第21話 ザ・テンション

前回のあらすじ
ペンタゴナ・ワールドをオルドナ・ポセイダルが一瞬の内に統一したのも、星々の間の争いが長く続き過ぎたからだ。
そのポセイダルが治める、鉱物資源発掘の都市を独立させる為に、俺達は働いたって訳だ。
ハッシャ
「パラータで手に入れたカードにあった筈だ」
「これだ」
音声
「主要反乱分子で賞金を掛けられている者は、次の通りです」
「ハルッサ・サン、二千ギーン」
ハッシャ
「多いんだな……」
音声
「ガウ・ハ・レッシィ、一万ギーン」
「ダバ・マイロード、十万ギーン」
「ミラウー・キャオ、五百ギーン」
ハッシャ
「へぇ……こいつは纏まりゃ、大した額になるぜ」
スカラ隊
「ターナの座標、確認出来ません」
 〃
「これより座標をマニュアルに切り替えます」
イレーネ
「撃ち方やめ! エネルギーの無駄だ!」
イレーネ
「作戦参謀、どうやら氷の中に逃げられたようです。どうします?」
ギャブレー
「そんな事一々聞かずとも、自分で考えられんのか?」
イレーネ
「分かっておるが、私の独断でやって宜しいのか?」
ギャブレー
「キャプテン、あっ……!」
「ごほん、分かっているならばやってみせろ。アステロイド・ベルトから追い出せばいい」
イレーネ
「了解」
ギャブレー
「……多少は私の命令を聞く事を覚えたか。可愛くもなる……」
イレーネ
「偉そうに言えるのも、ターナを捕まえるまでだよ。ギャブレー君」
「ターナをアステロイド・ベルトより炙り出すぞ!」
アム
「もう、警報が鳴ってるってのに……!」
「いつまで寝てるの? ダバ、起きてよ!」
ダバ
「見付かったのか?」
リリス
「警報〜!」
アム
「まだみたいだけど」
ダバ
「分かった。すぐにブリッジに上がる」
リリス
「起きて!」
キャオ
「ん、もう! 当直が終わって寝たばかりなんだぞ? 寝かせてくれよ!」
アム
「キャオ……死んでもいいなら眠ってなさいよ」
キャオ
「へ〜、そうさせて貰うよ〜」
「イッ! もう、リリス……!」
リリス
「敵襲!」
アロン
「第一ソーラ・パネルがやられた!」
レッシィ
「ソーラ・パネル収容! 全速でこの空域を脱出する!」
ダバ
「待て」
レッシィ
「このままでは、発見されるのは時間の問題よ?」
アロン
「敵が離れていく」
レッシィ
「え?」
ダバ
「何だって?」
レッシィ
「逃げ切るチャンスよ」
ダバ
「仕掛けてきたんだ。楽観論を並べて何になる?」
キャオ
「あ〜っ、起きる事なかったじゃないか」
ダバ
「まだ決まった訳じゃない」
「無駄なエネルギー消費は禁止だ」
「ソーラ・パネルを見てくる」
レッシィ
「ダバ……!」
ギャブレー
「何故後退する? 私の命令を無視したのか?」
イレーネ
「監視カメラを放出してあります」
ギャブレー
「カメラ?」
イレーネ
「敵らしき者はフォローしています」
ギャブレー
「ならば、このまま……!」
イレーネ
「定例通信です」
ギャブレー
「え?」
スカラ隊
「アステロイド・ベルトの上に出ます」
イレーネ
「回線開け」
スカラ隊
「はっ!」
ギャブレー
「ギワザ殿か?」
イレーネ
「他に誰が居ますか?」
ギャブレー
「くっ……キャッチを急げ!」
パメラ
「出ました」
ギワザ
「反乱軍の戦果発表をする。反乱分子の検挙数は、スレンダー・スカラがトップに立った」
「だが、お前達は独立部隊だ。階級を上げられんが、補給物資は私が保障する」
ギャブレー
「有難う御座います」
イレーネ
「後は、ダバ・マイロードを捕えて、名実共にヘッド・ハンターになってみせます」
ギワザ
「そちらにネイ・モーハンを向けた。今後の作戦は彼女に任せる」
ギャブレー
「……言っている事が一々違う。ギワザ・ロワウ、どういう事だ?」
