第46話 アーサー様がんばる

前回のあらすじ
ジビリアンの片隅からイノセントに対抗しようとする力が生まれ、
アイアン・ギアーのクルー達も、自分達の考えとは別に、その渦の中に巻き込まれていった……。
ヨップからアーサー・ランク助けたものの、カシムの追撃執拗くて、果たしていつまで持つのやら。
昔、イノセントが降り立った記念の場所で、「悪いのはカシム・キング唯一人」とアーサー様の大演説。
エルチ必死に迫るけど、アイアン・ギアーの一踏みにいとも容易く気絶して、ファットマンが助け出す。
豪く段取りいいけれど、ラストが近くなったから……?
ジロン
「ほらよ、(?)だ」
ダイク
「サンキュー。カシムがVポイントに逃げたっての、本当か?」
ジロン
「らしいな、ビリンが言ってた」
ブルメ
「ヨップは将来の為に取っておくって魂胆だろ?」
ジロン
「ホーラとティンプの連合艦隊の動きも掴めんしな」
「わっ……!」
カルダス
「お〜い、ジロン」
「たぁっ!」
ジロン
「いい大人がやる事かい?」
カルダス
「アイアン・ギアーじゃ流行ってんだろ?」
ジロン
「アーサー・ランクが眠っているんだ。静かにして欲しいんだよ」
カルダス
「アーサーって、そんなに悪いのか?」
ジロン
「何せ温室育ちだからね。何の用だよ?」
カルダス
「ドラン型のウォーカー・マシンを欲しくないか?」
ジロン
「そりゃ……」
ブルメ
「あんなのありゃ、連中より上手く使ってみせるぜ」
カルダス
「いい情報が手に入った」
エルチ
「あぁ〜っ!」
カルダス
「おっ……?」
エルチ
「何て事するの、野蛮人!」
マリア
「貴方が何も隠していないと分かるまで、やめないわよ」
エルチ
「触るな!」
ビリン
「気取るんじゃないよ。今のあんたはイノセントの艦長ではなくて、私達の捕虜なんだからね」
エルチ
「こんな扱いをしていいと思ってるの?」
ビリン
「動くな!」
マリア
「エルチ!」
ラグ
「仕方ないだろ? あんたは完全に洗脳されちまってるんだ」
エルチ
「分かったわ、自分で脱ぎます」
マリア
「駄目よ」
「僅かな手抜きが死に繋がるって事、私はこれまでに嫌という程見てきたわ」
エルチ
「何よ、あっ……!」
「全部取る事ないでしょ!」
「あんた達はこうやって、女を苛めて楽しんでんでしょ?」
ビリン
「手を上げて壁に向いてるの!」
ラグ
「楽しむんなら自分のを見るよ」
マリア
「あったわ、爆弾」
ラグ
「やっぱりね」
マリア
「んっ……!」
ラグ
「へぇ、やるもんじゃない」
マリア
「邪魔にならないようになる為には、やるしかないでしょ?」
ビリン、マリア
「あっ……!」
ジロン
「あっ」
エルチ
「わぁっ!」
ジロン
「あ、あぁ〜……!」
エルチ
「ジロン……ジロン・アモス……!」
ジロン
「ふふっ……!」
ファットマン
「あっ!」
エルチ
「ファットマン……!」
ビリン
「向こう向いて! 手を上げるんだよ!」
ファットマン
「ググッ……!」
ジロン
「あっ、俺じゃないよ。俺は何もしてないよ?」
ラグ
「エルチ、あんたにはこの服が一番似合うんだよ」
ジロン
「エ、エルチ、思い出せよ……」
ラグ
「男は出てけ!」
ジロン
「わっ……!」
ブルメ
「カルダスさんよ、情報は間違いないんだろうな?」
ラグ
「あんた達、どこ行くのさ?」
ジロン
「ちょっと欲しい物を取ってくる。アーサーを頼むぜ」
ブルメ
「ドランを取ってくるんだ、ドランを」
アーサー
「羨ましいな……」
メディック
「内診の方は問題ない。安心していい」
「貴方だって元気になれるさ。羨ましがる事はない」
アーサー
「正直に答えて欲しい。私の命は後何日くらいかな?」
メディック
