第23話 ラグよ帰れ! 我が胸に
- 前回のあらすじ
- あらゆる支配を、イノセントという特権階級に押さえられている、惑星ゾラ。
- しかし人々は、それを何の不思議もなく受け止めていた。
- ラグ・ウラロの八方破れの行動が、男ジロンにゃ分かりません。
- ギャロップ買ったラグ・ウラロ、素早い行動、意外な動き、アイアン・ギアーに攻め掛かり、図に乗るホーラも攻めまくる。
- 何とかかんとか攻撃逃れ、ようやくラグと対決し、ジロン、ラグを殴ります。
- 殴られ続けるその瞳、涙溢れる不思議さに、ジロン・アモスは荒い息。
- 雇われ
- 「オーライオーライ、そのままそのまま」
- カラス
- 「ふん、どういうつもりだ。いやにはずむじゃないか、ホーラ」
- ホーラ
- 「弾薬と薬と塩と珈琲だがね。極上品ばかりだ」
- カラス
- 「あんたがケチでないって事は分かったがな。俺が、何であんたと手を組まなきゃいけねぇんだよ」
- ホーラ
- 「あんたのバザーを滅茶滅茶にした詫びを入れてるんじゃないか」
- 「アイアン・ギアーの餓鬼共な、何れあんたの厄介者になるぞ」
- カラス
- 「その気遣いはなかろう? 奴らはLポイントへ向かった。今度会うのは何年先かな。忘れとるよ、ひひっ……」
- ホーラ
- 「ふん、そうかい? 何かあったら、いつでも手を貸すぜ?」
- カラス
- 「ふんっ……」
- 雇われ
- 「……ボス、少しはいい顔しときゃ良かったのに」
- 〃
- 「あんなに貰ったんだし、あいつはイノセントと繋がってんでしょ?」
- カラス
- 「ふふっ……俺はな、後半日もすりゃホーラなんかに負けないほど強くなれるんだよ」
- 雇われ
- 「何のこってす?」
- カラス
- 「ガリーが帰ってくるんだ。俺のつえぇ弟のガリーがな」
- 雇われ
- 「ガ、ガリーさんが……」
- 〃
- 「本当ですかい?」
- カラス
- 「奴が帰ってきてくれれば、怖いものはない。ふふっ、今夜は思いっ切り飲ませてやるぞ」
- 雇われ
- 「ヒャッホーッ!」
- 〃
- 「祝宴の支度だ!」
- カラス
- 「豪勢にな、ははっ……」
- 「俺のバザーの近くでドンパチやってくれた、アイアン・ギアーの小娘……落とし前は付けさせてもらうぜ」
- ガリー
- 「今夜中には着けるんだろうな? 兄貴のバザーにはよ」
- 雇われ
- 「この山を越えりゃすぐです。今からそんなに飲んでていいんですかい?」
- ガリー
- 「こんな酒の一本や二本飲んだからって、ふらつくような俺じゃあねぇ……ぶっ!」
- 雇われ
- 「わっ……!」
- ガリー
- 「な、何だ? どっからの襲撃だ?」
- 雇われ
- 「見えません!」
- 〃
- 「登ってみるか?」
- ガリー
- 「散開させろ! 僚船までアリゲーターとアナコンダを登らせろ!」
- 「弾を当てる奴なんて、そうザラには居やしねぇ。ウォーカー・マシン、出る用意をしておけ。来たぞ!」
- 「はっ! 最初のはマグレだマグレだ。アリゲーター、アナコンダ、今の発射方向分かったのか?」
- エルチ
- 「山賊か何かが居るっていうの?」
- ジロン
- 「らしいな。飯の支度をしている煙じゃないな」
- ダイク
- 「進路を変えた方がいいんじゃないか?」
- エルチ
- 「駄目! あの山を突っ切らなかったら、Lポイントに着くのは三日も遅れるわ」
- コトセット
- 「しかしな……」
- エルチ
- 「私の言う通りにして!」
- ダイク
- 「どう思う? ジロン……ジロン?」
- ジロン
- 「今、何時だ?」
- ダイク
- 「え?」
- ジロン
- 「ラグに食事やったのか?」
- チル
- 「やってないよ。エルチに怒られるからさ……」
- エルチ
- 「ジロン! ラグは私達を裏切ったのよ? 私を殺そうともしたのよ? 簡単に許す訳に行かないでしょ」
- ジロン
- 「本気じゃなかったさ。そりゃ、エルチが一番よく知ってるだろ? 女同士でさ」
