第37話 女いろいろ万華鏡

前回のあらすじ
支配階級イノセントと、支配される者シビリアン……
その間にも、時代の流れともいうべき変化が起きようとしていた。
エルチ救出に向かったジロンとファットマンに手を貸すのは、ブルメとビエル。
Hポイントに潜入し、エルチを見付けたまではシリアス・ドラマ。
勿論、攻防戦が楽しくなる訳もなく、ドラマはシリアス一辺倒。
エルチが敵。ドワス、キャローンもジロンを追っての大接戦。遂にビエルが立った。
嗚呼、ドラマ・チック、男伊達。イノセントにもまともな男が居るのだとジロンに見せるビエルだが、
元は己が仕掛けた事と、ビエル、無残に散りました。
キャローン
「さっ」
「手筈通りやるんだよ。よし、行くよ」
エルチ
「キャローン、勝手に出動するのかい?」
キャローン
「煩いね。私はあんたの指図を受ける謂れはないね」
エルチ
「抜け駆けする気ね? そんなの許さないわよ!」
キャローン
「大人しくお留守番してるんだね、エルチお嬢ちゃん」
「ハッチを開けな!」
キャローン
「ははっ! アイアン・ギアーは、私が先に戴くよ!」
エルチ
「あっ……!」
「キャローン!」
ドワス
「どこへ行く、エルチ?」
エルチ
「ドワス様……!」
「キャローンを追い掛けます。行かせてください」
ドワス
「ま、そう焦るな」
エルチ
「いいえ。アイアン・ギアー撃滅は、カシム様に近付ける唯一つの資格です」
「キャローンなんかにやらせたくありません」
ドワス
「昔の仲間を殺してまで、カシム様のお役に立ちたいか?」
エルチ
「勿論です。私は指揮官とならなければなりません」
ドワス
「ふふっ、いい事を教えてやろう。お前には専用のランド・シップが与えられる事になった」
エルチ
「えっ、私専用?」
ドワス
「我々が、お前とキャローンのどちらを評価しているか、これで分かった筈だ」
エルチ
「はい」
ブルメ
「何やってんだ、コトセット? 相変わらず進歩しねぇな、アイアン・ギアーは」
ジロン
「わっ、あたっ……!」
ダイク
「おっ……!」
ジロン、ブルメ
「わっ」
ジロン
「どうしたコトセット、敵か? どうしたんだよ?」
チル
「わ〜ん、ジロン。早く来てぇ〜」
一同
「何だ?」
ジロン
「チル」
チル
「コトセットが……」
コトセット
「ハハッ、ハハッ……」
ブルメ
「何か変だな」
ジロン
「あつっ、凄い熱……!」
ダイク
「病気か?」
ブルメ
「まさか」
ジロン
「お?」
コトセット
「ちょっと水飲んでくら……」
ジロン
「おい、大丈夫かよ?」
コトセット
「ふん、大丈夫に決まって……ない……」
一同
「コトセット!」
プロポピエフ
「ふむ、40度もある。こりゃ唯の風邪じゃありません」
ジロン
「このコトセットがぶっ倒れるんだ。相当悪いんじゃないのか?」
ブルメ
「もしかしたら、ラット熱じゃないかな?」
プロポピエフ
「倒れ方といい、そうらしいですな」
ジロン
「ラット熱だとすると、ワクチンなしには助からないんだろ?」
チル
「そんなもん、ここにゃないよ」
ブルメ
「メカマン居なくなっちまうぜ?」
ダイク
「死ぬと決まった訳じゃないよ」
プロポピエフ
「ワクチンか、ふむ……」
ジロン
「ん……」
「そうだ、Hポイントへ行こう」
プロポピエフ
「えぇっ?」
チル
「またドンパチやんの?」
プロポピエフ
「今はエルチお嬢様どころじゃないでしょうが」
ジロン
「Hポイントなら、コトセットを救う手があるって言ってんだよ」
ダイク
「成る程。Hポイントならワクチンもあるって訳だ」
「でも、誰がアイアン・ギアーを動かすんだ?」
ジロン
「お前やれよ」
ダイク
「俺が? 出来ねぇよ」
ジロン
「今はそんな事言ってる時かよ?」
ダイク
