ロゴ・ダウの船が、ガンド・ロワのポイントへ入った。亜空間飛行解除する。全艦隊、バイラル・ジンに遅れるな」
 〃
「了解。各艦隊、包囲網をゲトルブロバに展開しろ」
ドバ
「取り逃がすなよ」
ギンドロ
「私は、地球に帰って戦力を立て直した方がいいと思うな。ひょっとして我が軍が退いて、イデの力が落ち着けば……」
ドバ
「ふむ、その後の地球の状況を知らんのか?」
ギンドロ
「ん?」
ドバ
「ズオウが居なくなっただけではない。私だけのホワイト・ラインだ」
「これは何か分かるか?」
ギンドロ
「惑星か衛星の写真だな。割れていくのか?」
ドバ
「我らの地球を監視するテレビが送ってきた映像だ。ズオウが居る訳はないのだ。大地が割れてしまえばな」
ギンドロ
「ん? こ、これが我らの地球という証拠はあるのか? ロゴ・ダウの異星人の母星かもしれん」
ドバ
「そうだな。戦艦一隻を貸してもいい。自分の目で確かめにいくか?」
ギンドロ
「あぁ、行かせてもらう! こんな話、誰が信じるものか」
ドバ
「信じる必要はないが、我々はイデの手の内で踊らされているかもしれんのだ。それだけは忘れん事だな」
ギンドロ
「では、何故戦う?」
ドバ
「イデがケリを付けたがっているからだろう。知的生命体を全て死に至らしめて、イデは次の時代を生もうとしている」
ギンドロ
「馬鹿な」
ドバ
「そうかな?」
バッフ・クラン兵
「亜空間解除」
ドバ
「見ろ、イデの采配がなければこうはならんよ」
バッフ・クラン兵
「ロゴ・ダウの船だ! 巨神はどこだ?」
ドバ
「全面ミサイル斉者!」
ハルル
「326戦闘大隊の重機動メカ、発進用意! 20秒後に亜空間解除する!」
「ガンド・ロワの射線上にロゴ・ダウの船と巨神を誘い込めばよい。これでこの戦闘は全て終わる!」
「バッフ・クランを守ってくれた者は、その名を末代まで語り継がれる!」
バッフ・クラン兵
「亜空間解除!」
キラルル
「ハルル様、宇宙服を」
ハルル
「指揮官が率先して逃げ支度は、士気に関わる。このブリッジは大丈夫と兵共に思わせねばな」
「それに、私の美貌が隠れてしまう」
キラルル
「お召しの時は声を掛けてくださいまし」
ハルル
「重機動メカの発進、急げ! ガンド・ロワとの射線、チェック!」
「お?」
キラルル
「ハルル様、これは……」
ハルル
「勝てるな。一気に追い込めば、ガンド・ロワのビームの上に寄せられるぞ」
「各艦、援護射撃を取りつつ、ゲトルブロバの布陣に移れ!」
ベス
「ソロ・シップとバッフ・クランは繋がっているのか」
「コスモ、聞こえるか? イデオン・ガンで敵の中核を狙い撃て」
コスモ
「敵の中心って言ったって、どこなんだ?」
デク
「ちょっと待って。分かりそうだ」
ベス
「各ミサイル、砲座、イデオンに敵機を近付けさせるなよ」
ハタリ
「はっ! 左へデス・アウト!」
ベス
「何?」
コスモ
「こんな所にデス・アウトして……」
ファード
「うぅっ……!」
カーシャ
「また来るわよ。全員、固まって」
コスモ
「特攻隊が来るぞ! デク、照準は分かったのか?」
デク
「正面の光だ」
コスモ
「赤い輝き……」
デク
「正面の惑星の向こうに居るらしいんだけど、イデオンのゲージの反応が強いんだよ。やれって事だろ?」
コスモ
「了解!」
ハルル
「ん? 前方の惑星に何が起こったのか?」
キラルル
「爆発するようです」
ハルル
「大砲だ」
キラルル
「は?」
ハルル
「巨神の大砲がこの船を狙っている」
「ぶつけろ! 亜空間飛行してでも、巨神の懐へ入る!」
ドバ
「ハルル! 重機動メカが発進中だというのに、何故亜空間飛行したのか?」
ハルル
「巨神の大砲です。あれの直撃を受ける訳にはいかないのです。報告をご存知ないのですか?」
ドバ
「ガンド・ロワに誘い込めばいい。このままで指揮を執れ!」
ギンドロ
