第8話 ミスにはミスがない

前回のあらすじ
惑星ゾラと言われている地球。しかし人々は、ゾラという名前を忘れて久しい。
ジロン・アモスは、緑の楽園とも思える土地で、一人の頑固な老人の生き様を見た。
家族が居なくなったのにも関わらず、最後まで戦うホッター老人の必死の姿。
その姿に、ジロンは自分の信念の持ち方が間違っていないと思うのだった。
ダイク
「町だ。イエロー・ヒル・タウンだ。見えたぞ、イエロー・ヒル・タウンだ」
エルチ
「バザー予定地よ。全員、用意!」
ブルメ
「ははっ……二、三日は羽を伸ばせるぜ」
コトセット
「コンピュータ・コアにホバー・ノズル……」
「バザーだぞ」
プロポピエフ
「おぉー、バザーだバザーだ」
「おや、今日は一段とお綺麗ちゃんねぇ」
ローズ
「ベェッ! 今日だけじゃないわよ」
「みんな、聞いたわね? ばっちり稼ぐのよ?」
ルル・ミミ・キキ
「は〜い!」
ジロン
「ふぅっ……」
「あ? 癖の悪そうな奴らだな……」
エルチ
「何なの? あんた達。そこをどきなさい」
ガイ
「この町はお前達に用はないとよ。さっさと失せろ!」
ジロン
「こっちもバザーを開く為に来たんだ」
ガイ
「黙れ! 一つのバザーは、一つの運び屋で仕切るのが当たり前だ。帰れ!」
ジロン
「うわっ!」
一同
「うわっ!」
ダイク
「うぉ……っ!」
ラグ
「ダイク!」
ダイク
「んっ!」
エルチ
「いきなり、何という事をするの? 大体、ここはカーゴ一家の縄張りの筈よ?」
ジロン
「うわぁぁっ!」
ガイ
「何しやがる! バザーでの喧嘩はご法度だろうが!」
ジロン
「仕掛けたのはそっちじゃないか。よくも抜け抜けと言えたもんだ!」
ガイ
「こんな世の中だからな。調子良くなきゃ生きられねぇんだよ!」
ジロン
「わぁぁっ!」
ガイ
「短い命だったな。死ね!」
ジロン
「わっ! いい大人が子供に向かってやる事かよ?」
ガイ
「お前らが来なけりゃ、こんな事にはならなかったんだよ!」
ジロン
「おっ……?」
ラグ
「外れた」
ダイク
「何やってんだ」
ラグ
「このスコープ、ずれてんのよぉ」
ダイク
「なら、直してから使えよ」
ラグ、ダイク
「わぁっ!」
荒くれ
「あれ? 別の運び屋が来たってのか?」
 〃
「カーゴ一家の新式ランド・シップだ」
ジロン
「わぁぁっ!」
ガイ
「うわぁぁっ!」
「あぁっ、や、やめろぉっ! 子供の癖に……わぁっ!」
「くっ、わぁぁっ……!」
荒くれ
「おいおい、俺はコンピュータ・コアが欲しいって言った筈だぜ?」
ガロンヌ
「ここは、マダム・ギャブレットのバザーなんだ。つべこべ言わずに持ってきなよ」
荒くれ
「ふん、ツブを見る目がねぇな」
ガロンヌ
「何だと……いてっ!」
ギャブレット
「マダム・ギャブレットじゃないよ。私はミス・ギャブレット」
荒くれ
「こ、これはミス・ギャブレット。へへっ……」
ギャブレット
「ごめんなさいね。これ、私の気持ち」
荒くれ
「あぁ、いやいや、これはどうも。へへっ……」
ギャブレット
「これからも宜しくね」
荒くれ
「あっ、ははっ……」
ガイ
「マダム・ギャブレット!」
「カーゴ一家のランド・シップが、あのアイアン・ギアーとかいう新式のランド・シップで……」
ギャブレット
「ミス・ギャブレット・ギャブレイ! 間違えないで欲しいね」
ガイ
「あっ、すいません! マダム……あっ、あぁっ?」
ギャブレット
「えいっ!」
「やっとお出ましという訳かい? ふふっ……」
エルチ
