第41話 カタカムは終った
- 前回のあらすじ
- シビリアンの片隅からイノセントに対抗しようとする力が生まれ、
- アイアン・ギアーのクルー達も、自分達の考えとは別にその渦の中に巻き込まれていった。
- エルチがどんなに頑張ろうと、言う事効かぬ部下ばかり。これじゃジロンにゃ勝てやせぬ。
- ところが、アイアン・ギアーとて同じ事。頑張りすぎたカタカムは、自分勝手に大奮戦。
- それとは知らぬジロン達、ヨップの近道探しに行って、余分な精力使い切る。
- 結局、アイアン・ギアーの危機救うのは、賢いラグでありました。
- これで漸く、アイアン・ギアーの光明が見えましょう。……いえ、見えません?
- ジロン
- 「機関砲の弾くらい残っててもいいのにな。何もないか」
- ハイヤ
- 「いいぞ、引っ剥がせ」
- 「オーライ、オーライ」
- 「ちょい待ち。待って、待ってってば」
- エル
- 「コトセットさん、何か手伝いましょうか、ね?」
- コトセット
- 「もっと強く締めろ」
- ガルロ
- 「締めてます」
- ガルロ、マーレ
- 「わっ!」
- エル
- 「ね、コトセットさん、何かね……」
- コトセット
- 「喋ってる暇があるんなら、上の連中を手伝ってこい!」
- ラグ
- 「んっ……このっ!」
- 「イタタッ……!」
- エル
- 「手伝いましょうか?」
- ラグ
- 「あぁ、頼むよ」
- エル
- 「豪い事になりましたね」
- ラグ
- 「いつもこんなもんさ」
- エル
- 「動けますかね、アイアン・ギアーは」
- ラグ
- 「動いてもらわなくちゃ」
- エル
- 「わわっ……!」
- ラグ
- 「大丈夫かい?」
- エル
- 「だ、大丈夫。へへっ……」
- ブルメ
- 「いいぞ、もっと引っ張れ。もっと」
- ジロン
- 「ドランは直せないな。滅茶滅茶だ」
- ブルメ
- 「使えそうなのを直す方が先だな」
- 「いいぞ、引っ張れ」
- ジロン
- 「それじゃ壊してんじゃないか」
- ダイク
- 「重量オーバーでスピードが落ちるよりいいだろ?」
- ジロン
- 「あっちの機関砲も駄目か」
- コトセット
- 「そっちは終わったか、ブルメ? 出発するぞ」
- ジロン
- 「動くのか、コトセット?」
- コトセット
- 「やってみにゃ分からん。エンジンも油圧系統がかなり逝かれてるんでな」
- 「使えないもんは全部捨てろ。目一杯軽くするんだ」
- ブルメ
- 「もっと引っ張って、ほら」
- ジロン
- 「持ち上げるぞ。あっ……!」
- ブルメ
- 「わわっ……!」
- エル
- 「Xポイント、ドワス様に緊急連絡。こちら、アイアン・ギアー担当のエル」
- 「エルチ隊の攻撃により、アイアン・ギアーは航行不能に近い」
- ドワス
- 「何? 主砲にエンジンも調子が悪いというのか」
- 「よし。次の任務は、他のソルトの動きを探る事だ。いいな?」
- エル
- 「了解」
- ドワス
- 「さて、詰めはと……アイアン・ギアーの位置に一番近いのは……」
- 「キッド・ホーラのガバリエか」
- ゲラバ
- 「兄貴よぉ」
- ホーラ
- 「一体、いつになったらキャプテンと呼べるようになるんだよ」
- 「本当ですか旦那? アイアン・ギアーは丸腰同然で、動きが取れないってのは」
- ドワス
- 「オマケに、ソルトはリーダーのカタカムに逃げられて腑抜け同然だ」
- ホーラ
- 「先日頂いた、新式ウォーカー・マシンのテストには打って付けです」
- ドワス
- 「その通りだ。アイアン・ギアーを壊滅した暁には、その船もウォーカー・マシンも、君の物だ」
- ホーラ
- 「残金は支払わなくていいってんですかい?」
- ドワス
- 「そうだ。しっかりやれ」
- ホーラ
- 「……ははっ、このランド・シップは俺の物……そして、エルチも俺の物……」
- ゲラバ
- 「ヒヒッ」
- ホーラ
- 「ん?」
- ゲラバ