「偉そうに言うな! 大体、甘いんだよお前は。向こうがすんなりくれると思ってるのか?」
ジロン
「力尽くでも貰うさ」
ダイク
「お前な……!」
ブルメ
「待てよ、Hポイントに行かなくても医者が居りゃいいんだろ?」
ジロン、ダイク
「そうか」
チル
「そうか、メディックだ!」
プロポピエフ
「ん?」
ブルメ
「そうだ。確かメディックのキャンプが、ここからそう遠くない所にあった筈だ」
プロポピエフ
「それはいい。早速向かいましょう」
「いや、その前に誰か知らせに言った方がいい」
ジロン
「よし、俺が行く」
ダイク
「そりゃ駄目だ。いつ敵が攻めてくるか分からないんだ。俺達は船を離れられないよ」
ジロン
「じゃあ、誰が行くんだ?」
「あっ」
チル
「ん? ははっ……!」
ジロン
「気を付けて行けよ、チル」
コトセット
「ハァッ、ハァッ……」
プロポピエフ
「静かにして頂戴!」
ジロン
「どうした、プロポピエフ?」
プロポピエフ
「早く何とかして、コトセットさん……!」
ジロン
「どうなってるんだ?」
プロポピエフ
「ええと……」
ローズ
「大丈夫なの?」
プロポピエフ
「何々、ラット熱とすれば第二期症状ですぞ。24時間以内に処置しないと……」
ローズ
「どうなるの?」
ジロン
「よし、俺達も出発しよう」
「お?」
コトセット
「ヒヒッ……!」
メディック
「マリア、マリア」
「マリア」
「弱ったな、この忙しい時に……」
マリア
「はい先生、何でしょうか?」
「あっ」
メディック
「あぁ、手伝ってもらいたい手術が……」
マリア
「すぐに行きます」
メディック
「あぁ、いやいいんだ。君はこっちの怪我人を診ていてくれたまえ」
マリア
「こちらが終わったらすぐに行きます」
メディック
「ふむ、よくやる子だ。疲れているだろうに少しも顔に出さん」
子供
「先生、先生、メディック先生!」
「先生!」
メディック
「ん、何だね?」
子供
「イノセントの物らしいレッグの一隊が、真っ直ぐこっちに向かっているそうです」
メディック
「何だと?」
子供
「後一時間もすれば、ここに来るらしいんです」
メディック
「ここには非戦闘員しか居ないと、敵にも分かっている筈だが」
「君、カタカムの居場所は分かっているね?」
子供
「はい」
メディック
「呼んできてくれ。キャンプが危ないと」
子供
「はい」
メディック
「こうしちゃおれん」
ルトフ
「キャローン。このまま行くと、ナロ峡谷だよ」
パッタ
「あそこにゃソルトの野戦病院しかないじゃん」
キャローン
「ズバリ、そこは攻撃目標だよ」
パッタ
「全然分かんないや」
キャローン
「あそこにゃソルトで一番頭の切れる奴らが集まってんだ。そいつを叩くのさ」
「ソルトの頭が危ないとなりゃ、アイアン・ギアーがすぐに助けにくるからね」
ルトフ
「流石だねキャローン。これに勝ったも同じだ」
キャローン
「大出世だよ。透き通るような絹の下着を頂けるんだ。ははっ!」
ダイク
「おい、もっとスピード出せないのか?」
ジロン
「出してるよ」
ブルメ
「ジロン、前方に山があるぞ。避けろ避けろよ」
ジロン
「取舵〜! 面舵かな?」
プロポピエフ
「わわっ……!」
「さっ、これで熱は下がりますよ」
「ん、ローズ?」
「あっ、コトセットさんが……!」
「イタァーッ!」
コトセット
「そんなに飛ばすな。燃料コックがいかれちまわぁ」
ジロン
「そんな事言ったって……」
「コトセット」
ブルメ
「あ?」
ダイク
「もういいのか、コトセット?」
コトセット
「俺にやらせな」
ジロン
「あ〜良かった、治ったのか?」
コトセット
「フフッ、ヒャハッ……!」
ジロン
「わっ、あっ……?」
ブルメ
「やめろ、コトセット……うっ!」
ジロン
「やめろ……わっ!」
「このっ!」
プロポピエフ