「何故また亜空間に入ったのだ? 私に戦艦を貸さぬつもりなのか?」
ドバ
「戦局が落ち着いてからで良かろう」
ギンドロ
「約束が違う!」
ハルル
「よし、亜空間飛行解除しろ!」
ドバ
「ワシの命令を破るのか?」
ソロ星の軍人
「うわぁぁっ!」
コスモ
「テクノ、足を動かすな! イデオン・ガンで正面を照射すれば済む事だ!」
ベス
「どういう事だ? バリアが全く働かなくなっている」
ハタリ
「イデの力は上がっているんだぞ」
ベス
「イデのエネルギー・チェック、まだカララを中心に放出されているのか?」
ソロ星の軍人
「いや、船全体から四方へ放射されている」
ベス
「四方へ?」
ジョリバ
「ベス」
ベス
「ジョリバ、大丈夫か?」
ジョリバ
「イデオンの機関室だ。妙な現象が起きている」
ベス
「何だ?」
ジョリバ
「エネルギーがイデオン・ガンに集中しなくなっている。後一・二回撃ったら……うぅっ!」
ベス
「ジョリバ!」
ジョリバ
「カララの親父さんにやられてな、出血が酷いのさ。どうもイデの奴に見放されたらしいぞ、我々……」
ベス
「ジョリバ!」
デク
「やっぱり同じだ。コスモ、亜空間飛行中の敵をイデオン・ガンで撃てるかな?」
コスモ
「何?」
デク
「イデのレーダーが、確かに同じサインを送ってんだ」
コスモ
「回線を回せ」
デク
「了解」
コスモ
「これか」
テクノ
「いよいよお出でなすったぞ。重機動メカだ」
コスモ
「来させておけばいい」
「これで、敵の止めでも刺せるっていうのかい? イデ」
ハルル
「構わぬ! 戦闘指揮官は私である。亜空間解除してロゴ・ダウの船に体当たりを掛けろ!」
「ダラムの仇……あっ!」
キラルル
「ハルル様!」
ハルル、キラルル
「あぁーっ!」
バッフ・クラン兵
「三分の一をやられました!」
 〃
「何が来たんだ?」
 〃
「攻撃は外からだ! 外から!」
ドバ
「外? 通常空間から狙い撃ちをしたとでもいうのか」
ギンドロ
「私は地球へ帰る! こんな所で死にたくはない!」
「ぐわっ!」
ドバ
「そうか、分かったような気がする」
「知的生物がなければイデは存在し得ないのに、何故殺し合いをさせるのか、分かったような気がする」
「知的生物に不足しているのは、己の業を乗り越えられん事だ」
「欲、憎しみ、知恵の拘り……そんなものを引き摺った生命体が素では、イデは善き力を発動せぬ」
「となれば、自ら善き力の源たる知的生物を作るしかないと……」
ギンドロ
「ドバめ、貴公は己の力一つでこの軍団を動かしていると思ってか!」
ドバ
「分かるか俗物、私はそれほど傲慢ではないよ。だから、私の恨みと怒りと悲しみをロゴ・ダウの異星人にぶつけさせてもらう!」
「ハルルが男だったらという悔しみ、カララが異星人の男に寝取られた悔しみ……」
「こ、この父親の悔しみを誰が分かってくれるか……」
「何としてでも、ロゴ・ダウの船と巨神をガンド・ロワの射線上に誘き出せ!」
コスモ
「来る! モエラの台詞じゃないけど、運命は自分で作ってみせる!」
「俺達だって、ルウとメシアと同じだ! 十分に生きちゃいないんだ!」
カーシャ
「スペアを!」
ファード
「後5穣しかないよ」
カーシャ
「持ってきといて」
ファード
「うん」
アーシュラ
「カーシャ!」
ファード
「カーシャ!」
「うぅっ……見ちゃ駄目だよ!」
アーシュラ
「死んじゃったの?」
ファード
「あぁ、死んじゃったよ!」
アーシュラ
「ファード……」
ファード
「ここは僕らで守るんだ! ルウも!」
アーシュラ
「あぁん!」
ファード
「カララも、ロッタも、カーシャも……みんな僕らで守ってやんなくちゃいけないんだ!」
「泣くなよ、アーシュラ!」
ラポー
「カーシャ! 手を貸して、弾丸を見付けたわ!」
ファード
「カーシャが死んだよ!」
ラポー
「え、何で?」
「カーシャ! 何で……」
ファード
