分別功徳品 (4)
世尊
「菩薩・衆生が法の利益りやく を得るには 仏の無量寿を確信することです と仏が説き終わると
その時 虚空こくう から 大小たくさんの蓮の白い花が、美しく舞い降りてきました。
その白い花は 十方世界から来集らいしゅう された多くの仏が坐る 師子しし の座に降り散じています。
七宝塔しっぽうとう の中の 釈迦牟尼如来しゃかむににょらい の頭上にも 降り散じています。
又 釈迦牟尼仏の教えは真実である と証明する為に 遠く以前に滅度されていた多宝如来 たほうにょらい が
再び、現われ参って端座たんざ しておられる 御座みざ の上にも 降り散じています。
又 大菩薩衆にも 比丘びく 比丘尼びくに 優婆塞うばそく 優婆夷うばい の四部衆しぶしゅう にも 降り散じています。 「比丘/比丘尼/優婆塞/優婆夷」
白い蓮はす の花が天から降って来たのは、仏の教えに感謝の念を捧げる天上界の意思の象徴なのです。
また、仏だけでなく、仏の教えを聞き広める仏弟子も 教えを説く仏と同じく 尊い存在であると認めている
天上界の意思の現われなので 菩薩や仏の弟子たちにも 花は散じているのです。
一心に仏の教えを聞き 教えを行じる時には 天から美しい曼陀羅崋まんだらげ が舞い降りてきます。
同時に 言葉では表わせない良い香かおり 例えば 栴檀せんだん や沈水香じんすいこう のような沢山の香りが
霧のように降りそそぎ 一面に漂ただよ っています。
虚空では、妙々な天の太鼓つつみ の奥深い音色が 鳴り響いております。
さらには、いろいろな天の衣も舞い降りて、様々に垂れさがる瓔珞ようらく (金・銀・玉の飾り)の光は輝き、
高格な香炉こうろ には この世では価あたい もつけられないほどの 尊い香こう がたかれています。
香の煙けむり は まるで生きもののように 仏の大会だいえ に集まる人々を巡り 供養の香を廻らしています。
「天上界」も、仏の教えを讃えて、感謝の心を最大限に現わしているのです。
諸々の菩薩たちは 朗ろうろう たる声で 仏を讃える歌を歌い その座のすべての仏ほとけ に対して
天蓋てんがい を差しかけたり 仏の御徳おんとく を現わす旗を 高く立てかけたりしています。
この情景が、天上界までずっと見渡す限り美しくつづき、法座の衆生は皆、ただただ、感嘆する限りでした。
多くの菩薩たちが列をなして 天まで昇りつづいている情景は
仏の教えは宇宙の隅々までも遍満していて 一切の生命を救っておられるという意味です」。 つづく