- エルチ
- 「ジロン!」
- キキ
- 「羨ましいわね」
- ミミ
- 「ラグは幸せ。ジロンにサンドイッチ作ってもらうなんてさ」
- ルル
- 「あ〜、妬けちゃう、妬けちゃう」
- プロポピエフ
- 「私共がラグに食事を作らないのは、一重に彼女の反省を促したいからでして……」
- ジロン
- 「あっちへ行け」
- プロポピエフ
- 「後二、三日は食べさせない方が……」
- ジロン
- 「三日の掟があるんだ。許してやっても……!」
- 「イテェッ!」
- ジロン
- 「食べなよ。少しは食べておかないと、いざっていう時に体が言う事効かなくなるぞ」
- 「あ、俺が居ると食べ辛いか。行ってようか」
- 「じゃあな」
- ラグ
- 「いいんだよ」
- ジロン
- 「え、そうかい?」
- 「俺が作ったんだ」
- 「辛子、効き過ぎたのか?」
- ラグ
- 「ううん、美味しい。美味しいよ」
- ジロン
- 「悪かったな」
- ラグ
- 「そ、そんな事ないさ」
- ジロン
- 「まぁ、俺も多少反省してんだ。その……ラグに冷たかったろ?」
- ラグ
- 「そ、そんな事ないさ……」
- ジロン
- 「でもな、ラグだってちょっとな。そう思うんだ。違うかな……」
- ラグ
- 「そうだね、そうだろうな……そう思うよ」
- ジロン
- 「泣いてんのか?」
- ラグ
- 「馬鹿!」
- 「わっ!」
- ジロン
- 「イテッ!」
- ラグ
- 「何だい?」
- ジロン
- 「よく分からない」
- ラグ
- 「ジロン……!」
- エルチ
- 「どうせこの辺のブレーカーでしょ? 一気に突っ切るのよ」
- コトセット
- 「気楽に言ってくれますね」
- ダイク
- 「敵が何者か、どれくらいかも分からないだろ?」
- ジロン
- 「偵察を出せばいい。ホーラの奴か?」
- エルチ
- 「ホーラがそんなにしょっちゅう攻撃出来て? ここん所、いつも叩いてるのよ?」
- 「この弾の当たらなさ加減は、この辺りのブレーカーよ」
- ジロン
- 「なら尚更偵察して、アイアン・ギアーの道を開けさせてやるよ」
- ダイク
- 「ザブングル……」
- ジロン
- 「え?」
- ダイク
- 「ブルメか?」
- エルチ
- 「ブルメは主砲に行ってもらったわ」
- ラグ
- 「私が偵察してくるよ」
- エルチ
- 「ラグなの?」
- 「ジロン! あんた、艦長の私の許可を受けもしないで、ラグを檻から出したのね?」
- ジロン
- 「知らないよ」
- エルチ
- 「嘘!」
- ジロン
- 「俺はただ、パンを一切れ持ってっただけだよ!」
- エルチ
- 「なら何故出動したの?」
- ジロン
- 「知りません!」
- エルチ
- 「嘘!」
- ジロン
- 「知るか!」
- ラグ
- 「裏切りじゃないよ。ちょっと偵察してくるだけなんだから、放っといてよ」
- ジロン
- 「外の様子はどうなんだ?」
- エルチ
- 「静かよ。ラグは正面の山に辿り付いたようだけどね」
- 雇われ
- 「聞こえるか、ガリー。敵らしきもの発見!」
- 「左十一時の方向だ。大型のウォーカー・マシンが1機、かなりでかい!」
- 〃
- 「こっちに気が付いたようだ。どうします、ボス?」
- ガリー
- 「1機だけってのは臭いぞ。他にも居る筈だ」
- 「アナコンダ、どうだ?」
- 雇われ
- 「アリゲーターの言う通りらしい。左の方向だ。後ろには何も見えない」
- ガリー
- 「そんな低い所に居て、何で分かるんだよ? 止まれ! 高い所から見ろってんだ!」
- 「ほら見ろ! 後ろへ回れ! アナコンダ、後ろだ!」
- ラグ
- 「アイアン・ギアーが砲撃を始めたの?」
- コトセット
- 「また来た、全速前進! 砲撃用意!」
- エルチ
- 「艦長は誰?」
- コトセット
- 「ど、どうぞ……」
- エルチ
- 「また来た! 全速前進、総員砲撃用意! 一気に突破するぞ!」
