第43話 ヨップ捜せば大混戦

前回のあらすじ
シビリアンの片隅からイノセントに対抗しようとする力が生まれ、
アイアン・ギアーのクルー達も、自分達の考えとは別にその渦の中に巻き込まれていった。
エルチは戦力を立て直したい。しかしビラムは、ガウツにランド・シップを与えてこれを使えと言ってくる。
挙句の果てにグレタ・カラスを副官に押し付け、エルチ立つ瀬がありません。
流法の地獄で待ち伏せて、いざ決戦となる前にグレタ一人が飛び出して、ジロン狙って走ります。
「父ちゃんの仇のジロン・アモスめ、明日はきっと討ってやる」グレタ・カラスは叫びます。
ジロン
「ふぁっ……」
「ソルトの連中が戻ってくるのはいつ頃だって?」
チル
「4、5時間したらBポイントに合流。リーダー何しょ? ちゃんと覚えといて!」
ジロン
「おう、チル」
「Bポイントか……こんなコースを取るなんて、エルチには思い付きはしないだろうな」
「ん?」
ファットマン
「エルチ……」
ラグ
「偵察隊のギャリー・ウィルとギャリー・ホバーが出るよ」
「甲板を上げろ! ギャリーが発進する!」
「ジロン、どうしたの? 急いで!」
ジロン
「了解、了解」
ダイク
「ギャリアには慣れてないんだから、お手柔らかにね」
ジロン
「カタカムみたいな事言うな。行くぞ!」
ラグ
「ジロン、無茶しないでよ。敵が居ないのを確認すればいいんだから」
コトセット
「カラスの上さんに気を付けろよ」
ジロン
「まさかもう出てこないだろうよ。勘弁してくれよ」
コトセット
「甘いんだよ。女は執念深いからな」
ラグ
「ふんっ……」
「合流地点はポイントBだからね」
「補給線も近くのソルトも、そこで落ち合う事になってるから、間違わないでよ」
ジロン
「分かったよ。じゃあな」
ラグ
「あっ……!」
マリア
「ジロン、なるべく戦いは避けてね」
ジロン
「ああ、チルから聞いてる」
マリア
「どうも」
コトセット
「あ〜あ、ヨップか。幾つもドームがある所らしいな」
ラグ
「アーサーの居場所は何としても知りたいね。そうしないと攻められやしない」
コトセット
「ああ闇雲の戦いじゃ、イノセントだってさ……わっ!」
チル
「わぁっ……」
マリア
「私達に平安をお恵み下さいませ」
「特に、ジロンに咎めなきよう。全ての汚れある者達にお許しを……」
チル
「何さ、これ?」
マリア
「あっ……」
「脅かさないで、チル。お祈りをしているの」
チル
「光の昇天みたいなもん?」
マリア
「さあ……光だけで戦いを無くしてくれるのかしら」
チル
「ドバ〜ッと凄いんよね。マリアと言うようなんとは違うわさ」
ブレーカー
「わわっ……!」
グレタ
「ほら、次!」
「何だい、意気地なし共が」
ブレーカー
「何? ジロンが出た? よし、そのまま偵察を続けろ」
「エルチ艦長が……あっ!」
グレタ
「何だって?」
ブレーカー
「いえ、別に……」
グレタ
「何だって?」
ブレーカー
「ご勘弁〜!」
「ジ、ジロンが相棒と一緒に、アイアン・ギアーを離れて……」
グレタ
「どの辺に居るか分かってんだね?」
ブレーカー
「そ、そりゃ……」
グレタ
「ジロンがかい、ふ〜ん」
ブレーカー
「あ、あっ……」
グレタ
「お礼のキスだよ。受け取っとくれ」
ブレーカー
「ギャーッ!」
ビラム
「駄目だ! 現有戦力で戦える筈だ。ウォーカー・マシン部隊の結成など認める訳にはいかん」
エルチ
「何故です? ガウツの敗北がどこにあるか御存知の筈。すぐに武器の調達を図るべきです」
ドワス
「エルチ、差し出がましいぞ。玩具を調達するのと訳が違う。右から左に揃うと思うのか」
エルチ
「出来ませんか?」
ビラム
「出来る訳はない」
エルチ
