第40話 カタカム、やぶれかぶれ

前回のあらすじ
シビリアンの片隅からイノセントに対決しようとする力が生まれる……。
アイアン・ギアーのクルー達も、自分達の考えとは別に、その渦の中に巻き込まれていった。
ドジの兵士を抱えたエルチ。力で押しても駄目ならば、汚い手でも使います。
マリア攫ってジロン一人を誘き出す。
ジロン、ムキになりまして、ビリン手助け致しますのも、カタカム・ズシムがいけないの。
「目指すはヨップのアーサー・ランク。マリア一人は捨てて行け」
そんなカタカムに、ラグ・ウラロまで愛想尽かしを致します。
ジロン、エルチの再度の対決。何とかマリアを助け出し、再び決戦始まりましょう。
エルチ
「ん〜、いい香り」
「ジロン、好きよ……」
「……何だ、この言葉?」
「敵を好きになれる訳ないでしょ!」
「うぅっ……!」
エルチ
「コラッ!」
「誰が修理を休めと言った? ソルトが攻めてくる事もあるんだ。仕事を急げ!」
「そこ、何をしてる!」
「このっ!」
「今度やったらお前を串刺しにするよ!」
ブレーカー
「無理じゃないんですか? アイアン・ギアーも……」
 〃
「ソルトも戦い上手らしいし」
「っと、来た来た」
 〃
「もっと武器が要りますぜ」
エルチ
「あんた達の腕を使えば、勝てるさ!」
ブレーカー
「あっ、ババだ」
エルチ
「ん、あたしゃまだ若い!」
「働かん奴は、みんなナイフで串刺しにしちゃうから!」
ガウツ
「……やってられないよ、ヒステリー女が」
エルチ
「いい? 給料が欲しかったら、やるだけやって頂戴!」
「みんな、分かったの? 飯食わしてやんないぞ! 金もなしだぞ! それが嫌なら働け!」
「ガウツはどこだ!」
ブルメ
「もう昨日の戦いで分かったんだぜ? 奴の正体がさ。な?」
ラグ
「ああ」
ダイク
「これはもうみんなの意見なんだが」
ジロン
「まぁ、俺だってカタカムは処分したいけどな」
チル
「何せ『カタカム・オーッ』だもんな」
ブルメ、ダイク
「ははっ……!」
ジロン
「いいのか、ラグ?」
ラグ
「みんなの言う通りにするよ」
コトセット
「あいつの顔見るだけで吐き気がする。潮時だ。手を貸すぜ」
ジロン
「ま、待てよ。各地に居るソルトのメンバーを敵に回す事にならないかな?」
ビリン
「ソルトは、みんなジロンに付いていくと思うわ」
ジロン
「俺に? 何で?」
ブルメ
「俺達のやり方は、ソルトの連中だって分かってきた筈だ」
ダイク
「カタカムは頭でっかちだって事もね」
ラグ
「残念だけどさ、実際のドンパチ向きの人じゃなかったんだよ」
ブルメ
「ほ〜、賢い賢い」
ダイク
「どうしたの、ラグさん?」
ラグ
「サンドラットを仕切ってきたのは私だよ? そのぐらい分からなくてどうする」
チル
「でもさ、『カタカム、カタカム』だったでしょ〜?」
ラグ
「チョメッ!」
チル
「わ〜っ!」
ダイク
「決まった。じゃあ指揮は……」
ファットマン
「ホッ、ホッ……!」
ダイク
「お呼びじゃ!」
ブルメ
「ないの!」
ダイク
「とにかく、指揮はジロンが取れよ。いや、昔のラグならラグでもいい」
ラグ
「いいよ」
チル
「は、放してよ〜!」
ラグ
「あっ。ご、ごめん」
ジロン
「よし、俺はギャリアで出て、アイアン・ギアーの進路を確保する」
カタカム
「ビ、ビ、ビリン・ナダまでが……」
「わっ……!」
ジロン
「誰か居るのか?」
ダイク
「ジロン、誰か来るぞ。ウォーカー・マシンだ」
ジロン
「何?」
カタカム
「ふぅっ……」
ダイク
「別に敵ではなさそうだな」
「あぁ、ソルトの旗持ってる」
「どうするジロン?」
ジロン
「ブルメ、無線で甲板に上がるように言ってくれ」
ブルメ
「あいよ」
「こちらアイアン・ギアー。え〜、ソルトの3機へ、ソルトの3機へ」