イレーネ
「ここまで奴らを追い詰めたのは私達だ。手柄を他の女に横取りされたくはない」
ギャブレー
「んっ……」
アム
「あれ、ハッシャ・モッシャ……」
ハッシャ
「敵が出たんだろ? 砲塔に上がるんだよ」
アム
「何してたの、ここで?」
ハッシャ
「ちょいと下痢気味なんだ」
「いい所に来てくれた」
アム
「あっ……!」
ハッシャ
「静かに言う事聞かねぇと、命がなくなるぜ」
ダバ
「ソーラ・パネルを」
アム
「ダバ……」
ダバ
「アム、はっ……!」
アム
「ごめん、ダバ……!」
ハッシャ
「せっかく脱いだヘルメット、もう一度してもらおうか」
ダバ
「ハッシャ、貴様……!」
ハッシャ
「セイバーを抜くのと、こいつに穴が空くのと、どっちが早い?」
ダバ
「ハッシャ……貴様、本気だな? 何故なんだ?」
ハッシャ
「あんたらと居ると逃げ回るだけだ。そういう生活は俺の性に合わないって言ったら、信じるのか?」
ダバ
「ざ、残念だけど、信じるな……」
ハッシャ
「なら宇宙服を着な、アム」
「さっさと着るんだよ!」
リリス
「はっ、何……?」
「あぁっ……!」
キャオ
「あ〜、結局寝られ……」
リリス
「ダバが、ダバが……!」
キャオ
「おい、リリス……!」
リリス
「ダバが、ダバが……!」
レッシィ
「どうしたの?」
リリス
「ハッシャに脅かされて……!」
キャオ
「ダバはソーラ・パネルの修理に出てんじゃないのか?」
リリス
「違うのよ! アムと一緒に……!」
マルシェ
「格納庫、どうしたの?」
キャオ
「何だ、マルシェ?」
マルシェ
「格納庫のハッチが開いてるぜ。ダバが出るのか?」
レッシィ
「モニターは?」
アロン
「カメラを塞がれている。映らない」
リリス
「連れて行かれちゃう〜!」
キャオ
「誰に?」
レッシィ
「ハッチを強制封鎖!」
アム
「アホ! オタンコナス!」
ダバ
「暴れるなよ、アム」
アム
「だって……!」
ハッシャ
「ダバの方が利口だな。自分の立場が分かってる」
ダバ
「あんまり乱暴な言葉を使うと、品性を疑われるぞ」
アム
「どうせ私は下品ですよ。昔はこんな卑劣な男の仲間だったんですからね」
ハッシャ
「俺だってこんな真似はしたくないが……」
「ポセイダルを倒そうってお前らが、ギャブレー一人に梃子摺ってるってんだ。愛想も尽きるぜ」
レッシィ
「キャオ、後は頼むわ」
キャオ
「おっと、俺が出る」
レッシィ
「キャオ……!」
キャオ
「リスタぐらい追い付いてみせる。エルガイムとの付き合いは俺の方が長いんだ」
レッシィ
「頑張って」
キャオ
「おうさ!」
パメラ
「隊長、ハッシャ・モッシャという男から通信です。ダバ・マイロードを売り渡したいと持ち掛けてきました」
ギャブレー
「何?」
パメラ
「条件は、賞金の七割を報酬として寄越せと言っています」
イレーネ
「ふん、これではネイ殿が来ても無駄になりそうですね」
ギャブレー
「そういう事だな……面白い、呑むと答えろ」
パメラ
「はっ!」
ギャブレー
「ハッシャか……」
ハッシャ
「ははっ、撃たねぇでくれよ?」
ギャブレー
「ご苦労だった、ハッシャ・モッシャ君!」
ハッシャ
「や、約束は守ってもらえるんだろうな?」
ギャブレー
「無論だよ。知らない仲ではないしな」
「ダバ・マイロード君、よく来たな」
アム
「良くはないわよ!」
ハッシャ
「黙れ!」
アム
「きゃっ!」
ダバ
「うっ、くっ……!」
ギャブレー
「確かにアム君とダバ君……こうも呆気なく幕切れになるとは、信じられないな」
ダバ
「俺はそうは思っていない」
アム
「幾らでも逃げ出してみせるわ」
イレーネ
「ふふっ……何とまあ、子供じみた……」
ダバ
