第29話 イノセントだって必死
- 前回のあらすじ
- 支配階級イノセント、支配される者シビリアン……
- その間にも、時代の流れともいうべき変化が起きようとしていた。
- イノセントの上納ポイントで、新型ウォーカー・マシン『ギャリア』を奪い取る、ジロン・アモスは元気な子。
- またも逃げ出すビエルとドワス。何と不思議な乗り物と、見送るラグとジロンの一行は燃えるドームを後にする。
- その仕返しにエルチ・カーゴが攫われて、ジロン・アモスは悲しみに暮れ、ただひたすらに大追跡。
- ジロン
- 「ハックション! う〜、寒っ……」
- 「わっ……!」
- ダイク
- 「お〜、寒っ……」
- ジロン
- 「何か分かったか?」
- ダイク
- 「ああ。この先に、水の枯れた河原があるんだ」
- ジロン
- 「そんな事はどうでもいい」
- ブルメ
- 「や〜、寒いよ……話は中でしようぜ」
- ダイク
- 「ああ、そうだな」
- ジロン
- 「おい、エルチの行方は……?」
- ダイク
- 「旅の流れモンが、イノセントの空飛ぶ乗り物が河原を通るのを見たってよ」
- ジロン
- 「いつ?」
- ダイク
- 「大分前だってよ。河原の潮気の先には、イノセントの上納ポイントJがあるって話だ」
- ジロン
- 「それを先に言えよ」
- ラグ
- 「何よ、どうして避けるの?」
- ジロン
- 「よ、よせよ。そんな事してる暇ないんだよ」
- ラグ
- 「ドカーンッ! ……って、またイノセントのドームをやるの?」
- ジロン
- 「そうそう派手な事ばっかりやってられるかよ」
- ラグ
- 「エルチを助けに行く気なんでしょ?」
- チル
- 「ヤキモチよ」
- ラグ
- 「イーッ!」
- チル
- 「あ〜っ!」
- ジロン
- 「何だ?」
- 「ビエルの回し者か?」
- ダイク
- 「ホーラの手下かも」
- ブルメ
- 「どっちにしたって、やばい」
- チル
- 「コトセット、敵襲だ〜!」
- コトセット
- 「敵? 予告なしか!」
- チル
- 「おう!」
- コトセット
- 「あっ、あっちぃ!」
- チル
- 「あ〜っ、ぶつかる!」
- コトセット
- 「どっちだ、チル?」
- チル
- 「面舵……違う、取舵! あ〜、やっぱり面舵! ……面舵ってどっちだっけ?」
- コトセット
- 「あっ……?」
- ジロン
- 「わっ……!」
- ブルメ
- 「あっ、あっ……!」
- ジロン
- 「わっ……ラグ、このぐらいの揺れで何やってんの?」
- ラグ
- 「そんなつもりじゃないんだけどさ」
- ジロン
- 「何だ?」
- 男
- 「わぁぁっ!」
- ラグ
- 「ヘッ! 何てドジなブレーカーなんだよ!」
- 男
- 「うっ……!」
- ジロン
- 「妙な連中だな……」
- 男
- 「あぁ〜っ!」
- ブルメ
- 「わっ!」
- コリンズ
- 「銃撃やめ、やめるんだ! 敵じゃない!」
- ラグ
- 「ちょっとあれ、白旗じゃないの?」
- ジロン
- 「どういう事だ?」
- コリンズ
- 「止まれ、止まってくれ! 話があるんだ!」
- ジロン
- 「コトセット、アイアン・ギアーを止めろ」
- ブルメ
- 「あぁ〜っ!」
- 「わっ……!」
- エルチ
- 「あぁっ……」
- ビエル
- 「起きてたんだね」
- エルチ
- 「あっ……」
- 「ビエル様」
- ビエル
- 「気分は如何ですかな?」
- エルチ
- 「はい、とっても。でもここは? 見渡す限り真っ白で……」
- ビエル
- 「大丈夫。これから行くドームの中は、春ですからね」
- エルチ
- 「でも、まるで地の果てに来てしまったみたいで……」
- ビエル
- 「Jポイントは、聡明な貴方の趣味に合う事でしょう」
- エルチ
- 「そうでしょうか」
- ビエル
- 「私が保証します。エルチ・カーゴ」
- コリンズ
- 「やあ、まだまだ手を入れなくちゃならんのだが、組織は拡大しているからな。ははっ……」
- ラグ
- 「ここに居るのが、みんな、トロン・ミランの仲間なのかい?」
- コリンズ