ソルトの男
「あんたがギャリアのジロンか?」
ジロン
「俺がジロンだ」
ソルトの男
「ははっ……」
「うっ!」
ビリン
「待って」
ソルトの男
「ビリン」
ジロン
「俺がジロン・アモスだ」
ソルトの男
「すまん」
ビリン
「どうしたの?」
ソルトの男
「何、ちょっと調べさせてもらったのさ」
ビリン
「そうなの?」
ジロン
「うん。で、何しに来たんだよ?」
ソルトの男
「アイアン・ギアーが来ないんで……」
 〃
「みんな苛立ってるんだ。放っといたら暴動が起きる」
ジロン
「カタカムは知ってるのか?」
ソルトの男
「カタカムは連絡をくれないんだ。とにかく誰か来てくれ」
ジロン
「成程な」
「どうする?」
ラグ
「留守番は任しときな。何かあったら連絡するからさ」
ダイク
「そうしろよ」
ジロン
「うん」
ガウツ
「懲りずに人質戦法を繰り返せっていうのかい?」
エルチ
「やる事は同じでも狙いは違う。敵の力を切り離して叩いていくんだよ」
ガウツ
「無駄だね。私なら力で押してくね」
「あっ!」
エルチ
「こっちの戦力は減ってるのよ? 分がある筈ないでしょ」
ガウツ
「そんな弱気じゃ、若い者は付いてこない!」
「イタッ……このっ!」
エルチ
「あんたより偉い艦長の命令が聞けないの?」
ガウツ
「ふんっ……!」
エルチ
「ふんっ。艦長命令! ドラン戦隊を発進させ、ソルトの野戦病院を全滅させよ!」
ジロン
「ラグ、ビリン、後は頼む」
ビリン
「小型でもランド・シップが2隻居るから大丈夫よ」
ブルメ
「すぐ帰ってくるからね、ビリンちゃ〜ん」
「ダイク、機銃大丈夫なんだろうな?」
ダイク
「チルの奴、滅茶苦茶使い……おぉっ!」
ラグ
「さて、私達は合流地点に着くまでに、各隊に武器の整備をさせようか」
ビリン
「はい」
カタカム
「……ふんっ、勝手にソルトが動くと思うなよ?」
エミカ
「また増援が来るってのかい。なら、あのギャリアとかが戻ってこない内に……」
カタカム
「ふふっ……」
コトセット
「ん、何だ? 厄介払いが嬉しそうに出てったじゃないか」
「おっ」
カタカム
「ルンルン……♪」
ラグ
「コリンズ……どこ行ってたんだい?」
ビリン
「ヨップへの近道を探しに行ってたらしいわ」
ラグ
「ふ〜ん……」
カタカム
「ホーラ隊もティンプ隊も居ないんだな?」
コリンズ
「あぁ、この辺りならヨップへの直進コースを取っても大丈夫だ」
カタカム
「分かった。なら、私の計画通りにヨップへ急ごう」
コリンズ
「何だ? ブリッジの連中は未だにエルチに拘ってるのか」
カタカム
「頭の固い連中だからな」
コリンズ
「確かにな」
カタカム
「で、ソルトの団結を固める為には、私が一刻も早くアーサーに会わねばならん」
「いいかコリンズ、手を貸せよ」
コトセット
「ん? 厄介入りが来たか」
「早く出てった方がいいんじゃない? その理屈だらけの頭のネジを締め……わっ!」
「殴られちゃった……!」
カタカム
「頭のネジを締められるのはお前だったな」
「縛り上げろ!」
「ふふっ、アイアン・ギアーを乗っ取ったぞ」
「これで私は、事実上のソルトの戦力の中央に居る訳だ!」
チル
「綺麗なの沢山あるわさ」
「わ〜、綺麗! ラグ、これあたいにどう?」
ラグ
「駄目駄目、あんたには大きいよ」
チル
「ケチ」
「ラグもこんなの着てみたいっしょ」
ラグ
「ふっ、あたしゃこれがいいの」
チル
「こ〜んなヒラヒラしたの着たら、ジロン鼻血ブゥよ?」
ラグ
「そ、そうかな?」
「わっ!」
チル
「あっ……!」
ラグ
「どうしたの、コトセット? 何があったの?」
「コトセット、聞こえないの?」
チル
「勝手にスピード変えないでったら〜!」
「ラグ、どうしたのさ?」
ハイヤ
「あっ」
ガルロ
