第24話 死闘、激闘、泣きカラス

前回のあらすじ
あらゆる支配を、イノセントという特権階級に押さえられている、惑星ゾラ。
しかし人々は、それを何の不思議もなく受け止めていた。
カラス・カラスは何故泣くの、所詮腰回りが悪くって、ホーラの仕掛けに乗せられて、弟ガリーをやられてしまう。
船出の詫びを入れる為、ザブングルに打ち跨がって、大奮闘のラグ・ウラロ。
頑張る頑張る大戦闘。挙句の果てのカラスなら、泣きの一つも入れましょう。
そんなカラスが何になる、ホーラにまでも見放され、何とも悲しいカラスです。
ローズ
「はい、1・2・3・4・1・2……はい、1・2・3・4・1・2……」
ハイヤ
「よーし、引っ剥がせ。マーレちょっと早い、待って待って」
ラグ
「どうだい、ジロン」
ジロン
「駄目だ駄目だ、もっと強く」
ラグ
「どうだ、これで」
ジロン
「よーし、いいぞ。出てくる出てくる」
ブルメ
「何で、火薬のカスってこんなに多いんだ?」
ジロン
「さあな」
ブルメ
「イノセントも、煤の出ない火薬発明すりゃいいのによ」
ジロン
「チル、どうだ? 替わるか?」
チル
「出来るよ〜」
ジロン
「あっ、うっ……!」
ブルメ
「わ〜っ!」
ジロン
「チ、チル〜!」
チル
「な〜に〜?」
「ははっ、真っ黒!」
ラグ
「ははっ……」
チル
「え〜い!」
「ラグ、勝負だ! 来い!」
ラグ
「おう!」
ジロン
「ラグ! この忙しいのに、ふざけんじゃないの!」
エルチ
「すっかり仲間気取りね」
ジロン
「エルチ……」
エルチ
「私はね、ラグがアイアン・ギアーに戻ったのを正式に認めた訳じゃないんですからね」
ジロン
「いい加減にしてくれよ、エルチ」
エルチ
「けじめは、はっきりしとかなくちゃね」
ジロン
「もう三日は過ぎてるんだ。掟から言えば、無罪放免の筈だろ?」
エルチ
「で、でも……私はね……!」
ジロン
「エルチ! 人は信じてやらなきゃいけないんだ。ラグだって、あんなに一生懸命やって……」
ラグ
「ジロン、もういいよ。檻に戻ってるよ」
「分かったよ。手をお放しよ」
ジロン
「今は人手が要るんだぞ?」
エルチ
「倍働けばいいでしょ? すぐに出発するわ。こんな所を狙われたらアウトよ」
ジロン
「……ったくもう」
ブルメ
「気にしない、気にしない。女の発作」
チル
「発作? 病気か……じゃあ伝染るの、あたいにも?」
ブルメ
「あぁ、気を付けてな」
チル
「うん」
エルチ
「この世界の掟は、三日が過ぎればお仕舞い……。でも、私はどうしてラグの事に拘るのかしら?」
「昔のジロンの仇討ちと同じ事をやってるのよね、私」
「でもね、この私の気持ちも本当なのよね。ずっと拘ってる」
「あのジロンが、何もかも変えてしまったのかしら……」
「音もなく近寄るな!」
ジロン
「コトセットさん、手伝おうか?」
コトセット
「いや、もう終わりだ。しかし取り敢えずだ、取り敢えず」
ジロン
「そんなに酷いの?」
コトセット
「毎日のようにドンパチやってみろ、ガタが来ないのが不思議だよ」
「ん? どこ行ってたんだ、この野郎!」
「そうは思わないか?」
ジロン
「……ん?」
ローズ
「あんた!」
ルル・ミミ・キキ
「キャーッ!」
ジロン
「カラスの同型のランド・シップ?」
エルチ
「まさか! カラス? 何で?」
ジロン
「うわっ、わっ……!」
ラグ
「またホーラ? イノセントが付いてると、ドンパチがよっぽど面白いんだね。ったくさ」
