第9話 花は野に咲けマリア花

前回のあらすじ
惑星ゾラと言われている地球。しかし人々は、ゾラという名前を忘れて久しい。
ジロン・アモスは、ミス・ギャブレット・ギャブレイの攻撃を躱したものの、年増女の陰険さ。
ガロンヌ、ガイを唆し、うじうじジロンに迫ります。
天下無敵のザブングル、アイアン・ギアーの手を借りて、ミス・ギャブレットにミスさせる。
それにしても、ミス・ギャブレットの強かさ。明日はきっと上手く行く。
子供
「またあいつらだ」
マリア
「相手にしないで」
「さぁ、取れ立ての野菜ですよ!」
子供
「マリア、逃げた方がいいよ」
マリア
「相手にしなければいいの」
子供
「来るよ」
ビラン
「ははっ、マリア! 愛しのマリアちゃん!」
マリア
「下がって!」
荒くれ
「ホッホー!」
 〃
「野菜だ野菜だぁ!」
子供
「馬鹿! 返せ!」
 〃
「マリア、やっつけちゃおうよ。シェリフに言ってさ」
子供
「そうだよそうだよ」
マリア
「いいの。黙っていればこれだけで済むんだから」
子供
「だってぇ……」
マリア
「あの人達だって、お野菜は食べなくちゃならないんだから」
コトセット
「ガソリンの食いすぎだよ、この船は! たった二日間で30ガロン食うだなんて、どっかで漏ってるんだい!」
エルチ
「貴方の整備が悪いんじゃなくて?」
コトセット
「冗談じゃない。毎日毎日、命を賭けてチェックしてるんだ」
「新型艦だなんて、イノセントに騙されたんじゃないんですか?」
「おっと!」
エルチ
「あはっ、意外とお上手ね。コトセット」
コトセット
「さぁ、仕事の邪魔です。出てってください」
エルチ
「イノセントは、私達運び屋を騙したりはしないわ」
「行きましょ、ファットマン」
コトセット
「くぅ〜っ……いたぁっ!」
ラグ
「まだ諦めてないの? 仇討ちさ」
ジロン
「いいじゃないか。この辺のオアシスって数は少ないんだから、必ず出会えるさ」
チル
「でも、仇ってもうずっと前んだろ? 忘れろ」
ジロン
「そうは行かないの!」
チル
「忘れるのが掟なんだ。忘れないの、いけない人よ?」
ジロン
「難しい事知ってんだな」
「おっ……」
ビラン
「そんな商売やめてさ、俺達と付き合えよマリア。いい思いさしてやるぜ?」
「こんなガキンチョ、放り出しちまったっていいじゃねぇか。え? マリア」
子供
「うぅっ……!」
マリア
「相手にしないの」
子供
「行っちゃえ!」
ビラン
「くっ……このガキャッ!」
マリア
「あっ……!」
ジロン
「危ないぞ、どういうつもりだ?」
チル
「轢かれちゃった?」
ジロン
「さぁ、どうかな?」
「あっ!」
マリア
「きゃぁっ……!」
ジロン
「っとと、都合よく……!」
「あっ……!」
「ブレーキ!」
「大丈夫か?」
子供
「う、うん」
 〃
「大丈夫」
ジロン
「何て運転してんだよ? こんなホバー・ジープでさ」
マリア
「すみません、無我夢中だったもので……」
子供
「マリア姉ちゃんが悪いんじゃないや。いつもの連中がマリアを苛めるから」
マリア
「こんなにパワーのあるものだと知らなかったものだから」
ジロン
「そうかもしれないけど、乱暴な運転は命取りになるからよ。な?」
「うわっ……!」
マリア
「あっ! バックしますから」
ジロン
「わっ!」
チル
「助けられたの?」
ラグ
「らしいね」
ジロン
「違わい!」
荒くれ
「イヤッホーゥ!」
ジロン
「お?」
ビラン
「マリア、格好いい事してくれんじゃないか。え?」
子供
「あんたらのお陰で……!」
ジロン
「女の子一人を、それだけのホバギーで追い掛けたのか?」
ビラン
「マリアって女はな、どう脅したって平気なんだよ。腹も立てなけりゃ泣きもしねぇんだ」
「そんな気持ちの悪い女が、俺、大嫌いなんだよ」
