観世音菩薩と湯川秀樹博士

  
湯川秀樹博士は 1949年に 初のノーベル物理学を受賞した日本人の科学者です。
  博士は 昭和の時代に 人間と科学という本の中で 観音さまのことを書いています。


 
観音様は 11の顔と千の手をお持ちで 全体の調和心の平静は 少しも失われていないように見える。
  現代人
(昭和の時代)の好みからいえば 完全な円満なお姿に ものたりなさを 感じられるかも知れない。
  現代の人類は 科学と技術の発達の結果として ますます多くの顔や手をもつようになりました。
  顕微鏡や望遠鏡のような新しい目を いくつも持つようになりました。
  放射能からの危険を避けるために マジックハンドという人工の手も作りだしました。
  電子計算機が 人間の頭の代わりまでしてくれ 数字の計算が容易になりました。
  それらのことは 確かに 文明の進歩というべきであるし 社会の益
えきになることである。
  しかし 機械に囲まれた世界に生きる現代人は 精神が知らず知らずのうちにかど ばってくる。
  今日の人間世界には 観音様のような おだやかな
あたたかい表情は 見いだされない。
  だからなのか 現代の
人間は
  観音様のもつ
尖鋭
せんえい 流線形りゅうせんけい な より新鮮な美に憧れ 見い出しつつにも思える。
  現代は 多少のノイローゼ気味のない人間こそ どうかしているのではないかとさえ 思える時代になった。
  しかし そういう時代になればそうなるほど
  心の平和
世界の平和を求める人々の気持ちは より深くより切実になるつつあるのではあるまいか』
 あとがき
  
湯川博士は 革新野心的理論の提唱者として とりあげられている物理学者です。
  
目にみえない精神の世界と 正反対の世界を研究している日本一の科学者が
  
科学的に証明しにくい心の世界をも しっかり見つめて書いた文章に驚きを隠せません。
  
さらに 未来の世の中のことまで 良く解り得ているような発言に 感銘するばかりです。
  
きっと 湯川博士は研究中に 観音様のご加護をうけ 観音様を拝していたのでしょう。
  
そして 同行二人 どうぎょうににん 観音様と一体となった境地を 会得されたことでしょう  …… ボサツマン