「あっ……?」
エルチ
「何で、カラス・カラスが攻めてこれるのよ? 二日前の戦いで、あれだけラグにやられたのに」
コトセット
「この辺りは、カラスの縄張りでしょ? 整備するも何も手早く出来ますわ」
「それに引き換え、こっちは……」
カラス
「アイアン・ギアーが動かんのなら、今が攻め時だ」
「撃ちまくれ! グレタはどうなっている、遅いじゃないか」
雇われ
「こっちが仕掛けんのは早過ぎたんですよ。奥さんとは、もう少ししないと……」
カラス
「無線で呼び出せ。急がせろ」
「何としても何としても餓鬼共をやらなければ、ワシの面子は丸潰れになる……突っ込め!」
エルチ
「コトセット、動かせ!」
コトセット
「ハックション!」
カラス
「くそ、主砲が使えんから止めが刺せないという訳か」
「斜めに付けていけ!」
雇われ
「ボス、奥さんからです」
カラス
「おう、グレタか。何やってんだ?」
グレタ
「久し振りだね、あんた。何週間ぶりかしらね」
カラス
「お前、どこに居るんだ?」
グレタ
「今、北から回り込んでるとこさ。あんたの弟の仇はきっと討つからね」
カラス
「挟み撃ちにしたい。急いでくれよ」
グレタ
「あいよ。まだ愛してるからね、お前さん」
カラス
「ふふっ、馬鹿……」
雇われ
「ひひっ……」
カラス
「よーし、行ってみよう!」
ジロン
「エルチ、ラグを……ラグを出させてくれ。弾の補給をしてくれなくっちゃ」
エルチ
「分かってるわよ」
ラグ
「エルチ、攻めてくるのはカラスなんだって?」
エルチ
「ラグ、出撃よ。艦長命令!」
ラグ
「じゃ〜もういいのね?」
エルチ
「出撃しろとだけ言ってるの!」
ラグ
「了解」
エルチ
「ん、いつか呪い殺してやる……!」
ラグ
「ははっ……!」
ラグ
「ジロン、行くよ!」
ジロン
「ラグ、早くしてくれ!」
ラグ
「了解!」
「OK!」
ジロン
「くらえーっ!」
「ラグ、どんどん補給しろ」
ラグ
「あいよ」
エルチ
「一々くっつくな、ラグ!」
コトセット
「ザブングル同士でくっついてるだけでしょ?」
エルチ
「だって……!」
エルチ、コトセット
「あっ……!」
コトセット
「正面から砲撃だ!」
エルチ
「ジロン、正面からも敵よ!」
ジロン
「そっちは主砲で何とかしてくれ。ダイクとブルメが居るだろ?」
エルチ
「分かったわよ。そろそろウォーカー・マシン戦よ。そのつもりでね」
ジロン
「何? ウォーカー・マシンが出てきたのか?」
ラグ
「この辺りに居るのって言ったら、ホーラよ?」
ジロン
「また、新型ウォーカー・マシンだというのか?」
グレタ
「商売が先に立つから、ウチの父ちゃんはいざって時に駄目なんだよね」
「たかが1機のランド・シップだ。パッと叩いておしまい」
「ほう、見慣れないランド・シップだね」
「奇妙奇天烈な艦だ。なるべく横へ回り込むんだよ」
「だけど後ろに父ちゃんの艦が居るから、間違っても当てんじゃないよ」
「しかし、あのガリーがあっという間にやられた相手なら、油断は出来ないという訳か」
「ふん、どんな餓鬼共が操っていても、このグレタ姐さんには敵いはしないよ」
ブルメ
「へぇ〜っ……何だ? ブリッジに居る女……」
エルチ
「何、あの女……裸で!」
「何見てんのよ、イヤラシイ!」
カラス
「尻に火がついたな、アイアン・ギアーめ」
「よし、ピッタリマークしていけ」
グレタ
「あんた」
カラス
「グレタ、早く奴らを追い立てろ。擂鉢谷へ追い込むんだ」
グレタ
