第6話 あんたジロンの何なのさ

前回のあらすじ
惑星ゾラと言われている地球。しかし人々は、ゾラという名前を忘れて久しい。
ジロン・アモスは、キャリングの跡目を狙うホーラを追い出した。
その隙を突くように襲い掛かるは、グロッキー一家。
アイアン・ギアーは自ら巨大ウォーカー・マシンに変形して、それを追い払う。
しかしそれも束の間、またも来ますグロッキー。
ティンプ
「ふっ……。グロッキーの奴も中々しぶといな」
「んっ、んんっ……」
ダイク
「あぁっ……」
チル
「あぁっ、落ちちゃう」
ジロン
「左のアームを使え! 右のアームは前へ出すんだ!」
ブルメ
「あぁっ……!」
「ホバーを使うぞ。いいな? ジロン」
ジロン
「ホバーはガソリンを食いすぎる。アーム操作と足のバランスの取り方で上がってくるんだ」
「ブルメ、お前なら出来るだろ?」
ブルメ
「分かったよ」
ジロン
「口程じゃないな。サンドラットってさ」
ダイク
「ウォーカー・マシンは、みんな始めてだもんな」
ジロン
「それじゃ困るんだよ。グロッキー一家は必ず仕返しに来るんだ」
「エルチに一宿一晩の義理があるんだったら、ちゃんとやってみな!」
「順にやってもらうぞ」
ブルメ
「ははっ……ダイジョブ、ダイジョブ。一度やりゃ、ホバギーと同じだ」
ダイク
「サンドラットの腕の見せ所だ。助っ人らしくやってみせろ!」
ハイヤ
「よっしゃ」
「わぁぁっ!」
ジロン
「わぁぁっ……!」
チル
「わぁっ、落ちる!」
ジロン
「んっ、んんっ……馬鹿!」
「うっ、うぅっ……。俺を殺す気か?」
ハイヤ
「すいま……イテッ! すいません……」
ジロン
「くそぉっ……次ぃ!」
ガルロ、マーレ
「よいしょ、それっ……!」
ジロン
「駄目だ、駄目だ! そんなジャンプじゃ実戦に役立ちゃしない! 飛ぶ時は上体を前に屈めろって言ったろ?」
「こうだ! 分かったか? やってみせろ!」
ガルロ、マーレ
「それっ、それっ……」
ジロン
「ぐぬぬっ……ブルメぐらいに出来るようになるまで、やる!」
ダイク
「よし、やれ!」
ジロン
「連中がウォーカー・マシンに慣れてくれなけりゃ、俺はティンプを捜しにいけないじゃないか」
ラグ
「んっ……。ガラクタ倉庫か」
「あぁっ……」
「ん? うぅっ……。あぁっ!」
「いったいなぁ、もう……痛いじゃない!」
「ふんっ!」
「ブリッジかぁ」
「ふ〜ん……」
コトセット
「インター・カムに触るな」
ラグ
「居たの」
コトセット
「ここは俺の仕事場だ」
「くぁっ……これのどこが新品だ? 全く碌な物がないな」
ラグ
「この右端のスイッチは?」
コトセット
「エンジン・ルームと直通スイッチだ」
ラグ
「じゃあ……」
コトセット
「真ん中は攻撃室。左端は前の甲板。勝手に触んなよ?」
ラグ
「このマイク、使えるの?」
コトセット
「俺が作ったものなんだ」
ラグ
「じゃあ、使えるのね?」
「艦砲射撃、開始ぃ!」
コトセット
「あたぁっ! 馬鹿野郎!」
ティンプ
「ん? 演習か」
チル
「わぁっ!」
ジロン
「いつの間に囲まれたんだ? ここで待ってろぉ!」
コトセット
「このぉ! こいつ!」
エルチ
「何遊んでんの?」
コトセット
「遊んでる訳じゃ……」
エルチ
「砲撃止め!」
ジロン
「エルチ! 何なんだよ、一体?」
エルチ
「どういうつもり? コトセット……」
コトセット
「あいつですよ、あの女」
エルチ
「ラグ……」
ラグ
「そう、私よ。アイアン・ギアーの事全部知っておいた方が、いざって時、慌てないでしょ?」
「おっ……」
エルチ
「何の為にクルーが居ると思うの?」
ラグ
「呆れた。あんた、この船の持ち主でしょ? 全てクルーに任せるっての?」
