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旭川市教育研究会理科部研修会


 旭川のキノコ観察 & キノコ汁試食会
(1999.10.2)

講師紹介 袰屋朝雄(ほろやあさお)氏
 
こうししょうかい
袰屋氏とミヤマタマゴテングタケ
 突硝山、半面山、知床半島、石狩岳、阿寒国立公園、樽前山と支笏湖周辺など道内を広く研究されており、新種「センセンボンキツネノサカズキボンキツネノサカズキ」(右写真)を発見命名されたほか、「ワンガタクロノボリリュウ」「ニセカンパタケ」の2種を日本ではじめて確認されております。また、北海道大学の五十嵐恒夫現名誉教授と共同で知床半島や阿寒国立公園の菌類分布についてご研究なさいました。また、自然界で菌類の果たす役割について現在もご研究を続けておられます。
 日本菌学会会員。北海道きのこの会会員。旭川きのこの会顧問。


全体研修(袰屋氏の資料より)

1 キノコとは
 難しくいうと、地球上の生物の世界は植物界と動物界に分けられてきましたが、最近では、「植物界」「動物界」「菌界」の3界に分けられるようになってきたようです。
 菌界はさらにいろいろなグループに分けられますが、要するに私たちが食用にしているキノコは細長い糸のような菌糸とよばれる体で生活しておりますが、やがて菌糸の生活を続けるのに適さない環境になると繁殖器官を作ります。これを子実体(キノコ)といいます。(植物に例えると、花であり実でもあるのです)
 
2 キノコの形態と名称
 キノコは、様々な形をしたものやキノコらしくないキノコなど、また、毒キノコのテングタケや食用のキノコのタマゴタケは、ニワトリのタマゴ状の幼菌から殻を破って成長してきます。

3 キノコの生態
 (1)広葉樹林に生えるもの
 ・枯れた木(倒木、切り株など)には、
  (食用)シイタケ、タモギタケ、ナラタケ(ボリボリ)、ナメコ、
      エノキタケ、クリタケ、マイタケ など
  (毒) オオワライタケ、ツキヨタケ、ニガクリタケ など
ヤマイグチ
 ・枯れ葉、地上、草地には、
  (食用)ユキワリ、シメジモドキ(ハルシメジ)、ホンシメジ、
      ハタケシメジ、サクラシメジ、ムラサキシメジ、
      オシロイシメジ、ヤマイグチ(右写真)、アカヤマドリ など
  (猛毒)タナゴタケモドキ、ドクツルタケ、クサウラベニタケ など

 (2)針葉樹林に生えるもの
 ・カラマツ、トドマツ林には、
  (食用)ハナイグチ(ラクヨウ)、ヌメリイグチ、シロヌメリイグチ、
      エセオリミキ、キヌメリガサ、ヤマドリタケモドキ、
      ホテイシメジ、タモゴタケ など
  (猛毒)イッポンシメジ、テングタケ、ベニテングタケ

 (3)混交林(広葉、針葉)に生えるもの
  (食用)カヤタケ、チャナメツムタケ、キナメツムタケ、
      シロナメツムタケ、コガネタケ など
  (猛毒)イッポンシメジ、タマゴタケモドキ、ドクツルタケ、
      ドクヤマドリ など

 以上、主に生えるキノコを列挙しましたが、この他にもいろいろなキノコがたくさん生えています。また、毒キノコ、要注意キノコはどんな林にもあるので注意して下さい。

4 誤った毒キノコと食用キノコの見分け方

 キノコを見ると、「これ毒キノコですか」「このキノコ食べられますか。」とよく聞かれますが、キノコについては科学的に識別する事は難しく、わかっているものは少ないようです。昔から、迷信や誤った言い伝えがあります。

(1)誤った「食」「毒」鑑定法

・鮮やかな彩りのキノコは毒、地味な色のキノコは食用。
・銀のさじをキノコ汁に入れると黒くなるのは毒キノコ。
・虫が食べるキノコは食用。
・縦にさければ食用。
・ナスと煮ると中毒しない、ナスは毒消し。
・塩漬けにして食べると中毒しない。

その他、地方によってはこの他にも誤った鑑定法があると思います。

(2)正しい「食」「毒」鑑定法

 現在のところ私はないと思います。次のことに留意して下さい。
・初めて見るキノコは、キノコの知識のある人、または、保健所などに聞いてから食べること。
・わからないキノコは絶対食べないこと。
・動物実験(イヌ、ネコ)をしないこと。(エゾシカは毒キノコのベニテングタケを食べています。)

(3)誤って毒キノコを食べたとき

 食べた後、胃腸の感じがいつもと違うときや、脈拍に異常があったら、すぐにのどの奥に指を入れ食べたものを吐き出さなければなりません。一緒に食べて症状の出ていない人も、同じようにしてすぐ病院へ行くことです。

5 キノコの栄養の取り方
(1)寄生菌(生きている生物から栄養を取って生活しているも)
 ・植物に寄生=ナラタケ類(広葉樹、針葉樹)
 ・動物に寄生=冬虫夏草(生きている昆虫に寄生)
 ・菌類に寄生=タンポタケ、ハナヤスリタケ、タケリタケ、ナラタケ など
ハチタケ
ハチタケ
オオゼミタケ
オオゼミタケ
サナギタケ
サナギタケ
タンポタケ
タンポタケ

