第33話 ゴタゴタ果てしなく

前回のあらすじ
支配階級イノセントと、支配される者シビリアン……
その間にも、時代の流れともいうべき変化が起きようとしていた。
ソルトのリーダー、カタカム・ズシムは、アイアン・ギアーが欲しいばかりに、おべっかおせっかゴリ押し三昧。
巻き添え食って死んで行くのは、ソルトのメンバー。
ティンプの繰り出すマシン“ドラン”の凄さに歯も立たぬ、エルチの救出儘ならぬ、ジロン・アモスはヒステリー。
それでは嫌気も差そうもの、ブルメ飛び出し止めるも出来ぬ、ジロン・アモスは可哀想。
ブルメ
「アッ! ……くそっ、何か引っ掛かってんのか?」
「わっ、あっ……!」
「こんな所でエンコしやがって、この出来損ない!」
「あっ……」
「ていっ! このこのっ!」
ブレーカー
「グゥッ……!」
ブルメ
「あぁ、腹減った……」
チル
「ラグったら〜!」
「もう少し待ってよ〜! あ〜っ!」
ラグ
「甘ったれるんじゃないの。今育ち盛りで、人一倍食べるんだろ、チルはさ? 我慢しな」
チル
「意地悪! ヒステリー! 年増! 薄情モン! あ〜っ!」
「これもあれも、みんなジロンのせいなんだ〜っ!」
「もう嫌……」
「あら」
タッピ
「モタモタしてっからよ」
チル
「あれ、あの子達……」
「そっか、髪の毛を切ったお姉ちゃんの所に居た子だ」
ラグ
「何、遊んでんだよ?」
チル
「先行っててよ」
ラグ
「チル、荷物どうすんの?」
タッピ
「何だよ?」
チル
「やっぱし、マリアさんとこに居た……!」
タッピ
「あ〜! お前、チルって言ったな?」
チル
「うん。どうしてこんなとこに居んのさ?」
タッピ
「マリアがあんまり苛められるんで、引っ越そうって、爺さんと来たんだ」
チル
「へ〜。マリアさん、お爺ちゃんが居たの?」
タッピ
「違うよ。医者のお爺さんの手伝いやってんだよ」
「ジロンさ、元気かい?」
チル
「勿論だわさ」
タッピ
「会いたいな。アイアン・ギアーで来たのか?」
ベッチ
「タッピ、早く行こうよ」
子供
「怒られても知らねぇぞ」
チル
「何で怒られんのさ?」
タッピ
「この町に来たばっかだろ? 町の人と話をすると、爺さんがうるせーんだよ」
ラグ
「マリア?」
チル
「うん」
ラグ
「コトセット、ジロン達は?」
コトセット
「鉄砲玉だろ? 帰ってくる訳ないんじゃないの」
ラグ
「エルチが攫われたりするから、こんな事になったんだよ」
「コトセット、アイアン・ギアーはソルトに協力してくれるんでしょうね?」
コトセット
「何で協力しなくちゃならんのだ」
ラグ
「何で?」
コトセット
「これはエルチ・カーゴ名義の船だからさ。あんたは、何も言う権利ないんだからな」
「エルチお嬢さんが戻ってくるまで……わっ!」
ラグ
「このドックだって、カタカムが居たから安く紹介してもらったんじゃないか」
コトセット
「……パターンはよそう。俺は好きでこのドックに入ったんじゃないんだ」
「カタカムが入れ入れと言うから、乗ってやったんだ」
「俺はあんたと違って、カタカムって大嫌いなんだ!」
ラグ
「あんた大人? カタカムの話聞いたでしょ。尊敬出来る男なんだよ」
コトセット
「嘘を吐け!」
ラグ
「何が嘘なもんか!」
チル
「ジロン達だ」
チル
「ジロ〜ン!」
「どうだった?」
ジロン
「修理が進んでいないようじゃないか」
チル
「ブルメ、見付かんないの?」
ジロン
「あぁ」
チル
「どうすんだよ?」
「ジロン!」
ジロン
「全く、ソルトの連中は遊んでんじゃないのか?」
チル
「何よ、ジロンまでヒステリー!」
ダイク