ジロン
「強いからだろ? お前達みたいなブレーカーゴロとは違うんだよ」
ビラン
「あのなぁ、野菜作ったり捨て子拾って育てたり、え? おかしな女だと思わねぇのか」
ジロン
「え? 自分の子供じゃないの?」
ビラン
「おうよ。そうでなけりゃ、気持ち悪くはならねぇよ」
ジロン
「そんな事やってると、自分が死ぬぞ?」
マリア
「そんな事ないわ。野菜作ってるもの」
ジロン
「そんなんじゃどこにも行けないし、金にだってブルー・ストーンにだって替えられないだろ?」
ラグ
「蜥蜴食べたりしないんだろ? よく死なないもんだ」
ビラン
「だからよ、返してもらうぜ? 面白ぇんだ、その女」
ジロン
「そりゃ駄目だ。このアイアン・ギアーに助けを求めにきたんだ。少しはおかしいからって渡せないな」
ビラン
「そうかいそうかい、そうだろうな。そりゃ面白いってもんだ!」
ジロン
「うわっ、くっ……!」
チル
「ラグ、後ろ!」
ラグ
「うっ、あっ……!」
「やったね!」
荒くれ
「やったがどうした?」
ラグ
「こう見えても、サンドラットのラグってんだ!」
荒くれ
「そうかいそうかい。それがどうしたっての、お姉ちゃん?」
ラグ
「こうするって事、分かった?」
荒くれ
「分かった、おねえたま……」
ラグ
「手を貸しな! こいつらを叩き出すんだ!」
ブルメ
「喧嘩だ喧嘩だ!」
ダイク
「どこのどいつだ? ラグ、梃子摺ってるのか?」
マリア
「やめてください! 私の為に争うのはやめてください!」
チル
「いいんよ、みんな強いんだから」
マリア
「可哀想な子」
チル
「あたい? 可哀想じゃないよ。ラグやジロンと上手くやってるよ」
マリア
「違うのよ。人はね、争い事しないで優しく暮らしていく事が出来るのよ。喧嘩なんかしないでも済むのよ」
チル
「済まないよ? みんなやってんもん」
ビラン
「おい、落ちてこい落ちてこい。怖ぇのかよ? 落ちてこい!」
ジロン
「何と、こなくそ!」
「わっ!」
ビラン
「あっ、くっ……!」
マリア
「お願いですから、争うのはやめてください! 何故、人間同士が傷付け合わなければならないんですか?」
ブルメ
「ふ〜ん、面白い子だね」
ラグ
「えぇ、本当変わってる」
ダイク
「この一生懸命さは感動的だけどね」
エルチ
「ふ〜ん、面白い子ね。誰ちゃん?」
ジロン
「マリアちゃん。野菜作ってるんだって」
エルチ
「へぇ〜」
子供
「おかしくないや! マリアは、マリアは……あ〜んっ!」
マリア
「何て……何て情けない人達なの? 貴方達は……!」
ブルメ
「あぁ、まともだよ」
ジロン
「本当、いい子」
エルチ、ラグ
「な〜にが!」
エルチ
「ね?」
ラグ
「うん」
ビッグマン
「たかがランド・シップ一隻に、ワシの組織が出る事もあるまい」
「そこの二人がドジをやったというのか? ギャブレット・ギャブレイ」
ギャブレット
「はい。私がちょっと甘やかして使ったばっかりに……」
「本当、情けないったらありゃしない」
ガロンヌ
「すんません」
ガイ
「マダム・ギャブレット……」
ギャブレット
「ミス・ギャブレット!」
ガロンヌ
「すんません」
ガイ
「マダム……あっ!」
ビッグマン
「我々の商売の邪魔となるなら、捨てておけんな」
「ここの御仁もそう教えてくれている」
ティンプ
「ふふっ……」
ギャブレット
「手は打ってあります。間違いなく、ビッグマン」
ビッグマン
「うむ。何十人の荒ぶれを扱う腕と、ランド・シップを預けている腕……」
「楽しみにしているぞ、マダム・ギャブレット……あっ!」
ギャブレット
「くっ、必ず……!」
ビッグマン
「ほっ……。うむ」
コトセット
「金は出すと言ってるんだぞ? 元々は、キャリングさんが出資して作った給油所だろうが!」
給油屋
