十八歳未満の方は、ご覧にならないで下さい。
辿り着いてしまわれたのですね・・・。後悔なさっても責
任は、取れませんよ・・・?
神様のいたずら☆

 乙女の儚い夢だった。叶うはずも無い夢・・・。そう、思っていたのに・・・。

 神様は時に親切で、時に意地悪である。暇つぶしに人間の願いを叶え、忙しい時には、その
願いの言葉にすら、耳を傾けない・・・。

 泰明さんと、一つになりたい。それは、龍神の神子であるあかねの願いだった。泰明と身も心
も一つになれたなら・・・。
 その願いは、突然叶ってしまった。そう、本人が願っていない形で・・・。

 朝日が差し込み、あかねに朝が来たことを知らせる。
 しかし、まだまどろみの中にいるあかねは目覚めるのを拒んだ。しかし、起こしに来た女房に
よって、結局起きる羽目になってしまったのだが・・・。
 着替えを終えたあかねは、半分寝ぼけたまま厠を出て自室へと向かっていた。。
「うーん、まだ眠いんだよねぇ・・・。でも、呪詛を探しに行かないといけないしなー。龍神の神子
が二人いれば良いんだけど・・・。でも、二人いたら、同じ人を好きになって、取り合いとかにな
っちゃうのかなー?」
 その頃、泰明は今日こそはあかねの散策の供をしようと鼻息も荒く、土御門邸へと向かって
いた。
「今日こそは、神子とともに散策に行かねば・・・。なぜかいつも詩紋か天真に先を越されてしま
うからな・・・。まあ、住んでいる館が同じだから仕方ないのかも知れぬが・・・。頼久に邪魔され
たこともあったな・・・」
 泰明はそんなことを思い出すと、急いで走り出した。

 その頃、あかねは、相変わらずぼんやりとしながら廊下を歩いていた。
「泰明さん、全然、お迎えに来てくれないなー。何となーく現代三人組で出掛けちゃってるし、最
近・・・」
 
 そんなことをブツブツ言いながら歩いていたあかねは、前方から突進してくる泰明に気付か
ず、また、今日こそは意地でも供をしようと思っていた泰明は、前方からぼんやり歩いてくるあ
かねに気付かず・・・。
 二人は、激しく正面衝突することになってしまい・・・。脳がグワングワン揺さぶられる感覚とと
もに、二人は仲良く気を失った。