「よせ、言うな。エルチの居所が分からないから苛々してんだ」
チル
「男のヒステリーなんて〜!」
ジロン
「誰がヒステリーだって?」
ラグ
「あんたでしょうが」
ジロン
「何で?」
ラグ
「エルチだブルメだっていいけどさ。買い物はさせられる、コトセットには怒られるしさ。手を貸してよね」
ジロン
「ソルトのカタカムって人が手伝ってくれてんだろ?」
ラグ
「あの人は、組織の人と打ち合わせなの。一人で好きにやってるジロンとは違うからね」
コリンズ
「俺達には、大型の船を操れる奴なんて一人も居ないんだ」
カタカム
「エルチとかっていう女を救出する事だけしか頭にない連中に」
「これ以上アイアン・ギアーを任せるのは、我々の戦いの足を引っ張るぞ」
コリンズ
「同感だけどね。歴戦の勇士達を失くすのは痛いな」
カタカム
「ふんっ……仲間が集まってくれば、そんな心配もなくなるさ」
「で、どうなのだ?」
コリンズ
「あぁ、ウルフ・クラスのランド・シップが三隻程手に入るだろう」
「それに、ウォーカー・マシン・チームも来るしな」
カタカム
「よし、良好じゃないか。なら頭を使って、アイアン・ギアーを我々の戦力にする事を考えるさ」
ジロン
「俺は嫌だぜ?」
ダイク
「ラグの言う通りなんだよ。カタカム達に協力すりゃ、エルチを救い出せるチャンスは出てくるんだ」
ジロン
「エルチの方が先だ」
ハイヤ
「アイアン・ギアーを出てみて分かったんだ。あれはなくちゃいけない。ソルトの為にもカタカムと手を組んで……」
ジロン
「滅茶滅茶にされちまうよ」
ラグ
「あの人は、そんなにドジじゃないよ」
ジロン
「何だと?」
「言い包められたもんだな、みんな」
ラグ
「言い包められてないよ。一人で生きていけないって事が分かっただけ」
ダイク
「一人より、ここはカタカムの組織を利用するのが手だって」
ハイヤ
「その方が絶対早いよ」
ジロン
「本気か二人共? あんなの信用ならないんだよ」
「カタカム〜、オーッ……」
「そんな奴、男の屑だ!」
ラグ
「ジロン! カタカムはやる事やってんのよ?」
ジロン
「裏切られるぞ」
ラグ
「カタカムは男です」
チル
「ジロン」
「ジロン、髪を切ったお姉ちゃん覚えてる?」
ジロン
「髪を切った……?」
チル
「ほら、野菜の姉ちゃん」
ジロン
「マリアが来たのか?」
チル
「ううん、マリアのとこの子が来た」
ジロン
「マリアんとこの子? ここにか?」
チル
「うん、ジロンに会いたいって」
ジロン
「何しに来たんだ?」
タッピ
「マリアがあんまり苛められるんで、メディック爺さんとこっちの方へ流れてきたんだ」
ジロン
「メディックさんと、ここに……?」
タッピ
「あぁ」
ジロン
「で、お前は何でここに来たんだ?」
タッピ
「俺、医者の手伝いなんて嫌だから、ブレーカーになりたくて……」
ジロン
「マリアは知ってるのか?」
タッピ
「ううん……わっ!」
チル
「あっ……!」
ジロン
「そういうのは十年早いんだよ。マリアの所に案内しな」
「チル、荷物」
チル
「うん」
ブルメ
「全く、野兎一匹居やしない」
「わっ、くっ……!」
「こ、こんなとこに落とし穴かよ」
「どういうつもりなんだよ。ウォーカー・マシンは食えないぜ?」
ビエル
「そういうつもりはない。蜥蜴の一匹でも落ちてくれると思ってた」
ブルメ
「俺がドジだってのか?」
ビエル
「そうは言わんよ」
ブルメ
「あっ、あんた……!」
ビエル
「動くな、撃つぞ!」
ブルメ
「あんた、ビエル執政官じゃないか。どうしたんだよ、イノセントがこんな所で」
ビエル
「私を知っているブレーカーか。アイアン・ギアーか? アイアン・ギアーのクルーのブルメ」