「半年に一度しか来ないとなりゃ、こっちだって独立採算制でやってかなくちゃね」
コトセット
「誰の差し金だ?」
給油屋
「さあね」
コトセット
「くそっ!」
「エルチ艦長、どうします? 今はいいけど、このままじゃ次のバザーには行けません」
エルチ
「脅かされてるんじゃないの? 年増女にさ」
給油屋
「そんな事ありませんよ」
エルチ
「分かったよ」
「こうなったら、先に年増をやるしかないわ。ジロンやラグはどこに居るの?」
マーレ
「マリアの所だよ」
エルチ
「……ったく!」
ギャブレット
「ふふっ、作戦通りのようだね、ティンプ。さぁ、後はきめ細かくやるよ? 安心するんだね」
ティンプ
「ふっ……」
「頼んだぜ。じゃ……あっ!」
ギャブレット
「元気なお方」
ラグ
「あんた、本当に変わってるね。チンピラの言う通り、一人で自由にやった方が何ぼか楽か……」
マリア
「でも、野菜作りも孤児の面倒見るのも、生き甲斐になるわ」
ラグ
「生き甲斐? 何だろ?」
ジロン
「何だろうね? 仇討ちみたいなもんかな?」
チル
「うんうん」
ダイク
「おっ……!」
ブルメ
「何だ……あっ!」
ダイク
「ジロン!」
ラグ
「どうしたんだ?」
ジロン、チル
「あっ!」
マリア
「畑を……私達の畑を……!」
ジロン
「奴ら……どこのどいつだ?」
ラグ
「ダイク、ブルメ、何してんだよ! あいつらを!」
ブルメ
「分かってる!」
ラグ
「くっ……!」
「逃げるんだよ!」
マリア
「いけないわ! 歯向かわなければ襲ってはこないのです……あっ!」
「ダイクさん、ブルメさん、やめなさい! チルちゃんまで戦うなんて……」
ダイク
「よーく狙え!」
チル
「おう!」
ブルメ
「マリア! いい加減に引っ込まねぇと、死んじまうぞ!」
マリア
「戦うのが当たり前だなんて、子供達の前で教えないでください!」
「きゃっ!」
「ラグさん! ジロンさん!」
ジロン
「マリアの畑を目茶目茶にして!」
ガイ
「わっ! 撃て、撃て……わっ!」
ジロン
「お? あれ? マリア……いてっ!」
マリア
「ジロンさん、やめなさい。戦いはいけないわ」
ジロン
「あのねマリア、そういうのもいけないんだよ?」
「ブレーカーってのは壊し屋なんだ。あんたの言う事が通じる相手じゃないんだよ」
ガイ
「そういう事だ。女、覚悟!」
マリア
「きゃっ!」
ジロン
「あっ、あぁっ……!」
ラグ
「マリア、言う事聞かないと責任持たないよ!」
マリア
「でも、戦うのはよくないわ」
プロポピエフ
「早く! ここに居てはいけない!」
ジロン
「ん? う〜ん、やっぱりこれじゃ無理か」
「わぁぁっ!」
子供
「あっ! お兄ちゃんが……」
マリア
「真っ直ぐ走るの! 見てはいけない!」
プロポピエフ
「はぁっ、はぁっ……」
ローズ
「あんた……!」
マリア
「あっ……!」
子供
「あっ!」
ガロンヌ
「そこまでだ、青いの!」
「子供達の命が惜しくなければ手を引く必要はねぇが、まぁ世間的に言えば手を引くのが筋ってもんだ。どうだ?」
ジロン
「何ぃ……あっ!」
ダイク
「きたねぇ」
ガロンヌ
「ふふっ、一発でみんなお陀仏だぜ。いいのかよ?」
ブルメ
「パターンじゃねぇか。いつもいつも人質を取ってよ、やってらんないよ!」
ガロンヌ
「そうだよ、やってられないんで丁度いいんだよ」
ジロン
「そっちはよくても……おっ、あぁっ……!」
「くぅっ、回ってるぅ……」
ガイ
「ははっ……!」
給油屋
「わっ……!」
エルチ
「売らないっていうのなら力尽くで持っていくわよ?」
「元々、あんた一人でこのタンクを手に入れた訳ではないんですからね!」
給油屋
「おぉっ、やってもらおうか? そんな事すれば、ギャブレットが黙っていないぞ?」
「あんた達の船を目茶目茶にするぞ……わっ!」
エルチ