- 「兄貴も本当執拗いね。あんなアバズレに」
- ホーラ
- 「何をぉ!」
- ゲラバ
- 「くそっ……!」
- ホーラ
- 「アバズレとは何だ!」
- 「この野郎、この野郎!」
- 「二度とそんな口の利き方はするな」
- 「よーし、南南線に進路を取れ。距離220キロ。全速だ!」
- ジロン、ダイク
- 「わっ……!」
- ダイク
- 「何やってんだよ」
- ブルメ
- 「真面目にやってくれよな」
- コトセット
- 「まだ重量オーバーだ。もっと捨てる物はないか?」
- ラグ
- 「もうそんな物ないの」
- コトセット
- 「何でもいい。要らない物は全部捨てちまえ」
- 「ん?」
- ファットマン
- 「ンッ……!」
- コトセット
- 「阿呆! 誰も人間まで捨てるとは言っとらん」
- カタカム
- 「遅いぞ遅い。急げ、もっと急ぐんだ」
- ソルト・メンバー
- 「無理ですよ、無理無理」
- カタカム
- 「ん?」
- 「イノセントの戦艦か。あの太陽マーク、ホーラのだ」
- 「あの方向はアイアン・ギアーへ向かうつもりだな?」
- 「ん、全員戦闘用意! 目標は前方のランド・シップ!」
- ソルト・メンバー
- 「ま、待ってくれよ旦那。この小型のポンコツで行こうってんですかい?」
- 〃
- 「殺されに行くようなもんだぜ、旦那」
- カタカム
- 「男の戦いは常に命懸けだ。命を懸けなくって何が出来る?」
- 「行けぇっ!」
- ソルト・メンバー
- 「分かったよ、旦那」
- カタカム
- 「よーし、全速前進だ!」
- 「それから、私はリーダーだ。旦那っていうのはやめて欲しい」
- ゲラバ
- 「お、何だありゃ?」
- ホーラ
- 「貸してみろ」
- 「あれは……ソルトの旗じゃないか」
- ゲラバ
- 「アイアン・ギアーの仲間か。よーし、俺が出て一丁やってくらぁ」
- ホーラ
- 「うむ」
- 「一応、全員戦闘配置だ」
- ゲラバ
- 「アン・ドゥ・トロワ、アン・ドゥ・トロワ……」
- ホーラ
- 「何やってんだ?」
- ゲラバ
- 「久し振りに出るんで、ウォーミング・アップでさ」
- ホーラ
- 「タァッ!」
- ゲラバ
- 「イタッ!」
- カタカム
- 「何をやってる! 左だ、左に避けろ!」
- ソルト・メンバー
- 「わっ!」
- カタカム
- 「うっ……!」
- 「私はまだ戦える!」
- 「何としても食い止める! カタカム・ズシムの名誉に賭けて!」
- ホーラ
- 「ゲラバ、奴の動きを止めろ!」
- 「うっ……!」
- 「ゲラバ!」
- ゲラバ
- 「あいさ! 任せとけって、兄貴」
- ソルト・メンバー
- 「あ〜っ!」
- 〃
- 「ウォーカー・マシンが空を飛んでくる!」
- カタカム
- 「ウォーカー・マシンは1機だぞ!」
- ゲラバ
- 「ははっ!」
- ソルト・メンバー
- 「旦那、もう駄目だ!」
- 〃
- 「あ〜っ!」
- カタカム
- 「うわぁぁっ!」
- 「くそっ!」
- ゲラバ
- 「ははっ!」
- ソルト・メンバー
- 「ヒッ……!」
- カタカム
- 「おのれぇっ!」
- 「このカタカム・ズシム、まだ負けはせん! 負けられんのだ!」
- 「行けぇーっ!」
- ホーラ
- 「来るぞ! 撃て撃てぇーっ!」
- カタカム
- 「止めてやる! ソルトの旗の誇りに賭けて、止めてやる!」
- 「私はソルトだ!」
- ホーラ
- 「あっ……!」
- カタカム
- 「わぁぁっ!」
- 「ラグ〜、ジロ〜ン! 私だ、カタカム・ズシムだ〜!」
- 「あぁっ……!」
- 「俺は男だ。口先だけの男じゃない。リーダーとして戦う。もう一度戦わせてくれ」
- 「な、ラグ……あっ!」
- 「ラグ、ジロン……!」
- 「あっ!」
- 「わぁぁっ!」
- 「キッド・ホーラ……」
- 「これで引き下がるカタカム・ズシムではないぞ」
- 「ん?」
- 「おぉっ、この旗のある限り……!」
- ブルメ
