第32話 フラッシング・ネイ

前回のあらすじ
一つの記憶は人の中で絶えず増幅を続け、色取り取りの意味を与えていく。
それに支配されるのが人の悲しい性なのだろうか。
そんな思いを、マシンは一瞬足りとも忘れさせてくれる。
反乱軍
「こちらUW181、トライデトアル、ハムエッグ4枚」
「こちらハムエッグ4枚。応答願います」
通信先
「こちらSS81。ハムエッグ4枚確認しました、どうぞ」
アマンダラ
「お約束の品、手配は出来ています」
セムージュ
「いつもながらのご支援、有難う御座います」
通信先
「引き渡しポイントの照合を」
反乱軍
「どうぞ」
「イッカ、第五に切り替えてサポートしろ。解析する」
イッカ
「はい」
反乱軍
「ダバさんを呼んだ方が……」
セムージュ
「船の引き渡しくらい我々でやる。ダバ君達にはやる事が山ほどある」
反乱軍
「よし、コースが出たぞ」
キャオ
「あ、確かにグライアだ」
アム
「本当に大丈夫なの?」
反乱軍
「信用してくださいよ。陰から我々を支援しようって人、結構居るんですから」
アム
「隠れ反ポセイダルね……」
キャオ
「俺達が盗んだように見せればいい訳でしょ?」
反乱軍
「そういう事です」
ダバ
「行くぞ」
ロンペ
「よせよ、三人も乗れる訳ないだろ?」
キャオ
「大丈夫、大丈夫」
「発進」
協力者
「来た。あれじゃないのか?」
 〃
「うむ、そうかもしれん」
 〃
「ちょい待ち。白いヘビー・メタルと飛行機みたいな奴……」
「攻撃開始だ」
キャオ
「目一杯撃ちまくっちゃって、当たったらどうすんだい?」
ダバ
「一応援護する」
協力者
「うわ、当たったらどうすんだよ?」
キャオ
「アム、もうちょっと左だ」
ギワザ
「ワザンが動けんのか? ミズンにそれほど強力な反乱軍が居るとはな」
アントン
「はっ……しかしギワザ様、何故……?」
ギワザ
「何故、十三人衆を集めるというのか?」
アントン
「はっ……」
ギワザ
「スパイ活動に名を騙って、遊び過ぎの部下が多過ぎるのでな」
ダバ
「おっと、マジじゃないと調子が出ない」
ロンペ
「アム、スピリッツは無人だ。オートになってるから暫く待っててくれ」
アム
「何で私が重量挙げやってなきゃなんないのよ?」
キャオ
「こっちはOKだ。みんな乗ったか?」
マルシェ
「OKだ」
ロンペ
「こっちもだ」
ダバ
「よし、早く行け。後は適当にぶっ壊しておく」
アム
「あっ、危ないじゃない、ダバ……!」
ダバ
「つべこべ言わずに、早く行け」
協力者
「撃つぞ!」
 〃
「ははっ、持ってってくれた」
 〃
「毎度あり〜」
 〃
「もっと撃っとけ」
正規軍
「ミズン星のワザン・ルーン殿、ミズンに固定」
 〃
「リィリィ・ハッシィ殿、バーン・ガニア殿、ジャマーが厚く未だ応答がありません」
アントン
「やはり十三人衆を集めるのか、ギワザ殿は」
ギワザ
「ふふっ、締め上げるのだ。お前にその気があれば、十三人衆への昇進もあり得るぞ」
アントン
「私に……?」
ギワザ
「そうだ」
アントン
「如何です?」
ネイ
「案ずるな。十三人衆は集まりそうか?」
アントン
「まだ何とも……」
ネイ
「ポセイダル様は何故、クワサン・オリビー如きを近衛師団に……」
「何の用だ?」
アントン
「はっ……例のガウ・ハ・レッシィを助けましたヨットが、反乱軍と接触する様子です」
「ヘッケラーからの通信ですから、確かな情報です」
ネイ
「武器の受け渡しか」
アントン
「ネイ様、宜しいので?」
ネイ
「構うな」
「ガウンを」
アントン
「はっ」
ネイ
「このぐらいの傷、何でもない」
ダバ