「第三期症状です。もう正気じゃないんです」
ジロン
「次はどうなるんだ?」
プロポピエフ
「体中が腫れ上がって、終わりですわ」
ジロン
「あたっ……」
チル
「あっ、着いた! ナロ峡谷だ」
「わっ!」
怪我人
「こっちだ、急げ!」
看護兵
「うぅっ……!」
キャローン
「行くよ!」
メディック
「マリア、マリア……!」
マリア
「メディック先生」
メディック
「い、急いで!」
「重体の患者はあの洞窟へ。後は任せたよ」
マリア
「先生は?」
メディック
「こう見えても銃ぐらいは撃てるさ」
メディック
「よし、ここで奴らを食い止めよう。戦える者は?」
ソルト・メンバー
「これだけです」
 〃
「ホバー・トラックを前へ出せ!」
メディック
「十分だな」
「さっ、早いとこ一発噛ませようじゃないか」
ソルト・メンバー
「それっ!」
キャローン
「やったね……!」
ソルト・メンバー
「来るぞ、急げ!」
 〃
「おう!」
 〃
「くっ……!」
キャローン
「あっ!」
「くっ、何てこったい!」
チル
「こんにゃろ〜!」
ルトフ
「わっ!」
ソルト・メンバー
「敵がビビッたぞ!」
 〃
「凄いぞチビ、お前どっから来たんだ?」
チル
「メディック先生はどこ?」
メディック
「ワシだが」
「ん、君は確かアイアン・ギアーの……」
チル
「うん。コトセトットがラット熱に罹ったの」
メディック
「何だって? ラット熱……!」
キャローン
「こうなったら一人も逃がすんじゃないよ」
ルトフ
「みんな殺っていいのかい?」
アル
「レスリー達はどこさ?」
キャローン
「あの子達は、アイアン・ギアーの方をやってもらうのさ」
アル
「キャッ!」
キャローン
「何だ?」
カタカム
「敵の足を止めろ!」
キャローン
「あの程度の数なら、やってやろうじゃないの」
「よし!」
ソルト・メンバー
「うわぁぁっ!」
カタカム
「負傷者を一人でも多く乗せて、後退させろ!」
ラグ
「この虱め!」
キャローン
「遅いんだよ!」
ラグ
「うわぁぁっ!」
ビリン
「ラグ! 小さいのに大きいのは無理!」
「はっ、あぁっ……!」
キャローン
「はっ……!」
ビリン
「キャローン!」
キャローン
「ビリン、生きてたのかい!」
ビリン
「生きてちゃいけない?」
キャローン
「仲間を抜けて野垂れ死にしたかと思ってたよ」
ビリン
「悪かったわね。私だって一人でちゃんとやりたかったんだよ」
「あっ……!」
キャローン
「いいかい? お前は見逃してやるからね。大人しくしてるんだよ、いいね?」
ビリン
「キャローン……」
ラグ
「こんのぉ〜!」
パッタ
「ほらよ!」
ラグ
「わぁぁっ!」
パッタ
「さっさとお寝んねしな!」
ラグ
「あぁっ!」
カタカム
「ラグ!」
「ラグがやられるぞ! 左右から援護しろ!」
「トッド、バーレ、ビリン、急げ!」
ビリン
「駄目……」
カタカム
「何? 誰か? ビリンか?」
ビリン
「駄目なんだよ……」
カタカム
「何故だ、ビリン?」
ビリン
「キャローン……やめて、お願いだよ!」
メディック
「ラット熱の処置は分かったね?」
マリア
「はい。全力を尽くします」
メディック
「チル、谷を出るには、あのど真ん中を突っ切る他ない」
チル
「任しといて」
「行くよ、掴まって」
メディック
「頼んだぞ」
マリア
「はい」
ラグ
「うっ……!」
「ソルトの連中、何やってんの? 援護しとくれよ!」
ビリン
「ラグ……」
「はっ、あれはマリア……!」
マリア
「チル、あそこは大丈夫かしら?」
チル
「ラグがザブングルで頑張ってんだ。大丈夫よ」
レスリー
「キャローン、ホバギーが1機出てきたよ。やるかい?」
キャローン
「追い掛けな。アイアン・ギアーと出会ったら、ここまで連れ出してくるんだ」