「はっ、また来たわ」
ジロン
「ん? どこのブレーカーだ?」
ギャブレット
「私はビッグマンの手の者、ミス・ギャブレット・ギャブレイ」
「この町は私が仕切っている。あんた達は出ていった方が身の為だよ」
ジロン
「何がミスなもんか。年増女が!」
エルチ
「ギャブレット?」
「イエロー・タウンは、カーゴ一家のテリトリーだったものよ。手を引くのはマダムの方でしょ?」
ギャブレット
「マダムじゃない! ミス・ギャブレット! 出ておいき、小娘!」
ブルメ
「出ていくのはそっちだろ、婆さま」
ギャブレット
「その手の言葉を使うな! その手の言葉を!」
ガロンヌ
「ボスのキャリング・カーゴは死んだ筈だ」
ジロン
「今はエルチ・カーゴがボスだ!」
ギャブレット
「ふっ、そう。念の為に聞くけど、イノセントに名義変更届けは済ましたんでしょうね?」
エルチ
「名義変更届け?」
ブルメ
「えっ……?」
ジロン
「な、何だ? そりゃ……」
ギャブレット
「ははっ、運び屋の権利を引き継ぐ手続きをしなきゃ、アイアン・ギアーはイノセントに取り上げられちゃうよ?」
コトセット
「そうだったっけかなぁ?」
「なぁ?」
ファットマン
「んっ……」
ギャブレット
「どうしたのさ? バザーどころじゃないだろ、えぇ? 文句あんなら言ってみな?」
「ガキンチョだけが集まって、バザーが仕切れるんならやってご覧よ」
ラグ
「年増女がよく言うわ。ダイク、やってやろうじゃないの」
ジロン
「ここを突破すりゃバザーは開けるんだ。やるぜ?」
エルチ
「待って」
ジロン
「おっ……?」
エルチ
「調べてみるわ」
「コトセット、アイアン・ギアーを後退させて」
ブルメ
「エルチ……」
コトセット
「了解、艦長!」
ギャブレット
「だからって私は黙ってないよ。年増女だと言ったあの子達の口は引き裂いてやる」
「このギャブレット、伊達に歳は取ってないんだから」
ガロンヌ
「じゃ、やっぱし……うっ!」
エルチ
「んんっ、えっとえっと……」
「んもう、一回読んだだけでは何が何やら全く分からないわ! どうなってるの?」
「煩いわね!」
ジロン
「俺も手伝うぜ」
ラグ
「あっ、待って! 私も行く」
ブルメ
「早くしろよ」
ラグ
「うん!」
荒くれ
「馬鹿野郎! もっと飲ませろ馬鹿野郎が、うぃっ……」
ローズ
「あら、手伝ってくれんじゃないの?」
ジロン
「悪いけど、用があるんだ」
「手を貸してやんな」
ラグ
「よしなよ、ティンプなんて捜すのさ」
ブルメ
「やめときな。ジロンは頭に血が上ってんのさ」
ラグ
「んっ……おかしいよ、ジロン。ったくさ……」
ガロンヌ
「おっと……」
ジロン
「ねぇ、こんな男、見なかったかい?」
荒くれ
「あ? 俺は三日も食ってねぇんだ」
ジロン
「ん?」
荒くれ
「ただで人に物、尋ねようってのかい?」
ジロン
「んっ……」
荒くれ
「へへっ……やっぱ、知らねぇや」
ジロン
「くっ……!」
荒くれ
「ありがとよ、坊や」
荒くれ
「あとどのくらい掛かるんだ?」
鍛冶屋
「こんなひん曲がって……」
ジロン
「ちょっと訊きた……あっ!」
荒くれ
「いてぇぇっ!」
ジロン
「あぁ、悪い悪い」
荒くれ
「てめぇ、人の足踏んでただで済むと思ってんのか?」
ジロン
「だから謝ったじゃないか。足を踏んだくらいで……あっ!」
「このぉ、いきなり……!」
「あっ!」
荒くれ
「うっ、うぅっ……」
メディック
「どうした? ブランコ蛇の毒だなぁ」
ジロン
「ブランコ蛇?」
メディック
