わたあめ... Last Update...2000.5.4...

アルミ缶は、コーティングをはがしたものを使用して下さい。
アルミ缶の有害性について、中澤さん(須磨東高)から次のような情報をいただきました。
  • 空き缶の内面は、エポキシフェノール系の合成樹脂でコーティングされています。加熱するとモノマーや分解生成物が溶出することが充分考えられます。エポキシ樹脂は、環境ホルモンの疑いが指摘されているビスフェノールAが原料です。
  • 以前に、青少年のための科学の祭典神戸大会に「綿菓子作り」で出展された先生が、日本清涼飲料工業会に問い合わせたところ、「通常の使用方法において、仮に内側の樹脂が溶けたとしても安全性に関しては何ら問題はないが、加熱等の条件下でその樹脂が分解したり、酸化されたりした場合、そのような条件下で安全性に関する実験は行われていない。従って、安全であるか、安全でないかは分からない。」との回答でした。ジュース類の充填は、90℃で行われていますし、100℃までに温めて飲むのには、ほぼ問題はないのでしょう。
  • 綿菓子つくりの実験をしても、「食べない」か、食べるのならコーティングをきれいにはがしてから行うべきです。
  • 炎であぶって分解する方法は、完全に有機物が分解し気体になっているとは思えないし、何が生成しているか分からないので、絶対に止めるべきだと思います。また、焼いたとき出る白い煙の中には、フェノール類、アミン、アルデヒドその他さまざまな有害物質が含まれていると思われます。
  • コーティングをはがす方法は、アルミ缶に濃硫酸をつけるとよいです。つけると色が変色し、すぐにペロッとはがれます。
 濃硫酸は大変危険です。取り扱いには十分気をつけて下さい。私は、次のような方法で行いました。(白衣を着て行うことをおすすめします。)
  1. 300ccのビーカーに濃硫酸を入れます。(ビーカーの半分くらい)
  2. 上下に切断したアルミ缶の下の部分を濃硫酸につけしばらく放置します(5分くらい)。アルミ缶の表面の塗料には、濃硫酸に色がとけ出すものがあります。(コーラの赤など)
  3. ピンセットでアルミ缶を取りだし、水を満たした入れ物(水槽など)の中で静かにすすぎます。
  4. すすいだアルミ缶を、流水で洗い流します。ブラシやスポンジなどでこすりながら水洗いするときれいになります。(缶の切り口でけがをしないよう注意)
  5. 濃硫酸を回収しビンに入れて保存します。缶の外側のコーティングがはがれ、濃硫酸に混じっている場合は、濾過材(水槽用の濾過装置に入れるナイロン性のわたのようなもの)を漏斗につめ、こして取り除きました。

 操作は慎重に行って下さい。次のような場合は、すぐ、流水で洗い流して下さい。
  • 濃硫酸が飛び跳ね、皮膚につくと痛みが伴いただれてきます。付着箇所(目など)によっては、病院で見てもらいましょう。
  • 飛沫が衣服などにつくとぼろぼろになります。