「お二人とも、大丈夫ですか?」
 心配そうな藤姫の声に、先に目を覚ましたのは泰明だった。
「問題ない・・・」
 泰明の言葉に、藤姫が不思議そうに首傾げる。
「どうかしたか?」
 泰明の言葉に、今度は藤姫は笑った。
「神子様、泰明殿の真似ですか?」
「私は、神子ではない!! 神子・・・? 真似・・・?」
 泰明は、藤姫のその言葉に怪訝そうな顔をする。そして、ゆっくりと、自分の体を見た。自分
の体・・・のはずなのに、着ている物が違う。体中をぺたぺたと触ると、無いはずのものがほん
のりある。
 一瞬、ついに壊れる時が来たか・・・と、泰明は思いを巡らせる。しかし、自分の隣に横たわ
る自分を見つけ、納得したように頷く。
「そうか・・・。そういうことか・・・」
 泰明は、そう呟くと、横たわっている自分の体を揺らす。
「起きろ・・・」
「うーん・・・。いたたたたっ」
 今度は、あかねが頭を押さえながら起き上がった。
 しかし、次の瞬間、とんでもない悲鳴を上げた。
「わっ、私がなんでここにいるの?」
 そう言ってあかねは泰明を指差す。
「こっ、これが世に言う幽体離脱ってヤツですか? はっ、初めての経験に、龍神の神子もさす
がに驚きを隠せないっ!!恐るべしっ!! 龍神力!!」
 あかねは、ゾクゾクしながら言う。
「泰明殿?」
 あかねの言葉に藤姫が不思議そうに首を傾げる。
「神子、自分の体を良く見ろ。何か変わった事はないか?」
 自分の体に聞かれ、あかねは自分自身をよく見る。
「なっ、何だか、泰明さんにそっくりなんだな・・・」
 あかねが少し照れくさそうに呟く。
「そうではない。私と、お前の体が入れ替わってしまったようなんだ・・・」
 あかねの姿をした泰明にそう言われ、あかねは、なるほどと言った顔で頷く。
「うんうんうん。って、えっ?!」
 あかねの姿をした泰明は、思わず股間に手をやる。
「あー。ありました・・・。ハイ・・・。何か、やっぱり人じゃないと、これも人外的なものになるんで
すね・・・。用途は・・・一緒ですよね? ということはやっぱり、摩擦すると・・・」
 そう言って、あかねはもの凄い速さで、自分の体の一部となった泰明のブツを摩擦する。
 あかねのその仕草に、あかねの姿をした泰明が困ったようにあかねを見る。
「頼む。もう良いだろう。やめてくれ・・・」
 しかし、あかねは泰明のその言葉に全く動じることは無く、興味深そうにブツを見ている。
「うわぁ、すっごいですね、やっぱり。膨張率も、人外だぁ。何が出るかな。何が出るかな♪」
「頼む・・・やめてくれ・・・」
 泰明が何ともやりきれないと言った顔で、あかねを見る。
「うわっ!! 何か出たっ!! いきなりかよっ!!」
 そう言うと、あかねは自分の手に出た白いモノをじっと眺める。
「神子・・・。頼むからもうやめてくれ・・・」
 泰明の声は、少し涙混じりになっていた。
「ん・・・? うわっ!! 何だこの臭い・・・!!臭いなぁ・・・!!」
 あかねがそう言って顔を顰める。
「神子、もう許してくれ・・・」
「臭いも人外的なものなのかなー? 一般的な成人男子のもの嗅いだこと無いから、わかんな
いなー。天真君のでも、今度嗅がせてもらうか・・・やっぱり、朝起抜けに行って、無理やり嗅が
してもらうしかないか・・・」
 そう言いながら、あかねは自分の手のモノをくんくん嗅いでいる。
 泰明は、そんなあかねの姿に涙を流していた。
 二人の先ほどからのやり取りに、いまいちついて行けていない藤姫が、困ったように二人をじ
っと見る。
「藤姫。私から説明しよう」
 あかねの姿をした泰明は泣きながらそう言うと、ことの説明をし始めた。
「つまり、先ほど二人がぶつかってしまった時に、心が入れ替わってしまったということなんです
ね?」
「そうだ・・・」
「では、神子様はどちらなんですか?」
「神子の体は私が占有してしまっているから、私の姿をした神子が、神子だ」
「占有しているって言葉、何かドキドキしちゃいますね」
 泰明の姿をしたあかねは、嬉しそうに笑った。
「では、私は、どちらを神子様とお呼びすれば良いのですか?」
 あかねの言葉は藤姫のごく自然な疑問によって流された。
「そうだな・・・。神子の精神は私の身体に宿っているが、傍から見れば、神子は私ということに
なるから・・・。私を神子と呼ぶのが妥当だろう・・・。それから、他の者には、このことは伝えな
いように・・・。みな、混乱する。」
「わかりましたわ。では早速なんですか、神子様。永泉殿が、昨日の晩から屋敷に戻られてい
ないとの連絡が入りまして・・・」
「永泉が?!」
「永泉さんが?」
 二人の言葉に藤姫は頷く。
「はい、お二人は永泉様の行き先に心当たりはございませんか・・・?」
「うーん。永泉さんねぇ・・・」
 泰明の姿をしたあかねが首を傾げる脇で、あかねの姿をした泰明も頭をひねる。
「あいつは、確か、野宮と吉祥院と音羽の滝が好きだったが・・・」
「結構、深泥ヶ池も好きみたいですよ?」
「そうなのか・・・。私には、そんなことは言っていなかったが・・・」
 あかねの姿をした泰明が、悲しそうな顔をする。
「とりあえず、探しに行くか・・・」
「そうですね・・・」
「私が、音羽の滝へ行く。神子は、他を当たってみてくれ」
 あかねの姿をした泰明はそう言うと、音羽の滝へと走って向かった。
「じゃあ、私は・・・の野宮に言って見ます」
 泰明の姿をしたあかねはそう言うと、野宮へと走っていった。