「お前、やったのか?」
ジロン
「いや、ナイフを投げた奴が居る」
メディック
「あ? どっかで会ったっけかな?」
ジロン
「カーゴ一家のバザーでね」
メディック
「あっ! 治療代踏み倒した……」
ジロン
「もう時効だよ。でも、あん時は助かったぜ。ありがとうメディックさん。じゃあな!」
メディック
「あぁ、へへっ……今度は倍にしてふんだくるぞ!」
ローズ
「はい、1・2・3・4、1・2……そろそろ本番だよ?」
プロポピエフ
「あぁ、もうちょっとで始まりますから我慢して……」
荒くれ
「まだかよ! もう待てないぜ!」
ローズ
「さぁ、幕を閉めて!」
ジロン
「サボテン・ジュース」
酒場のマスター
「……さぁ、見た事ないねぇ」
ジロン
「はっ……!」
ブルメ
「どうした? ジロン」
ジロン
「ここを走ってった奴、見なかったか? 俺を殺そうとしてるんだ」
ブルメ
「見なかったな。お前がしつこいからだろ?」
ジロン
「うるせ〜!」
「あっ! こんな所にウォーカー・マシンなんか持ち出すなんて、どういう訳だ?」
ガイ
「ギャブレット・ギャブレイの許可を受けないで、店を出すのはご法度なんだよ!」
「それと昼間、ウォーカー・マシンをぶっ壊してくれたお礼もしたいしな」
ジロン
「わぁぁっ!」
ガロンヌ
「うぉっ、こいつ正気か?」
ガイ
「小僧め!」
ジロン
「わっ!」
「わっ、あぁっ……!」
ガイ
「ん?」
ジロン
「おわぁぁっ……!」
ラグ
「んっ!」
ガイ
「うわぁぁっ、くっ……!」
ジロン
「はぁっ、はぁっ……!」
ガイ
「わぁぁっ! アイアン・ギアー!」
エルチ
「運び屋に雇われているブレーカーが、町を壊していいなんてどういうつもり?」
「運び屋として黙っていられないわ!」
ガイ
「出ていけと言った筈だぞ」
エルチ
「イノセントの契約書には、バザーに一人の運び屋とは書いてないわ」
チル
「こっちも運び屋手形はちゃんとあんだかんね! バザーを開いても文句ないの、分かったの?」
ジロン
「ははっ……!」
ガイ
「くそぉぉっ……!」
一同
「やった、やったぁ!」
エルチ
「やれやれ、行ってくれた?」
チル
「うん、行ったよ」
エルチ
「んー……」
チル
「どうしたの?」
エルチ
「今言ったみたいに、ちゃんとは書いてないのよ」
コトセット
「そんな馬鹿な」
エルチ
「だって、『共にその時の状況に応じて対処するもの也』って書いてある契約書よ?」
コトセット
「じゃ、はっきりさせるのは艦長ですぜ?」
エルチ
「あんた考えなさいよ」
コトセット
「そりゃ、艦長の仕事です」
エルチ
「嫌よもう!」
コトセット
「そんなこっちゃ、文化的生活なんて出来ません」
エルチ
「ファットマン、あんたやりなさい」
「見せ掛けばっかしで!」
エルチ
「あ〜あ、こんな年端も行かない私が、運び屋をやらなくちゃならないなんて。可哀想」
ギャブレット
「あの小娘、意外と骨があるじゃないのさ」
ガイ
「マダム・ギャブレイ」
ギャブレット
「ミス・ギャブレイ!」
ガイ
「あっ……」
「腕利き六人組で追い打ちを掛けて、一挙に叩きましょうか?」
ガロンヌ
「あんまり上等な作戦じゃねぇな」
ギャブレット
「そうだねぇ。私だって、ビッグマンに対しての面子がある。なるだけ上品にやっつけたい」
ガロンヌ
「エルチ・カーゴだって、手形さえなければただの小娘ですぜ」
ギャブレット
「ガロンヌ、貴方の指先はまだマジックを使えるかしら?」
ガロンヌ
「そりゃぁ……」
