第22話 破れかぶれのラグ

前回のあらすじ
あらゆる支配を、イノセントという特権階級に押さえられている惑星ゾラ。
しかし人々は、それを何の不思議もなく受け止めていた。
惚れて惚れられ幸せラグ、ジロン・アモスにゃ癪の種。
挙句の果てに、カラス、ホーラが絡まって、話は込み入るばかりです。
なまじ野心を持たぬなら、きっと咲くだろ夫婦花。
ザブングルをかっぱらい、ホーラの為に働いたアコン・アカグは馬鹿なのか。
陰謀・裏切り渦巻く中で、アコンは一人散りまして、ホーラにまでも笑われる。
流す涙に恨みを込めて、どこへ行くのかラグ・ウラロ。
マシン屋
「どうだい姉ちゃん、え? それがたったの370ギャラントだぜ」
ラグ
「高いよ、碌に動きもしないじゃないか」
マシン屋
「そんなに動きのいいマシンがあるかよ。よーし、じゃ、油を一缶付けて300でどうだ?」
ラグ
「150! それしか出せないね」
マシン屋
「冗談じゃねぇ、こっちだって散々修理して元手が掛かってんだ。どっから見たって、完全なウォーカー・マシンだぜ」
ラグ
「どこが完全だって?」
マシン屋
「片腕なしで200でどうだ?」
カルダス
「商売の方はどうだい、エルチ・カーゴさん」
エルチ
「有難う、宜しくね。どちらさん? 父のお客さんだった方?」
カルダス
「あんたは知らんだろうが、昨日のドンパチの時、俺の船を助けてくれたんだよ」
「カルダス・ブルーンってんだ。カラスのバザーで商売やってくれんのか?」
エルチ
「昨日の今日じゃ割り込めないわ。私達は別の所で店開きするつもりよ」
カルダス
「そりゃそうだな。カラスは女房か弟でも帰ってくりゃ、仕掛けるだろうからな」
エルチ
「気を付けるわ。有難う」
「ったく、ホーラのお陰でカラス・カラスとの仲、滅茶滅茶だわ」
「ファットマン、給油を急がせて」
荒くれ
「喧嘩だ喧嘩だ」
 〃
「この船の餓鬼だとよ」
 〃
「アイアン・ギアーの小僧がバザーでやってんだとよ」
エルチ
「また……。こういう噂は早いんだから」
ジロン
「うわっ!」
「このっ……んっ!」
ブルメ
「何の真似だよ?」
荒くれ
「カラスの旦那に喧嘩を売っておいて、さっさと出て行かねぇからよ……うっ!」
ブルメ
「しつこいと、このままじゃ済まないぞ!」
ジロン
「わっ、ととっ……!」
ブルメ
「うわっ、すげぇ……!」
荒くれ
「どうした、ほら。ウォーカー・マシンがなきゃ勝てねぇのか?」
エルチ
「いい大人が何の真似よ?」
荒くれ
「何だ何だ? お前もアイアン・ギアーのクルーかい?」
「カラスのバザーに殴り込みやがって。落とし前を付けさせてもらうぜ」
「うぅっ!」
「カ、カルダス……!」
エルチ
「さっきの……」
カルダス
「アイアン・ギアーはカラスの旦那の顔を立てて、ここで商売やらずに出て行こうってんだぜ?」
荒くれ
「ドンパチやられて迷惑掛けられたんだ」
ジロン
「お前達が絡んでくりゃ、アイアン・ギアーがここを出るのが遅くなるんだ」
カルダス
「それに、カラスの弟のガリーが戻ってきてみろ。夕べ以上のドンパチをやられるぜ。アイアン・ギアーの小僧共とよ」
荒くれ
「ガリーか」
 〃
「さっさと出て行かねぇと、カラスの旦那だって黙ってないぜ」
 〃
「いいな?」
ジロン
「分かってるよ!」
ブルメ
「イーッだ!」
エルチ
「あんた達だって、さっさと食料の買出しを済ませていれば揉めてなかったのよ」
ラグ
「ははっ……!」
ジロン
「うっ?」
ラグ
「見ちゃいられないね」
一同
「ラグ!」
ジロン
「戻ってきたのか?」
ラグ