 
使う物と材料
  • わたあめボックスの材料は、白雪表紙(厚紙)が加工しやすいです。
  • ピアノ線の代わりに、自転車のスポークや釣りの仕掛け作りに使うステン材でもよいです。
  • ステン材(直径1.8mm長さ50cm5本入り・400円)、浮きゴム(内径1.2mm長さ23cm・30円)は、釣具店で手に入ります。
  • スポンジたわしがなくても振動を吸収するような工夫があるといいです。直接モーターを手で持ってもよいのですが、子供はとてもくすぐったがります。
  • 材料は、ザラメのほかに、グラニュー糖でもできます。
  • 赤ザラメを使うと、ピンクのイチゴ味のわたあめになります。
  • あめを使うのもとてもいいです。いろいろな味のわたあめができ、わたあめの世界が広がります。詳しくはトピックスをご覧下さい。
わたあめボックスの大きさ
  • 一度にたくさん作る場合は、大きいボックス(直径35cmくらい)がいいです。
  • 小さいボックス(直径25cmくらい)では、缶を高速で回転させると、空気の流れが起き、わたあめが台の中で浮いた状態になります。
  • 台を作る時間がないときは、適当な大きさのダンボール箱を用意し、上ぶたを切り取り内側にアルミホイルをはります。アルコールランプをおいてできあがり。
  • いずれの場合も、口の部分を内側に折り曲げておくことによって、わたあめが上空に飛び出すのを防いでくれます。
缶の大きさ
  • アルミ缶であれば、どれでもだいたいできます。
  • 細い缶(一口ビールの缶など)は高速回転しやすい。太い缶(350mlの缶など)は、遠心力が大きくなります。
缶にあける穴の大きさ・形・数
  • 穴の形は、円(目打ちで刺す)でも線(カッターで切る)でもわたあめはできます。
  • 穴が大きいと、溶けきらないザラメが個体のまま飛び出してきます。穴が、極端に小さいと、細い糸は出てきますが溶けたザラメが出ずらくなり、焦げる原因になります。
  • 溶けたザラメを出しきるには、穴の数は多い方がいいようです。また、缶の外側から穴をあけると、穴の回りに内ち向きの壁ができ、その壁が、とけたザラメを出ずらくします。これも、焦げる原因になります。
  • ザラメを出しきるには、穴は内側から開けた方がいいです。缶をカッターで切り、ルレットで内側から穴を開け、ふたの部分を逆さまに取り付けます(今回の方法)。
  • 時間がないときは、作り方の3から6、8を省略し、缶の側面に直接外側から目打ちか画鋲のようなもので穴をあてもよいです。
入れるザラメの量
  • 台の大きさ、缶の大きさによっても違います。回転に影響するので、バランスよく入れます。今回の実験では小さじにさらっと1杯くらいがよさそうでした。
炎の大きさ
  • 火加減はかなり重要です。小さい缶は小さめに、大きい缶はやや大きめに。大きすぎると焦げやすく、小さすぎると溶けずらい。ゼリーのカップの上方に出るか出ないかくらいがいいようです。
  • 熱し始めてから、しばらくしてジワーッと出てくる感じがいいです。
  • ゼリーカップやアルコールランプカバー(わたあめ2)は重要なはたらきをします。これがないと、ほのおが揺れて温める効率が悪くなります。状況によっては、いつまでもわたあめが出てこないことがあります。
回転
  • 回転が遅いと、ザラメが溶けても出方が悪く、糸も太くてちょっとごわごわのわたあめになります。缶の温度が上がると、溶けたザラメが焦げ、茶色のわたあめになります。さらに温度が上がると、煙が出てきます。
  • 回転数は、ある程度速い方がいいようです。
  • 回転数をあげるには、「できるだけ軽く小さいアルミ缶を使う」「回転数の速いパワーのあるモーターを使う(ミニ四駆のもの)」「回転のぶれを防ぐ」「モーターの振動を吸収する工夫をする(スポンジでくるみ軽く持つ)」などのことが考えられます。
  • 水中モーターはとても手軽にできるので大変便利です。
風を送る
  • 空に浮かぶ雲のようなふわふわのわたあめを作りたくて、アルミ缶に風を送るプロペラを取り付けました。いろいろやりましたが、うまくいきませんでした。
  • 結局、プロペラなしでも、高速で回転させることにより空気の流れをつくることができました。
おわりに
 個体の砂糖が、熱で溶けて液体になり、遠心力により穴から飛び出し、空気中で冷えて糸状に固まるまでのようすを考えさせましょう。
 真っ白でふわふわの「究極の手作りわたあめ」を目指し試行錯誤した結果、何とかそれに近い物ができました。さらに、いいアイディアがあれば、ぜひお知らせ下さい。