「ふふっ……」
ギャブレット
「ん? あら……」
ガロンヌ
「お探し物ですか?」
ギャブレット
「あぁ……流石ね、ガロンヌ」
ガロンヌ
「どうも」
ギャブレット
「小娘め……ガロンヌ、一泡吹かしておやり」
エルチ
「んんっ……」
ガロンヌ
「右、左、右……」
エルチ
「右、左、右? あっ、泥棒!」
ガロンヌ
「おっ、あれ……?」
ジロン
「何の音だ?」
ダイク
「書斎の方か」
ジロン
「あぁっ!」
エルチ
「あっ!」
ガロンヌ
「くっ……!」
ブルメ
「観念しなよ、泥棒さん」
ラグ
「逃がしゃしないわよ?」
ジロン
「そりゃぁぁっ!」
ガロンヌ
「くっ、この!」
ジロン
「このぉっ、この野郎! 捕まえたぞ!」
ラグ
「捕まえたわよぉ!」
一同
「あぁっ!」
ジロン
「てっ、てめぇら……」
一同
「あぁ?」
エルチ
「運び屋の手形を狙いに来るなんて、あの年増女の考えそうな事だわ」
ジロン
「もっと汚い手で来るかもな」
ラグ
「そうね。ただ、ティンプは噛んでないみたいなやり口よ?」
ジロン
「どうしてさ?」
ラグ
「ティンプは頭使わないもん」
チル
「らっしゃい、らっしゃい、アイアン・ギアーは大サービスだよぉ」
プロポピエフ
「踊りはただで見られるし、ブルー・ストーンは高価で引き取るよ。それっ!」
ローズ
「頑張ってね、みんな。それっ!」
ルル・ミミ・キキ
「キャッホー!」
ガイ
「アイアン・ギアーの餓鬼共め。今度こそ、ぐぅの音も出ないようにしてやる」
「成仏してくれよ? ふふっ……」
荒くれ
「おい、大変だぞぉ!」
 〃
「ロックマンが襲われてるぞ!」
 〃
「何?」
プロポピエフ
「ロ、ロックマンが襲われた?」
荒くれ
「本当なのか?」
 〃
「あぁ、砂漠でロックマンのワゴンが襲われたんだぃ!」
 〃
「何でも、カーゴ一家のウォーカー・マシンがやったって話だぜ。なぁおい?」
 〃
「あぁ!」
 〃
「カーゴ一家……?」
ラグ
「まさか」
荒くれ
「きたねぇ真似しやがって」
 〃
「道理でいい値段付けやがって」
 〃
「すぐに取り返すんじゃ、いい値段も付けられる」
 〃
「そうだ、そうだ!」
 〃
「この野郎……!」
ローズ
「こらぁ、うちの父ちゃんに何すんのよぉ?」
荒くれ
「るせぇ! 引っ込めババア!」
ローズ
「ババア〜? あんたぁ、言ってやって言ってやって!」
プロポピエフ
「あ、あんた達、うちの母ちゃんをば、馬鹿にして……」
荒くれ
「黙れ、老いぼれが!」
ラグ
「待ってよ! 何かの間違いよ!」
荒くれ
「こんな運び屋、ぶっ潰せ!」
 〃
「ぶっ潰せ!」
 〃
「おっ……」
ジロン
「カーゴ一家がロックマンを襲った証拠があるのなら、見せてもらおう!」
荒くれ
「しょ、証拠だって?」
 〃
「襲われた噂を聞いただけだ」
エルチ
「噂で物事を決められたら迷惑よ」
ジロン
「中には、どっかのおばさんに鼻薬嗅がされてる奴が居るんじゃないのか? 前へ出ろ!」
荒くれ
「買収されてる奴の事か」
ジロン
「そーら、あいつらがそうだ!」
荒くれ
「ひぇぇっ!」
ジロン
「年増女の差し金か?」
エルチ
「その証拠もないわ。残念ながらね」
ジロン
「なら、証拠を見付けだしてやる」
ジロン
「ダイク、ブルメ!」
ダイク
「よーし!」
ブルメ
「行けぇ!」
ジロン
「ラグ、変形するぞ」
ラグ
「OK」
ガイ
「くそぉっ!」
ダイク
「くそぉっ!」
ダイク、チル
「あぁっ……!」
ジロン
「年増の手先め!」