「笑わせないでよ。アイアン・ギアーを出てよ〜く分かったんだよ」
ジロン
「何が?」
ラグ
「私はね、好きに一人で生きてる方が性に合ってるってね」
ブルメ
「え? アイアン・ギアーをかっぱらうって話はなしかよ」
エルチ
「何? アイアン・ギアーを?」
ブルメ
「ははっ、冗談冗談」
エルチ
「もうっ……!」
ブルメ
「そりゃないぜ、ラグ」
ダイク
「それで、どこに行こうってんだ? え、ラグ?」
ラグ
「さあね、ホーラんとこでも行こうかね」
一同
「ホーラん所だって?」
エルチ
「正気なの?」
ブルメ
「何でだよ?」
ダイク
「そりゃおかしいよ。ラグ、どうしたんだ?」
ラグ
「つまりさ、ぱっと一働きして金を貰って、また一人で自由な暮らしをする為さ」
エルチ
「裏切り者! あんたなんて女の屑よ! ブレーカーにだってなれやしないわ!」
「あぁ、さっさと行っっちまえ! あんたなんかどこへでも行っちゃえ! 二度と顔を見たくない!」
ラグ
「べ〜っ! 行ってやるよ!」
エルチ
「ああん、もう給料も払わない。何もしない。戻ってきても飯も食べさせないから」
ジロン
「ラグ……」
カルダス
「あの娘は確か……」
「君らの仲間だったのか」
エルチ
「え、何が? あんな蜥蜴の骨みたいな女、名前も知らないわ。顔も知らない」
「さっさとしないと、あんた達も置いてくから」
ジロン
「いいのか、ダイク?」
ダイク
「ああ言い出したら聞かないね。少し放っときゃいいのさ」
ラグ
「……くそっ、ならやってやるよ。やってやろうじゃないか。徹底的にさ」
ゲラバ
「一気に仕掛けちゃどうです、兄貴? 今なら、カラスだってこっちに手を貸しますぜ」
ホーラ
「いや、バザーの客を守る為なら、俺にだって楯突くだけの気はある。準備万端整えてな」
ゲラバ
「こっちだってブレーカーを集めたし、船だって直してる」
ホーラ
「カラスは、女房と弟のガリーが来てくれるまで動かんよ」
ゲラバ
「どうって事ないでしょうが」
ホーラ
「馬鹿言え。カラスの女房と弟のガリーってのは、凄腕だぜ」
チル
「コトセット、ここも壊されてるよ!」
「こっちもこっちも!」
コトセット
「分かってる!」
エルチ
「まだ修理が終わらないの?」
チル
「油入れてる間に、ちょちょっと壊されちゃったんだ」
ジロン
「あ〜! 俺達に喧嘩を売った奴の仲間がやったのか?」
エルチ
「何で気が付かなかったの? コトセット」
コトセット
「計器のチェックは誰がやるんです? ずっと見張るなんて出来ません」
「お前らが喧嘩しなけりゃ済んだ事だ」
エルチ
「いつまでも、そういう言い方やめて」
コトセット
「私だって、言いたかないです!」
ジロン
「ここを出よう。新しいルートを見付けて、新しくバザーをやるポイントを探そう」
エルチ
「そのつもりよ。当たり前でしょ」
ダイク
「ホーラの嫌がらせに尻尾を巻くのか?」
ジロン
「客が集まらなくちゃ、商売だって出来ないだろ?」
コトセット
「あんたらが居る限り、駄目だね。一々騒動を起こしてさ。ホーラをやっつけてくれるなら早く!」
ジロン
「ホーラだって必ずいつかやっつけてやるよ!」
雇われ
「止まれ、止まらないか!」
「うぅっ!」
ラグ
「ホーラに用があるんだ。通してもらうよ」
ホーラ
「何だと? ふふっ、ジロン達を討つ為に、俺の所で働きたいだと?」
ラグ
「アイアン・ギアーの長所も弱点も知ってるわ。少しはあんたの役に立つんじゃないかって思うんだけどね」
ゲラバ
「ちょっと分からねぇ話だな。はっ、裏切り者は信用ならねぇからな」
ホーラ