「ソルトが動き出し、ポイントが敗北続きだからですか?」
ドワス
「口が過ぎるぞ!」
エルチ
「これ以上の援助要請は、執政官の能力を問われるからですか?」
ドワス
「エルチ!」
ビラム
「戦いは今や、アイアン・ギアーだけではなくなっている」
エルチ
「私が欲しいのは、優れた能力を持つ兵士とマシンだけです」
ビラム
「グレタを回した筈だ」
エルチ
「あんな自分勝手な女……!」
ビラム
「そういうお前はどうなのだ? 指揮官として問題があるように思えるな」
エルチ
「私の敵は、アイアン・ギアーとギャリアと、ザブングルとジロンです!」
ビラム
「分かった。もう一戦、補充したドランでやってみろ。後の事は考えておく」
エルチ
「当たり前です」
ビラム
「……少々、条件付けし過ぎたのかな」
ドワス
「洗脳と言いましても、ドクター・マネの言う程には……」
ビラム
「うむ。しかし、カシム様は大変当てにしておられるんだ。今回のエルチの洗脳に関してはな」
グレタ
「後家の恐ろしさを思い知らせてやるよ、餓鬼共め」
ブブル
「確か前にもこんな出方があった筈だな」
グレタ
「お黙り!」
「エルチが帰ってくるまでに、ケリを付けりゃいいのさ」
ブブル
「あ〜あ、夕べの夢見が良くなかったよな。後家に見舞われるなんてよ」
ゴッチ
「全くだよな。蜥蜴千匹、蚯蚓の尻尾、明日は晴れ〜」
グレタ
「聞こえてるよ、二人。とことん付き合ってくれたら、熱いンッ……してやる」
「何なら結婚してやってもいいよ、二人一辺に」
ブブル、ゴッチ
「えぇっ?」
グレタ
「さ〜、行ってみよう!」
「あんた、私を守っておくれよ。必ずあんたの仇を討ってあげるからね、父ちゃん……!」
ジロン
「ん〜……ダイク、もうすぐだ。イノセントの別荘を片っ端から当たるぞ」
ダイク
「了解」
カシム
「戦況は相変わらず好転せんな。この戦いが我々の戦略の重要なポイントを成している事は……」
ビラム
「はっ、分かっております」
カシム
「ビラム執政官。荷が勝ちすぎるか?」
ビラム
「い、いえ、決してそのような……」
カシム
「ならば早々に彼らの始末を付ける事だな。墓穴は敵の為だけにあるのではない」
グレタ
「逃がしゃしないよ、ジロン」
ジロン
「いい加減にして欲しいんだよね、実際」
ダイク
「ジロン、前だ!」
ジロン
「わ〜っ、後家だ後家だ〜!」
ダイク
「え〜っ、カラス……カラスの上さんが?」
グレタ
「誰も後家にしてくれなんて頼みやしないよ」
ジロン
「ダイク、突っ込むぞ!」
グレタ
「ジロン・アモス、袋の鼠だよ。観念して出ておいで。後家の一念の恐ろしさを知るがいい」
「ん?」
「ふふっ……!」
ジロン
「やっぱ……逃げるぞ、ダイク!」
ダイク
「ジロン、殴り飛ばせ! 殴り飛ばせ!」
ジロン
「よーっしゃ!」
ダイク
「ええいっ!」
ゴッチ
「ひぇ〜っ、お上さ〜ん!」
グレタ
「こっち。こっちへ飛び移れ」
ゴッチ
「え?」
グレタ
「私のキスが欲しくないのかい?」
ゴッチ
「え〜っ!」
グレタ
「早く!」
「よーし、よくやった。あんたさえ良けりゃ、私いつだって結婚してやるよ?」
ゴッチ
「うぅ〜っ!」
「お上さん、仇討ちはどうすんです?」
グレタ
「どこに行ったジロン、そこか?」
「こんな狭い所、よく入れたもんだ」
ゴッチ
「ドランでもやっとですよ、お上さん」
グレタ
「お上さんなんてイヤン。グレタって呼んで」
ゴッチ
「ははっ、仇討ち、仇討ち」
グレタ
「ジロン・アモス、今行くぞ!」
ダイク
「カラスの上さん、撒けたかな?」
ジロン
「どうだろうね、かなり執拗いみたい」
ダイク
「やっぱり来るかな?」
ジロン
「だろうね」
「来た!」
ゴッチ
「やっぱり二人はきついですね」