ダイク、チル
「わぁっ!」
ガイ
「うわぁぁっ!」
ジロン
「ぬぅぅっ!」
「ほいっ!」
ガイ
「わぁぁっ、ぐっ……!」
荒くれ
「何だ、何だ? また何かあったのかよ?」
ジロン
「みんな、よく聞け! 町外れの盗賊は、ギャブレット一家のブレーカー共だ! こいつが証拠だ!」
ガイ
「ま、待ってくれ! 俺は、マダム・ギャブレットに……もとい、ミス・ギャブレットに雇われただけだ!」
「ぐわっ!」
ジロン
「おっ……あっ?」
マーレ
「あっ……!」
ラグ
「んっ!」
コトセット
「側面機銃、撃て!」
ガロンヌ
「あっ、何だ?」
ブルメ
「おばちゃまのお出ましだ!」
コトセット
「パープル・キャットだ! エルチを……艦長を呼んでこい!」
チル
「あたい、行くぅ!」
エルチ
「んんっ、人がせっかく集中しているのに……。年増女が何だって言うの?」
「あぁっ!」
ギャブレット
「ふふっ……ミス・ギャブレットの怖さを見せてあげるよ、坊やに嬢や」
チル
「何やってんの? 艦長がこんなとこ居ちゃいけないよ!」
エルチ
「煩い! あと1、2ページ読めば、少しは分かるっていうのに!」
チル
「もう、知んない!」
ガロンヌ
「青二才が!」
ジロン
「なろぉーっ!」
ギャブレット
「やれ、やれ! 小娘をぶっ飛ばせ!」
ジロン
「うっ……!」
ハイヤ
「ジロン!」
ジロン
「わぁっ!」
ガロンヌ
「小僧め、死ね!」
ハイヤ
「ライフルだ!」
ジロン
「あっ!」
ガロンヌ
「うぉっ……!」
ギャブレット
「あっ、ガロンヌ……いい調子だったのに、もう!」
ラグ
「引っ込め、おばん!」
ギャブレット
「お黙り! この男女!」
ジロン
「こら、離せ! お前も死んじまうぞ!」
ガロンヌ
「おう、望むところよ! お前を道連れにしてやる!」
「ミス・ギャブレイ、あんたを愛していました……と言いながら!」
ジロン
「おぉっ?」
「うわぁぁっ!」
ギャブレット
「ガロンヌ、男なのよねぇ……あっ!」
「でもそれだけじゃ勝てないのよねぇ……悔しいけど退却!」
ローズ
「おどき!」
「さぁ、リズムを取って!」
ルル・ミミ・キキ
「1・2・3・4!」
ローズ
「やった〜!」
「1・2・3・4!」
ジロン
「あ〜あ、行っちゃった」
ラグ
「でも、これじゃ済まないよ」
ダイク
「このしつこさ、おかしいもんな」
ジロン
「やっぱり、ティンプが絡んでるって感じるな」
ラグ
「アイアン・ギアーとか、あんたを狙いすぎるって事?」
ジロン
「あぁ」
エルチ
「契約書、読み終えたわ!」
ジロン
「流石、艦長じゃない。文化的だな」
エルチ
「そりゃそうよ」
ブルメ
「バザーはいいんだろ? 運び屋なら誰がやっても」
エルチ
「うーん……」
ラグ
「はっきりしないのね」
ジロン
「どうしたんだ?」
エルチ
「どうとでも考えられる文章ばっかなんだもん。あんなの分かんない。イノセントが馬鹿なのか利口なのかもね」
「イノセントって、わざと私達を戦わせようとしてるみたい」
ラグ
「ははっ、やだ! イノセントって、私達を助けてくれる人達よ? ブルー・ストーンを集めれば何でもしてくれるしさぁ。そうでしょ?」
エルチ
「そうよ、そうなのよね。イノセントって文化的な人達なんだもん」
ブルメ
「だろ?」
エルチ
「うん」
ジロン
「そうだよ。まずはあの年増女の邪魔を防いで、エルチは商売しなくちゃ」
ギャブレット
「ふんっ、させるもんか! このミス・ギャブレット、本気になったら怖いんだから……ねっ!」