「ラポー、まだ敵は居るんだよ。しっかりしてよ」
ラポー
「そ、そうね、ファード」
コスモ
「や、やられるか!」
ベス
「奴はいい! 全員、ブリッジで守備を固めろ! ルウを忘れるな!」
「カーシャが死んだか……」
ハタリ
「え?」
ベス
「いや」
ハタリ
「おかしいぞ、ベス」
ベス
「何が?」
ハタリ
「左舷からの攻撃に集中している。バッフ・クランめ、何か企んでいるんじゃないのか?」
ベス
「まだ別の主力艦隊でも居るのか」
ラポー
「バリケードを造るのよ!」
ベス
「イデオン、左翼を調べろ!」
コスモ
「デク! 右翼、正面後ろ! 何も見えないのか?」
デク
「何も! 艦隊らしいものはないけど」
ベス
「左側からだけの攻撃だ。何かある」
コスモ
「そうだ! デク、テクノ、よく探せ!」
ベス
「コスモ、カーシャが死んだ!」
コスモ
「嘘! くっ……」
「死んだ? カーシャが? 嘘だろ、ベスさん。嘘だろ、ベスさん」
カーシャ
(回想)「じゃあ、私達は何故生きてきたの?」
デク
「居た! 正面に! 大きいものが一つある!」
コスモ
「大きいもの?」
「こんな……こんな甲斐のない生き方なんぞ、俺は認めない。例えそれが、イデの力によろうともな」
デク
「ぶつ切りにだけど、エネルギーが来るよ」
コスモ
「よし、これで十分。バッフ・クランを蹴散らしてやる」
テクノ
「待てよ、前方の一隻だけの大型戦艦が気になる」
コスモ
「今は、ソロ・シップを防御する事の方が先だ。それからの事だ」
「上の編隊を狙う」
「駄目か」
ベス
「何てこった。この空域には、今まで撃墜した数と同じくらいの戦艦が居る」
ハタリ
「第3エンジンの出力は下がってるんだ。デス・ドライブを掛けるか? どこでも同じだろうけどな」
ベス
「あぁ、直径350万光年の空域は、どこも同じようだな」
ハタリ
「くそっ、何てこった。イデの力が益々不安定。ベス、バッフ・クランの核を叩かにゃ」
ベス
「核?」
「イデのレーダーはどうなっているか?」
「おい、センターの輝きはどこのポイントだ?」
ソロ星の軍人
「変なんだ。イデオンの方で見付けてくれたものと、同じ位置にあるんだ、一つだけ」
ベス
「イデの力なら映像が取れる筈だ。やってみろ」
ソロ星の軍人
「了解」
「あれだ。コンマ5、天文体の距離だ」
ベス
「光っている?」
ギンドロ
「これで終わるのだな、ドバ」
ドバ
「ロゴ・ダウの船には、後2分ほどで直撃をする。しかし、これで我々も半分の戦力を失い、二万の将兵しか残らん訳だ」
「ん?」
ギンドロ
「ふふっ、気にするなドバ。死んでみて貴公の本音がよく分かる」
「貴公は本気でバッフ・クラン一族の事を考えている。疑って悪かった」
ドバ
「何だ? 残留思惟か。イデの業というのか。イデの真の発動が始まっているのか」
コスモ
「ソロ・シップと接触すれば、パワー・アップの一つもすると思ったが」
「ベント、テクノ。ミサイルの残りはどのくらいだ?」
ベント
「20%ってとこだ」
テクノ
「冗談じゃないぜ」
ベント
「しかしな、機関部は動いている。イデの力を溜め込んでるみたいだぜ」
デク
「まだ絶望的じゃないんだ」
コスモ
「正面! 何だ?」
ハタリ
「正面?」
ベス
「荷粒子砲……」
「イデオンのゲージが!」
ファード
「あぁっ……!」
バッフ・クラン兵
「あっ! 何だこれは? ガンド・ロワの作戦が始まったのか?」
 〃
「まさか! まだ早いぜ!」
ドバ
「直撃だ!」
コスモ
「死ぬかよぉ!」
「うわぁぁっ!」
デク、テクノ
「わぁぁっ!」
ベント
「わぁぁっ!」
ベス
「おぉっ……!」
バッフ・クラン兵
「わぁぁっ!」
ファード
「あぁっ……!」
ラポー
「きゃぁぁっ!」
カララ
「ではメシア、頼みます」
ドバ
「5分後にビームは消滅する。ロゴ・ダウの船と巨神の消滅を確認し、以てこの作戦を終了する」