「白状したわね? やはり年増女の差し金?」
給油屋
「年増女じゃない! ミス・ギャブレット!」
エルチ
「コトセット、パープル・キャットは攻めてきそう?」
ガルロ、ハイヤ
「パープル・キャットが来るのか?」
コトセット
「ん? いや、そんな様子はなさそうだ」
「止まっちまったな」
「大丈夫だ。何かやってるようだ。ウォーカー・マシンも出動してるようだけどな」
エルチ
「了解、了解」
「悪いわね、あんたの味方は手が一杯のようよ」
給油屋
「わわっ……!」
エルチ
「残念だったわね」
「コトセット、給油始めるわよ」
ビラン
「ははっ! ザマァねぇぜ、マリア。そんな奴らに引っ付いてるからそんな事になるんだよ」
チル
「ベェッ、だ!」
ビラン
「おうおう、粋がりやがって。マダム・ギャブレットは怖いよ?」
マリア
「戦うからこんな事になるのよ。戦わなければこんな事にはならなかったわ」
ジロン
「そんな事ないさ。マリアが言う事を聞いてくれれば、こんな連中」
ガイ
「こんな連中で悪かったよ。やれ!」
一同
「あっ……!」
ジロン
「分かった? こういう連中を相手にしてマリアみたいな事を言っていたら、命は幾つあっても足りないんだ!」
ラグ
「あんた気安いよ。ジロンから離れな!」
マリア
「で、でも……」
ジロン
「このぉーっ!」
「あっ……」
ラグ
「何やってんのよ、あんた達!」
「うっ、痛いよ……!」
チル
「痛っ、痛っ……!」
ブルメ
「チル、頑張れ! いつか助かる! 助けてみせるって!」
ダイク
「安請け合いするな、ブルメ!」
ブルメ
「くそ〜っ!」
ダイク
「すっごい子!」
ジロン
「この〜っ!」
マリア
「恐怖さえ耐えれば憎しみは生まれないわ。憎しみが生まれなければ争いはないのよ」
ジロン
「俺は嫌だ! 怖いものは怖いんだ! 俺は、マリアみたいに偉い人間じゃないんだよ!」
「おっ……わっ!」
ラグ
「何やってんだよ、この……!」
ガイ
「あ〜あ、醜いのよね」
ビラン
「ふふっ、いいザマだねぇ。よう旦那、これ落っことしてやろうか?」
ジロン
「チンピラめ! こっちが手出し出来ない時しか強がれないのかよ?」
マリア
「おやめなさい、ジロン! 争いはいけないわ!」
ガイ
「どけよ、チンピラ!」
ジロン
「どけってんだ!」
「マリア、隠せ!」
ラグ
「また引っ付く……!」
マリア
「ジロンさんが……」
ラグ
「そうか」
「『べたべたすんじゃないよ!』……これ、お芝居ね」
マリア
「分かってます。でも、ここでは町の人が巻き添えになります。町から出たら逃げてください」
ラグ
「分かってるよ……あっ!」
一同
「あぁっ……!」
エルチ
「触るな……うっ!」
「あっ! ザブングルが年増女の所にある!」
「ラグまで居て、みんな捕まっちゃったみたいね。何て情けない人達」
「コトセット、燃料補給はどれくらい掛かるの?」
コトセット
「まだ半分です」
エルチ
「それだけあれば十分」
「艦長命令!」
コトセット
「はっ!」
エルチ
「ザブングル1で、ハイヤ、マーレ、ガルロを出撃させなさい!」
「アイアン・ギアーはウォーカー・マシンとなり、これを支援!」
「我が方はパープル・キャットを撃滅せんと欲す!」
コトセット
「はっ! 弾丸を発しこれを実行します!」
エルチ
「総員、掛かれ!」
コトセット
「はっ! ……と言いたい所ですがね、そりゃ無理です」
エルチ
「何故?」
コトセット
「アイアン・ギアーはまだ、戦力として使えるかどうか」
エルチ
「貴方はメカニック・マンでしょ? 毎日毎日、アイアン・ギアーが動かせるように働いているんでしょ?」
コトセット
「当たり前です! その為に給料貰っているんです」
エルチ
「あんたは優秀なメカニック・マンでしょ?」
コトセット