「何を気の弱い事を……安静にしていれば、三ヶ月……いや、半年は持つな」
アーサー
「メディック、君は医者としての腕はいいが、嘘を吐くのは下手だね」
メディック
「そ、それまでには、貴方の体に埋め込まれているカプセルの薬品分析を必ずやり遂げてみせる」
アーサー
「それは無理だな。君達に抗生物質の基礎は教えていない」
メディック
「抗生……?」
アーサー
「私の命がある内に、私はカシム・キングだけは潰しておきたいのだ」
メディック
「ん、それはジロンとワシ達がやってるわい」
アーサー
「いや、カシムの問題は、我々イノセント内の問題なんだ」
「カシム・キングは地球全体の独裁者になろうとしている」
「それを許した責任は、私が取らねばならない」
ブルメ
「来た来た」
ジロン
「おあつらえ向きの獲物だ」
ブルメ
「ああ」
カルダス
「よーし、撃てぇーっ!」
ジロン
「カルダス、撃ち方やめろ。積荷を壊しちゃ何にもならないんだ」
「ブルメ」
ブルメ
「おう」
「どけどけ、わっ……!」
ジロン
「調子に乗るなよ、ブルメ」
ブレーカー
「わぁぁっ!」
ブルメ
「あれ、ウォーカー・マシンの運転手は乗ってなかったのか? 妙だな」
ジロン
「いいじゃないの。ドランだって今は貨物なんだろ? 丸々頂けるんだから、ご機嫌ご機嫌!」
ブレーカー
「……もしもし、もしもし、こちら補給路C地点。囮作戦は成功です」
「今、ギャリアとザブングルが甲板に上がっています」
ドワス
「よし、一挙にぶっ飛ばせ」
ブレーカー
「了解」
ブルメ
「こんなにあっさり頂けるとは思わなかったぜ。大成功だな、ははっ!」
ジロン
「何だか旨過ぎる気もするけど、とにかく早いとこ積み替えよう」
ブルメ
「んっ……?」
「何だ?」
「ジロン、このコード何だ?」
ジロン
「あ?」
ブルメ
「これ……」
ジロン
「引っ張ってみろよ」
ブルメ
「んっ……」
ジロン
「何だ? 反対を引っ張ったら?」
ブルメ
「おう」
「わっ……!」
ジロン
「イテッ」
「何? 何だと?」
ブルメ
「ダイナマイトじゃないか!」
ジロン
「ブルメ、引っ掛かった!」
チル
「よくある手!」
ブルメ
「うわぁーっ!」
ジロン
「くそぉっ!」
チル
「引っ掛かっちゃったわさ!」
カルダス
「罠だったのか! し、しまった……!」
ラグ
「ジロン、ジロン! 早く戻ってきて!」
「ジロン、ジロン!」
「このポンコツ……あっ!」
「畜生、キッド・ホーラめ……!」
「コトセット、頼むわよ!」
コトセット
「こんな所でくたばりたくないからな!」
コトセット、ファットマン
「わっ!」
ラグ
「ソルトの船は前へ出られないの?」
マーレ
「補給で遅れてんです!」
ダイク
「ラグ、ジロン達は?」
ラグ
「連絡が取れないんだ。当てに出来ないよ!」
「わっ!」
ダイク
「ええい、あの新型ランド・シップ、やけに丈夫だな!」
ダイク、ハイヤ
「わっ!」
ダイク
「ラグ、あのドランを何とかしろ!」
ラグ
「言われなくても分かってるよ!」
ホーラ
「ふふっ……主力のジロン達が居ないとなれば、後は女子供と土竜のソルト共だ。いい演習になるぞ」
「攻撃部隊に命令! 目標、アイアン・ギアーに絞れ!」
ゲラバ
「分かってるって兄貴! 久しぶりの出番だ、やりましょう!」
ローズ
「来たわよ、あんた!」
プロポピエフ
「分かってるって!」
「あれま、外れた……」
ローズ
「何やってんだい、もっと早く撃たなきゃ駄目だろ?」
プロポピエフ
「そんな事言ったってしょうがないだろ!」
プロポピエフ、ローズ
「アーッ!」
ゲラバ
「ははっ! 兄貴、ちょろいわ」
ホーラ
「ゲラバめ、戻ってきたら……!」
エルチ