「30分後に祖国に関しての重大発表をする。残存艦隊集結しつつ待機せよ」
コスモ
「はぁっ、はぁっ……」
「イデめ、何故教えてくれる?」
デク
「間違いないよ。これが本当の敵だって教えてくれてんだよ」
コスモ
「ベ、ベス、行くぞ。いいな? ここまで痛めつけられると、ワン・ポイント攻撃しかない」
ベス
「了解だ!」
ラポー
「ベス、早くケリが付けられないの?」
アーシュラ
「まだ来る!」
ファード
「アーシュラ!」
ベス
「デス・ブレーキのタイミングはコスモの指示に従え!」
ハタリ
「了解!」
コスモ
「デス・ドライブ・ブレーキ!」
ハタリ
「了解……うっ!」
「馬鹿な……俺はまだ、何もやっちゃいないんだぞ」
コスモ
「これか!」
デク
「これじゃない! イデが教えようとしているのは、これじゃない!」
ベス
「コスモ! ワン・ポイント攻撃を忘れるな!」
ラポー
「ファード、照準を!」
ファード
「わぁぁっ!」
ラポー
「ファード!」
バッフ・クラン兵
「ええい!」
ラポー
「うぅっ!」
バッフ・クラン兵
「ぐわぁぁっ!」
 〃
「あぁぁっ!」
ベス
「ワン・ポイントだ、コスモ!」
ドバ
「全く損害を受けていないのか? 巨神もロゴ・ダウの船も」
コスモ
「こんなのを相手にしていちゃ駄目なんだ。イデの教える敵はどこだ」
デク
「右だ! 1時の方向!」
コスモ
「はっ……あの向こうか!」
ドバ
「あの向こう……ロゴ・ダウの異星人か」
「また、私の目の前に現れるのか。ロゴ・ダウの異星人め、何故だ?」
コスモ
「分かっている筈だ!」
ドバ
「何?」
コスモ
「イデの導きだろ!」
ドバ
「イデの導き?」
コスモ
「そうさ。俺達出来損ないの生物の、その憎しみの心を根絶やしにする為に、イデは!」
ドバ
「我らを戦わせたのか!」
デク
「イデも生き延びたいからな!」
ドバ
「そうだった!」
コスモ
「分かった。敵の中心が分かったぞ」
ベス
「イデオン! ど、どこへ行くんだ?」
「こ、こんなんじゃ、みんな……うっ!」
「こいつ……!」
コスモ
「見えたぞ!」
デク
「イデオン・ソード全開!」
コスモ
「直接ぶちのめしたい!」
デク
「コスモ、熱くなりすぎるぞ」
ドバ
「ガンド・ロワ発射用意!」
バッフ・クラン兵
「ドバ総司令! そんな事をすれば我々も……」
 〃
「このバイラル・ジン……」
ドバ
「侍なら潔く死んでくれ」
バッフ・クラン兵
「しかし、我々の地球が……」
ドバ
「うろたえるな。まともに戦って勝ち目はない相手だが、あと一息で殲滅出来る」
バッフ・クラン兵
「総司令は、バッフ・クランの血を根絶やしにされるおつもりですか?」
ドバ
「二人でも三人でも生き残ればよい」
バッフ・クラン兵
「我々はイデなど欲しくはない。巨神に負けてもいいのだ。生き延びられれば」
ドバ
「見ろ、巨神は我々を生き延びさせてはくれん」
「巨神は真っ直ぐにこのブリッジに向かっている。その訳が分かるか?」
バッフ・クラン兵
「ここに?」
ドバ
「バッフ・クランとしての業を持った男が、この私だからだ」
バッフ・クラン兵
「では、殺させてもらいます!」
ドバ
「しかし、もう後戻りは出来ん。イデは発動した」
バッフ・クラン兵
「そんな事はない!」
 〃
「うっ、うわぁぁっ!」
コスモ
「発光している」
「ミサイルを!」
「こいつ、荷粒子砲そのものじゃないか」
「させるかぁ!」
ベス
「コ、コスモ……俺達は、やる事が全て遅かったのかもしれん……」
バッフ・クラン兵
「巨神め、死なば諸共!」
コスモ
「ヤロォーッ!」
デク
「わぁぁっ!」
テクノ
「うわぁぁっ!」
ベス
「ぐわぁぁっ!」
コスモ
「うおぉぉっ!」
ダミド
「あぁ、我々は迷う事はない」
マヤヤ
「メシアの光ですか?」
ダミド
「イデはそう言っていた」
グハバ