エルチ
「ふん、いいじゃない。私はパパの跡、継ぐつもりないもん」
ラグ
「文化や芸術じゃ、お金の足しにならないのよ?」
エルチ
「勝手でしょ?」
ラグ
「待ちなさい」
エルチ
「何よ?」
ラグ
「いい加減に目を覚ましなさい」
エルチ
「私は文化に一生捧げるって言ってんの」
ラグ
「まだ……」
エルチ
「文化人はね、暴力は使わないのよ? 貴方も勉強しなさいな」
ラグ
「ふんっ、そのナイフ捌きの素早さも文化的だっていうの?」
「遠い星でいう文化的っていうの、何も出来ない人の事言うのよ?」
「あんたの方が暴力的じゃなくって? えぇ、エルチ・カーゴさん?」
エルチ
「そうね。私の方が本当はあんたより戦闘的タイプかもね」
「でもね、いいの。私、努力するから。あんた艦長やんなさい」
ラグ
「嫌よ」
エルチ
「私は文化的な女性になる為に努力するから」
ラグ
「エルチ……」
エルチ
「じゃあ、しっかりね〜」
ラグ
「エルチ、艦長はあんたよ?」
雇われ
「ひゃぁぁっ!」
 〃
「お、おやっさん、ティンプの奴が来ましたぜ?」
グロッキー
「修理に時間が掛かりすぎでぃ。急げ!」
雇われ
「はい」
グロッキー
「チッ、のろま共が……。ティンプって野郎、疫病神じゃねえのかぁ?」
ティンプ
「その言い草はなかろう。あんたがアイアン・ギアー甘く見すぎたんだよ」
グロッキー
「見ての通り、アイアン・ギアーを叩くどころか、えれぇ赤字もんだぃ。全くなぁ」
「あんたは残党倒すなんかわけないって言ったがな……」
ティンプ
「あぁ」
グロッキー
「ありゃぁ、あんたが言ってた以上のシロモンだぜぇ?」
ティンプ
「だからこそ、分捕る価値があるんだろ?」
グロッキー
「その為に、俺のアース・サンダーを犠牲にはしたくない」
ティンプ
「怖気付いたか!」
グロッキー
「んっ……」
ティンプ
「青いウォーカー・マシンも2機ある。ありゃ大した戦力になるぜ」
「それに、今度のバザーで集めたブルー・ストーンも5000は下るまい」
「そうすりゃ、今回の赤字も埋められるってもんだ」
「新式のアイアン・ギアーを分捕りおうせたとなりゃ、こりゃグロッキー、あんたの名が世界中に広がる」
「今後のビジネスもやり易くなるってもんだ。だろ?」
グロッキー
「それは分かってる。支度もしてんだろ。俺だってそれほど呆けじゃない」
ティンプ
「あんたの男が光って見えるぜ?」
グロッキー
「ふっ、ふふっ……」
ローズ
「お嬢さん遅いね、ふぅっ……。こんなに荒れちまってさ」
「ねぇ、もうやめなよ」
プロポピエフ
「上からの命令だよ」
ローズ
「あんた達もやめな? 手が荒れちまうよ」
プロポピエフ
「お前だって、まだ死にたくはなかろう」
ローズ
「そうだけどさぁ。私達は踊り子だし、お前さんだって私がいつまでも綺麗な方がいいだろう?」
プロポピエフ
「そりゃそうだ。そうに違いないが、死んじまったら綺麗も汚いもなかろう」
ローズ
「あんたったら……」
エルチ
「ジロン来てる?」
ローズ
「いえ、お嬢様。あの、言ってくださればお手伝いしましたのに……」
エルチ
「いいのよ、大事な本なの」
ローズ
「芸術の講義をするって言われて、私達、張り切って待ってましたのよ? ねぇ、あんた?」
プロポピエフ
「ゴホッ、ゴホッ……」
ルル・ミミ・キキ
「ふふっ……」
エルチ
「んもう、早くここに来るようにいって言っといたのに……」
ローズ
「本当にどうしたんでしょうねぇ? もう……。ねぇ、あんた?」
「キャーッ!」
プロポピエフ
「おぉっ……」
ルル・ミミ・キキ
「キャ〜ンッ!」
ラグ
「後方から敵艦接近! 戦闘配置に就け! ジロン、頼むわよ!」
「凄い勢いで近付いてくる……もっとスピード出ないの?」
