第49話 決戦! Xポイント

前回のあらすじ
ジビリアンの片隅からイノセントに対抗しようとする力が生まれ、
アイアン・ギアーのクルー達も、自分達の考えとは別に、その渦の中に巻き込まれていった……。
カシム・キングは、Xポイントに後退した。
所謂、最後の防衛戦のつもりなのだが、攻め手のアイアン・ギアーもソルト隊も、決して上手くは行ってはいない。
エルチはカシムになり、アーサーが身代わりにカシムになって死んで行く。
嗚呼、悲惨……決して暗くなりたくないザブングルが、土壇場で根暗の物語になりますか。
嗚呼、感動のラスト前。
ダイク
「あ、また来るぞ!」
「正面!」
ジロン
「ソルト隊、後退しろ! 左右に広がれ!」
ダイク
「わぁぁっ!」
ジロン
「Xポイントからだ」
「強行突破してXポイントへ入る!」
ラグ
「ちょっとちょっと、無理言うんじゃないよジロン」
チル
「そうだ。狙い撃ちされる」
ジロン
「狙いは不正確なんだ」
「それに、カシムを倒せばイノセントはお終いさ」
「コトセット、メディックさん、各ウォーカー・マシンに弾薬の補給をさせるんだ」
「ブルメ、ミサイルの監視ちゃんとやれよ?」
ブルメ
「やってるでしょーが」
「ファットマン! エルチは気にするな! 戦う事が先だ!」
ラグ
「ソルト隊の各ランド・シップへ。カルダス隊の生き残りも左右に広がってXポイントを包囲しろ」
ジロン
「突撃!」
「アーサーさんだって、最後には特攻精神でやったんだぞ?」
「ここでウダウダやっててやられるんだったら……」
ラグ
「アーサー様はもう居ないのよ」
ジロン
「まだやってる。惚れっぽいラグ」
ラグ
「総員、全員! Xポイントには、何が何でも突撃して!」
「ミサイルの発射装置とカシムは倒すんだよ!」
「ふん、アーサー様のようなご立派な方に惚れて、何が悪いのさ?」
ジロン
「分かる、その乙女心」
ラグ
「それが女のパワーの源!」
ジロン
「うん」
ラグ
「女達よ、あの美しき崇高なるアーサー・ランク様のお恨みを晴らす為にも」
「男共に任せず、女の力を見せる時であろう」
「残り少なくなった時間の中で我々は、カシムを倒し、ソルトの理想に向かって戦おうではないか!」
エルチ
「アーサー……カシム……」
「うぅっ……!」
メディック
「エルチ」
「さ、ベッドに戻って安静に」
エルチ
「有難う」
メディック
「え? い、今何と?」
エルチ
「まだ頭痛はしますけど……私、怠けていたみたい」
メディック
「奇跡だ。アーサー・ランクのお陰で奇跡が起こった」
エルチ
「うぅっ……!」
メディック
「おっといかん。さあ、もう暫く横になって」
エルチ
「いいえ、私は大丈夫です」
「今まで休んでいた分、何としてでも埋め合わせをさせてもらいます」
カシム
「ビラム! ミサイルのコントロール一つ出来ないのか?」
「アイアン・ギアーさえ粉砕すれば、後は屑だ!」
ビラム
「分かっております。只今、大型ミサイル・ロケットを発射する所です」
「これを直撃させれば、確実にアイアン・ギアーとその周りのランド・シップを破壊出来ます」
「問題は、博物館用に作ったものなので……」
カシム
「上手く落とすのがお前の仕事だ!」
ビラム
「発射です!」
ダイク
「あ、光の昇天だ!」
ビリン、マリア
「光の昇天?」
仲間の男
「光の昇天だ」
ファットマン
「エルチ」
ジロン
「よーし、あそこだ! 総員、全速力!」
ジロン
「カシムめ……!」
「わっ、目の前に!」
「わぁぁっ!」
チル
「わぁぁっ!」
ゲラバ
「あ、あの野郎だ!」
ホーラ
「ギャリアか」
「撃て、左だ!」
ゲラバ
「間に合うかな」
ホーラ