- 「ちょっと違うが、ま、組織の仲間だ。改めて宜しく」
- ジロン
- 「んっ……やあ!」
- コリンズ
- 「うっ!」
- 「トロンがアンタ達と共同戦線を張れなかったのは、残念に思ってるよ」
- ジロン
- 「ありゃ不味かったと思ってんだ。いい人だったのにな」
- コリンズ
- 「戦いは時の運だ。やむを得ん」
- ジロン
- 「そう言ってくれると助かる」
- ラグ
- 「でもさ、アンタらどんな商売やってんだい? 山賊でもなさそうだしさ」
- コリンズ
- 「ソルトの事かい?」
- ラグ
- 「ソルト?」
- コリンズ
- 「組織の名前さ。自由の為に戦いをする」
- ジロン
- 「組織……?」
- ラグ
- 「自由の戦い?」
- コリンズ
- 「そう。自由を得る為に戦うのがソルトだ。言わばソルトは、君達にとってのアイアン・ギアーみたいなものだ」
- ラグ
- 「あれは私達の家よね。組織だっていうんじゃないよね」
- ブルメ
- 「そういう事。大体、アンタ方自由にやってるらしいのに、何で戦うんだ?」
- コリンズ
- 「イノセントの存在だよ。彼らは傲慢で身勝手で、我々を自分達の道具のように使っている」
- 「そのイノセントを倒す事が、ソルトの目的なのだ」
- ラグ
- 「イノセントを倒す?」
- 一同
- 「ははっ……!」
- コリンズ
- 「君達がイノセントのドームを破壊した事は知っている。組織の良き協力者になれる若者達だと尊敬しているんだよ」
- ジロン
- 「し、しかし、イノセントを相手に戦うなんて、ちょっとな……」
- コリンズ
- 「諸君は、ガソリンの補給に困ってる筈だろ?」
- ラグ
- 「そうなんだ。エルチは捕まっちゃうし、ブルー・ストーンは残り少なくなるしさ」
- コリンズ
- 「一緒に戦ってくれれば、ガソリンだろうと何だろうと、我々には補給する用意があるんだ」
- ブルメ
- 「それは有難いけどさ、俺達はいつでも自由になれるしさ」
- コリンズ
- 「いや、諸君はイノセントに追われる身だ」
- 「だが、アイアン・ギアーがある。我々には物資がある。両者が手を組めば、鬼に金棒という訳だ」
- ダイク
- 「分かった。早い話が、アンタらアイアン・ギアーが欲しいのか。そりゃ駄目だ、話にならないよ」
- ラグ
- 「そうだよ。こんな所で私達の住処を取られてご覧よ」
- ジロン
- 「し、し、死んでしまう〜っ!」
- 一同
- 「ははっ……!」
- コリンズ
- 「誤解しないで貰いたい。我々は共に、相互の利益と統一目的完遂の為に主張しているので、ある!」
- ジロン
- 「ある……?」
- ダイク
- 「ある?」
- ブルメ
- 「ある? 何だろ?」
- ラグ
- 「さあ……アンタら、何なの?」
- コリンズ
- 「いや、いいんだ……」
- ティンプ
- 「フフッ……ビラムの旦那の所へ逃げ込むようじゃ、ビエルも先がないな」
- エルチ
- 「これが芸術というのですか」
- ビエル
- 「いや、大した絵ではありませんよ」
- 「アイアン・ギアーなどで、ガサツな人間達と生活していたから、そう思うだけでしょう」
- エルチ
- 「アイアン・ギアー?」
- ビエル
- 「これからは貴方の優れた才能を、文化の発展に役立てて欲しいですね」
- エルチ
- 「まあ、ビエル様ったら」
- ビエル
- 「フフッ……」
- 「ん?」
- 「ビラム執政官、ご無沙汰している」
- ビラム
- 「挨拶は抜きだ。彼女が報告にあったエルチ・カーゴか?」
- ビエル
- 「報告? 私は何も報告していない筈だが……」
- ビラム
- 「ここの医務局の設備は十分に整っている。安心するがいい」
- 「ただ、イノセントの生活に慣れる為には、多少の我慢はして頂けますかな?」
- エルチ
- 「勿論です」
- ビエル
- 「ビラム執政官」
- Dr.マネ
- 「さあ……貴方なら、もっともっと美しくなれますわよ。こちらへ」
- ビエル
- 「ちょっと待ちたまえ……!」
- ビラム
- 「ビエル、ここJポイントの直接管理者は私だがな」
- Dr.マネ
- 「こちらへ」