コトセット
「俺が整備した艦に文句あるってのかぁ?」
ラグ
「じゃあ、任せるわよ」
コトセット
「スコープから離れるなー!」
ラグ
「あんたに命令される覚えないわよ」
コトセット
「ヘンッ! どいつもこいつも勝手言いやがって……」
ティンプ
「これがアイアン・ギアーの今の位置……これがアース・サンダー……そして、ここに追い詰める」
グロッキー
「ここは駄目だ。一歩間違えば、自分の首を絞めかねん」
ティンプ
「あんた……俺を信じてねぇな?」
グロッキー
「いや、信じるとも。そういうんじゃ……」
ティンプ
「じゃあここだ。ここに追い詰めりゃ、奴らの最後よ」
グロッキー
「針路2・0方向、ウォーカー・マシン出動だ。2機ずつ左右に別れ、奴らの進路を逸らすな」
「よし、威嚇射撃だ! アイアン・ギアーの左右を揺さぶれ! 2・0方向へ進路を向けさせろ」
ジロン
「うわぁっ!」
チル
「うわぁっ!」
ブルメ
「ダイク、バズーカだ!」
ダイク
「おう」
チル
「エンジン、ゴーッ!」
ジロン
「あぁっ……」
ラグ
「ジローン、乗せてぇ」
ジロン
「急げ」
「いてぇなぁ」
ラグ
「狭いのよ」
ジロン
「むぅっ、女だろ?」
エルチ
「待ってよ、ラグがどうしてジロンと一緒に乗るの?」
ジロン
「どけよ、出撃出来ないじゃないか」
エルチ
「ラグは他のウォーカー・マシンに乗ればいいんだわ」
ジロン
「どけよぉ!」
エルチ
「ジロンもジロンよ。私の約束ほっぽってラグと一緒って、どういう事?」
「あんた、ジロンの何なのよ?」
ジロン
「何でもないよ。ラグ、他のウォーカー・マシンに乗れ」
ラグ
「いいわよ」
エルチ
「ふんっ」
「そこの三人、ブリッジへ行って」
ブルメ
「俺達、あんたに命令される覚えないね」
チル
「な〜いね〜」
ラグ
「みんな! エルチはアイアン・ギアーの艦長よ。命令だよ!」
ブルメ
「我儘娘の艦長か! たまんねぇぜ」
エルチ
「敵のウォーカー・マシンは4機ね」
ジロン
「待て。エルチは船に残るんだ」
エルチ
「何で? あの三人より腕は確かよ?」
ジロン
「あんたがアイアン・ギアーを守ってくれなきゃ、兵隊は外に出て安心して戦えやしないんだぜ?」
エルチ
「兵隊?」
ジロン
「ふふっ……」
エルチ
「ジロン……」
ラグ
「あんたは艦長! 艦長はブリッジに居るもんよ」
「みんな、行くよぉ!」
エルチ
「あんたに言われなくったって分かってるわよ!」
「言って、ジロン。私、この船に残るわ」
ジロン
「さっすが、文化的!」
ジロン
「行くぞラグ、遅れるな!」
ラグ
「エルチより確かよ」
「見てなさい!」
「あぁっ……!」
ジロン
「ハイヤ達と、アイアン・ギアーの右へ行け! 俺は左だ! ラグの後ろに付け!」
ガルロ・マーレ・ハイヤ
「OK!」
ジロン
「敵艦を行かすな! アイアン・ギアーを守るんだ!」
「うぉっ……!」
チル
「あぁっ、敵のスピードが上がったよぉ」
コトセット
「全速前進!」
ダイク
「距離135、角度7」
コトセット
「もっと大声で言えー!」
ダイク
「距離135! 角度7!」
コトセット
「砲撃開始!」
ジロン
「何だぁ? どこ狙ってるんだ」
「あっ……」
雇われ
「んっ……わぁぁっ!」
チル
「ブルメぇ、後ろの敵に撃ってないよぉ?」
コトセット
「弾の無駄だ。砲撃やめーっ!」
「方向が全く違ってるって……」
ブルメ
「砲塔がこれ以上後ろに向かないの、知ってたんでしょ?」
コトセット
「向けさせろ!」
ブルメ
「じゃ、回れ右だ」
チル
「右ぃ」
「ダイクぅ、正面見てぇ」
ダイク
「凄い……霧の海だ」
ブルメ
「え?」
コトセット
「何だって?」
