耳なし芳一

  
耳なし芳一の話   (怪談耳なし芳一小泉八雲 ラフカディオ/ハーン の作
  盲目の琵琶法師
びわほうし の芳一は 赤間が関 あかまがせき (現在の下関市)に住んでいました。
  彼の得意話は
源平合戦壇ノ浦の段 げんぺいがっせん だんうらのだん でした。
  ある夜 芳一は
豪壮ごうそう な屋敷にまねかれ 大勢の人びとの前で 壇ノ浦の段を語りました。
  それから 毎夜のごとく招かれて語っておりました。 ところが 豪壮な屋敷と思われたのは
  
安徳天皇陵 あんとくてんのうりょう でした。 つまり 源平合戦で亡くなった平家の人びとのお墓でした。
  
源平合戦壇ノ浦の段の話を聞いていたのは 亡くなった平家の亡霊だったのです。
  それを知った芳一の師
/和尚 おしょう は 芳一の命を救うため 芳一の全身に般若心経の経文を書いた。
  しかし 耳だけ般若心経を書くのをわすれたので 芳一は耳を亡霊に切り取られてしまいました。
  そこから「耳なし芳一」という名で 語り伝えられています。  (般若心経には 魔除けの力がある
     
  下関にある
赤間神宮あかまじんぐう平家の悲哀を伝える社やしろ で有名です。
  この社
やしろ には 平清盛たいらのきよもり の孫まご 安徳天皇が祀られていて 御陵も境内 けいだい にあります。
  また 境内には 芳一の木像を安置しっている 芳一堂
ほういちどう もあります。

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     功過格表 こうかかくひょう      表立たない善行陰徳といい 陰徳を重ねると良い報いがあると伝わる。
  開運出世
富貴繁栄は 陰徳積みを元となす。
  善も積まざれば名を成すに足らず 悪も積まざれば 身を滅ぼすに足らずなり。


  浄明道 12世紀の中国の文献に 人の行動を 1~100の善と悪にわけて書いてある。
             善行                           悪行
  人間の命を救う。                
100に値する行為      人間の生命を奪う。
  捨て児 又は堕胎を思い止まらせる。                  一人の婦女の貞操を破り失わせる。
  捨て児 又は堕胎を思い止まらせる。                  捨て児 又は堕胎する させる。

  他家の断絶を免れさせる。         
  50に値する行為     他家を断絶させる。
  身寄りのない子供を引き取って養育する。               他人の婚姻を破談させる。
                                           一人の人間を流浪者にさせる。

  無実の罪の人を明白にして救う。       
30に値する行為     一人の戒行を破らせる。
  一人の無法者を教化して善につかせる。               誹謗を造って一人の身に傷をつける。
                                          他人の隠事を摘発して 中傷する。

  公衆の害になることを ひとつ取り除く。  
  10に値する行為    智徳に優れた人を 排斥する。
  世を益する書物を一冊編集する。                    悪だくみを持った人を推挙する。
  一人の智徳に富む人を世に出す。                    貞操を失った婦人に触れる。
  一人の重病人を看病し全快させる。                   人畜を殺す凶器を所持する。

  人の生命を保益する書物を一冊編集する。  
5に値する行為    世の中の良風良俗を破壊する。
  悪性の訴訟を諭して思い止まらせる。                 一人の者に訴訟を勧める。 
  一人の軽病者を看病し全快させる。                  一人の病人の救いに対し応じない。
  人の生命
に良い方法をひとつ伝授する。                道路や橋を毀損きそん する。
  人間の役に立つ畜生
(家畜など)一匹の命を救う。          人間の役に立つ畜生を殺す。

  そしりを受けても弁解しない
怒らない。     3に値する行為    長幼尊卑の秩序を破る。
  気にいらないことも受け忍び
怒らない。               酔って一人の者を害する。
  家畜外の畜生一匹の命を救う。                    2枚舌を使い人の仲をさく。

   一人の善行をほめる。            
1に値する行為    一人の人の善行を無にする。
   一人の飢えを救う。                         人の争いをそそのかす。
   一人の過失を暴きたてない。                    一人の無知な者を欺く。非行に賛成する。
   正しい道を講演して教化一人に及ぶ。               人の過失を言いふらす。
   一人の争いしる者を諭し止める。                  無礼な不作法をひとつ行う。
   小さい虫や魚などの命を救う。                    小さい虫や魚の命を奪う。
                                         人畜を使役してその疲労を哀れまない。
                                         人との約束を破る。

  以上 この功過格表を受持し 毎晩その日になした功
と過を 表に記して
  月末にその功と過を差し引きし結果を記入 年末に総計を比較し 自分の過福を知る
 …… 功過格表より