「あ、当たり前です」
エルチ
「なら、アイアン・ギアーはちゃんと戦えるわね〜?」
コトセット
「そりゃそうです……」
エルチ
「じゃあおやり!」
コトセット
「はっ!」
ギャブレット
「私も焼きが回ったもんだよ。こんな餓鬼に振り回されていたなんてさ」
「嬲り殺しにして、その上であのアイアン・ギアーを滅茶滅茶にしてやる」
「覚悟はいいかい? 坊やに嬢や」
ジロン
「誰が覚悟出来るものか! 何故俺達が、お前みたいな年増女にやられなくちゃならないんだ!」
ラグ
「分かったかい、マリア。こういう人間ばっかしなのさ」
チル
「この世の中はね」
マリア
「でも信じられないわ、私……あっ!」
ギャブレット
「ふふっ、あんた達は言いすぎなんだよ。私はミス・ギャブレットなんだ」
ジロン
「くそぉっ……ラグ!」
ラグ
「ロープは切ってあるんだけど……」
ブルメ
「これだけ囲まれちゃってるとな」
ギャブレット
「おやり……あっ!」
ガロンヌ
「もうちょっとって時に……!」
ジロン
「今だ!」
一同
「おうっ!」
ジロン
「あんたは邪魔なの! ごちゃごちゃ言わないで隠れてるんだ!」
エルチ
「肩の砲塔、援護射撃! 急げ!」
コトセット
「プロポピエフ、撃て、撃て、撃てっ!」
ルル・ミミ・キキ
「キャ〜ッ!」
ローズ
「行くわよ、みんな!」
「そ〜れっ!」
ギャブレット
「応戦しろ! アイアン・ギアーを倒すのが先だ!」
エルチ
「行け、アイアン・ギアー! ジロンの元へ……わっ!」
ガロンヌ
「あ、あんなウォーカー・マシンとやるのかよ?」
ギャブレット
「あんなこけ脅かし、どうって事ない! 撃てぇぇっ!」
「私って、か弱い女なのよね」
ジロン
「真っ直ぐだ、急げ! 動かねぇぞ!」
ハイヤ
「俺は動かすの初めてなんだよ」
ジロン
「戦いながら慣れてくんだよ!」
雇われ
「あっ、来る! こいつ、動け! このエンストめ、直れ!」
ジロン
「無理なのよね」
雇われ
「わっ!」
ジロン
「野郎!」
「こいつは、アクセル踏み込みすぎると風邪引くのよね」
「ガルロとハイヤは俺の後ろから来い!」
ガルロ、ハイヤ
「おう!」
マリア
「ジロン、でも戦うのは良くないわ!」
ジロン
「この年増女!」
雇われ
「わっ!」
ジロン
「わっ! もう大砲は使えないのなら、行くぜ!」
「逃がすか!」
雇われ
「わわっ!」
ギャブレット
「わ、私のウォーカー・マシンが……私のブレーカー達が……私の船が……」
「お前か、マリアって女は。お前のお陰で私はビッグマンから愛想を尽かされるって訳だ」
「お前のお陰で……このっ!」
マリア
「きゃっ……えいっ!」
ギャブレット
「あぁっ……あたしゃ、死なないよ……」
マリア
「わ、私まで、争いを……争いをしてしまった!」
エルチ
「あはっ! ざまぁみたか、年増女め!」
ガロンヌ
「こんなんじゃ、こんなんじゃ勝てる訳ねぇじゃねえか!」
ジロン
「そういう事!」
「んっ!」
「逃げないとコックピットごと潰すぞ!」
ガロンヌ
「わぁぁっ!」
ジロン
「必殺、ザブングル・パンチ!」
「へへっ、一度言ってみたかった。へへっ……」
エルチ
「よーし、戦闘終了! アイアン・ギアー、ランド・シップへ変形……あっ!」
マリア
「すみません。私の我侭から、皆さんを危険な目に遭わせてしまって」
「心からお詫び申し上げます。けれど……」
ブルメ
「『争い事はいけないという、私の意見は変わりません』」
マリア
「はい」
ジロン
「そりゃさ、マリアが言うようになれるのなら、俺だって好き好んで……」
エルチ
「格好付けて!」
ラグ
「出来やしないよ!」
マリア
「だからお詫びします。こんな事しか私には出来ないから……ごめんなさい」
ジロン
「マリア……」
マリア
「これが、この世の中なのね」