「了解。すご〜く愛してるよ、あんた」
「あんた? どうしたの、あんた?」
「んっ、薄情なんだから……」
「全速前進! ヒヨっ子共を追い立てんだよ!」
チル
「後ろ右と左からピッタリマークされてるわ。どうする?」
エルチ
「そのくらい考えてるわ。煙幕を張りながら、あの崖に沿って進んで!」
グレタ
「ふふっ、引っ掛かったようだよ。擂鉢谷へ追い込むぞ」
雇われ
「あれ?」
グレタ
「ん? あんた、何やってんの?」
カラス
「お〜い、グレタ。平気か? 聞いてくれ、ワシはお前を待って待って待ち焦がれとった!」
グレタ
「何だよ、子供みたいに燥いでさ」
カラス
「グレタ!」
グレタ
「あの子供た……」
カラス
「いや〜、益々綺麗になったなぁ」
グレタ
「その為に外で修行してんだもん」
カラス
「そんな事を許す亭主なんぞ、ワシくらいのもんだわ」
グレタ
「ははっ、感謝してるよお前さん」
カラス
「くく、グレタ……何で、後二日早く帰ってくれなかったんだ」
グレタ
「まっさらのプロメウスを3機手に入れるのに時間が掛かったんだよ」
カラス
「でもな、ガリーが……」
グレタ
「仇は取ってやるから。作戦は上手く行ってるんだからさ」
「さぁ、元気出してやろうじゃないか」
「ハンカチ」
雇われ
「へっ? へぇ」
グレタ
「そしたらさ、暫くあんたと一緒に居てやるよ」
カラス
「おうさ、じゃあ作戦開始と行くか」
「いいか、抜かるんじゃねぇぞ、野郎共!」
グレタ
「ふふっ、男だねぇ」
カラス
「おう、引けーっ!」
グレタ
「そんな事平気でやっちゃうあんたって、好きだよ」
カラス
「ははっ……。急げってんだ!」
エルチ
「パワー、大丈夫?」
コトセット
「後、何メートルです?」
エルチ
「10メートルってとこね」
コトセット
「大丈夫、脱出出来ますよ」
ジロン
「よーし、偵察に出る」
「あっ!」
グレタ
「ははっ、引っ掛かったね! お撃ち!」
ジロン
「エルチ、下がれ! 降りろ、敵が居る!」
グレタ
「アイアン・アームだ! アーム、アーム!」
ジロン
「わぁぁっ!」
グレタ
「よーし、そのまま一気に潰してしまえ!」
ジロン
「わっ、パワー負けしそう……!」
「そうか! ええいっ!」
グレタ
「逃げたのかい、小僧」
ジロン
「エルチ、アイアン・ギアーの前からも煙幕を出せ! みんな、接近戦の用意だ!」
ラグ
「了解!」
エルチ
「ジロンはどうするの?」
ジロン
「後ろ、来るぞ! 任せとけ!」
雇われ
「バ、バックさせます!」
グレタ
「落ちても構わん。スピードを落とすな」
「はっ……餓鬼共め、ランド・シップを二隻も持ってんのかい?」
「どの道、この谷の行き着く先は擂鉢谷さ」
「マイク」
「お前さん、二手に分かれたよ。ランド・シップが二隻あんのかね?」
カラス
「そんな事はない」
「ん? 見える見える……成る程、二手に分かれているな」
「左の奴を追い込めば済む事だ」
グレタ
「出来るかい?」
カラス
「ワシはお前の亭主だぞ。それくらいは出来るわい」
グレタ
「ははっ、ごめん。今夜は久し振りに手料理作ってあげるわ」
カラス
「カンガリアンのソテーがいいな〜」
グレタ
「了解」
ラグ
「もう、発炎筒もたないよ」
ジロン
「分かってる。一体この谷は、どこまで続くんだ?」
カラス
「前面の全砲塔、左の煙の前を狙え! 退路を塞げば、餓鬼共は必ず浮上してくる!」
ラグ
「あっ、やられちゃう!」
ジロン