- チル
- 「これイケる! 久し振りに美味しい食べモンだわさ……わっ!」
- ラグ
- 「ソルトって連中のくれたのは、型は古いんじゃないの?」
- ダイク
- 「それよりこんなの使ったら、俺達、ソルトの言いなりになるんじゃないの?」
- ラグ
- 「堅い事言いっこなし。いざって時はトンズラするのよ」
- ブルメ
- 「そういう事。利用出来るものは利用する、サンドラットのモットーよ。ははっ……」
- 「ん? 今の冗談、冗談!」
- ジロン
- 「チル、来い」
- ラグ
- 「ジロン、どこ行くの?」
- ジロン
- 「エルチを捜しに行く」
- ラグ
- 「そんなにエルチが気になるの?」
- ジロン
- 「悪いかよ。せめて、運び屋の手形を取り返してこなくっちゃ」
- ラグ
- 「手形なんてなくたって、補給の心配ないじゃないか」
- ジロン
- 「冗談じゃないよ。組織なんてのに使われるのは御免だね」
- 「行くぞ、チル!」
- チル
- 「おう!」
- ラグ
- 「わっ……!」
- 「待って、私も行くよ」
- ビエル
- 「何故だ! イノセントにとって重要な情報を持ってきた私を、何故アーサー・ランクに取り次がん?」
- ビラム
- 「無駄だからだよ」
- ビエル
- 「無駄? 何故無駄なんだ?」
- ビラム
- 「君は、今までに三箇所ドームを破壊された。君の手落ちだという事は、アーサー・ランクの耳にも入っている」
- ビエル
- 「だからこそ直接話をしたい! イノセントの任務は、既に終わりに近付いたと私は確信するからこそ……」
- ビラム
- 「しかしな、君の監視能力がないとして、三階級の降格が決定しているのだ」
- ビエル
- 「な、何だって……!」
- ラグ
- 「本気でギャリア一機でエルチが見付けられると思うの、おかしいよ。ソルトの連中と一緒でも嫌だけどさ」
- 「あっ……?」
- ジロン
- 「何だ?」
- 「またイノセントの仲間が邪魔しに来たのか?」
- 「出た!」
- ラグ
- 「ジロン、逃げるのよ!」
- ホーラ
- 「撃つな、ジロン!」
- ジロン
- 「ホーラか!」
- ホーラ
- 「話があるんだ」
- ジロン
- 「何?」
- ビエル
- 「貴官は、イノセントの掟が破られる事に不満を持っているようだが、それは違う」
- 「シビリアンの中から時代が変わり始めているんだ」
- 「これはアーサー・ランクに報せる必要がある」
- ビラム
- 「私は出来る限り、君のした事を正確に伝えた」
- 「しかし、その結果を向こうがどう思っているかは、私には分からんよ」
- ビエル
- 「まだ話は済んでない」
- ビラム
- 「言ってみたまえ」
- ビエル
- 「イノセントの大目的は、人類再生作戦の筈だ。その為に我々は、人類の生体強化の実験を続けてきた」
- ビラム
- 「その実験に有害な人種は、取り除く必要があるな」
- ビエル
- 「作戦は終了しつつあるのだ」
- 「アイアン・ギアーの子供達を見ていると、既に世代変わりを始め、このゾラに適応した種として生まれ変わっている」
- 「だからこそ、私は敢えて彼らをドームの中まで潜入させ、彼らの力を試してみたのだ」
- ビラム
- 「その考え方が危険なのだ」
- ビエル
- 「何故だ」
- ビラム
- 「その考えは、イノセントを無用のものにするんだよ。そうしたら我々はどうなる?」
- ビエル
- 「遺産を彼らシビリアンに渡せばいい」
- ビラム
- 「話にならん」
- ビエル
- 「ならば私は、最後のテストをやってみる」
- 「シビリアンが本当に完成された種であるかどうか、これではっきり分かるだろう」
- ビラム
- 「そうだ、そうやって注意深くやればいい」
- ビエル
- 「エルチ・カーゴのテストだ。彼女をアイアン・ギアーにぶつける事で、シビリアンの力が見えてくるだろう」
- ビラム
- 「だからやっている」
- ビエル
- 「何?」
- ビラム
- 「より用心深くシビリアンを強化していく事が、我々の任務だからな」
- ビエル
- 「なら、エルチを私に返してくれ」