グレタ
「もっとスピード上げなきゃ追い付けないよ」
ゴッチ
「でも、こんな狭い所じゃ危ないっすよ」
グレタ
「いいからやって!」
ゴッチ
「どっちにします?」
グレタ
「左」
ジロン
「あっ、グレタ……どうして俺達の前に居るんだ?」
ダイク
「ジロン、奴ら俺達に気付いてないぞ」
ジロン
「知らぬが仏ってね」
ゴッチ
「あっ! ギャリアだ〜!」
グレタ
「何?」
「覚えてろジロン。ブブル、ゴッチの仇はきっと討たせてもらう」
ゴッチ
「まだ生きてますよ」
グレタ
「あ、悪いね」
「ジロンめぇっ!」
ダイク
「光が見えてきたぞ」
ジロン
「あの向こうにイノセントの別荘地帯がある筈だ」
ダイク
「ああ」
ジロン
「カラスの上さんのドランは、もう1機あった筈だ」
「ダイク、油断するな。よく見てろよ」
「おっ」
ダイク
「かなりの自動砲座があるみたいだな。カラスの上さんだってあのまま黙ってる訳じゃあるまいし」
ジロン
「しかし、ヨップのアーサーに会いに行くって言ったって、ヨップの地図が手に入んなくちゃ何にもならん」
「行くぞ!」
ダイク
「おう、やってくれ」
イノセント
「あっ、貴方……!」
 〃
「さ、走って」
ジロン
「しまった」
「ダイク、次のドームだ!」
ジロン
「ここは通さない」
イノセント
「むっ、ドームを割ったのか?」
ダイク
「何を燃やしたんだ?」
ジロン
「ヨップの内部地図を見せるんだ」
イノセント
「そんな物、私が持っている訳はない」
ジロン
「そう答えると思った。へへっ、百科事典があるだろ? イノセント用の。それを見せろよ」
イノセント
「し、しかし……」
ジロン
「見せろ!」
イノセント
「これだ。こんな物を見ても分かりはしない」
ジロン
「ん、『ヨップ:イノセントのシステムの中心地』……これだけなのか?」
イノセント
「こんな物にこれ以上書く事はしない。それに私は、このポイント以外の事は知らされていないんだ」
ジロン
「お前だって執政官の端くれだろ?」
イノセント
「たた、助けてくれ! 私はカプセルに入りたい! 息苦しくなって……」
ダイク
「ヨップの情報らしいものはない」
ジロン
「くそっ!」
イノセント
「空気が、空気が〜!」
グレタ
「何か見えるかい?」
ゴッチ
「いや、煙しか……」
「お上さん、ぶつかりますよ。スピードを落として……!」
グレタ
「我慢おし。後で気付けのキスしてあげるからさ」
ゴッチ
「おぇっ……!」
ジロン
「蛻の空だ」
ダイク
「大分慌てて逃げたらしいな」
ジロン
「イノセントってのは贅沢な暮らしをしてんだな」
ダイク
「通信室を探すという手があるんじゃないか?」
ジロン
「成程」
「わっ!」
ダイク
「止まれ!」
ジロン
「動くな!」
イノセント
「あっ、貴方……!」
 〃
「シ、シビリアン、見逃してくれ……!」
ブレーカー
「ぐっ……!」
エルチ
「お前達も黙って見ていたのか」
ブレーカー
「だ、だって、あの上さん怖いもん」
エルチ
「ドランを3機も持ち出されちゃ、戦いようがないじゃないか」
「えぇ、あんた達!」
ドワス
「アイアン・ギアーの新たな動きがキャッチされたというのですか、執政官」
ビラム
「この地域の守備はどうなっているんだ。別荘地帯にウォーカー・マシンが入り込んでいるという情報が入っている」
ドワス
「戦闘部隊の準備に忙しかったもので……」
ビラム
「言い訳は不要だ!」
「1機だけのウォーカー・マシン、ギャリアだと思われる」
「貴様が直接出て叩いてみせろ!」
ドワス
「ビラム様……!」
ビラム
「現有戦力で戦える筈だ。イノセントでも戦えるという事を見せるのも、ブレーカー共の示しになる」
ドワス
「しかし……」
ビラム
