ビシソワーズ(じゃがいもの冷たいスープ)


じゃがいもが採れはじめました。
もうじき全部掘って保存するのですが、今はできたところから掘っては使っているという状況です。


で、この時期に毎年作りたい料理、それがビシソワーズです。
ただし、私が作るのは、一般に出回っているフランス料理としてのレシピではありません。

一般的には、チキンやコンソメや牛乳や生クリームなど、まあよくもごてごてと入れていて、これだけ入れないと料理だと思えないのか、といった感じです。

しかし、本来じゃがいもの味をシンプルにうまく食べられればいいもので、この料理はフランスの田舎のシンプルな味が元になっているのです。
この本来のレシピを探そうとしても、料理の本でもインターネットの検索でも一つも出てきません。

私が見たのは、丸元淑夫の料理本と、いつかどこかで見た記憶のあるテレビ番組だけです。
ですが、素材の味を生かす料理を長年?やっていると、「これは本物の料理ではないか」と思えるレシピが、それを見ただけである程度直感で想像できるものです。

その一つが、ありとあらゆる本に載っているレシピと違う、このフランスの田舎料理としてのビシソワーズでした。
こういうシンプルな料理は、素材が徹底してよくなければできないもので、これぞ自給屋の真髄が発揮できる料理の一つです。

材料はいたってシンプル。じゃがいもとねぎと塩と胡椒と水です。
ただ、自給屋では水の代わりに昆布だしを使います。


作り方も簡単。ゆでたじゃがいもとねぎをゆで汁ごとミキサーにかけて、塩と胡椒で味をつけるだけです。
しかし、味は滋味深く、採れたてのじゃがいもの味と香りを、ねぎの甘味と香りが下支えして、しかも冷たくすることで、このうっとうしい季節に、のど越しからわきあがる畑の力を注いでくれるような、「土の料理」と呼ぶにふさわしい、作農料理人好みの一品です。


これだけ力強い味で、完全なベジタリアン食でもあるのですから、料理というものは奥深いものだと思います。

*8月くらい迄。主に予約のコースにて提供。

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