「構うな! ジャンプすりゃいい!」
カラス
「飛んだ……何だ?」
ジロン
「アイアン・ギアーと合流するぞ」
ラグ
「了解!」
コトセット
「一体この谷は、どこまで繋がっているんです?」
エルチ
「そんな事、私に聞かないでよ」
コトセット
「お、開けてきたぞ」
エルチ
「何、ここは……?」
ジロン
「行き止まりだ。エルチ、引き返せ!」
エルチ
「コトセット、Uターン!」
コトセット
「了解!」
カラス
「餓鬼共め、ここに入ったからには二度と生きては出られんぞ」
「一斉射撃! ウォーカー・マシン出動!」
エルチ
「ジロン、強行突破出来ると思う?」
ジロン
「カラス・カラスに嵌められたようだな」
ラグ
「どうもこうも、やるっきゃないだろ?」
エルチ、ラグ
「うっ……!」
ジロン
「上だ!」
グレタ
「どう足掻いても、この蟻地獄からは抜けられっこないのよ。観念しな、坊や達。ははっ……!」
ガルロ
「行った!」
ジロン
「ガルロ、お前らがもう少しやら……わっ!」
「あっ、嫌なもの見ちまったな……」
「ん?」
雇われ
「わっ、来るな!」
ジロン
「わぁぁっ!」
雇われ
「ヒッ!」
 〃
「野郎!」
ジロン
「ん? 偉い人……」
雇われ
「ギャッ、ギャーッ!」
ジロン
「よーし!」
雇われ
「ギャーッ!」
ジロン
「ザブングルにピストルで向かってくるなんて、立派だよ。ブレーカーの鑑!」
「あぁっ!」
「ラグ、ナイス・タイミング!」
ラグ
「今、ガルロ達が弾を持ってくるよ」
マーレ
「きゃ〜っ!」
「しっかり狙ってよ!」
ガルロ
「そんな簡単にはいかないよ、動いてるとさ!」
ハイヤ
「どうせ、俺は当たらないようになってるんだろうな。主役じゃないから、くそっ……!」
ジロン
「ラグ、俺にライフルを貸せ!」
「うわっ、やったな!」
「どんなもんだい! スペア、スペア!」
「弾さえあれば、こっちのもんだ!」
ガルロ
「畜生、後ろに付かれちゃどうしようもないぜ!」
マーレ
「んな事言ったって、何とかして!」
雇われ
「こんな岩に囲まれた所で、逃げ回っても無駄だ!」
ガルロ
「調子に乗りやがって!」
マーレ
「ガルロ!」
ガルロ
「あっ……!」
「あっ、あっ……!」
ガルロ、マーレ
「あ〜っ!」
雇われ
「あっ、どけ!」
「野郎!」
ガルロ
「へへっ」
雇われ
「馬鹿、放せ! 危な……ぐっ!」
ローズ
「行くわよ、みんな〜!」
ルル・ミミ・キキ
「そーれっ!」
チル
「あっ、大砲撃ちに行くの?」
エルチ
「ちょっとあんた達、勝手に行かないでよ!」
チル
「応戦しなけりゃやられちゃう。女の病気はいけないよ〜」
エルチ
「ったく、私のどこが病気だっていうの?」
「どういうつもりかしら? みんなして私を除け者にしてからに……」
「何、偉そうにしてるのよ!」
ファットマン
「オォッ!」
エルチ
「……誰もが、私の命令なしで一つに纏まって動いている」
「ジロンの拘りがみんなを変えてしまった……でも、悪くはない感じ」
「でも、私一人だけみんなから浮き上がってる……」
「ヤダヤダッ!」
カラス
「グレタ、エンジン部分だけは残しとけよ」
グレタ
「あいよ、お前さん」
カラス
「さっきの話だけどな、飯の後で酒も飲みたいかな〜」
「おい、聞こえとるのか?」
グレタ
「爆雷投下!」
エルチ、コトセット
「わっ……!」
コトセット
「こんな縦横無尽に攻撃されたんじゃ、もちませんよ!」
ラグ
「ジロン、このままじゃ埒が明かないよ」