「その調子だよホーラ、早く片付けて私を自由にして」
ラグ
「このっ、このこのっ!」
マリア
「ラグ、手を貸して」
ラグ
「何よそれ、どうしようってのさ?」
マリア
「あいつを分捕るの」
ラグ
「分捕る? 凄い、やろう!」
「それっ!」
ブレーカー
「あっ、何で見えないんだよ〜!」
「あ〜っ、見えないよ〜!」
ラグ
「ははっ、やったぁ!」
「マリア、あんた凄い!」
マリア
「でも、シーツもうないのよね」
ラグ
「あのドラン、私が貰うよ」
マリア
「ビリン、煙幕弾をお願い」
ビリン
「目潰しの用意は出来たわ」
「来た!」
「これ以上好きにさせないから!」
マリア
「えいっ!」
「いや〜ん!」
「やったぁ!」
ビリン
「マリア、あんたも一人前だよ!」
ダイク
「見直したぜ、マリア」
ハイヤ
「素敵、マリア……!」
マリア
「こら、降りろ!」
ビリン
「借りるからね」
ラグ
「さぁ、行くよ!」
マリア
「ラグさん、気を付けて」
アーサー
「何という知恵と勇気、そして行動力……素晴らしいシビリアン達の力だ」
「間違いなく我々の目的は達成された……」
ホーラ
「何? ドランを分捕られた? 女だけだと思って甘く見るからなんだよ!」
「ゲラバ、取り戻せ!」
「わぁぁっ!」
「何だ?」
「奴は無事だったのか。話が違うぞ」
「ええい、余り言ってない筈だ……。一時退却だ! 退却しろ!」
ビリン
「やったわね」
マリア
「女だと思って舐めないでよ」
ジロン
「お〜い、大丈夫か?」
「そ、そのドラン、どうしたんだ?」
マリア、ビリン
「私達で手に入れたの!」
ジロン
「え?」
カシム
「ドワス、奴らはキッド・ホーラの網を突破したそうだな?」
ドワス
「ティンプの艦隊を待たずに功を焦ったホーラのミスです」
ビラム
「部下のミスは指揮官のミスだ」
カシム
「何れにせよ、このVポイントまでがシビリアン共の土足で踏み荒らされるような事態は許されん」
ビラム
「その為にも、ホーラ、ティンプ以上の艦隊の編成を急がせております」
ドワス
「御懸念には及びません。私が直接、アイアン・ギアーを迎え撃つ手筈です」
カシム
「その意気だなドワス。ワシを余り疲れさせんでくれよ?」
ドワス
「はっ!」
ビラム
「ドワス君、君一人を見殺しにはせんよ」
ドワス
「いや、ご心配はお掛けしません。必ずやアイアン・ギアーを仕留めてみせます」
ジロン
「エルチの方も上手く行かんのか?」
ラグ
「ホーラが尻尾巻いて逃げ出したんで、ガックリしている」
「今は大人しいけど、当分駄目だね」
ブルメ
「こっちが死ぬか生きるかって時に気楽なもんだよな」
ダイク
「アーサー・ランクも気だけは張ってるが、思わしくないし」
コトセット
「あの人にはどうやら、自分の寿命って奴が見えてるらしいな」
ジロン
「その寿命の間に、何とかカシム・キングを叩き、Vポイントを叩く」
ブルメ
「いや、Vポイントを叩いてカシムを叩く」
チル
「見えた〜!」
ジロン
「Vポイントだ。一気に突っ込むぞ!」
「総員、戦闘用意!」
ラグ
「全員、戦闘配置に就け!」
エルチ
「イノセントの……?」
ダイク
「ラグ、ドランで行け!」
ラグ
「後で!」
ドワス
「お前達は小型のウォーカー・マシンとして散開! アイアン・ギアーを撃破するのだ!」
「総員、掛かれ!」
ミミ・ルル・キキ
「キャ〜ッ、来た来たぁ!」
ローズ
「数が多いんだ。撃てば当たるよ!」
ビリン
「ラグ、空中戦ってどうやるのかしら?」
ラグ
「分かる訳ないでしょ? 初体験だもんね」
「あちゃっ、どれがビリンのだ?」
「わわっ……!」
ビリン
「落ちろ、落ちろ落ちろ!」
ラグ
「何の恨みがあるのさ、ビリン!」
ビリン
「あら〜、やだぁ!」
