<『compass メールマガジン』 第11号(2003.2.5.)より転載>
☆ ココロに届いた歌 玲はる名
× × と神さま空に描けますか 飛行機雲は一直線に
神崎ハルミ
「× ×」 は 「ダメ ダメ」 というルビがついている。
わたしたちはうすうす神がいないことに気づいている。わたしたち人間の
存在は「神のいない祭り」のようなものだと思うときがある。
「ダメダメ」と描けるか? という作者の心には、「ダメ」である自分や
自分の生きる世界に対する「認知」がある。
聖書を読むと、神は昔、人間とも言葉を話せたのだという。しかし、人間
の罪によって、それができなくなったのだ、と。
要するに、私たちは親に勘当されたワルガキのような存在である。神とい
うのは、私たちがいつか帰らなければならない、精神的な源である。
この歌には、「正しいもの」というよりは「帰着点」への思慕がある。し
かし「一直線」に私たちの気持ちも体も進んでゆくのである。……例えば、
「死」に向かって。
歌集『観覧車日和』より