「全速前進、針路を1時の方向」
エルチ
「このまま霧の中へ突っ込むのよ」
コトセット
「そんな無茶な……」
エルチ
「敵の目を眩ますには、いい場所だわ」
コトセット
「いけません。こっちも同じ立場になるんですよ?」
エルチ
「ソナーがあるでしょ?」
コトセット
「役に立つか」
エルチ
「貴方自慢のアイアン・ギアーに、出来ない事はないでしょ?」
コトセット
「これとそれとはまた……」
エルチ
「艦長の私の命令よ」
コトセット
「か、艦長……」
エルチ
「コトセット、聞こえたの?」
コトセット
「はっ、聞こえてます!」
グロッキー
「アイアン・ギアーめ……!」
ティンプ
「いいじゃないか、貴様の腕の見せ所だろ?」
グロッキー
「そりゃそうだがね」
ラグ
「ハイヤ、ガルロ! 装甲板が厚すぎる! 運転席だけを狙うのよ!」
「あぁっ……!」
ガルロ
「あぁぁっ!」
マーレ
「きゃぁっ!」
ハイヤ
「ガルロ、マーレ、逃げろぉっ!」
ガルロ
「急げっ!」
「あぁっ、ぁっ……」
雇われ
「わぁぁっ!」
ジロン
「よーし、次ぃ!」
ラグ
「わぁぁっ!」
ジロン
「ラグ! こいつー!」
「やるぞぉ。ザブングル、何てパワーだ!」
雇われ
「うっ、ひぃっ……!」
ジロン
「ははっ……天下無敵のザブングル、恐れ入ったか!」
「ラグ!」
「居た……ラグ!」
「ラ……」
ラグ
「心配してくれた?」
ジロン
「うん。ラグ、良かった……わっ!」
ラグ
「どうしたの?」
ジロン
「よろけちゃった」
「何? どういうつもりだ。霧の中に入ったら、手も足も出せないぞ」
「ラグ、追うぞ。ハイヤ達は回り道して行け!」
ハイヤ
「了解!」
グロッキー
「4機だぞ。ギャロップはいいとしても、よりによってプロメウスもやられるとは、大赤字もんだ!」
ティンプ
「まぁ、そうおたつきなさんな。ブルー・ストーンが5000だ。それだけありゃ、何機新型が買える?」
グロッキー
「んん、そうだがな」
ティンプ
「やられたウォーカー・マシンで、まだエンジンの使える奴は集めさせな」
グロッキー
「エンジン抜き取りなら、帰りでもよかろう」
ティンプ
「チッチッ……いいから言う通りにしなよ。霧の中に入ったら使える」
グロッキー
「んんっ……」
「やられたウォーカー・マシンの回収に行ってこい」
ティンプ
「アイアン・ギアーは今どの辺だ?」
グロッキー
「あんた、一人で行ってくれんのか?」
ティンプ
「馬鹿言っちゃいけねぇな」
グロッキー
「あの速度と進路だ。この辺りだ」
ティンプ
「よーし、奴らの墓場にしてやる」
グロッキー
「わっ、気障! そういう台詞、好き」
ティンプ
「俺もだ」
ティンプ、グロッキー
「ははっ……イェイ」
ラグ
「あっ、あぁっ……!」
ジロン
「周音装置の出力を上げたせいだ」
ラグ
「あいつら、追い払ってよ」
ジロン
「こうやってか?」
「あれ?」
ラグ
「成る程……」
ジロン
「では……!」
ジロン、ラグ
「わぁぁっ……!」
ジロン
「大丈夫か? ラグ」
ラグ
「何とか……」
ジロン
「ラグ、足……」
ラグ
「あ、ごめん」
ジロン
「女のする事かよぉ」
ラグ
「アイアン・ギアー!」
ジロン
「アイアン・ギアーより小型だ。グロッキーの船だな?」
ラグ
「早くアイアン・ギアーを見付けないと……」
ジロン
「うん」
エルチ
「こんなレーダー、何にも分かりゃしない……」
コトセット
「そんなもんです」
エルチ
「ベェッ!」
ダイク
「エンジン音が大きすぎる。位置を教えてるようなもんだ」
ブルメ
「レーダー・コンパス、気休めに付いてんのね?」
コトセット
「使える時もあります」
ダイク
「来た。後ろからぴったりくっついてくる」
エルチ