「どうやって、あんたの言う事を信じたらいいんだ?」
ラグ
「一度裏切った者は、体を張らない限り信用してもらえないだろうね」
「だからさ、あんたに作戦があるのなら、私がその前に出て戦ってみせるよ」
ホーラ
「この間まではお前の家だった、ランド・シップをぶっ壊すんだぜ?」
ラグ
「私は『サンドラット』宿無しよ。一つの船を家にするつもりはないわ」
ホーラ
「ふうん、信じたくなるな……可愛いもんな」
ラグ
「だろ?」
ホーラ
「ふふっ……ん、あれ?」
カルダス
「お、行くのか? アイアン・ギアー」
エルチ
「厄介になったね、カルダス」
カルダス
「おう、縁があったらまた会おう」
ジロン
「凄い奴買いましたね。それ、高いんでしょ?」
カルダス
「いや、なけなしのブルー・ストーンを全部放り出してな」
ジロン
「いいな。それじゃ」
カルダス
「あ、ラグとかいう娘さんが気になる。仲間割れだけはいかんぜ」
ジロン
「あっ……」
エルチ
「ふんっ」
ラグ
「ここだわ。ここに追い込めば、エルチはアイアン・ギアーを必ずウォーカー・マシンに変形させるわ」
ゲラバ
「しかし、こっちがダブル・スケールを使えなくなって不利になる」
ラグ
「ウォーカー・マシンの戦わせ方よ。みんな地形を利用する事を知らな過ぎるのよ。私はギャロップでやって見せるわ」
ホーラ
「アイアン・ギアーがカラスのバザーを発って西に向かったという連絡があった」
ラグ
「指揮を執らせてくれるわね?」
ホーラ
「あぁ」
ラグ
「有難う! あんたって素敵!」
ホーラ
「他のブレーカーには、あんたを見習わせる」
「んっ……」
ゲラバ
「兄貴、金で雇った訳でもない女を信用し過ぎるぜ」
ホーラ
「ゲラバ」
ゲラバ
「うっ! 兄貴……!」
ホーラ
「このダブル・スケールでは、どっちが偉いんだ?」
ラグ
「べ〜っ!」
チル
「何で止めて修理しないんさ?」
ジロン
「時間の節約さ。喋ってると落ちるぞ」
チル
「大丈夫さ」
ブルメ
「チル、ビス10個」
チル
「は〜い……あっ!」
ブルメ
「わっ! サーカスやってんじゃないんだぞ!」
チル
「へへっ……わっ!」
ジロン
「世話を焼かすなよ、もう」
チル
「へへっ」
「あれ!」
ジロン
「ホーラか?」
エルチ
「性懲りもなく来るっていうのね。人任せでなくて自分でやろうって気になったのは立派だけど」
コトセット
「修理は、まだ全部終わってないんですよ?」
エルチ
「ホーラに言ってよ」
ダイク
「右からも来るぞ」
ジロン
「ラグだ!」
エルチ
「全員、戦闘配置! アイアン・ギアーのスピードを落として、ここで迎え撃つ!」
ジロン
「違う! 全速前進だ!」
エルチ
「何でよ、ジロン?」
ジロン
「ラグだ。ラグが攻め手の中に居るんだ」
エルチ
「何ですって? だから逃げろって言うの?」
「あっ! やったわね!」
ジロン
「エルチ、全速前進だ!」
エルチ
「ラグを前にして逃げるなんて嫌よ」
ジロン
「ラグを撃つのかよ?」
エルチ
「だって……!」
コトセット
「どこ見てる? 取り舵一杯だ!」
エルチ
「あっ、ぶつかる!」
エルチ、コトセット
「あぁっ……!」
ジロン
「わぁぁっ!」
ブルメ
「連中、山に隠れてくるぞ! 撃て!」
ダイク
「敵が居ない方に向けていても仕方がないだろ……わっ!」
コトセット
「駄目だ。岩に突っ込んだ時、ホバー・ノズルがいかれたらしい」
エルチ
「急いで直しなさいよ」
コトセット
「気安く言ってくれますね」
エルチ
「居る居る」
ラグ
「出るんじゃないよ」
雇われ
「どうしてだ? 何で一気に攻めねぇんだよ」