「笑うがいいさ。ハッシャには裏切られたが、俺は君に伝えたい事があって捕まってやったんだ」
イレーネ
「負け惜しみか、見苦しい!」
ダバ
「知っているか、ギャブレー君?」
ギャブレー
「何をだ?」
ダバ
「俺はポセイダルに会っている」
ギャブレー
「ポセイダルに会っている? どういう事だ?」
ダバ
「ポセイダルは言っていたよ。軍の全て……ペンタゴナの全てをコントロールしてるってな」
ポセイダル
回想:「私が全てをコントロールしているから、お前はここまで来れたのだ」
ダバ
回想:「何を言う! 俺は自分の力で来た! お前が、どういうつもりでペンタゴナを支配しているのか知りたくてな!」
ポセイダル
回想:「私は、ペンタゴナの自然の摂理に従って、事を行っているだけだ。独裁を引くのも私の意志ではない」
ダバ
回想:「お前は、全てを自分の都合一つで解釈するのか?」
ポセイダル
回想:「何とでも言え。今は、私が全てを支配する神の子だ」
回想:「その私の掌で踊る者達……」
ギャブレー
「ポセイダルは、確かにそう言ったのか……?」
イレーネ
「嘘だ! ポセイダル様は、従う者には自由を与えてくれている! 我がスレンダー・スカラ隊がいい証拠だ!」
ギャブレー
「キャプテン、やめておけ」
イレーネ
「真実、ダバという男がポセイダル様に会ったなどと……!」
ギャブレー
「ダバのでっち上げとも思えん」
パメラ
「エルガイムとターナが接近します!」
キャオ
「アム、俺の声が聞こえるか?」
レッシィ
「ダバを忘れているよ!」
ギャブレー
「ヘビー・メタル発進! 二人は監禁しておけ!」
キャオ
「逃げ回らずに、始めからぶっ叩いておけばよかったんだ」
「はっ、やったぜ!」
「へん、数を出せばいいってもんじゃないんだよ!」
スカラ隊
「相手はたかが一機! 四方から攻撃しろ!」
 〃
「了解!」
 〃
「ヘッド・ハンターになる為、死ね!」
キャオ
「しまった! 挟まれた!」
「うわ……っ!」
スカラ隊
「捕まえたぞ、エルガイム!」
 〃
「たった一機で俺達とやろうなんて!」
キャオ
「こいつら……!」
レッシィ
「エルガイムだけじゃないんだよ!」
スカラ隊
「ターナが突撃してくる! エルガイムは任せた!」
 〃
「ラジャー!」
キャオ
「やたらに撃つな! 俺はまだ生きてる!」
レッシィ
「当てようったって、そんな小さな的、当たる訳はない!」
「来た! アロン、マルシェ、グライアだ!」
アロン
「チョコマカ動いたって無駄だ! こっちはゲーム・センターで腕を鍛えてんだ!」
スカラ隊
「脱出する! 回収を頼む!」
 〃
「ラジャー!」
 〃
「うわぁぁっ!」
キャオ
「スパイラル・フローのないコックピットで、これ以上持つ訳はないんだ!」
「手を放せ!」
「これじゃ、スレンダー・スカラに近付けない!」
レッシィ
「キャオ、一度アステロイド・ベルトへ隠れて!」
キャオ
「だけど、それじゃ……!」
レッシィ
「キャオが出過ぎなの!」
正規軍
「識別信号確認。スレンダー・スカラと、もう一隻はターナの筈です」
ネイ
「ふん、ギャブレーめ。私が来る事を知っていながら待てなかったという訳か」
「ヘビー・メタル隊発進後、我が艦は、アステロイド・ベルトの上に出る」
正規軍
「はっ!」
ギャブレー
「ダバ一人居ないと逃げ回る……ふっ、こんな脆い奴等の集まりで何を偉そうに……」
イレーネ
「これで私達の手柄になったという訳ですね」
ギャブレー
「そうだ。ヘッド・ハンター有資格者の私のな」
イレーネ
「スレンダー・スカラが砲撃をします」
ギャブレー
「作戦参謀は私だ!」
イレーネ
「ギャ、ギャブレー……!」
「うっ……!」
ギャブレー
「何事だ?」
アム
「あっ……!」
スカラ隊
「敵か?」