(2)腐生菌(死んだ有機物から栄養をとって生活しているもの)
※菌類は、有機物を分解し植物が再び利用できるよう自然界における物質の循環という重要な仕事をしております。
 ・樹木(材)=サルノコシカケ類、シイタケ、ナメコ、
         タモギタケ、ハタケシメジ など
 ・落ち葉、草=モリノカレバタケ、アマタケ、オチバタケ などキツネタケ
 ・花、木の実=ドングリキンカクキン、クリノイガワンタケ、
         キツネノワンタケ、キツネノヤリタケ、マツカサキノコ、
         マツカサシメジ、マツカサタケ
 ・動物の糞尿=キツネタケ(右写真)、ハラタケ、ヒトヨタケ など
 (子のう菌では糞生菌として数多くあります。

(3)共生菌(植物と共生して生活しているもの)
 ・植物=キノコに対して生活の場所と光合成で生産した糖を提供する。
 ・きのこ=植物に対して、水や無機塩類を土から吸収して提供する。
      (ホンシメジ、ムラサキシメジ、マツタケ、ハナイグチ、テングタケ など)
 ・植物=キノコと共生して生活しているもの。
      (オニノヤガラ、ツチアケビ、ギンリョウソウ など)

6 きのこの観察
(1)発生場所の確認
 発生場所が、地上、裸地、草地、埋もれ木、材上(収集)、落葉上など、キノコによっては地上部分ばかりでなく、地中部分が大切な観察点です。冬虫夏草や地中菌核を作っているものもあります。(チョレイマイタケ、タマチョレイタケ、タマツキカレバタケ など)


野外研修

 市立旭川21世紀の森周辺の広葉樹林と針葉樹林におけるキノコ類の分布の様子をフィールドで研修しました。今回の研修で確認されたキノコの名称は下記の通りです。

1 広葉樹林

キツネノチャブクロ、キツネタケ(アンモニア分解菌)、ハンノキイグチ、マスタケ、クヌギタケ、ツチタケ、エノキタケ、カキシメジ、カワラタケ、マメホコリ、ヒトヨタケ(酒と一緒に食べると当たる)、アラゲカワラタケ、アシグロタケ、ヌメリツバタケ、モエギタケ、ニカワアナタケ、アカモミタケ、ウロコタケ、タマツキカレバタケ、クロサカズキシメジ、ヤマイグリ、ムジナタケ、ニガクリタケ、サカズキカワラタケ(ニレの木に)、ニカワチャワンタケ、イヌセンボンタケ、スギヒラタケ、ドクベニタケ、キオビフウセンタケ、カキシメジ、ウスバシハイタケ など
  
クヌギタケのなかま
クヌギタケのなかま
ヒトヨタケ
ヒトヨタケ
エノキタケ
エノキタケ

2 針葉樹林

シロヌメリガサ、コナメツムタケ など


キノコ汁試食会
 フィールドワークの後は、採取したキノコを使って調理を・・・。矢口研修部長が慣れた手さばきでキノコ汁をつくりました。とれたてのエノキタケ・ナラタケ・!?・・などでつくったキノコ汁はとても美味でした。(しばしキノコ談義に花が咲く。)小雨の中の山歩きで冷えた体も温まりました。
 試食会が終わるころは、日もすっかり落ちていました。おなかのニヤニヤや手のしびれを感じながら帰路についた班員もいたとかいないとか・・・。
きのこじる きのこじるししょくかい
 こうして、今年度の野外研修は、無事?終了しました。参加された皆さん、お疲れさまでした。



旭川市教育研究会理科部2月研から


小学校部会の実技交流の内容
  1. タイミングディスクモーターの制作(ソニー:田中義朗氏)
    • 考案者の田中氏直伝による、タイミングディスクモーターの制作を行う。ユーモアあふれるとてもためになるお話を聞きながらの実技。考案されて間もないモーターだそうですが、よく回ります。詳しいことは、まだお知らせできません。
  2. 使い捨てカイロを使ったエジソンの電球作り(北ブロック:斉藤先生)
    • シャープペンシルのシンに電流を流し発熱・発光させます。空気中では、酸素があるためすぐ燃えつきてしまいます。そこで、考案されたのが、広口の空きビン(ふた付き)と使い捨てカイロを利用して、酸素のない状態で発熱・発光させようというものです。みの虫クリップつきリード線(みののビニール部分を取り除いたもの)を2つ用意します。ふたに2カ所穴をあけ、それぞれ内側からリード線を入れて瞬間接着剤で穴をふさぎます。ビンにカイロの中身をあけます。クリップにシンをはさみます。初めにふたをしないで電気を流し不純物を燃やします。けむりが出なくなったら通電をやめ、ふたをします。ビンの中の酸素がなくなった頃を見計らって、再び通電します。そうすると、長時間光っているそうです。
  3. 備長炭電池の制作(西ブロック:山中先生・九里先生)
    • 備長炭を使った電池作りです。飽和食塩水を浸したキッチンペーパーを備長炭に巻き、その上からアルミホイルを巻きます。このとき、備長炭にアルミホイルが付かないようにします。これでできあがりです。アルミホイルの部分と備長炭の部分にクリップをはさみ、モーターに接続するとプロペラが回り始めました。電圧は、1V前後だそうですが、電流はそれほど強くはないそうです。しばらくすると、水素が発生し、電流の流れが悪くなるようです。これは、過酸化水素水を加えることで、水素の発生による障害を押さえられるそうです。

お知らせした内容については、おもしろ実験でも紹介したいと考えています。



あがる