「本格的にアイアン・ギアーを叩く。尤も、ここがやられてんのに気付く頃だろうけどね」
レスリー
「了解!」
ローズ
「ほらほら、押して押して」
キキ
「ん、ラット熱は冷やしたからって効くの?」
ルル
「運ぶのよ」
マリア
「やっぱり、付けられているんだわ」
チル
「見えてきた」
マリア
「え?」
ダイク
「何、ラグ? ラグがどうしたって?」
ブルメ
「チルの行った所だろ?」
ダイク
「何か雑音が酷いんだ。何だって?」
マリア
「ウォーカー・マシンらしいものが付いてくるわ。急いで」
チル
「了解」
「わ〜っ!」
「マリア、近道だ!」
マリア
「え、えぇっ」
チル
「ハイヤ、マーレ、プロポピエフ! ウォーカー・マシンが来るわさ!」
チル
「みんな早く、ウォーカー……」
コトセット
「ギャーッ!」
ダイク
「どうした?」
プロポピエフ
「どうしよう、駄目です。これじゃ心臓がもたない」
ジロン
「うっ……!」
ダイク
「どうだ?」
ジロン
「動いてない」
「コトセット、しっかりしろ」
ブルメ
「コトセット。全く……冗談だろ、おい?」
ジロン
「コトセット、目を開けてくれ!」
マリア
「素人はどいてください。早く酸素ボンベを」
ジロン
「マリアさん」
マリア
「酸素ボンベを用意してください」
ジロン
「はい」
「あ、チル、ご苦労さん」
チル
「コトセット大丈夫なの?」
「あっ! ウォーカー・マシンが来るよ! 空を飛ぶ奴だわさ!」
ジロン
「何だと?」
「プロポピエフ!」
プロポピエフ
「は、はい!」
ブルメ
「ワクチンは持ってきたんだろ?」
マリア
「大丈夫」
ダイク
「マリア、頼むぜ!」
マリア
「早く酸素ボンベを枕元にセットしてください。さ、急いで」
プロポピエフ
「は、はい」
マリア
「それから、電気ショックの用意」
プロポピエフ
「はい」
マリア
「次に、強心剤を」
ブルメ
「ドランが3機だ」
「ダイク、マーレ、正面だ!」
ダイク
「了解! 正面1500!」
ジロン
「チル、急げ!」
チル
「あいよ!」
ジロン
「あれ?」
「チル、敵は隠れたぞ。アイアン・ギアー、気を付けろ」
マリア
「上手く行きそうだわ」
「電気ショックを」
レスリー
「ははっ、遅いよ!」
マリア
「あっ……!」
ローズ
「あんた、雪を持ってきたよ」
プロポピエフ
「や、もういいんだ。もういいんだよ」
レスリー
「さぁ付いといで、アイアン・ギアー!」
ジロン
「くっ、うぅっ……!」
ブルメ
「ジロン、逃げてくぞ。追ってくれ!」
ジロン
「了解」
ジロン
「マリア、コトセットはどうだ?」
マリア
「メディック先生に教えられた事は全部やりました。後はコトセットさんの体力次第です」
ジロン
「コトセットが、そう簡単に死んでたまるか」
マリア
「ええ。だから今度は、貴方がメディック先生を助けて」
ジロン
「え?」
チル
「キャンプがイノセントに攻撃されてるんだよ」
ダイク
「今逃げた奴も、イノセントの手先か」
ジロン
「でもさ、イノセントが医療キャンプなんか襲うか?」
ブルメ
「あのドランって奴は、まだどこにも出回ってない奴だぜ?」
ジロン
「確かにな」
ラグ
「ビリン、あんた一人ぐらいしっかりしてよ! ビリン!」
ビリン
「な、何で姉さんが、イノセントなんかに……」
カタカム
「ビリンめ……!」
「ビリン! ラグが苦戦しているのが見えないのか? 俺がやる!」
ビリン
「いえ、私がやります」
カタカム
「何?」
ビリン
「これは私のレッグです!」
カタカム
「わっ……!」
「何だ、ビリンは……わっ!」
ビリン
「姉さん! これ以上やるんなら、私だってやるからね!」
キャローン
「ええい、何て子だい!」
ビリン
「その代わり、キャンプの外でね!」
アル
「逃がしゃしないよ!」
ビリン
「はっ……!」