チル
「おぉ、来た来た、来たわさ〜!」
ダイク
「そらっ!」
チル
「わ〜っ!」
ハイヤ
「こ、こいつら、機械で出来てる……!」
ダイク
「みんな、気を付けろ! 奴ら機械人形だぞ!」
マリア
「こいつらっ!」
「やだ、助けて……!」
プロポピエフ
「こいつらっ!」
「ひひっ、やった!」
マリア
「有難う!」
プロポピエフ
「若い方がいいわ、やっぱり……!」
ローズ
「何やってんだい、あんた!」
プロポピエフ
「ゴメン!」
エルチ
「流石イノセントの突撃隊……ヒューマノイドなら、この船を必ず乗っ取ってくれるわ」
ジロン
「んんっ、キリがないな」
ダイク
「ジロン、戻ってくれ! こいつら手に負えないよ!」
ジロン
「こっちも手が離せん。何とか持ち堪えるんだ」
ドワス
「各班、アイアン・ギアー・タイプに潜入しろ!」
コトセット
「な、何だぁ?」
ガルロ
「コトセット、奴ら、自分の体を爆破してるぜ!」
コトセット
「何ぃっ!」
ジロン
「みんな! ハッチを閉めてブリッジに立て篭もるんだ!」
アーサー
「あっ……」
チル
「早く〜!」
チル、ハイヤ
「あっ……!」
コトセット
「何やってんだ! ブリッジに立て篭もって防戦しないと、乗っ取られるぞ!」
ハイヤ
「もう間に合わないよ!」
ダイク
「どこを撃っても平気みたいなんだ!」
マリア
「あっ! アーサー様、いけません!」
ダイク
「入ってろ、アーサー・ランク!」
アーサー
「退け、ガードマン達!」
ドワス
「アーサー・ランク……構わん、血祭りに上げてしまえ!」
アーサー
「諸君らの本来の任務は、ドームの警護である! 退きなさい!」
マリア
「アーサー様、いけません!」
アーサー
「大丈夫です。ラグさんは下がってなさい」
マリア
「マリアです!」
アーサー
「下がるのだ、ガードマン達!」
マリア
「あっ……!」
ダイク
「おっ、下がっていく……!」
アーサー
「銃を捨ててこの船から降りるのだ」
チル
「あり?」
ダイク
「どうしたんだ?」
マリア
「イノセントの機械人形が……」
ドワス
「何をしている? 撃つんだ! それがイノセント最高のリーダーであっても……」
「あっ、しまった……ガードマン共の第一原則を忘れていた!」
「ヒューマノイドの原則第一、如何なるイノセントも傷付けてはならない」
「原則第二、リーダーの命令には絶対服従……」
アーサー
「アーサー様、凄い!」
チル
「アーサー・ランク!」
ハイヤ
「どんな魔法使ったの?」
アーサー
「ヒューマノイドは、ああいったものなのです」
マリア
「ヒューマノイド……あの人形の事ですか?」
チル
「のいど……?」
アーサー
「さ、カシム・キングの居るVポイントは目の前です。船を進めてください」
ドワス
「ティンプの部隊はどうなっているのか? 呼び出せ! ホーラにも追撃させるんだ!」
ジロン
「よーし、凄いぜアーサーさん!」
「左右からソルト隊を出して、Vポイントへ突撃だ!」
ラグ
「了解!」
アーサー
「マリアさん、拳銃を貸してください」
マリア
「え? アーサー様に?」
アーサー
「カシム・キングだけはこの手で倒したいのです」
マリア
「でも……」
アーサー
「自分の手を汚す事なく理想を実現する事など出来はしません」
「私にも戦わせてください」
マリア
「アーサー様……」
アーサー
「これは私にとって最後の仕上げです」
「有難う」
「ジロン君、私を君のウォーカー・ギャリアに乗せてくれないか?」
ジロン
「何だって?」
ドワス
「ティンプ、急いでVポイントへ来てくれ。アイアン・ギアーの連中が迫っている」
ティンプ
「そりゃいかんな」
ドワス
「大至急だぞ、いいな?」
ティンプ