- 「ハイヤ、マーレは、トラッドで中央甲板へ出て!」
- 「間違いない。これは運び屋専門に襲うブレーカーよ」
- ジロン
- 「アイアン・ギアーも狙われてるのか」
- ラグ
- 「バッファロー・タイプが一台で、アイアン・ギアーを襲おうってのかい? ご立派だよ」
- ガリー
- 「居たぞ! 撃てーっ!」
- ラグ
- 「わぁぁっ、くっ……!」
- ガリー
- 「よーし、接近して止めを刺してやれ!」
- ジロン
- 「わっ、しまった……!」
- ガリー
- 「たかがウォーカー・マシン1機だ! こっちも出せ! ウォーカー・マシンを出させろ!」
- 雇われ
- 「また変なのが一台来ました!」
- ガリー
- 「何? ただの車じゃねぇか!」
- 「撃った!」
- 「後ろ、行ったぞーっ!」
- ラグ
- 「ふん、ダッカー・タイプが何だってんだい」
- 「しまった、早い!」
- 「あぁーっ!」
- ジロン
- 「あっ、んんっ……!」
- 「させるか!」
- 雇われ
- 「わっ、来た! わっ……!」
- ラグ
- 「ジロン!」
- 雇われ
- 「同じ奴です。大型のウォーカー・マシンです」
- ガリー
- 「ウチのウォーカー・マシンは何をやってんだ!」
- ジロン
- 「何の恨みがあって、アイアン・ギアーを攻撃するんだ!」
- ガリー
- 「アイアン・ギアーだと? 手を出したのは、そっちが先だろ、このっ!」
- 「ウォーカー・マシンを出させろ! アナコンダを呼び戻せ!」
- ジロン
- 「当てるのなら当ててみろ!」
- ガリー
- 「正気か? ウォーカー・マシンのエンジンに当たってみろ、こっちまでやられちまうんだぞ!」
- ジロン
- 「さあ引くのか引かないのか? 返答次第によっては……!」
- ガリー
- 「うるせぇっ!」
- エルチ
- 「へぇ、山賊にしては大型のランド・シップを持ってるじゃないの」
- 「右前、水平ミサイル撃て!」
- ゲラバ
- 「兄貴、何もかも筋書き通りに運んでますぜ」
- ホーラ
- 「よし、戻れ。姿を見られないようにな」
- ゲラバ
- 「了解」
- 雇われ
- 「わっ!」
- ガリー
- 「お前らが先に仕掛けたのは間違いないんだ!」
- ジロン
- 「本当か? じゃ、誰がやったんだ!」
- ラグ
- 「あっ、くっ……!」
- ジロン
- 「ラグをやろうってのか?」
- 雇われ
- 「うっ!」
- 「くっ、舐めんなよ……!」
- ジロン
- 「ガバメントのパワーぐらい!」
- 雇われ
- 「踏み潰してやるぜ! チューンナップしてあるんだ、その辺のガバメントとは違うぜ!」
- ラグ
- 「もう一丁!」
- ジロン
- 「チェストーッ!」
- ガリー
- 「うっ、うぅっ……!」
- 雇われ
- 「ボ、ボス! ボス!」
- 「わぁぁっ、後退しろ! 山越えでカラスの旦那の所へ……!」
- ラグ
- 「へっ、逃がしはしないよ。ランチャー・マグでも狙い所さえ良ければ、止めは刺せるのさ!」
- 雇われ
- 「うわぁぁっ!」
- エルチ
- 「砲撃をやめ! 敵は後退していくわ」
- 「ラグ、何やってんの? 逃げ出した船を深追いする事ないでしょ?」
- 「それ見ろ、命令違反をするから……あんたなんか知るもんか。死んじゃえ!」
- チル
- 「死んじゃえ……くぅ、落ち込む……」
- ラグ
- 「わぁぁっ、くっ……!」
- ジロン
- 「掴まれ、ラグ!」
- ラグ
- 「ジロン!」
- カラス
- 「ん、ランド・シップだ」
- 雇われ
- 「あれは、ガリーのです」
- カラス
- 「ガリー、弟よ。ガリー、どうした」
- ガリー
- 「兄貴、迂闊だったよ。あんなウォーカー・マシンが居るなんて、俺は知らなかったぜ」
- カラス
- 「どんな奴だった? え、ガリー?」
- ガリー
- 「青い奴だ。そ、それも二台もよ。俺は、すまねぇ、ちょっと休ませ……」
- カラス
- 「ガリー、おめぇ……」
