無いものねだり<七>〜チェン子side〜

「て言うか、興味ないって、そんなに慌てて言われるとねぇ。いくら、泰明さんでも、わかっちゃう
よねぇ」
 あかねは、そう言って実に愉快そうに笑った。
「本当に、女平気だから!! 信じてくれよ、地の玄武」
 しかし、泰明はそう言って縋って来るアクラムを一瞬、気の毒そうに見ると、すぐに目を逸らし
た。
「い、今、目、逸らした? ねぇ、地の玄武、それは、疑っているってことなの?」
 アクラムはそう言って、泰明の腕を掴み自分のほうを向かせようとする。
 しかし、泰明の隣にいたあかねが、そんなアクラムの手を無理やり引き剥がした。
「泰明さんは、私的に、今、無菌室に入れてるの。どんな菌も付けちゃいけないの。あかね色に
染める気満々なの。アンタの手垢がついて、少しでもくすんだあかね色になったら困るでしょう
がっ!!」
「神子・・・」
 泰明は、あかねのその言葉に嬉しそうに、照れくさそうに微笑む。
「ていうか、龍神の神子!! 今の差別だよ?? 傷ついたよ?? 心が張り裂けそうだよっ!」 そう言っ
て、アクラムはあかねの腕を掴んだ。
「そうだね。ゴメンね。私もちょっと言い過ぎちゃったよね。心、傷ついちゃうよね」
 あかねは気の毒そうにアクラムを見ると、そっとアクラムの手を握り締める。
「龍神の神子・・・。やっとわかってくれたか・・・」
 アクラムは、嬉しそうに微笑んだ。
「・・・つうかさ、やっぱりそうなんじゃん。だって、傷ついちゃってるじゃん。もう、認めるしかない
じゃん。」
 あかねは、極悪の笑みを浮かべ、アクラムに言い放った。
「お前が、そういう性質のものなんだと言うことは、私にもよくわかった。現実を認め、受け入れ
ると言うのは、確かにとても辛いことだ・・・。しかし、人はその現実を受け入れ、強くならなけれ
ばならぬ。お前がその現実を受け入れることが出来た時、お前の中できっと何かが変わるの
ではないか」
 泰明は、アクラムをしっかりと見つめ、言い聞かせるように言った。
「地の玄武・・・。いや、だから違うから。なんて言うか、女が苦手なんじゃなくて、ああいうのが
駄目なだけだから」
 一瞬、泰明の言葉に頷きかけたアクラムは、力の限り否定する。
「あー・・・。もしかして。ロリコンなんだ。アッ君は、ロリコンなんだ。そうかー。だったら、シリン
は駄目だよねぇ。アッ君から見たら、熟女のの範囲だもんねぇ。でも、ロリコンもどうなんだろう
ねぇ。子供作るのは厳しいよねぇ。やっぱり、アッ君の代で鬼の一族は途絶えちゃうんだねぇ」
 あかねは、合点が言ったように、うんうんと頷いた。

                            
                    続く