- 「このスピードじゃ、大蝸牛にだって追い越されるぜ」
- コトセット
- 「文句あるなら走って行け」
- ラグ
- 「そんなに尖がらないでよ」
- ジロン
- 「ドックのある町まで、どのくらいだ?」
- ラグ
- 「ざっと600キロだね」
- ジロン
- 「こっちが手負いと知られてる以上、イノセントが黙って見逃す筈ないよな」
- 「アチィッ!」
- ダイク
- 「な、あちぃだろ?」
- ジロン
- 「うん」
- コトセット
- 「ソルトの連中も頼りにならんし」
- ブルメ
- 「ソルトとかカタカムの話はやめろよ。肉が不味くなる」
- チル
- 「あれ? つむじ風?」
- ジロン
- 「どれどれ?」
- 「ん、ランド・シップだ。こっちに来る」
- 「急げ! 戦闘用意!」
- チル
- 「待ってよ〜」
- コトセット
- 「おい、Uターンも後戻りも今のアイアン・ギアーには出来ないんだぞ」
- ジロン
- 「分かってるよ」
- ブルメ
- 「こんな時に何てこった」
- ラグ
- 「私も……」
- ブルメ
- 「駄目」
- ラグ
- 「ベェッ!」
- 「今度はどんな船だい?」
- 「あれ?」
- ダイク
- 「いけね、主砲はねぇんだ」
- ブルメ
- 「戻れ!」
- ダイク
- 「んっ」
- ラグ
- 「ジロン、ちょっと待って。ドック・シップよあれは」
- ジロン
- 「ドック・シップ?」
- カルダス
- 「お〜い、撃つなよぉ」
- ジロン
- 「お?」
- カルダス
- 「俺だ俺だ。カルダス・ブルーンだ」
- ダイク
- 「ははっ、こりゃいい。新品だ新品だ」
- ブルメ
- 「これくれんの?」
- カルダス
- 「派手にやられたもんだ。ま、な〜に全て揃ってる」
- ラグ
- 「あんた、いつから運び屋になったんだい? 確かロックマンだろ?」
- カルダス
- 「いや、こっちの方が商売になるんでな。ははっ」
- 「さてと。大砲が二門、機関砲にエンジン部位……」
- ジロン、ラグ
- 「んっ……?」
- ジロン
- 「何でアイアン・ギアーが欲しい物を知っているんだい?」
- カルダス
- 「それが商売だろうが。ふふっ……」
- ジロン、ラグ
- 「うっ!」
- 「わっ……!」
- ジロン
- 「ガバリエだ……キッド・ホーラ!」
- ホーラ
- 「みぃーつけた」
- カルダス
- 「モタモタするな、急げ!」
- ガルロ
- 「ハイヤ、弾は入ってんだ。撃てるぞ、やれ」
- ハイヤ
- 「知らねぇぞ、それっ!」
- ガルロ
- 「わぁぁっ!」
- カルダス
- 「主砲は下に置いてから撃つんだ!」
- ホーラ
- 「本当にアイアン・ギアーは手も足も出ないようだぜ」
- 「ゲラバ、ブラッカリィで出ろ」
- ゲラバ
- 「よっしゃ」
- ラグ
- 「バズーカの弾ね?」
- ジロン
- 「助かる」
- ラグ
- 「ジロン!」
- 「ジロン、ジロン……!」
- ジロン
- 「んんっ……ラグ、そこどけ!」
- カタカム
- 「ん、あれは……」
- ソルト・メンバー
- 「あれ? ありゃ、カタカムか……?」
- メディック
- 「カタカムが一人でこんな所に……」
- メディック
- 「カタカム……同志の中には、あんたを裏切り者と呼ぶ者も居るが」
- カタカム
- 「分かっているよ、メディック。確かにこれまでの私は間違っていた」
- メディック
- 「アイアン・ギアーの連中が許してくれるかな」
- カタカム
- 「私は彼らを論理で引っ張れると思った。だが今の段階では、強い事もリーダーの条件だと分かった」
- 「ん? 爆発音だ」
- メディック
- 「アイアン・ギアーと合流する方角だ」
- カタカム
- 「アイアン・ギアーが戦っているのか……」
- 「どけっ!」
- ソルト・メンバー
- 「あっ!」
- カタカム
- 「私も戦う事は出来る!」
- メディック
- 「カタカム……!」
- カタカム
- 「うぉぉーっ!」
- ブルメ