- ビラム
- 「君は降格されたのを忘れたのか?」
- ビエル
- 「待ってくれ……!」
- ホーラ
- 「撃つのはやめろ! エルチの居場所を知りたくないのか?」
- ジロン
- 「エルチの?」
- ラグ
- 「ジロン、騙されちゃ駄目だよ」
- ホーラ
- 「騙しゃしない」
- ラグ
- 「イノセントの犬が何を言うのさ」
- 「ジロン、上!」
- ホーラ
- 「エルチはJポイントだ。ビエルが連れて行ったんだよ」
- ジロン
- 「嘘吐くな! イノセントが何で、エルチをあっちこっちへ連れて行くんだ」
- ホーラ
- 「そんなの知る訳ないでしょ、俺が」
- ジロン
- 「俺と手を組みたいから教えるのか?」
- ホーラ
- 「勘違いするな。俺はお大尽なんだ。お前なんかと手を組んだら、金は手に入らないよ」
- ジロン
- 「分かった。お前はエルチを取り戻すのを、俺に手伝わせたいんだな〜?」
- ホーラ
- 「だ、誰が……誰が女房を手に入れるのに、他人の手を借りるか!」
- ジロン
- 「ヒヒッ! 赤くなってるのが証拠でしょ?」
- ホーラ
- 「ど饅頭!」
- ジロン
- 「垂れ目!」
- ホーラ
- 「こんな所で犬死に出来るか!」
- ジロン
- 「邪魔するな!」
- ラグ
- 「見逃してくれてんのよ。卑怯じゃなくて?」
- ジロン
- 「Jポイントか……」
- コトセット
- 「何だと? エルチお嬢さんがJポイントのドームに居るって?」
- ジロン
- 「ああ」
- ダイク
- 「信じるのか、ジロン?」
- ジロン
- 「他に手掛かりがないんだ。信じるより仕様がないだろ?」
- ブルメ
- 「ホーラが言ったんだろ? 信じていいもんかな?」
- ダイク
- 「同感だ。何か裏があるぞ」
- ラグ
- 「私もそう思うわ」
- ジロン
- 「虎穴に入らずんばって事もある。罠があった時はあった時さ」
- コトセット
- 「冗談言うな! 危ないと分かっていて、ノコノコ突っ込んでいくのか?」
- ジロン
- 「エルチを助ける気はないのか?」
- コトセット
- 「綿密な作戦が必要だと言ってるんだ!」
- ジロン
- 「そんな時間はない! 行ってから考えりゃいい!」
- コトセット
- 「コリンズには何て言うんだ?」
- ジロン
- 「え?」
- ラグ
- 「ガソリンも貰っちゃったしね」
- ブルメ
- 「食料も」
- ダイク
- 「武器と弾薬もだ」
- ジロン
- 「イノセントにアタックするんだ。奴だって文句はない筈だ」
- ラグ
- 「お〜お、張り切っちゃってもう」
- ゲラバ
- 「何故、ひと思いにジロンをやらなかったんです?」
- ホーラ
- 「出来ればアイアン・ギアー諸共生け捕りにして、Jポイントへ納めたいからな」
- ゲラバ
- 「Jポイントへ?」
- ホーラ
- 「ビエルの政治生命も恐らく終わりだ。となると、次の新しいボスと仰ぐお方に素晴らしい手土産が要るだろ?」
- ゲラバ
- 「成る程、そうすりゃエルチ返してくれるかもしんないしね」
- ホーラ、ゲラバ
- 「ははっ……!」
- 女の声
- 「御気分は如何ですか? このお風呂は、お肌をとても美しくします」
- 「そして煩わしい事も忘れ、素直な心が生まれます」
- チル
- 「見て! 雪、雪だ! わ〜い!」
- 一同
- 「わっ、寒い……!」
- コトセット
- 「こんな寒い中を走るなんて、初めての事だ。面倒な事にならなけりゃいいがな」
- ジロン
- 「面倒? 何故さ?」
- ダイク
- 「俺、寒いのに弱いんだ」
- コトセット
- 「こう寒いとエンジンが冷えてしまって……」
- ブルメ
- 「おい、何だあれ?」
- 一同
- 「ん?」
- ブルメ
- 「ほら、あれ」
- ラグ
- 「あぁっ……」
- ジロン
- 「何?」
- ダイク
- 「あら?」
- ラグ
- 「速いね」
- ダイク
- 「どこの手のモンだ?」
- ブルメ
- 「ソルトとかの連中じゃないの?」
- エルチ
- 「美しいわ」
- アンドロイド
- 「失礼します」
- エルチ
- 「はい?」