- 「アイアン・ギアーか。ザブングルとかいう奴と……エルチめ、人が甘い顔していりゃぁ……」
- 「野郎共、弟をこんな目に遭わされては黙ってはいられねぇ! いいか?」
- エルチ
- 「カラスの弟ですって?」
- 雇われ
- 「本当だ。俺達は、カラスの旦那さんのバザーに向かう所だったんだ」
- ダイク
- 「不味い事になったな」
- コトセット
- 「だから回り道すりゃ良かったんです、お嬢さん」
- エルチ
- 「何で、私達を襲うなんて真似したのよ?」
- 雇われ
- 「襲ったのはそっちが先でしょう!」
- エルチ
- 「そんな事する訳ないでしょう?」
- ジロン
- 「仕方ない、俺が行ってカラスに謝ってくる」
- ダイク
- 「俺とブルメも付き合うよ。一人で行っても、とても信じてもらえると思えんからな」
- ジロン
- 「頼む。コトセットは、ザブングルの修理に掛かってくれ」
- 「それから、ラグだけど……」
- エルチ
- 「ラグはもう一度檻に戻ってもらうわ! あんたのせいで、ガリーは死んだかもしれないのよ?」
- ラグ
- 「分かったよ」
- ジロン
- 「チル、ラグを頼むぞ」
- チル
- 「エルチが怖いもん」
- ジロン
- 「大丈夫さ。今だって、ラグは一生懸命だったんだ。エルチだって分かってるさ」
- チル
- 「そうだね」
- ジロン
- 「誰か付いていてやらなきゃな。ラグはもっと捻るぞ」
- チル
- 「そっか」
- 「上手くやってね〜」
- ホーラ
- 「気の毒な事をしたな……弟さんの為に、やってやれる事があるだろ?」
- カラス
- 「しかし、俺には戦力がない。売り物のウォーカー・マシンは使う訳にいかんし」
- ホーラ
- 「あんたが頼んでくれりゃ、手を貸してやったっていいんだぜ?」
- カラス
- 「有難い。恩に着るぜ、ホーラ」
- ホーラ
- 「カラスの為だ、構わんよ」
- キキ
- 「ん〜、だけどさ、何でエルチの言いなりになんかなるのさ?」
- 「前にみんなで、アイアン・ギアーを盗み出すなんて話をしてたんでしょ?」
- ラグ
- 「何でそんな事知ってるの?」
- ルル
- 「私達、地獄耳」
- キキ
- 「このランド・シップなら高く売れるんでしょ?」
- ラグ
- 「そりゃぁね」
- ルル
- 「だからさ、ラグが帰ってきたのなら手伝うからさ」
- ラグ
- 「そうは行かないんだよ」
- キキ
- 「つまんない」
- ルル
- 「そうよね」
- キキ
- 「ね、このパイプ押せばすぐ外れるからさ」
- ルル
- 「用があったら呼んでね」
- ラグ
- 「有難う」
- コトセット
- 「ライトを消せ!」
- カラス
- 「グレタが来てくれるのを待つべきだったのか。ホーラの誘いに乗ってしまったのではないのか」
- 雇われ
- 「ボス、アイアン・ギアーです!」
- カラス
- 「よし、砲撃開始!」
- コトセット
- 「あっ、わっ……!」
- エルチ
- 「コトセット! ファットマン……きゃっ!」
- 「どうしたの? 何故、誰も居ないの?」
- 「全員、ランド・シップ戦だ! 急げ!」
- チル
- 「コトセットとプロポピエフは、ザブングルの修理で外に出てるんだよ!」
- エルチ
- 「ガルロ、ハイヤ達は主砲という訳?」
- チル
- 「ああっ!」
- エルチ、チル
- 「あぁっ!」
- コトセット
- 「わっ……!」
- プロポピエフ
- 「コトセットさん、ザブングルで出動しては如何なんですか?」
- コトセット
- 「私は技術者だ! 運転手ではない!」
- チル
- 「ラグが居るよ!」
- エルチ
- 「駄目! 一回戦ったぐらいで許してやんない!」
- チル
- 「そんな好き嫌いを言ってたら、勝てないよ!」
- エルチ
- 「チル!」
- チル
- 「ラグ、来て! 手伝って。ね、出て来てよ!」
- ラグ
- 「出られる訳ないだろ? 第一、出ちゃいけないんだよ」
- チル
