第13章  大穴牟遅の試練
 (1) 須佐之男の命の試練が 襲いかかる‥‥‥
  
大穴牟遅よ 蛇と百足と蜂の室むろ がお前の寝床だ 良く眠るが良い ふふふ
  これを聞いた
恋人須勢理毘売すせりびめ  心配のあまり考えて名案 浮かびました。
  須勢理毘売は
 すぐに 蛇のヒレ百足蜂のヒレ 用意して 大穴牟遅にそっと 手渡しました。
  「
このヒレを振ると 蛇や百足や蜂は おとなしくなります。私の愛する貴方に 害は及びません
  確かに
 、須勢理毘売の言う通りでした。 ヒレを振ると 蛇も百足も蜂も 静かに眠ってしまいました。
  それを見て安心した大穴牟遅も
 グッスリと眠り 一夜は無事ぶじ に過ぎ さわ やかに目覚めた。
  ☆ ヒレを振ると 災難を 打ち消すことができる という言い伝えがあり
     
旅立ちの時には 旅の道中の無事を祈り (ヒレ=薄い布きれ=ハンカチ)を振る 習わしがありました。

 
(2) 試練の第一関門を無事突破した大穴牟遅を見て 須佐之男の命は うすきみ悪い笑みで
  
こやつ!第一関門はみごとにクリアーしたなかなかできる奴だ」と言い 次の試練を与えます。
  広い野原の真ん中に
 大穴牟遅おおあなむじ を連れていき グルリとその周りに 火を放ったのです。
  火は
 野原の中央めざして勢いを増して燃えていきます。 絶体絶命のピンチ!
  「
危ない早く逃げろ しかし 時遅し 周りはすでに火の海 逃げられません。
  そこへ 野鼠があらわれ野火危険 外はぶすぶす 内はほらほら足で大きな声で叫び地面をたたいた。
  ネズミの真似をして大穴牟遅が
 ドンドンと地面を踏むと 穴がポッカリあきドスンと落ちた。
  その瞬間
 穴の上を猛火もうび が通過していった。大穴牟遅は 火傷やけど ひとつ無く助かりました。
  駆けつけてきた
須勢理毘売と大穴牟遅は しっかり抱き合い涙を流し喜び合いました。

 
(3) 大穴牟遅と須勢理毘売に ますます危険度が高い試練がどんどんつづく。
  二人は
力を合わせ悉く克服したが この先
 命がいくつあっても 足りません。
  大穴牟遅は
 チャンスを狙っていました。
  須佐之男の大神の
スキをみて 大神の自慢の太刀と弓矢を持ちだし 須勢理毘売を背負い逃げ出した。
  気がついた大神は
 途中まで追いかけたが 諦め 逃げる大穴牟遅の背中に 大きな声で告げました。
  
大穴牟遅の命よ!わが須勢理毘売 自満の太刀矢も皆 お前にくれてやる。
  
その太刀矢で 国中の敵を治め 大国主之神としてこの国土に君臨せよ。
  よいな、わしが許すぞ
ワッハッハ 立派になりおったわい コヤツ!」。
  
大穴牟遅は 試練をすべて乗り越えたのでした。 この経験が今後 大いに役たったのでした。
  須佐之男の神は
 大穴牟遅を大きく成長させ 日本の国造りを大国主之神に任せました。
  大穴牟遅が大国主之神へと成長するかて として須佐之男の命は試練を用意したのでした。
  
ヤッパリ! 須佐之男の神は でっかい神ですね〜!

 
(4) 大国主之神 誕生 
   こうして
 大国主之神 宇迦うか の山の麓ふもと を居住の地と定め
   地の底の岩根
いわね  太い柱を高天の原に届くまで立てて鎮座されました
   いよいよ
 ここから 大国主之神は 日本の国土開拓を始めるのです。

 
(5) 八上比売 やかみひめ・は どうなったか?
   第11章
 ー私は 大穴牟遅の神と結婚します 自分の意思を明言した八上比売は、
   出雲の国で大国主之神と結婚し
 子供も生まれましたが 正妻の須勢理毘売を畏れ
   子供を残して
 自分の故郷の因幡の八上に 帰ってしまいました。  可哀そうな八上比売‥‥ボサツマン

  
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
           第14章 八千矛の神やちほこのかみ  少名彦命すくなひこなのみこと        「大国主の多くの名前
  大国主之神の名の由来

   (1)八千矛の神 やちほこのかみ という大国主之神の別名は 強力な武力で天下平定した時の尊称
  (2)大国主之神の正妻 須勢理毘売すせりびめ だが 他の妻には
    沼河比売ぬなかわひめ 多紀理毘売たきりびめ 神屋楯比売かむやたてひめ 鳥取比売ととりひめ 八島士奴美の神やじまぬみのかみ の娘。
    鳥取比売 須佐之男の命が 出雲の国の大蛇を退治して 妻に娶った櫛名田比売との間に生まれた子
       ちょっと待って 大国主の神は 六世代前の先祖須佐之男の命の須勢理毘売とも 結婚したし
                
須佐之男の命の鳥取比売とも結婚したということですか ふむ 理解しにくい ‥‥ボサツマン
 
 (3)大国主之神の子は 事代主神建御名方神の他にも大勢いた。        第17章):(第18章
 少名彦命 すくなひこなのみこと
  ある日
大国主之神が出雲の国の岬で海を眺めていると 沖から小さい船が 岸へ近づいてきた。
  
あの者は誰じゃ? 名を知る者はおらぬか? 従者に聞いたが 誰も知らなかった。
  そこへ
蛙が現われ知恵者の 久延毘古くえびこ ならば きっと 知っています言いました。
  久延毘古が言うには
 ー神産巣日神 かむむすひのかみ の子少名彦神 すくなひこなのかみ でございますと。
     ★ 久延毘古くえびこ とは 案山子かかし の神 歩けないが 天下一の物知り       神産巣日神:(第1章参照
 高天の原の神産巣日神に聞いてみると
  
それは 確かに 私の子の少名彦命 すくなひこなのみこと である。以前 私の手の指の間から くぐり抜けた子である。
   
大国主之命よ 少名彦命と兄弟になり 力を合わせ国造りに 励むが良い返答があった。
 神産巣日神の助言に従い大国主之神と少名彦神は協力し合い国造りに邁進まいしん していきます。
 
 
  その様子が
 祝詞に
  大国主之神
   無量の智慧と絶大な努力を以って
 雄懇ゆうこん の開拓を進め 無尽むじん の慈愛じあい を垂た れ給う。
  
少名彦神
   霊妙
れいみょう な神知しんち と至深ししん の才能を以って御心みこころ を同じくし力を合わせ
   天下の民を助け救い
 内外の文化を 交流し給う……と書かれる ‥‥‥‥合掌   第15章へ  天照大御神の勅命