「エンジンを止めて。やり過ごすわ」
コトセット
「ええいっ」
一同
「わぁぁっ!」
「しぃっ……!」
グロッキー
「エンジンを止めたな?」
ティンプ
「この近くに居る筈だ。こっちもエンジンを止めろ」
グロッキー
「エンジンを止めろ!」
エルチ
「真上で止まったわ」
コトセット
「身動きが取れないじゃないか」
チル
「大砲で撃っちゃえ」
コトセット
「こっちまで、ぶっ飛んじまうぞ?」
エルチ
「様子を見るしかないわ。ジロンでも来てくれれば……」
ジロン
「こんなに視界の悪い所で撃っても、当たりゃしない」
ラグ
「自分の居所を教えるだけだってのにね」
ジロン、ラグ
「わっ!」
雇われ
「うわぁぁっ!」
ラグ
「ジロン、あそこ! グロッキーの船みたい。止まっているわ」
ジロン
「よーし、なら……!」
グロッキー
「ティンプさん、上手く援護してくれよ」
ティンプ
「グロッキー、上手くいったらあんた、運び屋のナンバー3にはなれるぜ」
コトセット
「音が二つに分かれていく。どういう事だ?」
ブルメ
「奴ら、挑発してんじゃないのか?」
ダイク
「しかし、何をやるつもりだ?」
エルチ
「攻撃は近いという事ね」
「全員に銃を持たせて! プロポピエフ達にも!」
グロッキー
「では、作戦開始と行くか」
ジロン
「アイアン・ギアーが居るのに、何故グロッキーは……」
ラグ
「上に居るわ」
ジロン
「こらーっ! 帰れーっ!」
グロッキー
「青いの、アイアン・ギアーは貰うぞ!」
ジロン
「させるかーっ!」
コトセット
「奴らを一人も入れるなーっ!」
エルチ
「さぁ、教えた通り撃つのよ!」
キキ
「当たったぁ!」
ルル・ミミ・キキ
「キャーッ! やった、やったぁ!」
「あぁんっ!」
エルチ
「駄目だ……入ってくるわ。みんな、ここから動かないで! 攻撃は続けるのよ!」
ローズ
「お嬢さ……あんっ!」
エルチ
「ブルメ、ダイク、どう?」
ブルメ
「誰も入れはしな……うわっ!」
雇われ
「うわぁぁっ!」
エルチ
「はぁっ……」
ブルメ
「助かったぁ」
エルチ
「油断しちゃ駄目じゃない」
ブルメ
「ははっ……」
ラグ
「ジロン!」
ジロン
「待て」
ラグ
「敵の船が向かってくる!」
ジロン
「何ぃ?」
グロッキー
「遅かったな。……ん?」
ティンプ
「ふふっ……失敗しすぎたのさ、グロッキーさん。時には赤字を覚悟で勝ってみるのだったな」
グロッキー
「ティンプ! お前、一体……?」
コトセット
「突っ込んでくる!」
チル
「嘘! 嘘……!」
コトセット
「緊急浮上! もたもたすんな!」
雇われ
「うわぁぁっ!」
グロッキー
「ティンプ! 貴様、どういうつもりなんだ!」
コトセット
「やぁぁっ!」
ジロン
「逃げられたのに……何故だ? あのウォーカー・マシン……」
エルチ
「ラグ! ラグったら!」
ラグ
「何よ?」
エルチ
「降りなさいよ! ザブングルはもう一台あるのよ? 一緒に乗ってる事ないでしょ!」
ジロン
「じゃあ、お先に……」
ラグ
「駄目よ。ゆっくりなさい」
エルチ
「何したのよ、ジロンに! あんたジロンの何なのよ!」
ラグ
「『文化的な女性は、淑やかにして優雅でその会話は穏やかで、気品を第一とする』」
「そう書いてあるわね、貴方の文化の教科書にはさ!」
謎の声
「我々は戦いを続けさせる為に、お前に任務を与えている」
「しかし、あのアイアン・ギアーとザブングルを操る若者達は、秩序の破壊者となり得る」
「我々は強い者を好むとはいえ、彼らは別の種族になりそうだ。まだ早いのだ、彼らのような種族が生まれるのは」
「なるべく、早く消して欲しいものだな」
ティンプ
「心得ております。遊びはやめにしましょう、イノセント」