第16章 大船団攻撃
第一の使者 天菩比神 あめのほひのかみ は 大国主神の配下に寝返ってしまい 自爆・役目放棄した。
第二の使者 天若日子 あめのわかひこ は 高天の原の神の還り矢を受け死んだ。
第一の使者も第二の使者とも 地上の平定は失敗でした。
高天の原は イラダッテいます。次は三度目の挑戦です。もう失敗はできません。
使命を完璧に実行出来る力のある 絶対適任の神を 慎重に且つ早急に選定することになりました。
高天の原の八百万の神々は 知恵を絞り合議の末 第三の使者の神を決定しました。
その神とは 天の安河の上流の石屋いわや に鎮座する 刀の神・天尾羽張の神 あめのおはばりのかみ。
この神の名は 伊邪那岐の命が迦具土神かぐつちのかみ を斬ったときの十拳剣 とつかのつるぎ (長い剣)の別名。
なぜ! 伊邪那岐の命は 生れたばかりの火の迦具土神かぐつちのかみ を斬ったのか?
それは 妻・伊邪那美の命が この神(火の迦具土神)を産んだ時に 火傷を負い死んでしまったからです。
腹が立った夫・伊邪那岐の命は 産まれた子(火の迦具土神)を恨み 十拳剣 とつかのつるぎ で斬り殺したのです。
そのとき 刀からしたたる血から 建御雷之男神が化生したのでした。
つまり 刀の神・天尾羽張の神 あめのおはばりのかみ が親で 建御雷之男神は子になる。
だが その天の尾羽張の神は かなり頑固な神で 他の神が簡単に近づけないように工夫しています。
川の途中の水を空中に高く盛り上げて とてつもなく・高く・大きな滝を作っています。
その高く・大きな滝を乗り越えて行くには 普通の船では無理です 最新装備の船でしか行けません。
その最新の設備を装備した船の免許を持っているのは 天の迦久の神あめのかくのかみ だけです。
天の安河の難所をクリアーし 天の迦久の神は 天の尾羽張の神に神々の意思を伝えました。
天の尾羽張の神が答えた
「天の迦久の神 あめのかくのかみ よ とても ありがたく存じます。今の件、確かに承りました。
だが、その役目は 私よりも若くて血気盛んな息子・建御雷の神 たけみかずちのかみ が適任者でしょう。
息子の建御雷の神は とても責任感が強い神です。必ずや使命を達成することができます」と。
こういう経緯があって 建御雷の神が、第三の使者に 決定しました。
建御雷の神と共に同行する役には 天の鳥船の神(第3章参照)が選ばれました。
建御雷の神は 伊邪那美の神が 火の神を生んだことで 黄泉の国へ旅たった(亡くなった)とき、
伊邪那岐の神は 悲しみのあまり 産まれてきた火の神を憎み 切り殺してしまった。
切られた火の神の血が 岩に跳ね飛び散った時に 生まれた「神」です。
天の鳥船の神は 伊邪那岐の神と 伊邪那美の神の国生みで生まれた神です。
天の鳥船とは 高天の原から地上に降る最新鋭の大きな船の意味。
高天の原としては、何としても 早急に 地上の平定を 成し遂げねばなりません。
第一の使者・第二の使者共失敗した過去の経過を反省し、中津国(地上)平定計画を遂行するためには
話合い重視の 「言向け」ことむけ から 新兵器装備した武力船団の総攻撃の方法に変更しました。
出雲の国に降りた建御雷の神・天の鳥船の神は さっそく 大国主神の前に立ちはだかり言いました。
第17章へ 葦原の中つ国は 平定できるのか?