                  
 泰明が音羽の滝に着くと、永泉の笛の音が響いていた。
「やはり、ここに来ていたか・・・。しかし、永泉は一体どこにいるのだ・・・?」
 泰明がそんなことを呟きながら、永泉の姿を探していると、永泉の姿が目に入った。
「・・・。神子・・・? 神子ではありませんか・・・。どうしてここに・・・」
 あかねの姿をした泰明であるということを知らない永泉は、驚いたように泰明を見る。「ここに
いるような気がした・・・」
「そうですか。あなたの姿を目にした時、一瞬幻かと思いました。あなたのことを考えていたの
で・・・。たよりにもあらぬ思ひのあやしきは心を人に作るなりけり」
「永泉・・・さん。」
 泰明は、複雑な心境でその名を呼ぶ。自分は、今、あくまで、神子なのだから、神子として振
舞わなければ・・・。泰明の中にそんな使命感に似た思いが宿る。
「どういう意味・・・だ?」
「い、意味ですか・・・? 秘密です。あなたも、この歌と同じ思いなら良いのですが・・・」
 やはり、そうなのか・・・。日頃から、永泉のあかねを見つめる目は、普通とは違ったから
な・・・。そうか、やはりそうなのか・・・、
 私は、永泉の恋敵ということなのか?
「私も、あなたのような清らかな心を持っていたのなら、滝を甦らせることが出来たのかもしれ
ない・・・」
 そう言って、永泉は表情を曇らせる。
「いいかげんにしろ!! みんなに心配を掛けて要るということかがわから無いのか・・・。他人に
迷惑をかけるなど、子供ではないのだから、言いたいことがあるなら、はっきり言え」
 泰明は、じれったい永泉に痺れを切らしたように言った。
「・・・。そうですね・・・。たとえ、それが口に出した瞬間に消えてしまうものだとしても・・・。・・・私
はあなたが・・・。・・・? こ、これは・・・?」
「滝が・・・?」
「神子・・・。私はあなたが好きです。あなたをお守りできて、本当に幸せだと思います。・・・誰も
が私を肩書きで見る・・・。東宮候補、親王、帝の弟・・・けれど、あなただけは違った。あなたの
優しい心が・・・優しい気持ちが滝を甦らせてくれたのです・・・」
「永泉・・・」
 泰明が恐れていたことは、今この一瞬を持って、確信へと変わってしまった。
「ひ、日が傾いてきました。そろそろ帰りましょう」 
 そう言って、言いたいことを全て言い切った永泉は、清々しい表情で隣を歩く。
 そして、それとは逆に泰明の心の中には、いろんなことか渦巻いていた。困った・・・。言おう、
言おうと思っていたのに、永泉は私を神子だと信じて疑わず、告白までされてしまった。一体ど
うしたものか・・・。
 そんな相反した面持ちの二人は、いつしか屋敷へと辿り着いていた。
「・・・明日、もし私を連れて行って下さるのでしたら・・・。私はあなたのために最善を尽くしま
す。もう・・・逃げたりしません」
 思いを告げ、何かを成し遂げた永泉の顔は、以前のものとは違って、男らしくなっていた。
 しかし、泰明は悩んでいた。明日の四神は、玄武・・・。玄武を開放するためには、自分と永
泉が都合が良い。合体技も使えるし・・・。だが、永泉を連れて行くということは、永泉の告白を
受け入れたということになるのだろうか・・・? 
 そんなことを考えながら、ウンウン唸っていると、ジーっとあかねが妬ましそうに泰明を見てい
た。
「みっ、神子?!」
「酷いんだ、泰明さん・・・。私のふりして、永泉さんに告白されて・・・。乙女の一大イベントなの
に・・・!!」
「神子、すまなかった。こんなつもりではなかったんだ・・・」
 泰明が、申し訳無さそうにあかねに言った。
「もうさ・・・。何か、誰でも良いのかって気分になってきちゃうよね。私の外側が好きなのかって
感じだよ・・・」
 落胆したようにあかねが言う。
「いや、神子・・・。それは、きっと無い」
 そう言って、泰明は胸元をじっと見る。
「その、女は胸!! みたいなの、間違ってるから!!」
 あかねは、不愉快そうに泰明を見る。
「しかし、お前は、永泉のことが好きなのか?」
 泰明の疑問にあかねは慌てて話を逸らす。
「一体、いつになったら元に戻れるんだろう? 一生、元に戻れなかったら、困るよね・・・」
「神子が、私と一緒になれば問題ない」
 泰明はそう言って、微笑む。
「うっ。うーん・・・」
 あかねは困ったように泰明を見る。
「だとしても、自分の身体を自分で組み敷くって言うのは、嫌だなー」
「確かに・・・」
 泰明は、あかねのその言葉に頷いた。
「た、試してみるか?」
「えぇ・・・っ?」
 泰明の言葉にあかねが顔をしかめる。
「嫌なのか?」
 泰明が不安そうにあかねを見る。
「だって、こんな人外的なもの入れたら、私の本体が一体どうなっちゃうのかなーなんて・・・」
「問題ない。神子が私と一緒になれば、そんなことは問題ではない」
 泰明は、断言する。
「えっ・・・。ええっ?」
 あかねが困惑したように泰明を見る。
「お試しでというのは嫌か?」
「お試しで、私のこれからが決まっちゃうのはちょっと・・・」
 そう言いながらも、人外的なものへの興味を拭い去れないあかねも存在した。
「じゃあ、ちょっとだけ・・・。先っちょだけ・・・」