- 「ザブングル、じゃないのか……?」
- ジロン
- 「手持ちの武器はないんだ。見せ掛けだ。黒く塗って脅かそうってんだよ」
- 「ソルトの隊もあれを近付けさせるな」
- 「速い、わっ……!」
- 「くそぉーっ!」
- ゲラバ
- 「ギャリアは俺に任せろ。ドラン隊はアイアン・ギアーをやれ」
- ビリン
- 「させるか!」
- 「あ、行ったわよ!」
- ダイク
- 「頼むぞ、発射してくれ」
- 「あれ? ……わわっ!」
- ジロン
- 「そうはさせるか!」
- 「わっ!」
- 「わぁぁっ、くっ……!」
- ゲラバ
- 「ははっ、どこまで持つかよ、そんな事やってて……うぉっ!」
- 「何じゃこりゃ?」
- カタカム
- 「ソルトの同志、そしてアイアン・ギアーの諸君! カタカム・ズシムは戦いに戻った!」
- ジロン
- 「は? カタカム・ズシムの野郎……!」
- ラグ
- 「何だぁ? あいつまた性懲りもなく」
- ソルト・メンバー
- 「カタカムだ!」
- 〃
- 「カタカムが戻ったぞ!」
- 〃
- 「本気なのかよ、あの人は……!」
- ホーラ
- 「ソルトの旗の奴、まだ生きてやがったのか」
- カタカム
- 「進め! 我に従って進め!」
- 「ホーラ! 一回戦の恨みを晴らさせてもらうぞ!」
- ジロン
- 「カタカム、無茶するな! それじゃやられに行くだけだ!」
- カタカム
- 「うわぁぁっ!」
- ジロン
- 「大丈夫か、カタカム」
- カタカム
- 「何のこれしき」
- ジロン
- 「何故戻った?」
- カタカム
- 「私はソルトのリーダーだ」
- 「ジロン君、ちょっとどいてくれ」
- ジロン
- 「何すんだよ?」
- カタカム
- 「ギャリアを貸して欲しい」
- ジロン
- 「嫌だよ」
- カタカム
- 「必ずやあのランド・シップを潰してみせる」
- ジロン
- 「駄目だ。これは俺のマシンだぞ」
- カタカム
- 「そう言わずに」
- ジロン
- 「駄目!」
- ラグ
- 「ジロン、カタカム!」
- ジロン、カタカム
- 「ん?」
- ラグ
- 「ソルトもアイアン・ギアーも必死に戦ってんだよ!」
- カタカム
- 「ラグさん!」
- 「君のウォーカー・マシンを貸してくれ」
- ラグ
- 「ちょ、ちょっと……!」
- 「それが『さん』付けする人に対する態度なの?」
- カタカム
- 「ここは戦場だ、許してもらおう」
- ラグ
- 「いい加減にしな!」
- ジロン
- 「無茶苦茶なんだよ、もう……!」
- ラグ
- 「ちょっと」
- ジロン
- 「な、何だよぉ?」
- ラグ
- 「仕方ない。カタカムを援護して」
- ジロン
- 「駄目だ。アイアン・ギアーを守る方が先だ」
- カタカム
- 「旗は何枚でもあるんだ! 進め!」
- ホーラ
- 「まだ来るのか、ソルトの旗が」
- 「あのギャロップだ。狙え!」
- カタカム
- 「ソルトの栄光を目指して、この旗に続くのだ! ソルトの者達よ!」
- ホーラ
- 「どこへ行きやがった?」
- 「うっ……!」
- カタカム
- 「とりゃっ!」
- ホーラ
- 「わっ!」
- 「な、何だ?」
- ソルト・メンバー
- 「やったぞ!」
- 「敵艦に直撃だ!」
- ダイク
- 「よーし、今度こそ頼むぜ!」
- 「やったぁ!」
- 「そら、どんどん撃て!」
- ホーラ
- 「うっ、後退だ! 後退しろ!」
- ブレーカー
- 「駄目です、エンジンが……!」
- ホーラ
- 「くっ!」
- ゲラバ
- 「このっ、エンジン掛かれ! 掛かれってのに、このっ……!」
- 「掛かった!」
- 「うわぁぁっ!」
- ホーラ
- 「何てザマだ、ちっ!」
- カタカム
- 「イノセントめ!」
- ホーラ
- 「おっと……!」
- 「あっ、あっ……!」
- カタカム
- 「ははっ……ソルトの諸君、見たか!」
- 「ランド・シップ1隻を、ソルトのリーダー、カタカム・ズシムがこの手で仕留めたぞ!」