「了解」
ドワス
「……来たか!」
ラグ
「ちょろい! こんなドームの一つや二つ!」
ビリン
「こっちも目立たなくちゃ!」
「きゃっ!」
ラグ
「目立てばいいってもんじゃないでしょ!」
ビリン
「ゴメン!」
ブルメ
「こうなると、ちゃんとやらんと目立たねぇぞ!」
ジロン
「このまま突っ込め!」
アーサー
「小さいドームはオフィス・ビルだ。カシムが居るのは、奥の本部ビル」
ジロン
「了解、掴まっててくれ」
チル
「やりやり、やっちゃえ〜!」
ジロン
「コトセット、天井に穴を空けさしてくれ」
コトセット
「あいよ〜!」
「ダイク、天井に穴空けてくれ!」
ダイク
「はいな!」
カシム
「何という不手際だ! 野獣共の思うがままではないか!」
ビラム
「ともかくも、今は脱出シェルターへ」
カシム
「一々ドームを放棄させるのか? えぇ、ビラム!」
ビラム
「ここがVポイントですから、W・X・Y・Zまでに何とか……」
カシム
「いい加減にせぇ!」
ジロン
「どこだカシム・キング、出て来い!」
アーサー
「カシムはもう脱出の用意をしているだろう」
「あそこがホバー・ポートだ。登れるか?」
ジロン
「へんっ、どうって事ないわい!」
カシム
「うおっ……!」
ジロン
「あっ、居たな!」
アーサー
「カシム・キング、見付けたぞ!」
カシム
「死に損ないが……まだ生きているとはな!」
「うわっ!」
アーサー
「無駄だ。あの扉は特殊な金属で出来ている。イノセントにしか開けられない」
ジロン
「あっ、そんなに張り切って大丈夫なの? アーサーさん!」
アーサー
「カシムを倒すまでは私も倒れない……世の中そうなっている」
「カシム・キング!」
ジロン
「ちょっと、無理無理!」
アーサー
「カシム・キング、もう逃がさん!」
カシム
「今日までお前を生かしておいた事を後悔しているよ」
ジロン
「ナロッ!」
カシム
「ぬっ……!」
アーサー
「その言葉、そっくりお返しする!」
カシム
「ははっ……!」
アーサー
「お前はイノセント本来の使命に背き、権力を我が物にして地球を支配しようとした!」
カシム
「そんな青臭い理想主義がシビリアンを増長させた!」
「煩い、やめんか!」
「貴様こそイノセントにとっては反逆者だ!」
「何故動かん!」
ビラム
「エンジンが掛かりません!」
カシム
「機銃があるだろう!」
アーサー
「私は指導者の一人として、一命を賭けても……!」
ジロン
「駄目だ!」
カシム
「どうだ?」
ビラム
「動きます。撃ちます!」
ジロン
「わわっ……!」
アーサー
「カシム! カシム!」
カシム
「ビラム、ティンプとホーラの艦隊は?」
ビラム
「近付きつつあります。このポイントで何としても食い止めさせます」
カシム
「最後の戦いという事だな?」
ビラム
「はっ!」
カシム
「本当に最後だな?」
ビラム
「はっ……!」
カシム
「本当だな?」
ビラム
「ん、多分……」
カシム
「聞こえない!」
ビラム
「うっ、くぅっ……!」
ジロン
「大丈夫か、アーサーさん? ちょっとばかり無理し過ぎたんじゃないの?」
アーサー
「何、君達シビリアンに比べれば、私なぞ……」
ジロン
「温室育ちにしちゃよくやったよ」
コトセット
「ジロン!」
ジロン
「コトセットか。聞こえてる」
コトセット
「ソルト隊から連絡が入った。連合艦隊が来るぞ」
ジロン
「ホーラとティンプか」
コトセット
「らしい」
ジロン
「アーサーさん、聞いての通りだ。行くよ!」
アーサー
「ああ、行ってくれ。アイアン・ギアーで薬も飲みたい」
ナレーション
かくしてここに、イノセントとシビリアンの真の決戦の幕が切って落とされたのである。
多分……。