「ご苦労様」
リリス
「どもども」
協力者
「余り悪どいやり方も考え物だな」
 〃
「ミズンほどは儲かりませんがね」
ダバ
「ミズン……?」
協力者
「ミズンは、それほど戦闘が激しいって訳か」
 〃
「そりゃそうですよ。少ないな……」
 〃
「冗談じゃないぜ。セムージュから出る金は少ないんだ。そっちは、ヘビー・メタルを横流しするだけの癖に」
 〃
「そりゃそうだけどさ……」
「あっ……!」
ダバ
「今日の攻撃は、そういう仕掛けになっていたのか」
協力者
「ダ、ダバさん……!」
「そう怖い顔しないで。ここは持ちつ持たれつって……」
 〃
「うわっ!」
ダバ
「戦いを金儲けの道具にするな!」
協力者
「セムージュさんが、戦力を強化したいと仰ったもんで……」
ダバ
「セムージュさんも知ってる事なのか」
「はっ……!」
「セムージュの船がない。どこなんだ?」
協力者
「し、知りません……!」
ダバ
「セムージュの船はどこだ? イッカ、お前知ってるんだろ!」
イッカ
「そ、それが……!」
パメラ
「作戦参謀殿」
ギャブレー
「連絡はモニターで済む筈だ」
パメラ
「塞がっておりましたので」
ギャブレー
「ふん……」
「何か?」
パメラ
「あ……ネイ様が、反乱軍の武器の受け渡しをキャッチしたので、お報せを」
ギャブレー
「ネイ殿が?」
パメラ
「作戦参謀殿?」
ギャブレー
「何故、お前が知っている?」
パメラ
「無線傍受は私の仕事です」
ギャブレー
「ふむ……」
イレーネ
「何か?」
ギャブレー
「ハッシャをブリッジへ呼べ。出動だ」
イレーネ
「はっ」
ギャブレー
「ふふっ、ネイばかりに手柄は立てさせんよ」
パメラ
「作戦参謀、私もお供させてください」
ギャブレー
「各自にそれぞれの任務がある。いい情報を有難う」
キャオ
「な、何だ? 敵か?」
「どこ行くの?」
ダバ
「セムージュ達を追い掛ける」
キャオ
「セムージュを?」
アム
「ダバ、一体……」
キャオ、アム
「あっ……!」
セムージュ
「流石だ。四隻の新造戦艦とはな……」
「受け渡しを急げ」
反乱軍
「ラジャー」
協力者
「発信コード照合、間違いないようです」
 〃
「受け渡しが済んだらどこかに降ろしてくれるんだろうな? こんな所で正規軍とドンパチなんて……」
 〃
「キャプテン、予定外の船が高速で接近しています」
 〃
「何? せ、正規軍か?」
セムージュ
「各員、各艦へ回れ」
協力者
「ちょっと待った。あんたら、つけられたんじゃないのか?」
セムージュ
「何だって?」
反乱軍
「セムージュさん、ターナです」
セムージュ
「何?」
リリス
「居た!」
ハッシャ
「つけてきた甲斐があったってもんだぜ」
「一足先にやっちまうぞ」
セムージュ
「ダバ・マイロード、どうしたんです?」
ダバ
「教えてください。貴方は、これだけの戦艦をどうやって手に入れたんです?」
キャオ
「相当値段の張るもんだぜ? まともにやってちゃ手に入れられるもんじゃねぇ」
セムージュ
「ダバ君だって知っているでしょ」
ダバ
「しかし、これだけの船がそう簡単に……」
セムージュ
「反乱兵はゲリラ戦には強くとも守りには弱い。その為には……」
アム
「それが戦艦と、どう繋がるの?」
セムージュ
「ステラ・コバンの戦いがいい例ではないですか。常に攻撃の態勢を作っておく為の戦艦です」
ダバ
「ポセイダル軍の中に、裏切り者が集団で居るとは思えません。お金は……」
セムージュ
「今周りにある全てが、貴方の戦力になるんです。それでいいではありませんか」
ダバ
「例えアマンダラだって……!」