 〃
「怖気づいたんじゃねぇんだろうな?」
ラグ
「だったら、自分で前に出たらどうだい? 下手に攻めたら藪蛇になるんだよ!」
ジロン
「ハッチを開かせろ! とにかく、ザブングルは外に出る!」
エルチ
「ねぇ、ちゃんと動かないアイアン・ギアーから離れないでよ?」
「ラグは本気で掛かってくるのよ。黙ってやらせておく気?」
ダイク
「違う! ラグは脅かされてるんだ」
ブルメ
「俺もダイクと同じ意見さ。とても本気だとは思えないな」
エルチ
「あんた達は子供なのよ。女の気持ちなんか分からないからそういう事言うんだわ。ラグは本気よ!」
コトセット
「お前達と同じ、野良犬だったんだろうが。全く何考えてるか分かったもんじゃない」
ダイク
「何だと?」
エルチ
「それは違うわ。コトセットだって女の事は分かるもんですか。修理はどうしたのよ?」
コトセット
「こいつを取りにきたんですよ!」
ジロン
「エルチ、何とかもう少し奥へ進むんだ。谷が狭くなれば、敵も一機ずつしか攻めてこれない。無駄なく倒せる」
エルチ
「一理あるわね……あっ!」
「これでもラグは本気じゃないって言うの?」
ジロン
「くそぉっ……!」
ダイク
「ラグじゃない! ホーラのダブル・スケールが撃ってきているんだ!」
ラグ
「ホーラも単純ね。撃てばいいってもんじゃないんだ」
「ほら、そこのダッガーもオットリッジも山に登るんだ!」
ホーラ
「ん? ラグの動きが見えないぞ」
ゲラバ
「言ったでしょ? 女の約束なんて信じられないって」
ホーラ
「他のマシンの動きも見えない」
ゲラバ
「誰が女のケツに引っ付いて戦いますか」
ラグ
「しまった! こっちの作戦を気付いたの、ジロン?」
「駄目だ駄目だ! ジロンなんて名前、追い出さなくては!」
チル
「ラグが、ラグが……!」
「私達を攻撃しているんだわさ! どうするどうする? ラグが私達に攻めてくるんだよ!」
「どうすりゃいいんだわさ?」
「わぁぁんっ!」
コトセット
「何してる? 銃を取れ、銃を!」
チル
「わぁぁんっ!」
ジロン
「ストップ、ストップ! 停止しろ!」
コトセット
「そんなに入り込んじゃ、身動き取れないぞ! どうするんだ?」
ジロン
「これでいいんだ。これでホーラは束になって攻めてこれないさ」
ホーラ
「ゲラバ、ラグがドジをしたらやって構わん。ただし急ぐなよ。ラグにだって作戦はあるんだからな」
ゲラバ
「分かったよ。しかしいいのかな? あいつは本気で兄貴に惚れてるみたいだぜ」
ホーラ
「あんな小娘、やる事はちゃんとやってもらわん限り、信じるものか」
ガルロ
「やった……わっ!」
ジロン
「ガルロ、アイアン・ギアーから離れるな。来る奴を狙い撃ちすりゃいいんだ」
ホーラ
「見ちゃいられないな。ラグはどうしたんだ?」
ジロン、チル
「わっ……!」
チル
「ラグ、どうしちゃったのさ……わっ!」
「ラグの馬鹿!」
ラグ
「見ていな、ジロン!」
「わぁぁっ!」
「ふぅっ、早くこっちへ飛ぶんだよ! そこから攻撃出来る訳ないだろ?」
ダイク
「エルチ、船首を回してくれ。これじゃ砲撃出来ないぞ」
エルチ
「こんな狭くちゃ無理よ」
ブルメ
「主砲も使えないなんて馬鹿な戦い方がありますか」
エルチ
「分かったわよ。コトセット、アイアン・ギアーをウォーカー・マシンにして」
コトセット
「え? そりゃ無理でしょ、こんな狭い所で……おっ?」
エルチ
「だったらそれで、アイアン・ギアーの通れる穴を掘って!」
コトセット
「スコップが小さ過ぎます……うっ!」
エルチ
「これでいいでしょ?」
コトセット
