『無言館』を訪ねて

無言館を訪ねて
信州上田散策
(2003/08/01)

ようこそ。いらっしゃいませ。
夏休み ― ということで、信州・上田を訪ねてまいりました。
少々、縁のある町なのですが初めて訪れました。
執念で探しました、信州・上田のコーヒーをどうぞ。


 
 上田には『無言館』という、少々特 別な美術館があります。
 名前を聞いたのは何年も前のこと で、訪れたいと思い、電話番号まで調 べましたが、そのメモは、電話の上の 「メモはさみ」に色褪せて、黄ばんで おりました。
 で、先ほどの少々縁のある町とな り、妻の慰安旅行を兼ねまして、
「行くべ」となりました次第。

 『無言館』も、すっかり有名な美術館 ですが、たどり着くには、「捜し歩く」と いう感じになります。

 ここに展示されておりますのは、直接・間接に 先の戦争でなくなられた、美術を志していた青 年たちの作品であります。
 多くは東京美術学校(今の東京芸大ですね)の 学生、卒業生ですが、中には独学で油絵を勉 強。応召。戦死された方の作品もあります。

 戦地から、あるいは戦地に赴く際の手紙を始 めとして、作画用の道具(パレットなど)
等の遺品も展示してありまして、当時の状況を 生々しく伝えているわけですが、
 それよりも、Jinべぇが心を打たれましたのは、 その作品にある情熱躍動であります。

 反戦とかの次元とまったく関係ないところで、 妹や妻をモデルとしての人物画。故郷の風景画 等など。どれを見ましても作画への没頭があり ます。
 その没頭があって、もう一方にこの没頭が、他 の力で断ち切られたと言う事実があります。

 この場所は、「美術」をモチーフにこのジレンマ を浮き彫りにさせておりますが、往時のすべて の事象に展開させているところに、この美術館 の厳粛さがあります(あると思います)。

 Jinべぇは「気の毒」や「可哀想」の情感は、 失礼」と感じました。

 作品への感動と、ジレンマを厳粛に受け止め て「無言館」を後に致しました。

(了)