- アンドロイド
- 「ビラム様から、贈り物で御座います」
- エルチ
- 「何かしら?」
- アンドロイド
- 「美術の御本で御座います」
- エルチ
- 「わぁ、素晴らしい絵だこと……」
- アンドロイド
- 「ビラム様は、文化と美術に大変詳しい方でいらっしゃいます」
- 「良い先生になってくださいますよ、エルチ様」
- エルチ
- 「本当、素敵……」
- ジロン
- 「いいか、チル?」
- チル
- 「オッケーだわさ!」
- ジロン
- 「……ん、何でだ?」
- 「ラグ、そっちはどうだ? エンジンが掛からないぞ」
- ラグ
- 「え? どういう事なの?」
- 「エンジンが掛からないって、どういう訳?」
- ジロン
- 「ええい、掛かれ! この事か、コトセットの言ってた厄介な事って……」
- 「ラグ、寒いからだ。エンジンが冷えてっから、エンジンが……ックション!」
- ダイク
- 「行けっ!」
- 「ジロン、何やってんだ? 早く出て来てくれないと……わっ!」
- ブルメ
- 「ガルロはホバーの方、ハイヤはウィルの方をやれ!」
- ジロン
- 「焦げない程度にあっためるんだ!」
- ラグ
- 「あっためるだけ!」
- マーレ
- 「分かってる!」
- ジロン
- 「あっ、あちっ!」
- ラグ
- 「ノズルが細過ぎる!」
- ジロン
- 「そうそう、万遍なくね」
- チル
- 「タイヤは焼かないでよ〜!」
- ブルメ
- 「よーし、こっちは掛かった! 出るぞ!」
- ジロン
- 「わっ……!」
- ブルメ
- 「ジロン、来るぞ!」
- チル
- 「ジロン、足が! 足が上がんない〜!」
- ラグ
- 「掴まるんだよ!」
- ジロン
- 「何であんなに速く雪の上を動けるんだ?」
- ホーラ
- 「何だ? もう戦いが始まっている……。ビエルの回し者か?」
- コトセット
- 「機関室! 絶対にエンジンを止めるなよ! 雪の中へ突っ込んだらそれでお仕舞いだぞ!」
- ダイク
- 「この! 独楽鼠みたいに動き回るな!」
- ハイヤ
- 「ハックション!」
- マーレ
- 「クソッ!」
- プロポピエフ
- 「クソッ!」
- ルル・ミミ・キキ
- 「わ〜い、やったやったぁ! そーれ、そーれ!」
- ブレーカー
- 「あっ、前が……!」
- 「ヒャーッ!」
- ブルメ
- 「ジロン、後ろだ!」
- ジロン
- 「あっ……!」
- ティンプ
- 「久し振りだな、兄ちゃん!」
- ジロン
- 「んっ……!」
- ティンプ
- 「フフッ……覚えてるかい、俺を」
- ジロン
- 「はっ……!」
- ティンプ
- 「フフッ、悔しいだろうな兄ちゃん」
- ジロン
- 「ティンプ……クッ!」
- ホーラ
- 「ティンプ! アイツ、まだ生きていたのか」
- ジロン
- 「生きていたのか、ティンプ!」
- ティンプ
- 「おうよ! 俺の芝居に騙された兄ちゃんが馬鹿だって事だな!」
- ジロン
- 「このぉーっ!」
- 「違う! 前のティンプとは別人のようなスピードだ!」
- ティンプ
- 「そんな腕じゃ、そのウォーカー・マシンが泣くぜ、兄ちゃん!」
- ブルメ
- 「ジロン、ブーメラン・ランチャーだ!」
- ジロン
- 「チルも撃つんだよ!」
- チル
- 「わ〜っ!」
- ブルメ
- 「ジロン、そんなに噴かすとガス欠になるぞ!」
- 「ジロン!」
- ジロン
- 「わぁぁーっ!」
- チル
- 「弾がなくなっちゃった!」
- ジロン
- 「くそっ……!」
- 「あっ?」
- ラグ
- 「ジロン!」
- ティンプ
- 「やるな、兄ちゃん!」
- ジロン
- 「わぁぁーっ!」
- ティンプ
- 「よーし、お遊びはここまでだ。行くぜ!」
- 「わぁっ……!」
- ジロン
- 「だぁぁーっ!」
- ティンプ
- 「また会おうぜ、兄ちゃん!」
- ジロン
- 「くそぉーっ、動け! 動け、くそぉーっ!」
- ラグ
- 「ジロン!」
- ジロン
- 「くく、くそぉーっ!」
- ラグ
- 「ジロン……」
- ジロン
- 「ティンプ、生きてたなんて……!」