「あっ!」
キャローン
「ビリン!」
レスリー
「キャローン、アイアン・ギアーが来るよ!」
ジロン
「もう来てる!」
レスリー
「えっ?」
ジロン
「怪我人だけのキャンプを襲うなんて、お前達、それでも人間か!」
ラグ
「ジロン!」
キャローン
「はっ! 目的の為には手段を選ばずって言葉、知らないの?」
ジロン
「黙れ!」
キャローン
「レスリー、そいつは任せるよ」
ダイク
「うっ! ブリッジの方へ1機行ったぞ……あっ!」
「このっ……!」
ブルメ
「こなくそ!」
パッタ
「そらよ!」
ブルメ
「どこ行ったんだ?」
「イテッ!」
カタカム
「アイアン・ギアーを乗っ取るつもりか」
ビリン
「やめて! キャローン、やめて!」
ジロン
「させるか!」
「くっ……!」
チル
「わぁぁっ!」
キャローン
「こいつをやれば私だって剣を持てるし、男共を顎で使えるってもんさ!」
ブルメ
「わっ……な、何だ?」
アル
「わっ!」
ルトフ
「あっ……!」
キャローン
「くそっ! レスリー、アイアン・ギアーを……!」
レスリー
「キャローン!」
「アイアン・ギアーが変だ。集中攻撃を掛けるよ!」
ラグ
「ん、アイアン・ギアーが……!」
コトセット
「肩の機銃がレッグを狙える筈だ! 撃てーっ!」
キャローン
「しまった!」
コトセット
「ブルメ、何やっとるか! 撃て撃て、撃て!」
レスリー
「キャローン!」
ジロン
「そうは行くか!」
レスリー
「畜生!」
ラグ
「よくもやってくれたね! たっぷりお返しさせてもらうよ!」
「逃がすかい!」
ブルメ
「来る!」
コトセット
「任しとけ!」
ブルメ
「わっ!」
キャローン
「ドランがやられた!」
コトセット
「しゃらくせぇ!」
「下か! ファットマン!」
キャローン
「ドランを3機もやられちまってさ。銭とか剣とかもおじゃんかい、全く……」
「あの子が居なけりゃ、もっとさっぱりとケリを付けてたものをさ」
カタカム
「では、いいのだな? このままソルトで戦い続けられるのだな?」
ビリン
「勿論です。姉が姉の生き方をするのなら、私は私で、ソルトの中で生きていきます」
「そうしなければ、別れた意味がありませんから」
ジロン
「ビリン、話が付いたみたいだ」
ダイク
「色んな女が居るよな。あんな姉妹とか、マリアみたいとかさ」
ラグ
「それから、私みたいのとかって言いたいんだろ?」
ブルメ
「そうそ。エルチみたいに、はっきり敵に付くのも居るしさ」
ラグ
「でもさ、いいじゃない。人それぞれで。だから面白いんだろ?」
ジロン
「面白いよ……面白けりゃいいんだろ、人生はさ……」
ラグ
「まあそうだね……」
「ね、マリアさん?」
マリア
「そうでしょうか? そういうラグさんって、私は余り好きじゃありません」
ラグ
「悪かったね」
コトセット
「居た居た! ここに居たのか、お前ら!」
ジロン
「いいのか? 起きてて」
コトセット
「黙れ! お前達、俺がちょっと目を離した間に、あっちこっちぶっ壊してくれたな!」
ブルメ
「それはないんじゃない?」
ダイク
「そうだよ。俺達だってどれだけ心配したか」
コトセット
「煩い! 風邪ぐらいで、この俺が参るか!」
「ハックション!」
ジロン
「そら見ろ。ほれ、寝ろ」
コトセット
「煩い! お前ら、もう……!」
ブルメ
「いいから、いいから」
チル
「男って気楽ね」
ラグ
「まぁね……」
「ね、マリア?」
マリア
「は、はい」
エルチ
「これが……これが私の物になるんですか?」
ドワス
「ギア・ギアだ。アイアン・ギアーの破壊力と完全に匹敵する」
エルチ
「感謝します、ドワス様」
「あぁっ……!」
ドワス
「いよいよ、アイアン・ギアーの最後が近付いたようだ」
エルチ
「それは勿論です、ドワス様」