ブルメ
「へぇ、流石イノセントの執政官だ。そうさ、ブルメさ」
ビエル
「近付くな……あっ!」
「ピ、ピストルが……!」
ブルメ
「どうしたんだよ」
ビエル
「な、何がだ」
ブルメ
「丁度いいぜ。お前一人、こんな所で何してるんだよ」
ビエル
「あっ、あぁっ……!」
ブルメ
「このぐらいの事で、ヒーヒー言う事はないんだ! え、ビエルさんよ」
「アイアン・ギアーが滅茶滅茶になっちまって、エルチが攫われて、ジロンまでおかしくなっちまって」
「それもこれも、みんな、お前のお陰なんだよ」
「さあ、どこからぶち抜いてやろうか」
「ん? お前、本当にビエルなのか?」
ジロン
「本当にここなんだな、タッピ?」
「あっ、危ない!」
チル
「何すんだよ!」
ベッチ
「帰れ、帰れ!」
タッピ
「俺だよ。石を投げんなよ」
ベッチ
「兄ちゃん」
マリア
「誰か来たの? ベッチちゃん」
ベッチ
「タッピが帰ってきた」
ジロン
「あ、マリア!」
マリア
「ジロン!」
「アイアン・ギアーらしいのが来てるって聞いたけど、本当だったのね」
メディック
「ほう……」
ジロン
「あ、あんた……!」
メディック
「ははっ、また治療代を踏み倒しに来たのか?」
ジロン
「まさか。ふふっ」
ビエル
「イノセントといっても、色々居るのさ」
「四日以上何も食べてないんだ。ブルー・ストーンがあっても、私には買い物など出来ないし……」
ブルメ
「ドジをやったのか?」
ビエル
「そんな簡単な事じゃない」
ブルメ
「じゃ、何だよ?」
「それを飲めば、イノセントがドームの外に出ても死なないのか?」
ビエル
「美味い」
「いや、このカプセルだけでは、私はそんなにもたないよ」
「私は君達シビリアンのように、生体改造をされていないからね」
ブルメ
「生体改造? 何だそりゃ?」
ブルメ
「何で俺がイノセントの面倒見なくちゃならないんだ、はぁっ……」
「ほらほら、しっかりしろよビエルの旦那……わっ!」
ビエル
「ブルメ君? おい、しっかりしたまえ」
ブルメ
「何が『しっかりしたまえ』だよ! あんたがしっかりしてくれないから、こうなるんじゃないか!」
ジロン
「そりゃそうだよ。子供だって、野菜作っているよりブレーカーかロックマンの方が好きだもん」
マリア
「そんな事を言うと、子供達は益々いい気になるわ。私達がこんな土地に来たのはね……」
ジロン
「そりゃ、タッピから聞いたよ。ドンパチが嫌で逃げてきたんだろ?」
マリア
「それだけじゃないわ。もっと前向きになろうって……メディックさんの手伝いをする事に決めたの」
ジロン
「いいじゃない。あっちこっちの流れ者の暮らしが分かって、面白いだろ?」
メディック
「ところがここに来たら、そうもいかんのさ」
「胡散臭い連中が手を貸してくれとやってくる」
ジロン
「ティンプかホーラか?」
メディック
「ソルトとかいう連中だ。知ってるか?」
ジロン
「難しい事ばっかり言う連中だ。便利だけどね」
メディック
「便利?」
ジロン
「タダで色んな事してくれてさ」
メディック
「ふむ、好きなのか?」
ジロン
「あ? ソルトのカタカムをか?」
「ははっ、『カタカム・オー』なんて奴、好きになれると思う?」
メディック
「なのに、付き合ってんだろ?」
ジロン
「言ったろ? 便利だって」
「ほら、タッピ、もっと修行してきたら、ブレーカーにしてやっからな」
「マリアの言う事聞いて、よく手伝いするんだぞ?」
「チル」
チル
「あい。ばいちゃ〜」
タッピ
「ジロン、きっと行くからな」
ブルメ
「よう、医者はどこだい?」