「ギャリア1機でこのエンペラーを叩こうっていうのかよ、舐められたもんだな」
「ギャリアをやるぞ」
ゲラバ
「へぇ」
ティンプ
「どうした、ホーラさんよ」
ホーラ
「お前は、あの光の昇天ってのは何てのか知ってるか?」
ティンプ
「イノセントが拝んでるもんだろ?」
ホーラ
「ふん、能天気な奴が」
「あれはな、大型のミサイルなんだよ」
ティンプ
「ふん、空に向かってミサイル撃ってどうすんだよ」
ホーラ
「空から落とせば当てられるだろ!」
ティンプ
「そんなまどろっこしいこっちゃ、当てにはならねぇな」
「アチッ!」
兵士
「ミサイルを発射されてるんですよ?」
Dr.マネ
「30分は時間がある。エルチの動きをこの目で確かめたいのです」
ジロン
「あぁ〜っ!」
チル
「いぃ〜っ!」
ホーラ
「だから、アイアン・ギアーの近くに行くと……」
ティンプ
「大型ミサイルの巻き添えになるってんだろ?」
ホーラ
「ギャリアを追い掛けてる方が安全って訳よ」
チル
「ティンプとホーラ、二人掛かりでギャリア苛める事ないじゃんか」
ジロン
「チル、妙な声を出すな。今回は女は頑張るんだろ?」
「わぁっ!」
ティンプ
「ふふっ、踏み潰せ」
チル
「ランド・シップが飛んだ!」
ティンプ
「ふふっ、漸く兄ちゃんに勝ってヒーローが取れるか」
グレタ
「みんな勝手にやらないでよ! ジロンは亭主の仇なんだからね!」
ラグ
「ふっ、ジロンやってるね」
コトセット
「ラグ、ザブングルで出た方がいいんじゃないの?」
ラグ
「号令掛けたの私だし、やったるか」
「ん?」
「ブルメ、頼むね。主人公メカなんだから活躍させてね」
ブルメ
「お〜い!」
ラグ
「え?」
ブルメ
「ザブングルは俺が乗るんだぞ!」
ラグ
「ブルメ……」
「じゃ、ザブングルに乗ってんの、ダイクかい?」
ダイク
「何だい?」
ラグ
「え、じゃ誰よ?」
ティンプ
「ホーラ、邪魔するな!」
ジロン
「流石、大型艦! しぶとい、んんっ……!」
「チル、走るぞ!」
「それっ!」
ジロン、チル
「わっ!」
ジロン
「イテェ……」
「またもやグレタ!」
グレタ
「笑わば笑え! 女の執念、意地でも晴らさいでか!」
「あぁっ……!」
ジロン
「ザブングル!」
グレタ
「ザブングル!」
エルチ
「ふん、グレタ・カラスかい。まだ生き延びていたとはね。お笑いだね」
グレタ
「エルチ! 裏切ったのかい?」
エルチ
「私は元々アイアン・ギアーの人間だよ? 裏切るも裏切らないもないでしょうが」
チル
「エルチ、エルチじゃないの〜!」
ジロン
「エルチ、大丈夫かい? 戦えるのか? 頭は痛くないのか?」
エルチ
「大丈夫よジロン、チル」
グレタ
「こいつ動け、この、こいつ!」
エルチ
「アイアン・ギアーの艦長の名誉に賭けて、これ以上は……!」
「あんたなんかおばさんに好きにはさせないよ!」
グレタ
「お、おばさん?」
「くぅぅっ、この小娘が! いつまでも動かないと思うんじゃないよ!」
「この、このっ!」
エルチ
「ファットマン、ここはいい。ジロンに弾を渡しといで!」
ファットマン
「エルチ」
ホーラ
「止まれ! 180度ターンだ!」
「後ろだ! 敵は後ろだ!」
ビラム
「カシム様、只今ミサイルは衛星軌道上より降下します」
カシム
「うむ」
ビラム
「予定では、10分後にXポイントの前方、30キロ・メートルに落下します」
カシム
「ビラム」
ビラム
「は?」
カシム
「念の為だ。残っているミサイルも発射しろ」
ビラム
「はぁ、ですが旧世代のミサイルしか……」
カシム
「構わん。近距離だ。水平に打ち出せ」
「古くても数撃てば気休めになる」
「ってぇ!」
ホーラ
「ん、うぉっ……!」
ティンプ