「エルチのような指揮官を出さん為にも、やるのだ」
ドワス
「しかし……」
ビラム
「出番を多くしてやろうという私の配慮が分からんのか」
ドワス
「はっ!」
イノセント
「本当に私達には知らされていないんです」
 〃
「私はこのポイントの事務官です。ヨップの事など知らされる訳はありません」
ダイク
「こんな別荘に住めて、唯の平だなんてよ」
イノセント
「アーサー様は、一年に一度だけいらっしゃる訳ですから、私達がヨップの事を知る訳はないでしょう?」
ジロン
「でもね、イノセントなら、一度ぐらいヨップに行く事だってあるでしょう?」
イノセント
「信じてください。特にカシム様がアーサー様のお傍に付いてからは……」
 〃
「シビリアン様、妻の言う事も本当です。土饅頭みたいな顔の方は優しいと聞いています。信じてください」
「ヨップの内部地図なぞ、私共には……」
ダイク
「嘘を吐いてるとは思えんな」
「なぁ、ジロン」
ジロン
「知るかよ」
ダイク
「どうしたの?」
ジロン
「どうせ土饅頭ですよ」
「さっさと消えないと本当にやるぞ!」
イノセント
「土饅頭様……!」
ゴッチ
「お上さん、一応爆発物なんですけど、もっとそっとやってくれませんかね?」
「わっ……!」
グレタ
「手榴弾と弾は多い方がいいでしょ? ミサイルだって欲しいとこなんだから」
ジロン
「あったあった。イノセントの通信機だ。こいつを頂いて行こうぜ」
ダイク
「何で?」
ジロン
「イノセントの周波数帯がセットされている筈だろ?」
ダイク
「あぁそうか。それなら電波の来る方向も分かるから……」
ジロン
「アーサーかカシムの居所くらいは突き止められる」
ダイク
「了解」
グレタ
「しっかりおし」
「あっ」
ゴッチ
「お上さん!」
グレタ
「急ぐんだよ!」
ジロン
「ん? ダイク、あの砲座どう思う?」
ダイク
「俺達と戦う気はないという事か」
ジロン
「らしいな。イノセントにも骨のある奴が居るって事だ。逃げずに堂々とお出迎えらしい」
マツミ
「よく来たな、ジロン・アモス。そしてお連れの方」
ダイク
「俺の名はダイクだ」
マツミ
「私はマツミ・クラン。ヨップの地図は見付かったかな?」
ダイク
「俺達がそれを探しているのを、あんた、何故知ってる?」
マツミ
「望み通り教えてもいいが、条件が一つある」
ジロン
「取引か?」
マツミ
「アーサー・ランクを御存知だな?」
ジロン
「顔だけなら見た事がある」
マツミ
「ヨップから彼を助け出して欲しい」
ジロン
「何だ?」
ダイク
「本気なの?」
ジロン
「アーサー・ランク様は、今は敵の真っ只中に居る」
「彼を助けて貰えるなら、これを……ヨップの内部配置を表した地図を渡そう」
「私も同行させてもらうつもりだが、どうかね? 私の条件を呑めるかね?」
ダイク
「どうする、ジロン?」
ジロン
「ついでに道案内もしてくれるのか?」
マツミ
「無論だ」
「あっ!」
「うぅっ……!」
ダイク
「後家さんの手下か」
ジロン
「違う、あれはイノセントのガードマンだ」
ビラム
「シビリアンが自立した今、重要な事は、イノセントの覇権を確立せねばならん事だ」
「カシム様の計画を速やかに実行しないと、我々は……」
ジロン
「うぅっ……!」
ダイク
「何してんだ、ジロン!」
ジロン
「キーがないんだよ」
ダイク
「え〜っ、冗談!」
「させるかよ!」
ドワス
「ええい、ウォーカー・マシン1機に何というザマだ。私がやってみせる」
「待て、退却していいとは言っていない。援護をするんだ」
「プログラムは戦闘パターンB−18」
「まだ動けないのか」
ジロン
「ちょっとちょっと、足だけ動かしたってしょうがないだろ?」
「わっ!」
ドワス