「知らねぇな。二百キロ先の町にはあるがよ」
ブルメ
「え〜、薬屋もないのかよ」
「あぁ……医者らしいのが流れてきたって言ってたな」
ブルメ
「え? どこに居るんだ?」
「知るかよ」
ブルメ
「チッ……!」
ブルメ
「よよ、姉ちゃん!」
「ひゃ〜、可愛い! よよ、付き合わない?」
「逃げなくたっていいでしょ?」
「あっ、アイアン・ギアー……!」
「何てこった、これじゃ船出しか意味がないじゃないか。やれやれ」
カタカム
「やはり、Hポイントの方向に飛ぶ飛行物体があったというのか」
ビリン
「はい」
カタカム
「ご苦労だった、ビリン・ナダ」
ビリン
「いえ」
カタカム
「ん……?」
ビリン
「何です?」
カタカム
「アイアン・ギアー! どこに行くつもりだ?」
「アイアン・ギアーを止めさせろ!」
ジロン
「あっ……!」
ビリン
「止めて。アイアン・ギアーを止めて」
ジロン
「何だ?」
ビリン
「カタカムが、アイアン・ギアーを止めてくださいって言ってます」
ジロン
「言ってますったって、そんなの聞けるか」
ラグ
「コトセット、何でカタカムが居ないのに船を出すの?」
コトセット
「ジロンが出せと言ったんだ」
ラグ
「ファットマン、止めて」
ジロン
「ラグ」
ラグ
「何よ?」
ジロン
「エルチを捜しに行くのに、カタカムの手伝いなんか要るもんか」
ビリン
「止めてください!」
ジロン
「飛び乗れって言え! 急いでんだから!」
ビリン
「了解!」
ジロン
「……いいか? この船はソルトの船じゃないんだ!」
ラグ
「修理してもらって補給してもらって……!」
コトセット
「人の親切は受けてあげないとね〜」
ジロン
「そういう事、そういう事」
カタカム
「親切は惜しみなく与えるよ、諸君」
ラグ
「カタカム」
ソルト・メンバー
「ひぃ、参った〜」
カタカム
「本艦の行くルートだが、エルチを運んだと思える飛行物体のルートを見付けた」
ジロン
「何ぃ?」
カタカム
「進路は大丈夫か?」
カタカム
「見てくれ、大した戦力だろう?」
「どうだねジロン君。これだけの戦力をソルトでも揃える事が出来た」
ジロン
「偉い偉い……」
カタカム
「みんな素人なのだ。歴戦の勇士の君が、先導してHポイントへ向かってくれまいか?」
ジロン
「煽てたって駄目だ」
カタカム
「いや、煽ててはいない。事実を冷静に認めているから言えるのだ。君は勇者なのだ」
「(?)に入る若者達に、戦い方を教えてやって欲しい」
ジロン
「ま、リーダーのそういう気分は分かるよ。やるか」
カタカム
「集結場所は間違えるな」
ジロン
「分かっている」
カタカム
「ふふっ……」
ブレーカー
「ギブロス、ギブロス、聞こえますか? アイアン・ギアーをキャッチしました。ウンタカ・バレーに直進」
「ギャリアが出ました。先行するようです」
ティンプ
「ふふっ、遂に掴まえたか」
「パトロールに出ているウォーカー・マシンをウンタカ・バレーに集めろ」
ギロ
「駄目です、半日以上は掛かります」
ティンプ
「何でだよ?」
ギロ
「なるべく広くパトロールしろって命令したのは、ティンプ艦長ですぜ?」
ティンプ
「俺がか……アチッ!」
「艦長命令か。なら、しゃあねぇな」
「手持ちでやってみるか」
チル
「ジロン、ソルトのウォーカー・マシン連れてくるんじゃなかったの? 早過ぎるよ」
ジロン
「そんな事に構っていてみろ。助けられるものも助けられなくなっちゃう」
ソルト・メンバー
「ギャリア、聞こえないのか? 足が速いぞ!」
ジロン
「冗談言うな! 戦いになったらな、これでも遅いんだよ!」
ビリン