 最後の決戦の日、あかねの元には、八葉がゾクゾクと自分を供に連れて行っててくれと言い
に来た。モチロン、永泉も例外ではなかった。そして、泰明も・・・。
「神子、お前は一体何人の男に手を出していたのだ?」
 あかねの姿をした泰明が、コソッとあかねに尋ねる。
「いや、手を出したって言うか・・・。なんて言うか・・・。それより、あの、私の体、どんな具合でし
ょう?」
 あかねが心配そうに泰明を見る。
「安心しろ。他の男に現を抜かす余裕などは無いから。今も、痛い・・・」
「信じらんないっ!! 人の体で何やってんですか?」
 あかねは、軽蔑するような目で泰明を見る。
「いや、私は神子としかしていない・・・。というか出来ない・・・それに、あの晩、もう無理だから
と言っても、何度もやったのは、神子だ・・・!!」
「でも、泰明さんの体が何回もやりたがったからでしょう?」
「しかし、それは私の意志ではない。神子の意思だ!!」
「あの・・・。神子様、大変申し訳ないんですが、そろそろ決めていただかないと・・・」 
 二人のそんなやり取りを見ていた藤姫が申し訳無さそうに口を挟んだ。

 そして、京には平和が戻り、龍神を呼ぶことが出来なかったあかねは、鬼との戦いが終わっ
た今も泰明と、この京で暮らしている・・・。

                終

 すみません。張り切って下ネタに走ってしまいました。下ネタに走ったほうが面白いかなーなんて思っちゃったんで
す。すみません。もう、しません。でも、私の友達がこれに合わせて漫画描いてくれたのが、嬉しかったんです・・・。