「ジロン・アモス、これでお前も終わりだな」
「うっ!」
グレタ
「お前らにゃ渡しゃしないよ」
ドワス
「グレタ、仲間を攻撃する奴が居るか!」
グレタ
「ジロン、勝負だ」
ドワス
「グレタ! 勝手は許さんぞ!」
グレタ
「お黙り!」
ドワス
「あっ、はい」
「なら、ちゃんとやってみせろ、グレタ!」
グレタ
「どうした、いつまで待たせる気だ? 出てくるんだよ」
ジロン
「参ったな、後家の一念ってのはさ」
グレタ
「出てこい!」
ジロン
「分かった分かった、今出る」
グレタ
「あぁっ……!」
「卑怯者! 土饅頭!」
ジロン
「こっちは忙しいんだ。あんたなんかに構っていられないの!」
ダイク
「黒いのが狙ってるぞ」
ブブル、ゴッチ
「お上さん、早く早く!」
ドワス
「プログラムはB−18だ。聞こえないのか? プログラムは……ええいっ!」
「出来損ないのヒューマノイドめ!」
ジロン
「凄いや。回航船の配線まで付いてる。成程、アーサーのいつも居るドームってこいつか」
ダイク
「後は、イノセントの攻撃隊に邪魔されないで、如何にヨップに近付くかだな」
ジロン
「ああ、Bポイントへ急ごう。その相談をみんなでしなくっちゃ」
ラグ
「エルチめ、一対一でやろうっていうの? いい度胸してるじゃない」
エルチ
「ドラン隊、もうこれしか手持ちがないんだ。慎重に攻めろよ」
ラグ
「空を飛べばいいってもんじゃないんだよ!」
「コトセット、右手を出して」
コトセット
「ん、右手?」
ラグ
「早く!」
「わっ! 首を引っ込めろ!」
エルチ
「ぬぅアイアン・ギアー、ウォーカー・マシンに変形する気か?」
「こっちも変形!」
「恐れるな! 新型であるだけこっちの方が強い!」
ラグ
「一発かますよ! コトセット、前へ行けぇーっ!」
ファットマン
「エルチ〜ッ!」
ラグ
「あいつを振り落とせ!」
エルチ
「砲撃の手を緩めるな! 今日こそアイアン・ギアーを倒してみせるぞ!」
ラグ
「殴り飛ばせぇーっ!」
エルチ
「あっ、殴り返せーっ!」
コトセット
「ははっ! アイアン・ギアーの扱いはこっちの方がプロだよ!」
チル
「わっ……!」
マリア
「コトセットさん、大丈夫なんですか? こんな事やって……!」
コトセット
「元々殴り合いの為に付いている手と足だ、見ていろよ!」
「わぁぁっ!」
ファットマン
「エルチ〜ッ!」
ラグ
「あぁっ……!」
コトセット
「快感!」
マリア
「コトセットさん!」
エルチ
「あ〜っ!」
コトセット
「今度はキックを入れるぞ!」
ラグ
「主砲にも人が居るんだよ?」
コトセット
「構うか!」
エルチ
「あぁ〜っ!」
ラグ
「やったぁ!」
ファットマン
「エルチ!」
エルチ
「あっ、あれはギャリア! ジロ〜ン!」
「あっ……!」
グレタ
「おっ」
ブブル、ゴッチ
「エルチ艦長!」
エルチ
「グレタ! あんたのお陰で私は……!」
グレタ
「ど、どこからいらっしゃったんで?」
エルチ
「敬語はいい! Yポイントへ付けな! 締め上げてやる!」
ドワス
「エルチが戻ってきた?」
「どうしたのか?」
グレタ
「私だってジロン達と戦ってたんだ。あんたが勝手に船を離れるから……」
エルチ
「あんたは私の部下だろ?」
グレタ
「ドワス様と戦ってたんだよ」
エルチ
「何ぃ?」
ドワス
「ギア・ギアはどうしたのか?」
エルチ
「やられちまったよ! こいつのお陰でね!」
ドワス
「言い逃れみたいに聞こえるな」
エルチ
「冗談じゃない。ちゃんとした戦力があれば戦ってみせたよ。ドワス様が出たからって勝てはしなかったろ」
ドワス
「好きで戦って好きで負けた訳ではない」
エルチ
「分かるもんか。この落とし前は付けさせてもらうからね!」