巡り逢えたら <第三部 君をさがしてた(五)>

 それから、数日が過ぎ、あかねは順調に怨霊を退治し、八葉とも少しずつだが打ち解けてき
た。
 しかし、八葉の心のかけらを見つけ出すことは困難を極めた。
 そして、二度目の物忌みの日。初めての物忌みの日と同じように、あかねは永泉を呼んだ。
「心のかけらって、どんなところにあるんでしょうね?」
 あかねは困ったように呟く。
「そうですね・・・。神子のお力になれれば良かったのですが、残念ながら、心のかけらは神子
以外には感じることが出来ないようです・・・」
 永泉は、本当に申し訳無さそうに言った。
「ごめんなさい。そういうつもりで言ったんじゃないんです。ただ、私、きちんとみんなの役に立っ
てるのかなーって・・・」
 あかねはそう言って苦笑す不安げな顔をする。
「神子は、十分頑張っていらっしゃいますよ。私のほうこそ、皆さんの足を引っ張るばかり
で・・・。私なんかが八葉になるべきではなかったんじゃないかと、いつも考えてしまいます・・・」
 永泉は、そう言うと俯いてしまう。
「永泉さん・・・。永泉さんが、そういう風に思っちゃうのは、みんなのために頑張りたいって思っ
てるからなんでしょう? どうでもいいって思っている人は、そんなことで悩んだりしないよ。だか
ら、私は永泉さんがそういうことで悩んでるって言うだけで、十分頑張ってると思いますよ」
 あかねにそう言われて永泉は顔を上げた。
「そう・・・なんでしょうか?」
「初めから、何でも出来る人なんていないですよ。みんな色々悩んで、一生懸命もがいて、そう
やって頑張ってるんだと思いますよ。私も、まだまだダメだなって思うし・・・。お互い、頑張りま
ょう」
 あかねのその言葉に永泉は微笑む。
「すみません・・・。何だか神子に励ましていただいて。本来ならば、知らない土地に来て不安な
神子を、私が励ますべき立場ですのに・・・」
「ううん。私も、永泉さんと話して気分がすっきりしましたから。また、明日から頑張りましょう
ね。永泉さんの心のかけらも探して見せますから」
 あかねは明るい声でそう言った。
「ありがとうございます、神子、でも、ご無理はなさらないで下さいね」
「大丈夫ですよ。それじゃあ、今日はありがとうございました」
「それでは」
 永泉はそう言うと、あかねの部屋を後にした。

                                 続く