- 「この旗の下に……」
- 「ん、この旗の下に……すぐに解ける!」
- ゲラバ
- 「兄貴! ホーラの兄貴!」
- ジロン
- 「ブルメ、そいつは使える。壊すなよ」
- ブルメ
- 「了解」
- ゲラバ
- 「ウルセェ!」
- ホーラ
- 「ゲラバ、逃げろ!」
- ゲラバ
- 「兄貴……生きてたのか!」
- ホーラ
- 「艦を自爆させる。用意に来い」
- ゲラバ
- 「了解!」
- ブルメ
- 「そうは行く訳ないでしょ」
- ラグ
- 「しっかり捕まえてな、ブルメ。そのマシンは私が戴くよ!」
- 「それっ!」
- ジロン
- 「ラグ!」
- ゲラバ
- 「野郎!」
- ラグ
- 「ああ〜っ!」
- ジロン
- 「あっ、逃がすか!」
- ホーラ
- 「うわぁぁっ!」
- カタカム
- 「うわぁぁっ!」
- ゲラバ
- 「兄貴!」
- ホーラ
- 「よし、いいぞ!」
- 「ははっ……!」
- ラグ
- 「ガバリエにカタカムは向かった筈だよ」
- ブルメ
- 「あ、あれじゃ、巻き込まれたのか……」
- コトセット
- 「何? カタカム1機で突っ込んだのか、ガバリエに」
- カルダス
- 「覚悟の上だったというのか。カタカム・ズシム……」
- メディック
- 「死に急いだのかな……」
- マリア
- 「これが戦争なんですか、メディックさん」
- メディック
- 「う、うむ……」
- カタカム
- 「ふぅっ……私は運が良かった」
- 「ん? アイアン・ギアーはどこへ行ったんだ」
- 「お〜い、アイアン・ギアーの諸君! ソルトの同志諸君!」
- プロポピエフ
- 「天なる神よ、そして地の神よ、その他諸々のこの世にあらん限りの神達よ」
- 「我らの声を聞き給え……」
- カタカム
- 「やぁっ……」
- プロポピエフ
- 「偉大なるソルトのリーダー、そして誰よりも勇敢なる戦士、男の中の男」
- 「シビリアン最大の星、カタカム・ズシムがこの地で打倒イノセントを叫び、眠る……」
- カタカム
- 「何だって……?」
- プロポピエフ
- 「では皆様、我々の偉大なる英雄カタカム・ズシムに、心からなるお別れをどうぞ」
- ブルメ
- 「カタカム……悪口ばっかり言ってすまなかった。勘弁してくれよ」
- ダイク
- 「カルダスのドック・シップの手配してくれたの、あんただったんだってな。有難うよ」
- マリア
- 「カタカム、さようなら……」
- ビリン
- 「あんた、どんな男よりもいかしてたわよ」
- カタカム
- 「あぁっ……!」
- ジロン
- 「カタカム……あんたは、卑怯者なんかじゃなかった。立派な男だったよ」
- ラグ
- 「カタカム、うぅっ……!」
- ジロン
- 「ラグ、あれを見ろよ」
- 「カタカムは大鷲になって、この大空を駆け巡るんだ」
- ラグ
- 「カタカム……」
- カタカム
- 「うぅっ……!」
- プロポピエフ
- 「……いい絵ですこと」
- ジロン
- 「プロポピエフ」
- プロポピエフ
- 「はい?」
- ジロン
- 「こんなんでいいのかな?」
- プロポピエフ
- 「左様。まぁ、お葬式っちゅうのはこういうもんでしょう」
- ジロン
- 「よーし、終わった」
- ラグ
- 「肩凝るのよね、このポーズ」
- ダイク
- 「腹減ったな」
- ブルメ
- 「そういや、昼飯も食ってねぇぞ」
- ジロン
- 「とにかく飯だ。出発はそれから」
- ラグ
- 「出発って、どこへさ?」
- ジロン
- 「決まってるだろ? アーサー・ランクの居るヨップだ」
- 「敵の動きが今日みたいなら、エルチだって、そっちの守りに就いているからな」
- ダイク
- 「そういう事だ。それっ!」
- カタカム
- 「か、かくも……かくも文化的なお葬式なるものをやってもらった私は、幸せ者だ……」
- 「あぁっ……!」
- 「私は死んだのだ。あんなに重々しくお葬式をやってもらった私は……もう、もう……」