「やりましょう、艦長」
エルチ
「ジロン、アイアン・ギアーをウォーカー・マシンにするわ。ザブングルを出して」
ジロン
「分かった」
「来い、チル」
「ラグめ!」
ラグ
「はっ、ザブングル……!」
「何やってんの? 早く来るんだよ!」
「あぁっ……!」
エルチ、コトセット
「あぁっ……!」
ラグ
「ったく、当てにならない連中だよ」
ジロン
「うぉぉっ!」
ホーラ
「ふんっ、気合いだけで、このガラパゴスが倒せるものか!」
「うわっ!」
ジロン
「マシンのパワーだけじゃないのよね」
ホーラ
「うわぁぁっ!」
ジロン
「どうだ!」
ラグ
「あぁっ……!」
ジロン
「ホーラ、命貰った! 死んでもらいます、覚悟しな!」
ラグ
「させるかい、ジロン!」
ジロン
「ラグ!」
ラグ
「ホーラを殺させはしないよ!」
ジロン
「な、何でだよ?」
ラグ
「朝言ったろ? あんたなんかよりも、ホーラの方が男らしいってさ」
ジロン
「だからって、俺達に楯突く手伝いをしなくたっていいだろ!」
ラグ
「ホーラは優しいんだよ! すぐに金だってくれるって約束してくれてるんだよ!
だったら女はホーラの味方になるよ!」
チル
「ラグがホーラを庇ってるよ? ラグはジロンが好きなのに」
エルチ
「育ちが悪いからね。平気でクルクル変わるのよ」
チル
「危ない、ジロン!」
エルチ、コトセット
「え?」
ラグ
「わっ! ホーラ、動けるのかい?」
ホーラ
「す、すまねえ、ラグ。レバーのワイヤーが切れちまった」
「ゲラバ! ひと思いにやっちまえ!」
ゲラバ
「言われるまでもないわ!」
ブルメ
「よし、このまま立っちまえばいいんだよ。いいぞ、エルチ!」
コトセット
「よーし、行ける行ける! パワーですパワー!」
エルチ
「よーし、よくやった。コトセット、180度反転!」
コトセット
「180度反転!」
雇われ
「で、で、でけぇ!」
「わっ、わぁぁっ!」
ゲラバ
「ははっ!」
ジロン
「このっ、このっ……!」
「ラ、ライフルを……!」
ラグ
「あいつ……!」
エルチ
「あっ、ラグが来た!」
「こっちの所の敵よ! ブルメ狙って!」
ブルメ
「ははっ、こっからじゃ無理無理、撃てないよ」
チル、コトセット
「わぁぁっ……!」
エルチ
「早くラグを撃ち落として!」
チル
「本気なのかさ?」
エルチ
「黙れチビ!」
チル
「ラグ、やめて!」
ゲラバ
「わっ、ドリルを止めろ!」
ジロン
「ドリルを止めてやった。有難く思え!」
ゲラバ
「ザブングル……わっ!」
エルチ
「ラグあんた、そうまでしてジロンに当て付けたいの?」
ラグ
「煩いね! 私には私のやり方があるのよ!」
ジロン
「ラグの奴……わっ!」
「ラグ!」
ラグ
「エルチ、悪いけどね!」
エルチ
「はっ……!」
ラグ
「あっ!」
チル、コトセット
「あっ!」
ラグ
「わぁぁっ!」
ジロン
「んんっ……!」
ラグ
「うぅっ!」
ジロン
「ラグ! エルチを殺す気か!」
ラグ
「ふんっ、いけないかい?」
ジロン
「こ、こいつ……!」
エルチ
「離れなさいよ、その二人……きゃっ!」
ジロン
「あっ、あぁっ……!」
「ラグ! どこに行くんだよ?」
「何が不満なんだ? 何が気に入らないんだ? 何でホーラみたいな男が好きになれると思うんだよ!」
ラグ
「あんたになんか分から……うっ!」
ジロン
「倒れるな! いいか? 倒れちゃ駄目だ!」
「倒れたら、今日以上にラグは卑怯者になっちまうんだぞ! 倒れるんじゃない!」
ラグ
「こ、これだけかい」
ジロン
「足を踏ん張れよ!」
ラグ
「うぅっ……」