ダバ
「はっ!」
スカラ隊
「わぁぁっ!」
ハッシャ
「おっと、この……!」
アム
「ハッシャ!」
ダバ
「アム!」
「よくやった。これの調整キーを……」
アム
「え?」
ダバ
「このボタンを、最小のにして……」
アム
「ああ、レーザーを最小にしてテープを切るの?」
ダバ
「そうだ」
アム
「了解」
「ダバ」
ダバ
「じっとしてろ」
「……よし」
アム
「どうすんの?」
ダバ
「アム、俺のブーツを押さえてくれ」
「うっ、このっ……!」
アム
「やった!」
「あっ……!」
ダバ
「行こう」
アム
「はい」
「放っといてよ」
ハッシャ
「あ、くそっ……!」
キャオ
「敵のヘビー・メタルの動きが見えなくなった」
レッシィ
「見えない? モニターでは無理よ」
キャオ
「あ、錯覚かな……光が見えた」
「レッシィ、奴ら、氷伝いに接近しているようだ。出るぜ!」
レッシィ
「いや、ターナはいつでも飛び出せる。引き付けて、撃つ……!」
スカラ隊
「スレンダー・スカラの援護はどうします?」
 〃
「この距離なら、ターナのエンジンぐらいは止められる」
 〃
「やりますか?」
 〃
「おう!」
 〃
「俺のグライアの仇を討ってくれ!」
 〃
「任せとけ!」
キャオ
「増援なしでやろうってのか?」
スカラ隊
「うっ、いつのまに後ろに回ったんだ?」
正規軍
「スレンダー・スカラの連中め、まだ落とせないのか?」
「散開して各個に攻撃! 目標を捕獲する!」
スカラ隊
「バルムド! ネイ殿の部隊……!」
キャオ
「レッシィ、俺たちゃ、敵の増援を待ってたみたいだな」
レッシィ
「確かに……。でも見て、正面……!」
キャオ
「え?」
正規軍
「邪魔をするな! 俺達なら一気に落としてやる!」
スカラ隊
「人の手柄を横取りするとは、意地が汚いぞ!」
レッシィ
「おやおや、違う部隊らしい」
キャオ
「今の内に、スレンダー・スカラに突撃する!」
リリス
「行けぇ〜っ!」
キャオ
「よっしゃ!」
スカラ隊
「ネイの部隊だと」
アム
「もう、ダバったら、ちゃんと取ってくれないんだから……」
「あっ……!」
ハッシャ
「逃がすか!」
ダバ
「逃げるんじゃない、ターナへ帰るんだ」
スカラ隊
「あ、何だ? 待て!」
ダバ
「待たない!」
アム
「そう!」
ギャブレー
「ネイ殿の部隊がどれほど偉いというのだ? ターナを巻き込んでバルムドを落とすも構わん!」
スカラ隊
「し、しかし、それは……!」
ギャブレー
「流れ弾が当たるのだ。気にするな」
スカラ隊
「はっ!」
ギャブレー
「こういう事を軍は教えてはくれまい? キャプテン」
イレーネ
「確かに」
ギャブレー
「この作戦が上手く行けば、キャプテンの手柄としてギワザ殿に報告してやろう」
「平手打ちの借りは、必ず返す」
ネイ
「ギャブレット・ギャブレー」
ギャブレー
「これはネイ殿……」
ネイ
「この混乱は、どうした事なのです?」
ギャブレー
「スレンダー・スカラのヘビー・メタル隊のパイロットは、まだアステロイド・ベルトの戦いに慣れておりません」
ネイ
「我がバルムドを誤認しているようだ」
ギャブレー
「バルムド隊を引き上げさせて頂きたい」
ネイ
「エルガイムは落としたのか?」
ギャブレー
「いや、ダバ・マイロードとファンネリア・アムは、既に捕えております故、バルムド隊は後退させて頂きたい」
ネイ
「何だと? ではターナ攻撃は、片手間だというのか?」
ギャブレー
「いえ、そうは申しません。我が隊のパイロットの訓練の一環として……」
イレーネ
「ダバが逃げた!」
ギャブレー
「何?」
イレーネ
「追うんだ! 殺しても構わん、逃がすんじゃない!」
ネイ
「ははっ、ははっ……ダバを捕えた事をでっち上げとは言わんが」