「おぉ、あれか、メシアとは」
トロロフ
「見付かりましたか? ゲバ殿」
グハバ
「トロロフ、迷わずに済みそうだ。一族郎党、皆追い付く」
コモドア
「怖くはないか? エミリア」
エミリア
「貴方、ご心配なく」
キッチン
「こら! ちゃんと並んで並んで! ほら、みんなで約束したでしょ? メシアの為に歌を唄うって」
リン
「ロッタ、遅かったじゃない」
ロッタ
「この子がね、まだ駄目なのよ? 甘えん坊さん」
ファード
「違う違う、僕は強い子だよ。アーシュラ」
アーシュラ
「あははっ……」
リン
「姉さん……シェリル姉さん、大丈夫かしら?」
ロッタ
「大丈夫よ。ほら、あそこよきっと」
リン
「あぁ! 姉さんだわ」
シェリル
「メシアよ。ギジェ、メシアが生まれたのよ」
ギジェ
「あれか? シェリル」
シェリル
「そう。みんな、あそこに居るわ」
ギジェ
「間に合ってよかった」
ガルババ
「ミヤ、お前の踊りを見せてやるか」
ミヤ
「ふふっ……」
ラポー
「モエラ! モエラ!」
モエラ
「ラ、ラポー、やめろよ。みんなに笑われるぞ」
ハタリ
「ふん、誰が笑うもんか。こっちは独り身だ」
テクノ
「全くさ。先が思いやられるぜ」
ベント
「いいじゃない、これからこれから」
ダラム
「ん? ハルル、起きるがいい。歌が聴こえる」
ハルル
「歌? 歌が? あぁ、可愛い歌だこと」
ダラム
「行くか」
ハルル
「はい」
キラルル
「歌? 歌のようだけど」
ジョリバ
「誕生日のお祝いの歌だ」
キッチン
「はっ……先に行っておいで」
「まだ気付かない魂がいる。コスモ?」
デク
「キッチ・キッチン」
キッチン
「デク」
デク
「コスモがまだ目が覚めないんだ」
キッチン
「コスモ……」
「デクはもういいわ。みんなの所へ行きなさい。後は私とカーシャでやる」
デク
「うん」
カーシャ
「あっ……こんなになっても、コスモは目覚めないの」
キッチン
「暖かいキスを」
カーシャ
「したわ。貴方がどうぞ」
キッチン
「疲れているのよ、きっと」
カーシャ
「メシアが旅立つというのに……」
カララ
「メシア、お飛び。皆さんの行く道を教えておあげ」
「そうよメシア、強い子だ」
ベス
「道を間違えないだろうか?」
カララ
「もうあの子達の時代です。任せましょう」
コスモ
「あぁっ……光が……」
キッチン
「コスモ……」
カーシャ
「コスモ……」
コスモ
「キッチン……カーシャ……」
「キッチン、君とは会いたかった。何もしてやれなかったから……」
キッチン
「そんな事はない。コスモが居ただけで、私には良かったよ」
コスモ
「そう言ってくれると嬉しい。キッチン」
キッチン
「子供達が待っているから……」
コスモ
「あれがメシア?」
カーシャ
「えぇ」
コスモ
「俺達のやってきた事、無駄じゃなかったんだろうか?」
カーシャ
「そんな事ない、そんな事ないよ、コスモ。飛んでご覧よ」
コスモ
「え?」
カーシャ
「ほら」
コスモ
「メシアか」
マヤヤ
「あれがコスモよ」
ダミド
「コスモ?」
コスモ
「ダミドにマヤヤ」
ダミド
「遅かったな、コスモ」
コスモ
「あぁ、色々拘りがあったからね」
ダミド
「分かる。これからは楽に行こう」
コスモ
「あぁ」
ドバ
「ズオウ、この少年です。そしてあの少女。イデの発現の中心に居た者達です」
ズオウ
「うむ、良き男女という訳か」
コスモ
「良き男女? 俺は単純なだけで、そんな……」
ズオウ
「この世の事、単純だ。単純であらねばならん」
ギジェ
「遅かったな、コスモ。待っていたぞ」
シェリル
「疲れは取れて? コスモ、カーシャ」
カーシャ
「ありがとう。もう、コスモも私もいいわ」
ロッタ
「元気ね、コスモ」
リン
「綺麗になったわ、ほら」
キッチン
「みんな元気よ」
コスモ
「キッチン、幸せになろうな」
キッチン
「当たり前じゃない。損しちゃうもの」