- 「誰も居ないんよ、ブリッジはエルチ一人なんよ」
- ラグ
- 「仕方ないじゃないか」
- チル
- 「でもさ、これじゃやられちゃうよ。カラスが仕返しに来たんだよ」
- ラグ
- 「私に何をしろってんだよ? エルチに足止め食ってんのは、私なんだよ?」
- 「今日の戦いだって、エルチに悪いと思うから真っ先に出て戦ったんだよ」
- 「それなのに、許してくれないエルチの為になんか……」
- チル
- 「このままアイアン・ギアーがやられていいの? ジロンに会えなくなっちゃうよ? いいの?」
- 「エルチの為なんかじゃないよ。このままやられたら、みんなバラバラに死んじゃうよ……わっ!」
- エルチ
- 「ファットマン、有難う。当てになるのは貴方くらいね」
- ラグ
- 「ん、意外と頑丈なんだ」
- チル
- 「ははっ、おっぱい引っ掛かんなかった」
- ラグ
- 「当たり前だろ?」
- チル
- 「わぁぁんっ!」
- ラグ
- 「ご、ごめん、チル。後でゆっくり謝る時間作るからさ」
- ラグ
- 「どきなよ!」
- エルチ
- 「あっ!」
- ラグ
- 「何をしてるのさ! さっさと砲座へでも行って、撃ちまくるんだよ!」
- エルチ
- 「何よ、素人の癖に!」
- ラグ
- 「あんたよりマシだよ!」
- エルチ、ラグ
- 「あっ!」
- ダイク
- 「カラスの船がない……」
- ジロン
- 「これは、さっきやったランド・シップだしな」
- ダイク
- 「墓か……!」
- ジロン
- 「ガリー・カラスのか?」
- ダイク
- 「冗談じゃないぜ」
- ジロン
- 「あぁ、どこかでカラスとすれ違ったんだ」
- コトセット
- 「ラグ!」
- ラグ
- 「ブリッジ、頼むよ!」
- エルチ
- 「その調子よ、コトセット。やっぱりラグとは段違いだわ」
- コトセット
- 「こんな真似が出来るのも、ラグがあっちを引き受けてくれてるからです」
- エルチ
- 「あらそう!」
- カラス
- 「ザブングルが……! 銃座、何やってる? 狙い撃て!」
- ラグ
- 「させるかい!」
- カラス
- 「お、ホーラはどうした? 崖の上から攻撃する手筈だったろう!」
- ホーラ
- 「駄目だな、商人に戦いは無理だ」
- 「ゲラバ、マフラーから煙幕出しておけ」
- ゲラバ
- 「は?」
- ホーラ
- 「我がダブル・スケールは、エンジンが調子悪くって助けに行けなかったのさ」
- ゲラバ
- 「へっ、了解」
- カラス
- 「うおっ! クレーンだ、クレーンを使え!」
- ラグ
- 「あぁっ……!」
- 雇われ
- 「ボス、不味いですぜ。ここは一先ず退却しましょう」
- カラス
- 「そ、そうだな。エンジンが無事な内に全速力で……しかし、本当に一先ず退却するだけだ。一先ずな!」
- プロポピエフ
- 「バァッ! ははっ、気が付きましたね」
- ラグ
- 「あっ……」
- プロポピエフ
- 「ブランデーでも飲みますか?」
- ラグ
- 「うっ、てっ……!」
- 「いつ帰ってきたんだい?」
- ジロン
- 「へへっ……ついさっきな。カラスとすれ違っちまってさ」
- 「ま、起きられるんなら、アイアン・ギアーで寝た方がいい。風邪引くからさ」
- ラグ
- 「ああ、そうする」
- 「うっ、痛い……!」
- エルチ
- 「みんなして……みんなして、ラグばっかし……!」
- 「あ〜っ! 何なの、あれ!」
- ルル
- 「あ〜、いいんだぁ、ラグ」
- ミミ
- 「ずるいずるい!」
- チル
- 「ジロン、今度はあたいもね?」
- エルチ
- 「何という、ふしだらな二人なの?」
- 「その二人……あっ!」
- 「何て事!」
- ジロン
- 「エルチだ」
- ラグ
- 「何かなぁ?」
- ジロン
- 「さぁね」
- エルチ
- 「私はね、まだラグを許してないのよ? 艦長命令がないのに、何でみんなが先に許すの?」
- 「みんなは私が艦長だって事、忘れてるんじゃないの?」