「ターナの攻撃は我が方に任せてもらおうか、ヘッド・ハンター殿」
ギャブレー
「でっち上げだと? 言うに事欠いて……!」
パメラ
「ターナが来ます!」
ギャブレー
「撃ち落とせ! 出る!」
パメラ
「はい!」
キャオ
「アム、どこに居るんだ?」
アム
「ダバ、こっち!」
ダバ
「よし!」
スカラ隊
「ここだ」
ハッシャ
「格納庫へ出るのか?」
ダバ
「よく分かるな」
アム
「来た逆へ出てるだけよ」
ダバ
「んっ……!」
スカラ隊
「うわぁぁっ!」
 〃
「逃がすか!」
アム
「一度来た道は覚えるの!」
キャオ
「え、まだ居たの?」
ダバ、アム
「あっ……!」
アム
「この、裏切り者でしょ!」
ハッシャ
「煩い! 大の男が、いつまでも小娘の言う事聞いていられるか!」
ダバ
「アム、行くぞ!」
キャオ
「何、甲板の下から? 俺を狙った?」
「リスタ! ダバ、アムか?」
ダバ
「すまなかった」
アム
「ごめん、キャオ。大丈夫?」
キャオ
「大丈夫だって、こいつめ」
「ハッシャ・モッシャはどうした?」
ダバ
「直前まで俺達を追ってきた」
アム
「ごめんね、私が昔の仲間を引っ張り込んだばっかりに……」
キャオ
「へっ、いいっていいって。アムが元気ならいいんだ」
「何だ?」
ダバ
「どうした?」
アム
「どうしたの?」
キャオ
「ハッシャ……!」
ハッシャ
「気が付かれた!」
ギャブレー
「グライア隊、仲間内の小競り合いはやめろ。相手にしているのはネイ殿の部隊だ」
スカラ隊
「は?」
 〃
「まさか……!」
ギャブレー
「アステロイド・ベルトの上へターナが出る」
スカラ隊
「上でありますか?」
ギャブレー
「そうだ」
ハッシャ
「わっ、来るな……!」
キャオ
「こんな所で流されたら、絶対に見付かんないぜ?」
ハッシャ
「わっ……!」
キャオ
「お前みたいな……潰してやるぜ!」
ハッシャ
「た、助けてくれ……!」
ダバ
「やめろ、キャオ」
アム
「何でよ、ダバ? 私達を売った男なのよ?」
ダバ
「人が死ぬのは見たくない」
アム
「あいつは別よ」
キャオ
「分かった、捨てよう。後ろに拾ってくれる人が来た」
ダバ
「え?」
キャオ
「ちゃんと拾ってもらえよ、ハッシャ・モッシャちゃん」
ハッシャ
「あぁ〜っ!」
ギャブレー
「逃がさん。宇宙の藻屑になってもらおう、ダバ・マイロード!」
「わっ……!」
「き、貴様! 貴様は……!」
ネイ
「ギャブレット・ギャブレーの腹の内、よく分かった」
「引き上げる!」
正規軍
「はっ!」
ネイ
「出世すれば増長するか。成り上がり者の悪い癖だ」
ギャブレー
「ネイ・モーハンか……ああいう女の存在も、ダバが言うポセイダルの意志なのか?」
ポセイダル
回想:「私は、ペンタゴナの自然の摂理に従う者……今は全て、私のコントロールの元に置かれている……」
ギャブレー
「美しさは、悪意を秘めているともいうな」
アム
「私が悪かったんだわ。ハッシャなんか連れてきて……」
レッシィ
「そうかもしれないけど……ダバ、貴方にも油断があったんじゃない?」
ダバ
「油断はしてない。ただ、信じたかったんだ」
レッシィ
「ハッシャ・モッシャを?」
ダバ
「それもあるけど、ギャブレーもね」
レッシィ
「ギャブレー?」
ダバ
「あいつは悪人じゃないんだよ。成り行きでポセイダル軍に入っただけの男だ。彼にも……」
キャオ
「違うな。今の奴は、出世欲に凝り固まっただけになっちまってる。昔のギャブレーじゃない」
レッシィ
「ギワザが教育してね」
ダバ
「ギワザが……?」
レッシィ
「組織ってそういうものでしょ? 殊に軍隊は……」
ダバ
「だけど人は信じたいな、僕は……」
キャオ
「……『僕は……』だってさ!」