ジロン
「アイアン・ギアーを、ウォーカー・マシンにチェンジさせるしかないな」
ラグ
「だったら、私に任せてよ」
ジロン
「ラグ」
「そんなモタモタやってると危険だぞ、ラグ!」
ラグ
「私が敵の注意を引き付けてるんじゃないか!」
ジロン
「やめろ、ラグ!」
ラグ
「私は一度仲間を裏切ったんだ! ここで死んでも仕方ないんだ!」
ジロン
「ラグ、それは格好良すぎるぞ。そりゃさせない!」
グレタ
「おや? 何のつもりだい、あの青いウォーカー・マシンは……」
「叩き落としておしまい」
ラグ
「ジロン! 私の骨は拾っておくれよ!」
ジロン
「ラグ! 死ぬな!」
グレタ
「しぶとい奴だ」
「私のウォーカー・マシンをお出し。止めを刺してやる!」
ラグ
「私は、アイアン・ギアーの為に命を賭けるんじゃない……ジロンの為よ!」
「私は死んでもいいわ! ……ははっ、パターンを言ってしまった!」
エルチ
「馬鹿! そういう台詞は、マイクを切って言え! み〜んな聞こえてしまったわい……うっ!」
ジロン
「何やってんの。早くウォーカー・マシンになるんだよ!」
ラグ
「あっ……!」
グレタ
「甘いんだよ、この私にさ!」
ラグ
「はっ、ホバーが効かない!」
グレタ
「ははっ、小娘が私に歯向かうのは十年早いんだよ!」
ラグ
「くっ、うっ……!」
グレタ
「ふふっ、コンガリと若鶏の蒸し焼きにしてやるよ」
ラグ
「あっ、ジロン……!」
グレタ
「ん、だからってつまり、若いからって蒸し焼きが美味しいとは限らないんだから。それだけは間違わないでね」
ラグ
「え、やだ! じゃあ、おばさんの蒸し焼きの方が美味しいっての?」
「ははっ……じゃ、誰かに比べてもらおうよ!」
グレタ
「この! お尻に痣が残ってる癖に……あっ!」
「青いのか?」
「何? ランド・シップが変型するの?」
「これが、ウォーカー・マシンだっていうの?」
「あんた! こんなのが居るって教えてくれなかったじゃない!」
カラス
「そうだったか? ガリーがやられたのも、こいつが居たからなんだよ」
グレタ
「ど、どうすんのさ?」
ジロン
「こうすんのさ!」
グレタ
「あぁっ、あーっ!」
カラス
「グレタ!」
ジロン
「砲座はカラスの船だけを狙え! アイアン・ギアーの手の方は……!」
カラス
「グ、グレタ……!」
雇われ
「カラスの旦那、これじゃ勝ち目ありませんぜ!」
カラス
「分かった! 船を後退させながら、みんな船から逃げ出せ!」
雇われ
「船を捨てるんですか?」
カラス
「こいつが目眩ましになる。その隙に逃げるんだ」
「ワシだって商売人だ、まだ小型のランド・シップくらい買える金は持っとる」
「グ、グレタ……!」
チル、コトセット
「やった!」
ジロン
「やったか」
エルチ
「へへっ……」
ラグ
「何で、ジロンじゃないのさ?」
エルチ
「あ〜ら、誰かさんの為に死んでもいいなんて言ったの、誰なのさ?」
ラグ
「むっ……」
エルチ
「でもね、覚えておいて。そんな格好のいい事は、この私が居る限り金輪際やらしゃしないからね!」
ラグ
「ベッ! アイアン・ギアーに帰還するわ」
グレタ
「うっ、うぅっ……!」
「堪らないわ。亭主を助けられるって自信があったから、こんな格好も出来たのに……」
「こ、これじゃもう、亭主の前に二度とこんな姿も見せられやしない……」
「堪らないわ……私、鳥にでもなりたい……」
カラス
「ガリーの恨み、グレタの恨み、晴らさずにおくものか……!」