「何だ?」
ジロン
「わぁぁっ!」
ホーラ
「かわせ! 取舵一杯!」
ティンプ
「面舵一杯!」
ジロン
「よーし、OKだ!」
「行くぞチル!」
グレタ
「たぁぁっ!」
「な、何だ?」
「あっ……!」
「さあ、殺すなら殺しやがれ!」
エルチ
「奥さん、それだけ元気があれば、若い証拠じゃない?」
グレタ
「若い? 私が?」
「からかうんじゃないよ!」
エルチ
「本当本当。ちゃんとお化粧してご覧なさいよ。若い男が立ち止まって振り向くわよ」
グレタ
「何を今更……!」
エルチ
「ご主人はもう亡くなったのよ? 過去は過去として、新しい愛を探してみたら?」
グレタ
「新しい愛? 何を馬鹿な事を……」
「嫌だよこの子、何を言い出すのかと思ったらさ」
エルチ
「女は愛さえあれば、地の果てにいたって生きられるわ」
「さぁっ!」
「ピストルの代わりにコンパクトを持って」
グレタ
「愛に目覚めんのかい?」
「新しい愛……?」
エルチ
「じゃあね」
グレタ
「エルチ……」
「わっ!」
「やだ、鼻の頭テカテカじゃないの」
ホーラ
「わっ、これじゃ味方までやられちまう!」
「ん、やっぱりエルチか」
「まともになったのか、あの様子は」
「エンペラーはザブングルだけを目標とする!」
「えへへっ、突っ込め!」
エルチ
「ごめんジロン、心配掛けたようだね」
ジロン
「何、心配なんかするもんか」
「良かった」
チル
「ジロン、泣いてる場合じゃないわさ」
ジロン
「あ、あ……」
「不味い!」
ゲラバ
「ははっ、挟み撃ちだ。これで奴らもお陀仏だぜ」
ホーラ
「ザブングルにはエルチが乗ってるんだ」
ホーラ、ゲラバ
「わっ……!」
ホーラ
「ティンプ! どこ狙って撃ってるんだ! そっちの弾が当たった!」
ティンプ
「わっ!」
「この野郎、仕返しとは大人気ねぇぜ!」
ギロ
「艦長、後ろからウォーカー・マシンの固まりが来ます!」
ティンプ
「何?」
ビリン
「大丈夫なの、マリア? エルチにザブングルを使わせて」
マリア
「アーサー様が身代わりになってくださったのよ。大丈夫よ」
ビリン
「そ、そうね」
ジロン
「エルチ、大丈夫か?」
エルチ
「大丈夫」
ジロン
「ジャンプするぞ、いいか?」
「1・2……」
エルチ
「3!」
兵士
「ドクター・マネ、いつまでもここに居るのは……」
Dr.マネ
「お黙り。警備のウォーカー・マシン隊にザブングルを生け捕らせろ」
「私も乗り込んでエルチを捕まえたい」
兵士
「はぁ」
ファットマン
「エルチ」
ビリン
「マリア、止まっては駄目よ。狙い撃ちされるから」
マリア
「はい、分かっています。気を付けます」
ギロ
「艦長、弾薬も残り僅かだし、ここで戦うのは不利です」
ティンプ
「分かってんだよそのくらい! Xポイントへ直進すりゃいい!」
ゲラバ
「兄貴、こっちもXポイントへ急ごうぜ」
ホーラ
「駄目だ。ここでエルチと別れ別れになったら……」
ホーラ、ゲラバ
「わっ!」
エルチ
「逃がすかぁぁっ!」
ホーラ
「もう一生会えないような予感がする。この恐れる心を……」
「俺、恋をしてしまったのかなぁ」
ゲラバ
「恋? 何すそりゃ? 惚れてんじゃないんすか?」
ホーラ
「ええいエルチめ……後退だ! Xポイントへ後退する!」
ジロン
「あっ、ここで弾切れかぁ」
「ファットマン、弾を持ってきてくれ!」
エルチ
「ファットマン、ザブングルのライフルの弾のスペアは?」
「アイアン・ギアー、ラグ、聞こえて?」
「急いでザブングルのマガジン・スペアを届けさせて」
ラグ
「エルチ、その声はまともなエルチじゃないの」
コトセット
「お嬢さん、ちゃんと戦ってたんですか」
エルチ