「どうしたんだ、ラグ?」
ラグ
「分かんないよ。ブリッジへ上がる」
ハイヤ
「あっ!」
ラグ
「何突っ立ってんのよ」
「うっ……!」
コリンズ
「ふっ、遅かったな、ラグさん」
ラグ
「カタカム、あ、あんた……!」
カタカム
「暫く辛抱してもらうつもりだ」
ハイヤ
「あっ、やめろ!」
ラグ
「何すんのよ!」
カタカム
「殺しはしない」
コトセット
「ふざけるな! 死んでもお前なんかに殺されるか!」
「びっくりすると、眼鏡がずれませんか……?」
ラグ
「カタカム、どういうつもり? こんな事して後悔するわよ」
カタカム
「アーサー・ランクと話が付けば、みんな俺を見直すさ」
ラグ
「カタカム……あんたそうやって、自分だけがエエカッコしいなんだ!」
カタカム
「何故それがいけない? そうしなければソルトは纏まらんのだ!」
「私はやれる! 私は強い! 私は正しい!」
「コリンズ、全速前進!」
コトセット
「気取るな、このっ」
カタカム
「さて、ラグさん……わっ!」
コトセット
「ははっ!」
カタカム
「理性を持てば一流のメカマンになれるものを……!」
「このっ、このっ!」
コトセット
「わっ! やめて、よして、やめて!」
チル
「あっ……!」
「しぃっ……わっ!」
カタカム
「何だ、誰か居たのか?」
チル
「居ない居ない……!」
マリア
「もう少し奥でいいわよ」
「メディックさん、大丈夫ですか?」
メディック
「年には勝てんってとこかな。しかし、まだまだマリアには負けんぞ?」
マリア
「お元気ですこと。そうでなければ、イノセントに勝てない……」
メディック
「そうだな。この戦いはブレーカー同士のいざこざとは違う」
「マリアだって、理想ばかり言ってはいられないと分かってきたんじゃろ?」
マリア
「少しは……」
メディック
「やる事は山程あるんじゃ。ジロン達ばかりに頼る訳にはいかん」
マリア
「はい」
メディック
「さて、ボチボチ行くか」
マリア、メディック
「あっ……!」
マリア
「ドランよ」
メディック
「くそっ!」
「反撃しながら逃げろ。早くするんじゃ!」
「行くぞ!」
ソルト・メンバー
「うわぁっ!」
エルチ
「アイアン・ギアーは手薄なまま北上中っていう訳?」
エミカ
「はい」
エルチ
「見所のある子だよ。これからも頼むわね」
エミカ
「は、はい!」
エルチ
「ガウツ、ドラン隊のガウツ、聞こえますか?」
「ドラン戦隊ガウツ、聞こえてるの?」
メディック
「医療班ばかり狙うとは意気地のない奴らじゃ」
「散れ! バラバラに逃げるんじゃ!」
エルチ
「聞こえてるの、ガウツ? 聞こえてるなら応答せよ」
ガウツ
「聞こえてる訳ないでしょ? あんたが言う通りに戦ってる最中なんだから」
エルチ
「しっかり聞こえてるじゃないの!」
「いい? アイアン・ギアーを叩くの手伝いな。合流地点はR3、ね!」
ガウツ
「医療班だけ叩けばいいって言ったでしょ?」
エルチ
「状況が変わったのよ! アイアン・ギアーも叩くの!」
ガウツ
「エミカとかって小娘だけの情報を信じたら、大怪我するよ!」
「あれ?」
エルチ
「ツベコベ言わずにR3よ。いい事?」
「もう嫌! 自分が美人だと思ったら、女ってヤダ!」
ガウツ
「へぇ、怒鳴り合ってる間に当たっちまったのかい? 儲けた!」
マリア
「行ったわ」
メディック
「花火はもういいぞ。発炎筒もな」
「ええいしかし、戦えない者だけ狙うとは何ともやり口が汚い。イノセントの手先共め」
ガウツ
「ご苦労だったね」
ブレーカー
「で、艦長は次に何をやれってんですか?」
ガウツ
「アイアン・ギアーさ」
ブレーカー
「冗談じゃねぇ。気紛れすぎるな、そりゃ」
 〃
「ヒステリーには付いて行けねぇな」
 〃
「全くだ。まともに聞いてちゃ身が持たねぇよ」
