第15章 (2) 地上の国平定計画
第一陣の神: 天の菩比神 あめのほひのかみ が、第一陣の使者に決定された。
この神は 天照大御神と須佐之男の命とが行なった 高天の原のーうけいーのとき誕生した神です。
つまり
弟神が兄神・
天の菩比神は 自信満々にさっそうと 葦原の中つ国・地上の国へ 降り下って行きました。
ところがです 高天の原への報告は ウンもスンも無く三年が過ぎてしまいました。
天の菩比神は 非常に苦戦していたのでした。
地上の国つ神の抵抗が予想以上に激しく 言向け(話し合い)が一向に進展しません。
やはり 大国主神の力は絶大でした 天の菩比の神の力量りきりょう では、たちうちできないのです。
そうこうするうちに 天の菩比神は 大国主神の魅力に惚れてしまいました。
あげくのはてには 自分の保身のため 周りの国つ神に猫なで声で ペコペコしてばかりで
結局ー地上の国での生活もまんざら悪くもないし 言向け(話し合い)はもうやめたーと役目を放棄してしまった。
残念なことに 天の菩比神は高天の原を裏切り 大国主神の軍門に下ってしまったのでした。
天の菩比神は 自分の使命を放棄してしまったのです。
人間界では よくあることですなあ〜 昨日の敵は明日の友 ‥‥‥ボサツマン
第二陣の神: 天の若日子 あめのわかひこ
第一陣の使者・天の菩比の神から 三年過ぎても音沙汰が無いので、高天の原では再び会議を開きます。
思い金の神の提言ていげん により 第二陣の使者には 天の若日子 あめのわかひこ が選任された。
この神は 名前の通り 若くて日が輝く勢いのある神です。
天の若日子は
ところが またしても、八年過ぎても 天の若日子からの連絡は まったくありません。
どうしたことでしょう?
実は 天の若日子は 大国主の神の娘・下光比売 したでるひめ と恋仲になってしまい地上で結婚していました。
自分の役割など すっかり忘れてしまい 大国主神の許でも生活をエンジョイしておりました。
自分の役割りを放棄したのでしょうか あるいは 相手(敵)の懐ふところ に入って
虎視眈眈こしたんたん と 実行のチャンスを狙っているのでしょうか。
あるいは 大国主神の地上の国の王の座を ひそかに目論んでいるのでしょうか。
それとも 大国主神の全面的な信頼を得た後に 地上の国の平定しようとしているのか?
現実は またもや 天の若日子あめのわかひこ も 役目を放棄していたのでした。
高天の原の神々は ーいったいどうなったのか?ー情報が入ってこないので 困り果ててしまった。
ー天の若日子、還り矢に死すー
高天の原では、三度目の会議が開かれました。
「天の若日子あめのわかひこ からの連絡は 全く無い。地上はどんな状況になっているのか?
まづ 現地の実情を把握せねばならぬ 調査役を派遣しよう 誰が適任か」と、協議した結果
鳴女なきめ という雉きじ に決まった。
鳴女は即 地上に降りていき 天の若日子の家の庭木に止まり 大きな声で鳴き叫びました。
「天の若日子さま 高天の原に 連絡してください」と、繰り返し叫んでいました。
しかし 残念なことに 天の若日子には 雉の鳴き声が聞こえていません。
その時 天の若日子の付き人 天の佐具売 あめのさぐめ は、うるさい迷惑なキジと思って
「若日子さま 不吉な雉が木の上でうるさく鳴いていますので 射殺してください」と、若日子に言った。
天の佐具売(付き人)に言われた天の若日子は 高天の原から持ってきた弓矢を撃ち、雉を射殺したのです。
鳴女の胸を貫いた矢は 一直線に高天の原まで登り 高御産巣日神と天照大御神の御前みまえ に落ちた。
「還り矢 かえりや」とは 神を狙う矢は必ず射た者に還るという意味。
高御産巣日神 たかみむすひのかみ は 血のついた矢を見て手に持って
「むむむ! この矢は 天の若日子に授けた矢だ 若日子が天命に従い 悪い神に射放った矢ならば 若日子を避けよ、
だが もし 若日子が天命に背いた矢ならば 還り矢の禍を若日子にむけよ」と言い 下界に向け矢を放ちました。
高御産巣日神が放った還り矢は 眠っていた若日子の胸を刺し抜き 若日子は死んでしまった。
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