「当たり前でしょ。これ以上あんた達に任せとくと、倒せるものも倒せなくなっちゃうじゃない」
ラグ
「大した鼻息だよ」
コトセット
「スペアはすぐに届けさせる」
「いやぁお嬢さん、私は嬉しい! こんなに嬉しい事は初めて!」
ラグ
「私はラグだけど……」
コトセット
「嬉しさを抱きしめる!」
ジロン
「そうだ。Xポイントに対して、東と西からだ!」
「吠えるなって」
ファットマン
「ミサイルだ、ジロン!」
ジロン
「え、何?」
「ま、真上からか?」
「アイアン・ギアー!」
ビラム
「コード3000、コントロール順調」
「アイアン・ギアーにピタリ向かっています」
カシム
「今度こそしくじるなよ、ビラム」
ビラム
「分かっております。半径1キロは粉々です。ソルトも滅茶滅茶になります」
ビリン
「ジロン、戻るの?」
ジロン
「ラグ、後退しろ! 下がれぇぇっ!」
ラグ
「ジロン、何やってんの? 戻る事はないでしょ? Xポイントへ突撃よ!」
コトセット
「そうだそうだ」
ジロン
「ミサイルだ! 大型ミサイルが落っこちてくる!」
ラグ
「え? あ、コトセット!」
コトセット
「なに〜?」
「あっ!」
ラグ
「ストップ……あ〜駄目、急旋回!」
コトセット
「どうすりゃいいの、ちゃんと決めてよ!」
ビラム
「ふふっ、これでもうカシム様に叱られずに、取り入る事が出来るぞ」
「よーし、ドンピシャリだ。当たれぇ!」
ジロン
「駄目だ、間に合わない!」
チル
「ジロン、逃げよう!」
ジロン
「アイアン・ギアーを見捨てられるか!」
ラグ
「ジロン、何する気よぉ!」
コトセット
「今更主人公らしく死んだって、格好付かんぞ!」
ジロン
「そう簡単に死ぬかよ、アニメでさ!」
ラグ
「ジロンさよなら、あんたを知って幸せだったわよぉ!」
ジロン
「そんな台詞は済んでから言えよぉ!」
チル
「ぎゃぁぁっ!」
「ジロン、やったやったぁ!」
ジロン
「信管はどこだ、信管は?」
エルチ
「ジロン、早く捨てて! 時限装置が付いてるかもしれないよ!」
ジロン
「わっ、近寄るな! みんな、離れているんだぁ!」
ゲラバ
「あれがイノセントのやる事かよ? お笑い種だぜ!」
ホーラ
「笑ってる場合か! ミサイルの弾頭を狙わせろ!」
「今撃って爆発させれば、エルチは巻き添えにしないで済む」
「撃て!」
ジロン
「うわ馬鹿、よせ! 当たったらどうすんだよ!」
ラグ、コトセット
「わわっ……!」
カシム
「馬鹿者、予定通り爆発しなかっただと?」
「戦いに使える物は整備しておけと言っといたろ!」
ラグ
「コトセット〜!」
コトセット
「ラグ〜!」
ジロン
「あぁっ、お終い!」
チル
「あっ!」
エルチ
「えっ!」
マリア
「いやん!」
ビリン
「そんな……!」
ジロン
「ああ〜!」
ラグ
「ジロン、そんな物捨てるのよ! 捨ててぇっ!」
ゲラバ
「やったぜ兄貴!」
ホーラ
「ゲラバ、爆発しねえじゃねぇか。火薬が湿ってんじゃないのか?」
ジロン
「んなろ〜、死なば諸共!」
エルチ
「ジロン、死に急いじゃ駄目よ!」
ジロン
「食らえぇぇっ!」
ゲラバ
「来たぁぁっ!」
ホーラ
「避けろ、避けろぉぉっ!」
「アチッ、アチッ……!」
ゲラバ
「ぜぇっ、ぜぇっ……!」
ホーラ
「くそぉ、ジロンの奴……!」
ゲラバ
「あ、兄貴……!」
ホーラ
「あっ……!」
エルチ
「あははっ!」
「ホーラ、いいザマじゃない?」
ホーラ
「エ、エルチ……笑ったな!」
「おい、ゲラバ!」
ゲラバ
「な、何すんだよ兄貴!」
ホーラ
「ズボンを貸せって言ってんだ!」
ゲラバ
「冗談じゃねぇよ!」
ホーラ
「ゲラバ!」
ゲラバ
「貸せねぇよ!」
ホーラ
「俺は貴様の艦長だぞ!」