「ギャリアの人って、組織の事が全然分かってないみたい」
ラグ
「ジロンめ、結局エルチエルチじゃないか」
カタカム
「周波数帯を探せばいいんだよ」
コトセット
「じゃあ、あんたやりなよ」
「イノセントが使っている周波数が分かる訳ないじゃないか」
カタカム
「君は技術者だろう」
ラグ
「私、ザブングルで出るわ」
カタカム
「うむ」
ラグ
「ジロンから目が離せないのよ」
カタカム
「頼む……ん?」
コトセット
「ほら」
マーレ
「ラグ、バズーカだ! 投げるよ!」
ラグ
「了解!」
「ジロンめ、どこまで出たんだ?」
「カタカム、急いでよ!」
ギロ
「カプリコ隊、聞こえるか? 先発隊だけでも叩けりゃいいんだ!」
ティンプ
「よーし、俺の怖さを思い知らせてやるぜ」
ジロン
「出たな」
「あら? ダッカーがあるんだろ? いつまでも座ってるんじゃないの!」
ビリン
「アイアン・ギアー、聞こえますか? 敵のウォーカー・マシンが出ました。カプリコ・タイプ4機です」
チル
「うわっ、速い!」
ジロン
「チル、無駄に撃つな。まだ敵は出てくるかもしれない」
ビリン
「やった! 凄い、流石慣れてる!」
ジロン
「ダッカー、下がれ! やられるぞ!」
ソルト・メンバー
「あっ、まだ撃ってる!」
ブレーカー
「やらせるかよ!」
ビリン
「あっ!」
ブレーカー
「ひょ〜、長いスカートを履いた女だぜ」
 〃
「ロング・スカート?」
ビリン
「あっ、うっ……!」
「きゃぁぁっ!」
ブレーカー
「ひゃぁ、可愛い〜!」
 〃
「ほわっと掴め、ほわっと」
ビリン
「ああん、放してぇ! 放せ、こいつ!」
ブレーカー
「ははっ、暴れろ暴れろ!」
ビリン
「くっ……!」
ブレーカー
「わっ……!」
ジロン
「撃つぞ! どけ!」
チル
「ジロン、落ちちゃう」
ビリン
「助けてくれんなら、もっと優しくして?」
ギロ
「ティンプ! カプリコは2機もやられてます!」
「どうします?」
「おい、砲撃して後ろのバッファローを狙え!」
「旦那、これでいいすか?」
「早く援護してやれ!」
「いいっすよね、これで。艦長?」
ティンプ
「的確だ、ギロ。何としてもギャリアを潰せ」
ギロ
「はっ!」
ラグ
「させるかい!」
ブレーカー
「うわぁぁっ!」
ジロン
「逃げろ! 爆発するぞ!」
ビリン
「急いで!」
ジロン
「急いでます!」
「おい」
ビリン
「これ、どうやって撃つの?」
ジロン
「カバーを外せ」
「あ?」
ソルト・メンバー
「ば、爆弾を仕掛けたぞ」
ビリン
「何で止まるの?」
ジロン
「後ろからティンプが狙っている」
ラグ
「うっ……!」
カタカム
「ウォーカー・マシンに変形、支援する!」
「ウルフは右より回り込め! 急げ!」
「撃てぇー……わっ!」
ラグ
「コトセット、プロポピエフ、危ないじゃないか。撃つ時は教えろよ」
コトセット
「カタカムだよカタカム、艦長面して命令出してるんだよ」
「何故、俺が命令していると思っているんだ……ぎゃっ!」
ギロ
「やりますかティンプ、大決戦を! 最終戦を……うっ!」
ティンプ
「艦長だ俺は。ドランもなくて、おめおめ負け戦も出来るか!」
「後退するチャンスを見極めるのも、艦長の才能よ……逃げろ!」
ギロ
「へっ?」
ティンプ
「わっ……!」
ビリン
「嫌だ! 何で邪魔するの?」
ジロン
「こんなバラバラじゃ、勝てる戦いも勝てないんだよ。どいてくれよ」
ビリン
「その素を作ったのは、貴方でしょ?」
ジロン
「今みたいなアイアン・ギアーの使い方じゃこっちまでやられる。あんたの親分によく言っときな」
ビリン
「了解!」
ジロン
「ったく、これじゃ……」