ガウツ
「あんた達、それ本気なの?」
ブレーカー
「他のブレーカー達も呆れてやすよ?」
 〃
「あんたぐらいだとヒステリーがなくていいってねぇ」
 〃
「将来大物になるって、ドワスの旦那が言ってやしたからね」
ガウツ
「そう、そんな事を……」
ジロン
「アーサー・ランクが俺達側だって事は聞いている筈だ」
「けど、アーサーを手に入れる為には、今までみたいにバラバラに戦っていたんじゃ駄目だ」
「イノセントは予想以上に戦い上手になっている」
「今日は武器補給班だけが、俺達とアイアン・ギアーに行く」
「後は他のソルトと連絡を付けて、アイアン・ギアーを追っ掛けてくれ」
ソルト・メンバー
「すぐにも飛んでくぜ!」
 〃
「ウォーカー・マシンも預けてある」
ジロン
「よーし!」
ソルト・メンバー
「ジローン!」
ジロン
「よーし!」
ダイク
「あれじゃ、カタカムと同じじゃねぇか。いいのかね?」
「『オーッ、ジロン!』……イテッ」
ジロン
「カタカムとは違わい!」
ダイク
「そう願いたいね」
チル
「バァッ」
ラグ
「チル……!」
チル
「ジロンに知らせっからさ。これ」
カタカム
「そうはさせない」
チル
「あっ!」
ラグ
「チル、早く!」
チル
「ベェッ、だ!」
ダイク
「お?」
「ジロン、止めろ。ドランだ」
ブレーカー
「どうだ、いけるか?」
 〃
「もう少しだ」
ジロン
「わっ……!」
ブレーカー
「何だ?」
「異常ないようだ。この辺りは大蜥蜴の巣だからな」
ジロン
「今度食ってやる」
ガウツ
「早く済ましとくれ」
ブレーカー
「ああ」
 〃
「あぁ、やっぱ鰓蛇だ」
ジロン
「見ろ、ドランだぜ」
ブルメ
「分捕るか」
ダイク
「それしかないな。相手は三人……」
ブルメ
「こっちも三人」
ジロン
「やるか」
ブルメ、ダイク
「うん」
ジロン
「よし」
ダイク
「見付かったら最後だぜ」
ブルメ
「わっ、わわっ……」
ジロン
「そろ、そろ……わっ!」
ブレーカー
「何だ?」
「怪しい奴……行くぜ!」
ガウツ
「動くんだろ?」
ブレーカー
「もう大丈夫です」
ジロン
「わっ、来るぞ……!」
「わわっ!」
「嘘!」
ダイク
「おぉっ……!」
ブルメ
「お先!」
ジロン
「わわっ、わっ……!」
「こっちだ!」
ジロン
「男の子!」
ブルメ、ダイク
「おう!」
ブルメ
「ドランはどうする?」
ジロン
「欲しいが、この場は一旦引き上げよう」
ガウツ
「待ちな。コソ泥を追っ掛けるのは一旦やめるよ」
ブレーカー
「どうしてです?」
ガウツ
「ポイント5へ向かう」
ブレーカー
「ギア・ギアと合流しないんですか?」
ガウツ
「そんな事、出来る訳ないだろ?」
カタカム
「私の理想とかやりたい事というのは、貴方に十分に説明したつもりなのだけどね、ラグさん」
ラグ
「その『さん』というのはやめとくれ」
カタカム
「ラグさん、貴方達は思った以上に石頭なのだな。失望するよ」
ラグ
「失望おしよ! ジロンが戻ってきたら……!」
カタカム
「ふんっ、あんな土饅頭の一人や二人、私の真の実力で……」
コリンズ
「カタカム! 前方にランドシップ、急接近!」
カタカム
「何? どけ!」
「ギア・ギアだ」
「砲撃用意! 配置に就けぇっ!」
コトセット
「あんたに指揮が執れるもんか。ぶっ壊さんでくれよ、アイアン・ギアーをさ」
カタカム
「ソルトの組織を大きくしていこうという私が、このアイアン・ギアーを壊す訳がない」
ジロン
「あっ、あれチルか?」
チル
「だからさ、どこ行ったんよ? ジロン達」
ダイク
「チ、チルだ」
ブルメ
「よう、どうしたの?」
チル
「あっ、ジロン! ジロ〜ン!」
「わぁぁんっ!」
ジロン
「ど、どうしたんだ?」
チル