エルチ
「はん、ランド・シップのなくなった男が相手になるものかい」
「ん?」
「まだ来る!」
「ド、ドクター・マネ……!」
Dr.マネ
「エルチ、一体お前は……!」
「ミス・エルチ、ただちに私と一緒に戻りなさい。貴方は検査をする必要があります」
エルチ
「冗談じゃないわ。もう私は完全です。何があんたなんかに……!」
Dr.マネ
「や、やっぱり洗脳は解除されている。何故……!」
エルチ
「人の心を勝手に変えようたって、そうは行かないわ! 思い上がらないで!」
「ドクター・マネ、死んでもらうわよ」
「人の心を弄りまわして、私にとって大事な人を……私自身が責めて苦しめていた……」
「そんな事をさせた……!」
Dr.マネ
「それは誤解ですエルチ。医学の進歩の為と、より強いシビリアンを作る為に、私は全力を尽くして……!」
エルチ
「シビリアンは十分に強いわ!」
「それに私は、強くなくたっていい。このままでいいのよ!」
「お転婆で男が好きで少しぐらい嫉妬深くたって、それが女ならいいじゃない!」
「あっ……!」
ジロン
「エルチ、ドランは引き受けた!」
「立ったぞ!」
エルチ
「あっ!」
「ドクター・マネ!」
兵士
「わぁぁっ!」
エルチ
「あんたの綺麗事なんて、私には聞けないんだよ!」
Dr.マネ
「あっ!」
エルチ
「ええいっ!」
「このこの、このこのっ!」
Dr.マネ
「あぁっ!」
「はっ……!」
エルチ
「死んでもらいます、ドクター・マネ」
Dr.マネ
「ミス・エルチ、助けて……。私だって、何も好きでやっていたんじゃないわ」
「もう決してシビリアンを使って人体実験なんてしません。お慈悲だと思って……!」
「私だってまだ若いつもりよ。恋の一つもしてみたかった」
「だけど、カシム・キングの命令があると好きな事は出来ず、ただただ研究ばかり」
「堅物の女にもなってしまうわ」
「でもね、ここでミス・エルチに殺されたら私……女の幸せを知る事なく死んでしまうのよ?」
「嫌だわそんなの、私……!」
「でも、仕方のない事なのね……私のやった事……」
エルチ
「ええいっ!」
「くそぉっ、これがシビリアンの弱さなんだよ!」
「あんたの言う通り、強化しなくちゃいけない事なのさ!」
Dr.マネ
「ミス・エルチ……!」
エルチ
「好きにおしよ!」
Dr.マネ
「エルチ、私を許してくれるの?」
エルチ
「許せる訳ないでしょ? さっさとどこかへ消えて、恋の一つでもしといでよ!」
Dr.マネ
「ミス・エルチ!」
エルチ
「行けぇっ!」
Dr.マネ
「はい!」
エルチ
「私は馬鹿か……?」
マリア
「エルチ」
「大丈夫? 体は辛くない?」
エルチ
「大丈夫」
「でも、本当に頭が元のようになったかどうかは、自分では分からないわ」
ビリン
「貴方の戦い振りを観察していて、大丈夫だって思ったわ」
「エルチさん、自信持ってください。アイアン・ギアーのキャプテンでしょ?」
エルチ
「そうね……そんな時もあったようね、私……」
ジロン
「ソルト隊を集結させろ!」
「エルチ、アイアン・ギアーに戻って!」
エルチ
「えぇ、ジロン!」
ジロン
「よーし、ここまで来たんだ。Xポイントに居るカシム・キングを何としても焙り出すぞ!」
エルチ
「賛成、総員に集結を急がせて!」
「頼みます、ビリンさん」
ビリン
「了解、エルチ・カーゴ」
ダイク
「エルチの復活か」
ブルメ
「喜んではいられないな。これからが勝負だ」
ラグ
「そうなんだよね。私の立場が危うくなってきた……」
「ん?」
ゲラバ
「うぅっ、格好悪ぃよ兄貴!」
ホーラ
「煩い! 梃子摺らせやがって……!」
「ん?」
「いよいよだ」
ゲラバ
「いよいよか」