「カタカム……カタカムが、アイアン・ギアーを乗っ取ったんよ」
「ラグもコトセットも縛られてる」
ジロン
「何だとぉ?」
「ダイク、ブルメ!」
ブルメ、ダイク
「おう!」
ジロン
「出撃だぁ!」
カタカム
「誰か〜! 砲台へ急げ! 中央だ! いや、ウォーカー・マシンは何故出んのか!」
コトセット
「ど素人!」
カタカム
「煩い! 口が利けるなら、ちゃんと指図しろ!」
コトセット
「この格好で出来るか!」
カタカム
「あんたらの艦だろ? 責任持ったらどうだ!」
ラグ
「こんな調子じゃ、ソルトのランド・シップはやられるだけよ!」
「わっ!」
ビリン
「はっ……!」
エルチ
「敵は狼狽えている! 連射しろ!」
カタカム
「各砲座、撃つんだ! こんな事じゃやられるぞ!」
「うっ……!」
「わぁぁっ!」
「コ、コリンズ、後は頼む……」
コリンズ
「え? カ、カタカム、それはな……うぅっ!」
ラグ
「逃げるのかい、カタカム」
カタカム
「え?」
ラグ
「つまり戦いって奴は、自分の理屈だけでは戦えないのよ。何で先に撃たなかったの?」
カタカム
「敵が速かったからだ!」
「うぅっ!」
ラグ
「わっ!」
「切って!」
カタカム
「裏切りは許さんぞ」
ラグ
「そんな時じゃないでしょ」
「ハイヤ、ガルロは主砲へ」
ガルロ、ハイヤ
「分かった」
ラグ
「プロポピエフ達にも銃座へ行かせて」
「ドランは?」
コトセット
「2機だ」
ラグ
「コリンズ、どこへ行くの!」
コリンズ
「鉄砲撃ってくる。鉄砲……」
コトセット
「ちゃんと撃てよ!」
ハイヤ
「速い……!」
「わぁぁっ!」
「脇役だもんな〜」
エルチ
「進めドラン! 左右から同時に撃ち込め……あっ!」
「何? 援軍か?」
「ギャリアか! ならジロン!」
「右舷機銃、ジロンだ! ギャリアを撃て!」
ジロン
「へへっ、そんなヒョロヒョロ弾に当たってたまるか」
「行くぞ、ブルメ」
「よーし……あっ!」
ラグ
「ジロン、ライフルよ!」
ジロン
「来るぞ! ラグ、あまり派手に壊すな。出来ればこっちの戦力にしたい!」
ラグ
「了解!」
「はっ……!」
「頂き!」
「しまった! 爆発しちまった!」
ジロン
「うぅっ……!」
「う、後ろか!」
「くそぉーっ!」
ブレーカー
「頂き!」
ジロン
「舐めんなよぉっ!」
「よーし!」
ブレーカー
「うわぁぁっ!」
ジロン
「ラグ、後はギア・ギアだ!」
エルチ
「ガウツのドラン戦隊は? ドラン隊はどうしたの?」
ブレーカー
「全然答えてくんねぇんです。ぜ〜んぜん」
エルチ
「おどき!」
「ドラン戦隊! ガウツ! 応答せよ! ガウツ!」
「ガウツ! ガウツはどこなの……あっ!」
コトセット
「奴さん逃げ出したぜ。よし、全速前進だ!」
「わっ! やられたのか?」
「ファットマン、そっちはどうだ?」
「くそっ! カタカムが始めにアイアン・ギアーに手傷を負わせるから!」
エルチ
「ガウツが逃げた? あの子が居れば、アイアン・ギアーに止めが刺せたものを!」
「どうしてくれよう!」
ジロン
「ラグ、やめろ! 無駄弾を撃つな!」
ラグ
「何でさ? もう少しダメージを与えてやらなくちゃ」
ジロン
「ソルト隊がバラバラになってしまったろ? 集結させなくちゃいけない」
「戦力を纏めなくちゃ、何も出来やしないからな」
ラグ
「へ〜、格好いいじゃない? 見直しちゃうね、ジロン」
ジロン
「へへっ」
ブルメ、ダイク
「『ジロン、オーッ!』だもんな?」
ジロン
「いつ俺がカタカムの二代目なんだ!」
一同
「ジローンッ! ジローンッ!」
ジロン
「オ〜ッ……わっ!」
ラグ
「は? ……ま、カタカムみたいにはならないか」
カタカム
「アイアン・ギアー……ソルトの中心の船として、まだまだ使える……」
「いや、私は使ってみせる」